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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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プログ開設一周年を迎え、いろいろ回顧しているところであるが、結局のところ、この一年間でもっとも大きなできごとは、といってもむろん個人的なことであり、人からみればごく些細なことにすぎないのだが、それにまた、個人的に大きなことならあっち関係こっち関係、ほかにもないではないのだが、要するにこのブログ的にもっとも大きかったことはといえば、いうまでもなく名張市立図書館とおさらばしたということである。

敵だの味方だの、勝っただの負けただの、そういった単純な二項対立に身を置く気はまるでないのだが、話をわかりやすくするために、あえて敵と味方という対立軸をもちだして話を進めると、市立図書館とおさらばしたということは、いつでも、心おきなく、思う存分、全身全霊で、名張市という自治体を敵にまわすことができるようになった、ということである。

いやいや、早まってはいけない。まだ、敵にまわしたわけではない。まわそうとしているわけでもない。好んでことを構えようとしているわけではまったくない。当方、きわめて温厚な人間である。ああ、ほとけさまのような人だ、といわれることさえないではない。しかし、いくらほとけさまのような人間だって、さすがに腹に据えかねる、ということはある。なにしろほとけさまなのだから、てめーらしまいにゃまとめて張っ倒すぞこら、などとはあんまり思わんのであるが、膝の力が抜け、腰からくずれ落ちてしまいそうになることはある。

まったくまあ、ひどいものであった。よくもここまでつぎつぎと、わずかな期間で、みごとなまでに下手を売りつづけることができたものである。なんのことをいってるのかというと、もちろん江戸川乱歩のことである。毎度おんなじことを書くけれど、ミステリー文庫だの乱歩文学館だのと大風呂敷をひろげておいて、結局は実現できない。せっかく寄贈を受けた桝田医院第二病棟は、とどのつまり殺風景な広場にすることしかできない。乱歩が生まれた新町に公共施設を整備するというのに、それを乱歩に関連づけることすらできない。ほんと、膝の力が抜け、腰からくずれ落ちてしまいそうになってしまった。

しかも当方、みてらんねーなーまったく、と思って、名張まちなか再生プランの素案が発表されて以来、時宜を得たアドバイスというやつを重ねてきたのである。それをウェブサイトで公表もした。だというのに、なにも聞き入れようとせんのだからなあ。どころか、悪いほうへ悪いほうへ進んでいってしまうのだからなあ。面倒みきれねーやばーか、とさじを投げてしまうのも、まったくもって無理からぬ話ではないか。

さらにしつこく記すけれど、名張市は乱歩文学館なんて建設しなくてもいいのである。そんなをものつくらなくたって、市立図書館が収集してきた乱歩関連資料があるのだから、それを活用して、身のたけ身のほどにふさわしいサービスを展開すればいいのである。地道だが必要なことを着実につづけてゆくだけでいいのである。ちゃらちゃらした自己顕示に走らなくたって、それが結局は名張市の名を高めてくれるのである。

といったようなことをだなあ、それはもうだれにだってわかるように身をもって教え諭してやったというのに、名張市教育委員会にはそれがわからんのだからなあ。どころか、なおかつ、あまつさえ、教育委員会から当方、おまえのやったことは無駄である、意味のないことであった、市立図書館はおまえの示した路線を引き継がない、と明言されてしまったのだからなあ。だからといって、張っ倒すぞてめー、などとは思わない。当方、きわめて温厚な人間である。ほとけさまのような人間である。

だから、それならそれでかまわない、と思った。しかし、だとしても、だったら収集資料はどういうふうに活用するのか、集めた資料が有している可能性をどんなぐあいに開花させるのか、それを示してくれと頼んだ。前教育次長に頼んだ。梨のつぶてであった。なんの返答もなかった。しかしまあ、教育委員会からNOといわれてしまった人間が、いつまでも市立図書館に身を置いているべきではないであろう、と、ほとけさまのような人間である当方は考えた。

そんなこんなで、身を引いた。ことしの3月末をもって、名張市立図書館から身を引いた。以前からこのブログに記していたとおり、ひとりの市民として、名張市公式サイト「市長への手紙」を手がかりに、名張市は乱歩をどうする気? というテーマを追い求めることにした。で、じつにちんたらしていたのであるが、ようやく先日、市長、教育長、前教育次長との面談を要望するまでにいたった。しかし、実際には、おさんかたのうちお出ましいただいたのは教育長おひとりであった。いつまでも逃げてんじゃねーぞひょうろくだま、などとは思わない。当方、きわめて温厚な人間である。ひきつづいて市長との面談を要望してある次第であるが、名張市の広報対話室からいまだに連絡を頂戴できぬのはどういうことか。どういう料簡だいったい。

