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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 乱歩関連事業は武士のなさけで先送り
 
 前回までで、名張市における乱歩記念館構想にひとまずとどめを刺すことができたように思う。ひとたびうやむやになってもまた思い出したように浮上してくる。それが名張市の乱歩記念館構想だったのであるが、ほんとにもう、ここらでおしまいにしておこうな。
 
 だいたいがいまのご時世では、たとえ十年以上かけて準備しても、できないものはできない。
 
 
 十年運営をつづけても、閉鎖されるものは閉鎖される。
 
 
 そういえば、アビーロードスタジオがこんなことになるご時世でもある。
 
 
 むろんご時世にはかかわりなく、大枚はたいてハコモノをつくるのであれば、そんなものがほんとに必要なのかということも含め、めいっぱい考えることが要請されるわけなのである。まして、どっかの片田舎が地域ゆかりのなんとか館をつくってみても、運営がままならなくて苦労するだけだということは目にみえている。
 
 
 さて、乱歩記念館構想のてんやわんやを概観したあとは、名張市における乱歩関連事業を瞥見するつもりでいた。当然の流れである。しかし、よく考えてみたら、いまはちょっとぐあいがわるい。なぜかというと、名張市が天下に誇る乱歩関連事業、ミステリ講演会「なぞがたりなばり」が3月21日に迫っているからである。この事業を俎上に載せるのは、ことしの講演会が終わってからにすべきであろう。武士のなさけというやつである。といったって、べつに頭ごなしに否定してやろうというのではない。事業に携わってきた関係各位の労を多とするにやぶさかではない。しかし、ミステリ講演会もことしがもう十九回目なんだから、いろいろ考えなければならないことがあるんじゃねーの? ということである。
 
 いまや、成長ということばが確乎たる実体を有していた時代は遠く去っている。成長の時代のあと、一時期は持続ということばがひろく喧伝された。持続可能ななんとかかんとか、みたいなことばは名張市においてもよく耳にした。しかし、そんなことばさえすでに虚妄である。時代のトレンドは、トレンドというのも時代遅れなことばであるが、いまや縮小である。いかにうまく縮小できるか。あえていえば、いかにうまく衰退できるか。そういうことに知恵をしぼらなければならん時代が、国のレベルにおいても、地方自治体のレベルにおいても、明らかに到来しているとみるべきであろう。
 
 だからこれもまた、乱歩のことにかぎった話ではない、ということになってしまう。乱歩関連事業について考えるというのは、ごくあたりまえの話ではあるが、名張市の現状を的確にみきわめながら、名張市の将来を適切に予測しながら、つまりは名張市全体のことを考えながら乱歩関連事業について考える、ということになるのである。そうでなければおかしいのである。名張市は乱歩をどうすればいいのかということを考えるエントリ「乱歩のことを考える」の第三回は、そんなあたりまえのことを指摘してお開きとする。
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