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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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9月17日付エントリのつづきである。

9月17日:開設一周年を迎えて 上

いま読み返してみたら、9月17日は中井英夫の命日だと書いてある。まちがいである。9月17日は中井英夫の誕生日なのである。あわてて訂正しておいた。

開設一周年には関係のない話題だが、他紙にやや遅れ、朝日新聞にも乱歩都市交流会議の記事が出た。

朝日新聞:「乱歩」の街 連携

この記事にも「情報発信」ということばが登場するが、それは具体的にどんなことなのか。要するに、物産販売なのである。国立劇場のロビーで二銭銅貨煎餅や乱歩ぱいのたぐいを販売する、ということなのである。むろん結構なことである。おおいにやっていただけばいいのである。問題は、名張市が情報発信というテーマをそんなレベルでしか考えることができない、という点にある。考える、というよりは、思いつく、といったほうが適切であろう。ものごとをまともに考える能力など、名張市にはまったくない。名張市には思いつきしかないのである。ま、その場その場で思いつきを口走り、それが実現できなかったら意味不明のいいわけ、いいつくろい、いいのがれを並べたててその場しのぎを決めこむだけ、責任なんてまったく問われることがないのだから、楽といえば楽なのであろうな。

さて、ブログ開設一周年を迎えて、といっても一年と一か月あまりが経過してしまったわけであるが、そもそもどうしてブログに手を染めたのかというと、理由のひとつとして、もしかしたらサイトのほうは閉鎖することになるのかな、サイトからブログに移行することになるのかな、というあいまいな予測があったからである。あったというか、いまもある。

当方のウェブサイト名張人外境は、平成11・1999年10月21日、江戸川乱歩の誕生日を期して開設した。開設にいたる簡単な経緯は、10月24日付エントリに記した。

10月24日:市教委を蹴散らす二蹴り目

サイトのメインコンテンツは、名張市立図書館が発行した『乱歩文献データブック』『江戸川乱歩執筆年譜』『江戸川乱歩著書目録』という三冊のリファレンスブックである。本来であれば、これらのデータは、乱歩の作品と著書にかんする高度な検索機能をプログラミングしたうえで、名張市立図書館のサイトに掲載されていなければならないのだが、名張市は財政難だからそれができない、ということになっている。リファレンスブックの内容以外に、乱歩にかんする情報も掲載している。最近は更新もとどこおりがちなのだが、いちおうはこんな感じである。

名張人外境:トップページ

しかし、いつまでも名張市立図書館の著作権を侵害しているわけにもまいらぬであろう。当方、名張地区ぬすっと推進協議会ではないのである。だからサイトを閉鎖して、というか、少なくとも江戸川乱歩リファレンスブックのデータは、いずれ削除してしまわなければなるまい。データそのものはたいへん充実していて、全国に存在する乱歩ファンなどにはおおいに重宝していただいているはずである。その意味では乱歩ファンの共有財産になっているといっても過言ではないのだが、しょせんは個人サイトである。当方が死んだら消滅してしまうものである。しかも当方、澁澤龍彦が死んだ齢まであと四年である。そんな人間が、名張市が面倒をみるべきデータをいつまでも個人として抱えこんでいるのも、なんだかばかみたいな話であると思われる。

とはいえ、もう少しなんとかならんものか、とも思われたので、人のふんどしで相撲がとれぬものかどうか、ちょっと考えてみた。書店はどうか、と思いついた。地元大型書店のサイトに、乱歩の作品と著書のデータを掲載して、高度な検索が可能なようにプログラミングする。江戸川乱歩リファレンスブックのデータを流用するわけではまったくないから、名張市立図書館の著作権を侵害することにはならない。ほかに、乱歩にかんする新刊などの情報を掲載してゆけば、それだけで有用なコンテンツになるのだし、乱歩が生まれたまちの書店が乱歩の本にかんする情報を発信する、というのはなかなか面白い話でもある。