いやいや、早まってはいけない。市立図書館とおさらばしたからといって、ただちに名張市を敵にまわしたということになるわけではない。ひとりの市民として、名張市は乱歩をどうする気? ということを確認し、提案できることは提案したいと考えているだけである。だから、これも以前からいってるとおり、仁義なき戦いなんかではまったくない。むろん、いまのところは、という話なのであるが。


「仁義なき戦い」は深作欣二と笠原和夫の作品である、というのが当方の認識なので、第五作「完結篇」は「仁義なき戦い」ではないということになってしまうのだが、一般的にはこれも当然「仁義なき戦い」シリーズの一作である。

YouTubeを検索すると、第一作のこんなバージョンも掲載されていた。


みてみると、坂井鉄也が広能昌三にこんなことをいっている。

「昌三、こんなの考えてるこたあ理想よ」

思いがけず、不覚にも、理想ということばに感動をおぼえてしまった。なぜか。もしかしたら、おとといの夜、テレビニュースでみたオバマ次期アメリカ大統領の勝利演説のせいなのではないか。シカゴの公園に集まった二十万人を前におこなわれたあの演説は、むろん断片的な映像であったし、テロップで訳が流されはしたものの、英語なんだからちんぷんかんぷんではあったのだが、それでも、オバマ次期大統領の弁論術が聞きしにまさるたくみなものであることは理解できたし、そのスピーチがその場にいあわせた人の心に届き、人の心に響いているらしいことも感じられた。

検索してみると、gooニュースに演説全文の翻訳が掲載されていた。

gooニュース:「アメリカに変化がやってきた」 オバマ次期米大統領の勝利演説・全文翻訳 <特集・米大統領選>

みごとなスピーチだと思う。腕利きのスピーチライターがついているのであろう。たとえばYouとWeのつかいわけがうまいし、最後に百六歳の女性の話題をもってくるところなど、心憎いとしかいいようがない。それを、けっして激することなく語りかけるオバマ次期大統領の弁舌も、やはりみごとなものであったとあらためて思う。

そのニュース映像をみながら感じたのは、少なくともこの演説の場には、理想ということばが、あるいは、夢と希望ということばが、しっかりしたリアリティを帯びて存在している、ということであった。その場かぎりの野外劇のように、幕が降りてしまえばたちどころに雲散霧消してしまうものであるにしても、いまこの場では、理想、夢、希望、そういったことばが実体のあるものとして躍動していると感じられた。

ひるがえってわが国には、などというのも野暮だけれど、理想ということば、夢と希望ということばが、たとえその場かぎりのものであるにせよ、確実な手ごたえを帯びて語られる場がどこかにあるのか。どこにもないような気がする。「Yes, We can」ということばが、だれかから発せられることがあるのか。この日本という国では、「No, You can not」といってやりたくなるようなやつばかりが幅を利かせているのではないか。

そんなことをぼんやり考えていたところ、思いがけず、坂井鉄也の「昌三、こんなの考えてるこたあ理想よ」というせりふにぶつかった。それで、理想ということばに、と胸を突かれたような思いがしたのではないか。終戦直後の広島のやくざがふつうに口にしていた理想ということばは、われわれからいかに遠いものになってしまったのか。高度成長期に一世を風靡し、不遇な晩年を送って死去した東京ぼん太の「夢もチボーもないね」という決めぜりふ、それがギャグではなくなってしまったのがいまの日本社会ではないのか。ま、いろいろあらーな、とかいってる場合じゃないぞほんとに。

次期アメリカ大統領の話題から、次期名張市長の話題にスライドする。8月5日、2ちゃんねる名張市政スレにこんなレスが投じられた。

三重県名張市の市政について語りませんか?:531 :名無しさん@お腹いっぱい。:2008/08/05(火) 17:08:31 ID:2PqEI141

「関西地区帝大教授の人間が市長選に出る」という話である。話というか、与太である。もっとも、この話なら、当方だって知らないわけではなかった。ただし、この情報がどんな経路で伝わっていったのか、それがわからなかった。後続のレスもふくめ、情報に誤りが多いことも気にかかっていたのだが、そのうち話題にのぼらなくなったから、沙汰やみになったものと思っていた。

