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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 眼が血走ってしまう犬っころの命日
 
 いやー、命日だわ。犬の命日。前に飼ってた犬っころが三年前、平成19・2007年の5月21日未明に永眠した。その前の犬の命日は5月25日と来ているから、中井英夫の「五月は喪服の季」というフレーズがしみじみ実感されたりもするなあ。そういえば、犬が死んだとき、うちの庭には必ずマーガレットが白く咲き誇っておったっけ。
 
 とか感慨にふけりつつ、さーあ、どうよ、っつーことなわけな。名張まちなか再生委員会にかんする話題はまた、なんらかの動きが出てきたときにお知らせする。しかし関係各位、案ずることはないと思うぞ。まちなか運営協議会の問題と、指定管理者制度の問題。旧細川邸やなせ宿にまつわるこのふたつの問題は、いやいや、やなせ宿にかんしてはほかにもいろいろあるわけだが、少なくともこのふたつの問題は、名張まちなか再生委員会と直接的なかかわりを有している。再生委員会がもしも活動を再開するのであれば、とても等閑視することはできない。委員会の責任において決着をつけるべき問題なのである、とおれには思われる次第であるが、なんつったっておれはもう、まちなかよさようなら、さらば再生委員会、なわけなんだから、この問題のことを申し伝えてはおくけれど、おれのいない再生委員会がふたつの問題に正対するのかどうか、それはわからない。それにまあ、再生委員会のメンバーではなくなったとしても、その気になりさえすれば、ひとりの市民としてこの問題を追及することはいくらだって可能であろう。しかし、現段階ではそんなことする気はさらさらないんだから、どちらも心配はご無用である。
 
 さて、さーあ、どうよ、というのは、むろん乱歩のことである。名張市立図書館は収集資料の活用なんてまったく考えてなかったから、そんなことじゃだめじゃん、っつーことになって、とりあえず目録三冊をつくったわけ。いずれもはなはだ好評で、去年の秋、神奈川近代文学館で開かれた「大乱歩展」でお会いした文学館の学芸員のかたからは、あの目録が手放せませんでした、とのおことばも頂戴した。むろんお世辞も入っているのであろうが、かなりお役に立てたはずではある。なんでかっていうと、お役所の刊行物にしては珍しく、利用者の立場に立ってつくってあるからである。でもって、三冊目の目録は、日本推理作家協会賞はどうも無理みたいだなと思われたから、玄人筋向けのゲスナー賞ねらいで行ったわけ。確実に受賞できるものと思っておったところ、これがまたしてもあてはずれ、金賞銀賞は獲得できず、入選にとどまってしまった。いやまあ、入選だってとても名誉なことなのであるが。
 
雄松堂書店:ゲスナー賞 > 第4回受賞作品
 
 名張市立図書館の『江戸川乱歩著書目録』は目録・索引部門にエントリーされたんだけど、この部門で銀賞になった南方熊楠顕彰会の『南方熊楠邸蔵書目録』と『南方熊楠邸資料目録』というのはすごいものであった。出たときに思いがけず寄贈していただいたから、どんな目録なんだかはよく知っておったのであるが、それとおんなじ土俵に立つことになろうとはうかつにも気がつかなんだなあ、みたいなことはいいとして、目録を編んだ南方熊楠資料研究会のサイトがこれ。
 
南方熊楠資料研究会:トップページ
 
 会の活動は終了している。「南方熊楠資料研究会の終了について」から引用。
 
 私ども南方熊楠資料研究会は、南方文枝さんおよび田辺市・南方熊楠邸保存顕彰会からの委嘱を受けて、十年以上にわたって南方邸資料の調査と目録作成を行って来ました。その成果は、『南方熊楠邸蔵書目録』『南方熊楠邸資料目録』として、それぞれ平成16年夏と平成17年春に刊行されました。
 
