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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 こうして検証してみると、なんかもう、すさまじいな、という気がしてくる。すごみが漂ってるよな実際。凄絶なまでに無茶苦茶なのである。要するに、名張市はなにも考えられなかった。なにひとつ、決めることができなかった。細川邸をどうするか。なにも決められないまま、いまにいたっているのである。凄絶なまでに無茶苦茶である、というしかないではないか。
 
 まず存在していたのは、細川邸を適当に改修して、名張地区の特定の住民に特権的に提供する、というぼんやりしたおもわくであった。たぶん名張商工会議所あたりから、細川邸なんとかしろよ、とかケツを叩かれて、じゃあ丸投げすればいいんだろう、みたいなぼんやりしたおもわくが、名張市に生じたのであろう。たとえば、既設の体育館の運営を民間団体に丸投げする。あるいは、新たに保育所を建設して、その運営を民間団体に丸投げする。その程度のことなら、名張市にだって可能である。施設の用途があらかじめ決まっているからである。そういった丸投げは、名張市がむしろ得意とするところである。しかし、細川邸の場合は、いささか事情がちがっていた。用途が決まっていなかったのである。
 
 したがって、細川邸をどんな用途で使用するか、名張市はまずそれを決定しなければならなかった。どうしたのか。丸投げである。丸投げばか、とでも呼んでやってくれ。みずからはなにも考えようとせず、名張地区既成市街地再生計画策定委員会なんてものを発足させて、検討を丸投げしたのである。委員会が出した結論は、細川邸を歴史資料館に、というものであった。脳内妄想である。実現できるはずのない構想である。しかし、名張市はそれでもよかったのであろう。細川邸がなにになろうと、そんなことはどうでもいい。とにかく改修し、丸投げすればそれでいい、みたいなところであったのだろうと推測される次第であるが、なにしろ実現不可能な構想である。歴史資料館構想の具体化を丸投げされた名張まちなか再生委員会は、当然の結果として、構想を早々に投げ出してしまった。細川邸を歴史資料館にはしない、と決めてしまった。だからといって、いい代案が浮かぶわけではない。
 
 その時点で、名張まちなか再生プランを練り直せばよかったのである。おれはそういってやったのである。名張地区既成市街地再生計画策定委員会を再招集し、必要なら新しい委員も加えたうえで、細川邸をどうするのか、桝田医院第二病棟をどうするのか、しっかり検討するべきだったのである。むろん、再招集によって、多少の混乱は生じたであろう。しかしそれは、その時点で判明した問題点を解決するための、避けることのできない混乱なのである。そのとき解決にあたっていたら、混乱はその場かぎりのもので済んだのである。ところが、その混乱を避け、問題を解決することなく先送りしてしまったから、混乱は雪だるまのように大きくなりつづけた。いまや、やなせ宿の大混乱は相当なものではないか。先日聞きおよんだところでは、4月に雇用されたやなせ宿の常勤事務員もすでにお辞めになったとの由である。なんだか知らんが、かなり混乱しているのであろうな。
 
 名張まちなか再生委員会は、プランニングのための組織ではない。名張地区既成市街地再生計画策定委員会によってまとめられたプランを実施するための組織である。にもかかわらず、細川邸の活用策を一から検討しなければならない、ということになってしまった。むろん、無理である。そんな能力はない。検討なんか進むはずがない。とりわけ大きなネックになったのは、名張まちなか再生プランにあった「公設民営方式」という文言であったと思われる。いくら細川邸を改修して民間団体に丸投げしても、独立採算で運営できるとは考えられない。だからこの件にかんしても、練り直しが必要だったのである。立ち止まって考え直すことが必要だったのである。それをしなかったから、事態はいよいよひどいことになっていったのである。
 
 どうひどくなったのか。とにかく話がまとまらない。整備後の細川邸、つまりやなせ宿を特権的に提供される民間団体として、名張まちなか再生委員会の平成18・2006年度総会で顔を出してきたのは「NPOなばり」であった。しかし、このNPOがどうにも進退きわまってしまった。だから翌年、つまりおととしの総会では、そのNPOに代わる組織として「まちなか運営協議会」が顔を出した。だが、この協議会による検討も、なかなかすんなりとは進まなかったようである。そのせいで、去年の4月に予定されていたやなせ宿のオープンは、二か月も遅れて6月になってしまった。現在ただいま、やなせ宿の運営は、名張市から委託を受けたまちなか運営協議会が担当している。名張市から支払われる委託料は、昨年度が約百二十万円、今年度が約四百八十万円。つまり、独立採算ではまったくない。しかも、この協議会が正式にはいまだに発足していないことは、すでに述べてきたとおりである。
 