ところが、きのうの夜、ある知人から電話がかかってきて、おたがいに酔っ払っていたから他愛もないことを話しこんでいたところ、むこうから次期市長候補の話が出た。むろん、2ちゃんねるで「関西地区帝大教授の人間が市長選に出る」とうわさされた人物のことである。じつをいうと「関西地区帝大教授」というのは誤りで、とはいえ、関西地区にある大学の教授であることにはまちがいがないのだが、いろいろ話を聞いてみて、ようやく、この話が2ちゃんねる名張市政スレまで伝達された経路を推測することができた。この推測、たぶん当たりである。この推測に立てば、誤情報が多かったことも納得できる。

で、電話をかけてきた知人によれば、その電話というのは大阪からかかってきたのであるが、話はまだ生きていたらしい。当人はともかく、知人はそこそこ乗り気になっているようである。やめとけやめとけ、というのが当方の主張である。電話でも、そう伝えておいた。当方、その人物を支援する気は、いまのところゼロである。しかし知人は、おまえのブログで市長選挙へむけた布石を打ってくれ、と懇願する。当方、もしもその人物を支援する気になったとしたら、だれに頼まれなくたって布石の百や二百や三百、いくらだって打ってやるのだが、いまはその気になれない。とかいいながら、あんまり愛想のないこともできないから、ここにこうして記しておくことにした。これでその知人から、酒の一杯もおごってもらえるはずである。

話が横道にそれてしまったが、とにかく早まってはいけない。当方、名張市を敵にまわしているわけではない。敵にまわしたいと思っているわけでもない。市長選挙のことなんかより、まずは乱歩のことである。市立図書館から身を引いたとはいえ、名張市には乱歩のことをしっかりやってもらいたい、という願いには変わりがない。心ならずも敵にまわることになるのか、不本意ながら仁義なき戦いの火蓋を切らざるをえないのか、そのあたり、結局は、市長との面談の結果次第ということになるしかないであろうな、と、ほとけさまのような人間である当方はそのように考えている次第である。
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人智を超えた戦いと放置プレーなどについてひとこと
 ●臼田惣介様
 ご投稿ありがとうございます。
 乱歩歌舞伎を関西で上演するという話は、いまのところ聞きおよんでおりません。たぶん、ないのではないでしょうか。国立劇場での公演も、いまからではチケットの入手が困難とのことでしたから、関西地区の乱歩ファンには残念な結果になってしまうかもしれません。
 「人智を超えた戦い」は望むところで、いつでも開始できる用意はあるのですが、いくら人間豹の名乗りをあげても、なさけないことにみなさんこそこそするばかり、あほらしくなって放置ブレーを決め込んでいるところです。ま、いつまでもこうしてはいられないと思いますけど。
 芦辺拓さんの講演会の件、承知いたしました。なぞがたりなばり講演会は例年、10月の開催だったのですが、去年と今年は一か月遅れの11月、つまり神戸の横溝正史イベントとニアミスしてしまって、日程的にかなりタイトなことになり、どうも困ったものです。
 しかし、われらが名張市はそろそろ財政的にあぼーんということになりそうな雲行きで、恒例のなぞがたりなばり講演会も今年度が最後、ということになってしまう可能性もゼロではありません。そうなったらまあ、11月は正史イベント一本にしぼれますから、楽といえば楽になるわけですが。
 ともあれ、神戸でお目にかかるのを楽しみにしております。
 今後ともよろしくお願いいたします。
人間豹 URL 2008/11/18(Tue)08:23:15 編集
無題
◆人間豹様
いつもに増して充実した東京行脚、お疲れ様でした。乱歩歌舞伎、歌舞伎ファンの女房には勧めておきましたが、関西でもやるのでしょうか。海老蔵は東京まで追っかけても、幸四郎・染五郎はないと思うのですが。
ブログの件、了解しました。幾らなんでも面と向かってあそこまでは言わんわなあ、と思いながら、これはもう人智を超えた戦いかもなんて考えたりして。体調も悪かったりで、ご面倒お掛けしました。
22日はちょっと無理のようです。芦部さんなので何とか行ければ、と考えているのですが、仕事・病院いろいろ重なっていて難しい。すみませんが、出来れば申し訳ない、よろしくとお伝え下さい。
24日は横井氏来神とのことでもあり、万難を排して参加する予定です。お酒ご一緒出来る機会を楽しみにしています。では、また。
臼田惣介 2008/11/18(Tue)01:11:55 編集
遅くなりましたがお尋ねの件などについてひとこと
 ●臼田惣介様
 ご投稿ありがとうございます。
 ちょっと上京し、昨日へろへろになって帰宅いたしましたので、ご挨拶申しあげるのが遅くなってしまいました。お風邪のぐあいはいかがでしょうか。私はあいかわらず酒と煙草でふらふらです。
 東京では、国立劇場で上演中の乱歩歌舞伎を観たり、青山にある日本推理作家協会の書記局で開かれた土曜サロンという催しでしゃべったり、毎度おなじみ池袋の蔵之助で大宴会を開いてもらったり、なんやかんやいたしました。
 乱歩歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)」は「人間豹」が原作なのですが、岩豪友樹子さんの脚本がとてもよくできていて、期待をうわまわる面白さでした。時代は幕末、団子坂に住まいする明智小五郎という名の隠密廻り同心を松本幸四郎さんが演じていて、これが中村吉右衛門さん扮する火付盗賊改方長官の長谷川平蔵にみえてしかたありませんでしたけれど、意外なところで「孤島の鬼」のモチーフが出てきたり、半人半獣の悲哀が描かれていたり、むろん市川染五郎さんの宙乗りも迫力満点、乱歩ファンなら必見の舞台だと思います。
 土曜サロンでは「江戸川乱歩と津藩藤堂家」という、およそ乱歩ファンの興味関心を惹きそうにないローカルなテーマでしゃべったのですが、できとしてはまあそこそこではなかったか、と申しますか、いっぱいいっぱいのできであったというべきか。ともあれ、しゃべり終えたあとには拍手も頂戴いたしまして、すぐ横におすわりだった協会理事のかたから、土曜サロンで拍手が起きるなんてめったにないことですよ、と言葉をかけていただき、ちょっと安心いたしました。この「江戸川乱歩と津藩藤堂家」というネタは、むしろ三重県ローカルでしゃべるべきものですから、伊賀上野のお城あたりで講演できないものかと考えております。
 さて、お尋ねの件ですが、名張市教育委員会には、面と向かって私を批判するような勇気はありません。ただし、うっかり口を滑らせる、ということはあって、ところが、その発言にかんしてこちらが質問すると、なにも答えない、答えようとしない。こそこそこそこそ、逃げまわってばかりいる。ですから、こちらとしては、むこうがうっかり口を滑らせたことにもとづいて判断するしかなく、結論としては、おまえのやったことは無駄である、意味のないことであった、市立図書館はおまえの示した路線を引き継がない、と明言されてしまったということになってしまいます。お役人というのはずいぶん困った存在で、まっとうな価値判断というものがまったくできません。判断のための知識も見識も身につけておらず、ただただ責任を回避しつづけるだけの存在ですから、まともに相手にするのがあほらしくなってきます。
 ところで、11月22日の土曜日、当地で催される芦辺拓さんの講演会には、お運びをいただけるのでしょうか。24日には神戸の横溝正史イベントが控えておりますから、日程的にきついかとも拝察いたしますが、おいでいただければ嬉しく思います。
 ここで正史イベントの告知を少々。

