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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 ミステリ講演会をどうするよ
 
 まーるなげッ、まーるなげッ、なばりしめーぶつまーるなげッ、と歌の文句にも歌われているかどうかは知らんけど、名張市名物の丸投げがミステリ講演会にもおよんだ。
 
名張市公式サイト:テキスト版広報なばり > 平成21年11月3週号 > ミステリー講演会「なぞがたりなばり」の委託実施団体を募集
 
 お読みいただいたとおり、「江戸川乱歩生誕の地、名張市では、(財)日本推理作家協会の協力のもと、著名作家による講演会『なぞがたりなばり』を平成3年から開催。これを実施いただく団体を募集します」という寸法である。さすが名張市、というべきか、やってることがどうにも意味不明である。募集の締切が昨年11月30日だった、というのがまずおかしい。ミステリ講演会は二十年ほど前からの継続事業なんだから、今年度の講演会を民間委託するというのであれば、年度のあたまに委託団体を募集することも可能だったはずである。というか、なにしろはじめての試みでもあるのだから、そうしているのがふつうであろう。年度のなかば以上を過ぎた11月に募集ってのは、いったいどういうことであろうな。
 
 ちなみにおれが、今年の講師は今野敏さんに決まった、と聞きおよんだのは、昨年10月2日のことであった。日本推理作家協会から名張市に連絡がいつあったのか、それはわからないが、まあおなじころのことであろう。だとすれば、講師が決定した時点でもなお、名張市はえらく悠長にかまえていた、ということになる。もっとも、出来試合だったのであれば、急ぐ必要はなかったのかもしれん。要するに、名張市名物の癒着結託である。実際、これも名張市名物だよなあ。癒着結託のない名張市なんて、おれにはもはや想像すらできないほどであるが、もしも委託団体があらかじめこっそり決まっていたのであれば、あわてて募集する必要はかならずしもなかったであろう。むろん、これはただの邪推である。根拠のある話ではない。つまりまあ、名張市のやってることはさっぱり意味不明、というわけなのである。
 
 さて、23日の火曜日、名張市役所四階にある地域経営室、つまりミステリ講演会の担当セクションで、いくつか確認してきた。もしも来年度、委託団体の応募がゼロだったら、講演会はまた名張市が主催することになるのか。行政サイドの回答は、わからない、というものであった。名張市の主催で継続するのか、それともミステリ講演会という事業を廃止してしまうのか、そのへんのことはなにも決まっていない、とのことであった。大丈夫か名張市。もうちょっと頭をつかってもいいと思うぞ。いくら、なばりしめーぶつまーるなげッ、であるからといって、ミステリ講演会を民間に丸投げすることを考える前に、ほかに考えなければならぬことがあったはずじゃねーか。講演会をこのまま継続すべきかどうか。継続するにしても、いまのやりかたが妥当なのかどうか。そのあたりのことをお役所の内部で、よーく考えてみるのが先決であろう。
 
 それともなにか、中味のことなんかどうだっていい、とにかくミステリ講演会をやってればいい、二十年前の判断を無批判に踏襲してればいい、民間委託という体裁が整いさえすればいい、というだけの話なのか。もしもそうなのだとしたら、それはいかにもまずいのではないか。いくら継続事業だからといって、恒常的に検証を加えながら継続するのが本来であろう。いや、いやいや、なんども記しているとおり、お役所の人に検証はできないのであったな。お役所には検証という概念が存在しないのであったな。だからおれがこうやって、懇切丁寧に検証を進めているのである。よかったなあ名張市。おれみたいなまともな市民がいて、名張市はもう大助かりであろうな。
 
 きのうもリンクを設けたけれど、ミステリ講演会を民間委託するにあたっての募集要項がこれである。
 
名張市公式サイト:なぞがたりなばり委託事業募集要項(pdf)
 
 こんなことが書いてある。
 
   
■対象事業
・ミステリと江戸川乱歩に関する講演を開催する事業
・江戸川乱歩生誕地名張市をPRする事業
・江戸川乱歩の作品や人物を広く市民に顕彰する事業
 
 第一項は、ほかならぬミステリ講演会の開催にかんすることだから、まあわかる。第二項となると、こんなのはどう考えても年間を通じて進められるべき事業であろう。だったら、年度もなかばを過ぎた11月に委託団体を募集するってのは、なんともふしぎなことではないか。いやいや、こんな細かいツッコミはまあどうだっていいとして、第三項、これが不可解である。少し前にも記したけれど、乱歩作品を読むかどうか、乱歩を好きになるかどうか、そんなことは個人の自由、市民の勝手というやつである。名張市民だからといって、お役所から、あるいは、お役所の委託を受けたそこらの民間団体から、乱歩のことをひろく顕彰されねばならぬ筋合いはない。それにだいたい、当のお役所や民間団体が乱歩のことをどれだけ知っているのか、おおいに疑問だといわざるをえない。
 
 月刊コミックビームの4月号に、丸尾末広さんの「踊る一寸法師」が掲載されている。乱歩の同題作品を原作とした漫画である。
 
20100326a.jpg
 
 乱歩顕彰の一助になればと考え、任意の一ページをスキャンしてご紹介申しあげた次第なのであるが、どうじゃな? しかしまあ、どうじゃも毒蛇もいいけれど、やっぱお役所には検証も顕彰もとても無理なんじゃね? とぞ思う。
 
 さてさて、上掲の募集要項には、こんなことも書かれている。
 
   
■内容
事業委託料 86万円
 
 おとといも記したけれど、3月21日に催されたミステリ講演会、有料入場者は四十人を切っていた。入場料は一般千円、十八歳以下五百円。で、事業委託料は八十六万円。きわめてアバウトに、四十人で八十万円として計算すると、おひとりさまあたり二万円の税金がつかわれた、ということになる。
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