 それで結局、やなせ宿ってなんだったんだろうね、という話になると、癒着結託を基盤とした行政運営モデルの失敗例、みたいなことになるのではないか。失敗の原因は、いうまでもなく、税金で整備して特定の市民に提供する施設の用途が不明だった、ということである。いちばん知恵をしぼらなければならない点をおろそかにし、まあ知恵なんてないんだから無理もない話なのであるが、だれかがなんとかするだろう、みたいな主体性放棄をかましてるから、にっちもさっちも行かなくなってしまった。うすらばか何十人何百人と集めてみたところで、だれにもなんともできないのである。だからまあ、やなせ宿ではいま、名張市名物の癒着結託構造が無残なしかばねをさらしている、ということになるだろう。まちなか再生だの歴史資料館だの、あるいは協働だのといったうわっつらの虚飾はいまやことごとく、はがれ落ち、押し流され、吹き飛ばされ、あとには名張市政の愚昧と腐敗とがふたつながら顔を覗かせている、みたいなところなのだと思う。
 
 平成19・2007年7月
 
 7月30日、おれは名張市の監査委員に「名張市長に対する措置請求書」を提出した。住民監査請求ってやつである。全文はこちら。
 
2007年09月20日:住民監査請求2007
 
 このころには、細川邸も、桝田医院第二病棟も、まちなか再生事業も、そんなもののことはもう、どうでもよくなっていた。というか、どうにもならなくなっていた。この三者がいずれも無惨な結末を迎えることは、すでに避けがたい情勢になっていた。まあえらいものだな、とおれは思ったな。癒着結託構造が名張市政をいいだけ歪めている。だからまあ、住民監査請求のひとつもかまして、警鐘ってやつを打ち鳴らしてやるべきなんじゃねーの、と考えた。で、そこらのNPOが勝手に決めたことにいちいち税金つかっていいと思ってんのかよすっとこどっこい、みたいなことをぶちかましてやった。
 
 請求の参考資料として提出した大河漫才がこれ。
 
 
 平成19・2007年9月
 
 9月20日、名張市の監査委員から住民監査請求を棄却する旨の通知があった。全文はこちら。
 
2007年09月21日:住民監査請求棄却
 
 要するに、そこらのNPOが勝手に決めたことにいちいち税金つかったっていいんでーす、だって協働なんだもーん、ということであった。名張市の癒着結託構造に監査委員がお墨付きを与えた、という寸法である。
 
 平成19・2007年10月
 
 名張市考査委員会による事務事業評価報告書が発表された。
 
 
 「中心市街地活性化事業」は、総合評価が「継続(事務改善)」であった。委員会による意見はつぎのとおり。
 
   
・「まちなか再生委員会」の位置づけが不明確であり、責任主体の明確化が必要である。
・指定管理者の導入は公募を前提とすべきであり、NPO法人への特命は望ましくない。
・計画が楽観論過ぎるので、組織、権利関係を明確にするため、条例の担保が必要である。
・ワークショップとしての位置づけを明確にし、事業決定権は市長にあることを明らかにする必要がある。
 
 NPOに特権的に施設を提供することにたいし、「望ましくない」とのイエローカードが出されている。にもかかわらず、やなせ宿にはいまだに指定管理者制度が導入されていない。名張市ってのは、人の意見に耳を傾ける、ということを知らないのではないか。人の意見が理解できない、ということもあるのであろうが。
 
 事務事業評価報告書では、市民から寄せられた評価も公表された。「中心市街地活性化事業」には、「休止」という評価が出されていた。つまり、そんな事業やめとけよ、と市民からレッドカードが突きつけられたわけである。意見はこんなんであった。
 
   
大学教授や市民ボランティアの委員会が策定された「名張市まちなか再生プラン」のアクションプランの実施は、一般市民には何もみえない状況です。
ただ「細川邸一部解体工事」と推測される「蔵」が無残な姿で現れ、周辺が解体されているのだけが、目に入るのみです。目玉の一つとされた「江戸川乱歩記念館」の建設も中止されたとのこと。市長が地元の期待に応えて、「不退転の決意で実現させる」と公言され、庁内には専任のプロジェクトチーム7〜8名も配置していると聞き及んでいますが、活動の様子も市民には伝わらない。
また、地区の【まちづくり推進委員会】には地元選出の市会議員2名が委員になっているとのことですが、一般市民には、全く状況の分からない「中心市街地活性化事業」になっているのが実情と思われます。
 
 ま、ぼろくそである。なにやってんの? なにがしたいの? 市民には全然わかんない、と市民があきれ返っているのである。しかし、というか、そして、というか、いずれにしても市民の眼にはいまやもう、やなせ宿に癒着結託構造が無残なしかばねをさらしつづけ、市政の愚昧と腐敗とがふたつながら顔を覗かせていることが、このうえもなくありありと映じているのではないかしら。名張市ってのはなんかもうほんと、はんぱなくすげーよな。
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