■横溝正史生誕地碑建立四周年記念イベント■
日時:11月24日(月曜・祝日)午後2時から
場所:東川崎地域福祉センター
   〒650-0044 神戸市中央区東川崎町5-1-1
   TEL 078-652-3866
講師:横井司さん(探偵小説研究家)
演題:横溝正史の探偵小説論(仮題)
主催:東川崎ふれあいのまちづくり協議会、神戸探偵小説愛好會
会場の地図:http://www.city.kobe.jp/cityoffice/83/annai/higashikawasaki.htm

 私はこの横溝イベント、お邪魔することにしておりますので、22日の名張が無理でも、24日には神戸でお酒をごいっしょできるものと思っております。
 今後ともよろしくお願いいたします。
人間豹 URL 2008/11/17(Mon)18:22:58 編集
正気の沙汰か?
ご無沙汰しています。
例年、この時期は仕事に追われてバタバタしているのですが、おまけに今年は風邪のせいで煙草も酒も美味しく嗜めず、それでも煙草も酒もやめられないイライラもあってネットどころではありませんでした。
それでも「このミス」等へのアンケートも一段落、風邪も漸く落ち着いてきたのでちょっとどんな様子かなと覗いてみたらこれは一体何ですか!
「教育委員会から当方、おまえのやったことは無駄である、意味のないことであった、」と言うのは!
全国、いや世界中の乱歩ファンは言うに及ばず、ミステリ・ファンさえ誹謗中傷、どころではない馬鹿にして、足蹴にしている、ということを分かって発言しているのか?
まさに正気の沙汰とは思えない!
こんな発言は絶対に許されるべきではないと心から思います。
ちょっと遅く成りましたが、一言。
クッソー、むかつくなあ。
臼田惣介 2008/11/15(Sat)02:04:57 編集
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