 南方熊楠の遺した蔵書・資料は平成12年に、唯一の遺族だった文枝さんより田辺市に遺贈され、田辺市は現在、これら南方邸資料を管理する顕彰・普及・研究施設となる「南方熊楠顕彰館(英語名:ミナカタ・クマグス・アーカイブズ)」の設立準備を進めています。同館の発足を一年後に控えて、邸蔵書及び資料目録の編纂という目標を完了した当南方熊楠資料研究会は、ウェブ管理・移管などの残務処理部門を残して、今春をもって組織としての活動を終了することになりました。
 
 今後は、両『目録』とその基礎資料を基とする南方邸資料の研究が、熊楠顕彰事業の一環として、田辺市及び南方熊楠顕彰館によって進められます。私ども南方熊楠資料研究会のメンバーも、今後の邸資料の研究・調査に、それぞれの形で引き続き参加することになります。その内容・成果のご報告は、ウェブ上にて新しい形で行えるかと思います。今後とも、私どもの活動に、ご支援をいただけますよう、お願い申し上げます。(2005. 4. 1 南方熊楠資料研究会幹事)
 
 いまさらいってもしかたないけど、これがまっとうな手順というやつである。熊楠の蔵書や資料が、遺族から地元自治体に寄贈された。それを受けて調査が進められ、その成果が目録として刊行されるいっぽうで、南方熊楠顕彰館の設立準備が進められた。これがごく一般的なブロセスなわけな。で、顕彰館は四年前にオープンした。
 
南方熊楠顕彰館:トップページ
 
 ところが、ここ名張市においては、これがあたりまえのことではないのである。なんかもういきなり、名張まちなか再生プランなんてものが発表されてしまい、旧細川邸は歴史資料館にいたします、なんてことになってしまうのである。あとさきのことはなにも考えず、ただの思いつきでこういうことになってしまうのである。あほなのである、という以上に、すでにして正気の沙汰ではないぞこんなの。とはいえ、いまさらそんなこといってみたってしかたがない。だから、無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館のことはどうだっていいとして、とにかく、そもそも資料ってのはそういうものなわけな。
 
 寄贈されたものであれ、購入したものであれ、なんらかの価値が認められる資料を所蔵しているのであれば、それをいかに活用するかを考えるのはあたりまえのことである。あたりまえというよりもな、市民の税金で資料を購入したんだったら、そこまで考えるのは当然の責務である。それを考えないというのであれば、そんなものはこら、市民にたいする違背行為である。で、そうした資料を活用するための施設が必要だというのであれば、市民の納得を得たうえでつくりゃいいわけよ。ところが、ここ名張市においては、そんなことはまったくない。乱歩文学館だの乱歩記念館だの、そんな話がいきなり降ってくるのである。あとさきのことはなにも考えず、ただの思いつきでこういうことになってしまうのである。あほなのである、という以上に、すでにして正気の沙汰ではないぞこんなの。ほんと、名張市ってのはどうしてここまで無茶苦茶なんだろうな。思いつきだけなんだろうな。南方熊楠顕彰館がある田辺市とは、人口でいえばほぼ同レベルだというのに、名張市ってのはどうして、おんなじような規模の自治体がやってるようなことがまったくできず、市民が恥ずかしくなるほどの軽薄さでうわっつらのことだけにかまけてしまい、ここまで常軌を逸してしまうのであろうな。
 
 さて、目録三冊ができあがって、さーあ、どうよ、と当時の教育長にお訊きしたわけ。このかたはおれがお仕えしたふたりめの教育長でいらっしゃって、前任者のかたとは異なり、れっきとした教育やくざ三教組ご出身のかたであったが、そんなことはともかく、ここであらためて確認しておくならば、目録をつくったってことは、資料収集の方針も、資料活用の方向性も、どっちも明確に存在しているということである。目録の存在そのものが、そういった方針や方向性をはっきりと示しているのである。目録を手にとって解題や本文を読んでみれば、そんなことはもう一目瞭然なわけよ。で、とりあえずここまで来たけど、このあとはどうよ、とお訊きしてみたところ、教育長からは、またあらためてみんなで話し合いましょう、とのおことばをいただいた。当然のことながら、そんな話し合いの場はいっさい設けられなかった。お役所のみなさんの感覚では、適当なこと並べてその場しのぎをかましてりゃそれでいい、ということなのであろうけれども、ほんとにもう勘弁してくれんか。
 
