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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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きのうの午後、しばらくぶりで名張のまちを歩き、日が暮れてから百合が丘西六番町の醍醐、そのあと平尾の居酒屋中むら西口店と二軒をまわったのだが、まちなかのさびれようは尋常ではない、とあらためて感じた。名張まちなかの再生、などということばには、いまや微塵のリアリティもない。名張まちなか再生委員会の規約改正案には、「名張地区既成市街地の再生・創造を多様な主体の協働によって実現する」といった文言がみられるが、こんなものはまちなかの現実にいっさい眼を向けようとせず、ただ頭のなかできれいごとを並べただけの妄言に過ぎない。ねごと、うわごと、たわごと、よまいごと、えそらごと、そんなものでしかない。

だからまあ、名張まちなか再生委員会などという、名称からしてうそっぽい、あるいは詐欺まがいの組織は、とっととぶっ壊してやるべきなのである。というか、実質的にはもうぶっ壊れている。名張まちなか再生委員会は今年度、なんの活動もしていないはずである。なにしろ、予算がゼロなのである。予算の裏づけがないから、事業計画もないのである。だから活動なんか、なーんにもしていないのである。

いやいや、事業計画がない、ということはない。かたちだけは存在している。6月1日の今年度総会を成立させるために、かたちだけ整えた事業計画なら存在している。試みに、当方がサブチーフを務める歴史拠点整備プロジェクトの本年度の事業方針、事業目標、事業計画を今年度総会の配付資料から引き写すならば、こんな感じである。

   
平成20年度事業方針

プロジェクト開始以来、歴史拠点整備事業である旧細川邸改修事業、並びに乱歩関連施設整備事業において度重なる方針変更に翻弄され、当プロジェクトが本来果たすべき役割を果たしてこなかったという反省の元、本年度は原点に立ち返り、まちなか再生プランをふまえて「まちなか再生」のための事業を行ってまいります。

平成20年度事業目標

“歴史と文化の薫り漂う町並みの創造”

3つのキーワードにそって事業展開をはかる。

○初瀬街道:人と人が交流し、にぎわいのある町並み
○名張藤堂家:城下町として、落ち着きと風格ある町並み
○江戸川乱歩:乱歩が愛した、人情あふれる町並み
           
平成20年度事業計画

歴史拠点整備事業
○観光・交流に資する歴史・文化拠点の整備と活用状況の調査と研究

歴史街道散策事業
○歴史散策ポイント調査及びルートの作成

町家調査事業
○町家の保存に向けた調査研究

江戸川乱歩顕彰事業
○乱歩の生まれたまち「名張」からの情報発信
○乱歩生誕地碑広場整備事業

まちなか語り部調査事業
○まちなか各町の原景を知る長老からの情報収集

歴史拠点整備プロジェクトのサブチーフとして、というか、もうすぐかんなくずの親分をチーフの座からひきずりおろし、新たなチーフとして君臨する予定の人間として断言しておくが、こんなものはまったくのうそっぱちである。ここに書かれたことはなにひとつ、実現されていない、着手すらされていない。しいていえば、「乱歩生誕地碑広場整備事業」というのが現在進行中ではあるけれど、こんなものは名張市が勝手に考え、勝手に進めているものである。歴史拠点整備プロジェクトとはまったく無縁に、淫祠邪教の聖地のようなスポットを整備しているだけの話である。

そんなこんなの状態であるから、名張まちなか再生委員会などという組織は、もはや死んでいるも同然なのである。それが現実なのである。その現実にきっちりかたちを与えるのが、すなわち委員会の解散ということなのである。規約改正などという延命措置は、じつは必要ない。けりをつけてやるべきである。引導を渡してやるべきである。名張まちなかの再生、などというリアリティの微塵もないテーマに取り組む組織がほんとうに必要だというのなら、いまの委員会をきれいに解散して、新しい組織をつくるべきなのである。とにかく、名張まちなか再生委員会なんてのは、一日も早くぶっ壊してやるべきなのである。