ただし、無理な話でもあるはずである。当節、書店経営などというのは綱渡りのようなものである。そもそも、出版業界が悲鳴をあげている。新刊点数と書店の床面積は増えつづけているのに、書籍や雑誌の売りあげは相当な勢いで減りつづけている、というのが、本と書店をめぐる現状である。大都市に乱立する大型書店の一店が、ある日突然、閉店になってもふしぎでもなんでもない状況である。名張市だって事情は同様であろう。虫のいい申し出など容れられるわけがない、とは百も承知でいたのだが、とりあえずあたってみるかと考えて、名張市内の某地元大型書店の社長さんから時間を頂戴した。

社長さんには親身に話をお聞きいただいたのだが、そもそも成立するはずのない申し出である。むろん当方とて、虫がいいことを口走るだけでは申しわけがないゆえ、乱歩にかんするデータ以外に、オフィシャルサイトにたとえばこんなコンテンツを掲載すれば、乱歩ファンはもとより地域の人たちにも親しまれるのではないか、みたいな提案もそこそこしてはみたのだが、もとより直接的な利益に結びつく話ではない。世間話もまじえていろいろ話しているうちに、ひとつ某地元CATV局に話をもっていってみるか、ということになった。その場の話の流れで、そういうことにしていただいた。

ちょっとまずいかな、とは思った。当方、地元CATVには加入していないし、これから加入することもないと思う。そんな人間が、えー、こんちこれまた御社のサイトに乱歩のコンテンツをですね、などと申し出るのはいかにも見当ちがいな話である。とはいえ、CATV局が公共性の高い企業であることはまちがいないのだし、名張市が財政難でできないことをCATVが肩代わりするのは無茶苦茶不自然なことでもないであろう。乱歩の出身地にあるCATVのオフィシャルサイトに乱歩にかんするコンテンツがあるというのは、よく考えてみたら面白い話かもしれないなとも思われたので、某地元CATV局の会長さんと社長さんに、別々の日にお会いいただいた。

しかしこれは、もちろんそうなるしかないことではあったのだが、話がまったくかみ合わなかった。当方の申し出は、ほとんど常軌を逸したものなのであるから、かみ合わなくてあたりまえである。某地元大型書店にも某地元CATV局にも、こちらから無理をいって時間を頂戴したにもかかわらず、たんに迷惑をおかけしただけの結果に終わってしまった。もちろん、それぞれのトップのかたにお会いでき、話を聞いていただけただけでも、当方にとってはじつにありがたいことであった。おかげですっきりした、もうすっぱりあきらめよう、と考えたのがたしか6月下旬、名張市役所で名張ロータリークラブが教育委員会に「少年少女乱歩手帳」を寄贈した日のことであった。その場に顔を出すようロータリークラブから要請されていたのだが、あいにくと某地元CATV局にお邪魔する先約があったのではたせなかった、その日のことであったと記憶する。

そういえば、11月1日から16日まで、名張ロータリークラブ謹製「少年少女乱歩手帳」が福岡進出をはたしている。サイトのほうに記しておいた。

名張人外境:トップページ

お読みいただいたとおりである。情報発信というのは、たぶんこういうことなのである。わずかA3サイズ一枚の「少年少女乱歩手帳」であったとしても、面白くて質の高い情報でさえあれば、それをしっかりと受信し、そのうえで、福岡で開催中の展示会に展示してくださったり、「ハヤカワミステリマガジン」で紹介してくださったり、受信した情報をさらに発信してくれる人はかならず存在するのである。情報というのは、そうやって伝達されてゆくものなのである。

しかるに、名張市における情報発信とは、いったいどんなものなのか。国立劇場のロビーで物産販売をおこなうことなのである。これといった具体的な目的はなにもいままに、ただの思いつきで乱歩都市交流会議とやらをぶちあげることなのである。大丈夫かほんとに。というか、このまま野放しにしといていいのかよ、とさえ思う。
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