 それでまあ、その後もいろいろあって、何があったのかを記そうかとも思うのであるが、現段階ではすっ飛ばしておく。そんなことには絶対ならないはずなのだが、万が一、それはもうほんとにありえないことといっていいんだけど、万一テロになったときのためのネタとして温存しておきたいエピソードもないわけではないから、ここには書かないということにして、それでおれは、だめだこりゃ、と思ったわけ。ほんとにもう、だめだこりゃ、というしかないわけ。だから、名張市立図書館とおさらばして、そのうえでなんとかせにゃならんな、ということにしたのであるが、それからまた温存ネタがあれこれとあって、しかも、いっぽうでは名張まちなか再生委員会が無茶苦茶な状態になっておったわけな。なんかもうほんと、わけがわかんないくらい無茶苦茶であったのだが、ある日、名張市公式サイト「市長への手紙」を利用して、こんなことにしてみた。
 
ご回答ありがとうございました。やなせ宿にかんするお尋ねはひとまずここまでとし、新しい質問を提出いたします。つぎの一点です。
 
・名張市立図書館が所蔵する江戸川乱歩関連資料を活用するための具体的な方針はあるか。
 
念のために申し添えますと、展示用資料のことをお尋ねしているわけではありません。市立図書館が開館準備の段階から収集してきた図書や雑誌などの資料のことです。この点につきましては、昨年の2月から3月にかけて、名張市教育委員会の当時の教育次長にお訊きしたのですが、お答えはいただけませんでした。その後、公文書公開請求によって確認したところでも、乱歩関連資料の活用にかんする公文書は存在していないとのことでしたので、具体的な方針はまとめられていないものと推測される次第ですが、念のためにお尋ねいたします。
 
ご多用中恐縮ですが、よろしくご回答たまわりますようお願いいたします。
 
2008/09/28
 
 
 で、その回答が、例のこれだったわけ。
 
中 相作 さま
 
このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。
 
名張市立図書館が所蔵する江戸川乱歩関連資料を活用するための具体的な方針につきましては、現在のところございませんが、今後、図書館活動の一環として、江戸川乱歩に関連する図書や雑誌などの資料を、収集・保存に努めてまいりたいと考えています。
 
今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。
 
平成20年10月 9日
 
 名張市長 亀井利克
 
 そこで、こういうことにした。
 
ご回答ありがとうございました。せっかくの仰せですから、おことばに甘えて、「貴重なご意見・ご提案」を具申したいと思います。つきましては、そのための面談の場を設けていただきたく、ご手配をお願いいたします。面談の場には、貴職のほか、教育長と前教育次長にもご臨席たまわりますよう、勝手ながら願いあげます。面談の日時と場所のご連絡をお待ちしております。ご多用中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 
2008/10/10
 
 したら、こんなことになった。
 
中 相作 さま
 
このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。
 
ご要望の面談の件につきまして、次のとおり予定させていただきます。
なお、今回は教育委員会として、ご意見・ご提案を承らせていただきますので、ご了承ください。
 
【日 時】:10月29日(水) 午前11時
【場 所】:名張市役所 3階 教育委員会室
 
ご都合が悪い場合には、ご連絡をお願い致します。
連絡先:63−7402 広報対話室 大西
 
今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。
 
平成20年10月20日
 
 名張市長 亀井利克
 
 なんかもう、あらためて読み返すだけで自分の眼が悪鬼のごとく血走ってくるのがよくわかるのであるが、ここは隠忍自重しておくべきであろう。なにしろ犬っころの命日である。静かに菩提を弔ってやらねばな。
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