おとといの会合で示された規約改正案には、委員会の解散にかんする条項もある。それにもとづいてシミュレートを試みるならば、1月25日、名張市役所で開かれる臨時総会において、規約改正案が承認される。その時点で、新しい規約が有効になる。間髪を入れず、緊急動議を提出する。緊急動議にかんしては、新しい規約にこうさだめられている。

   
第40条
2 総会での事前通知されていない緊急動議に関しては、当日の出席委員と「代理人委任者」の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

提出する緊急動議は、いうまでもなく委員会の解散にかんするものである。新しい規約にはこうある。

   
第39条 この委員会は、次に掲げる事由により解散する。
(1) 総会の議決
(2) 目的とする事業の成功の不能
(3) 委員の欠亡
2 前項第1号の事由によりこの委員会が解散するときは、委員総数の4分の3以上の承認を得なければならない。

上等である。名張まちなか再生委員会を解散に追いこむ道筋は、ここにくっきりと示されている。ここにこそ、規約改正の意義が認められる。規約改正の大義は、ここにしかない。上等である。おおいに上等である。

ここで、やなせ宿の話題に移行する。今年6月にオープンしたやなせ宿は、来年3月末までまちなか運営協議会の手で運営されている。名張市が協議会に運営を委託しているのである。年間の委託費は二百五十万円であったと記憶する。そのあと、来年度以降は、指定管理者制度を導入して運営が進められることになっていた。

伊賀タウン情報YOU:総工費1億円 名張の観光交流施設「やなせ宿」どうなる?何する?(2008年4月11日)

引用。

   
一方、実質的な運営は市の「公設民営」の方針から、05年6月に組織された、市民らによる「名張まちなか再生委員会(田畑純也委員長)」が民営化について協議してきた。その結果、当初は同委員会が立ち上げた団体が運営を任される予定だったが、これまでの役員会などで、同委員会設置の「まちなか運営協議会」が当面の運営を行うことが決定した。名張市が09度の指定管理者を目指して運営団体を公募し、同協議会も新たな運営組織を再発足するという。

しかし、おとといの会合で行政サイドから明らかにされたところによれば、やなせ宿が指定管理者制度を導入することは、少なくとも来年度においては、ない、とのことであった。ころっころっころっころと、あたかもどんぐりのごとくころっころっころっころと方針を変更しつづけるのは名張市のお家芸のようなものであって、上に引いた歴史拠点整備プロジェクトの今年度事業方針にも「方針変更に翻弄され」という文言がみられる次第なのであるが、そんなことはもういいかげんにしてくれんか、とお願いしてみても、聞く耳なんかもたぬ、というのもまた名張市のお家芸なのである。どうなと好きにするがよい。

そのやなせ宿に、なんやけったいなのぼりが立ってまっせ、とおととい聞きおよんだので、きのうみてきた。こんな感じである。

20081220a.jpg

右のはしにみえるオレンジ色のものが、けったいな、と喧伝されているのぼりである。しかし、のぼりの問題以前に、かくもぺたぺたと貼り紙を掲示してしまっては、町家の風情もなにも、町筋の景観もなにも、あったものではないではないかという気がする。

のぼりは、やなせ宿の裏、名張川に面したほうにも、みることができた。

20081220b.jpg

ごらんのとおり、「日替りランチ」だの、「農産物」だの、そういった文字が大きく染め抜かれている。してみると、オープンから半年あまりが経過して、この無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館with小判鮫においては、既定方針の食堂化路線に加え、道の駅化路線という新機軸も打ち出されてきた、ということであろうか。名張市が、ただの思いつきで細川邸の整備に着手し、なにも考えることなくなりゆきにまかせてきた結果が、なんとこれなのである、ということであろうか。どうなと勝手にするがよい。
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