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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 おっせーなー。まーだ届かねーじゃねーか。名張まちなか再生委員会事務局からの通知も届かなければ、「市長への手紙」の返信もまだである。とくに今回の「市長への手紙」、勝手ながら期限のある話なので、ちょいと急いでいただきたいものである。
 
 それにしても、名張市役所の中の人も、大変だといえば大変だよな。今回の「市長への手紙」の担当がどなたになったのかはわからんが、とにかくもう、大変だよな。だから、ちょっとアドバイスしてさしあげる。
 
 おれのおねだりは、煎餅を買って東京まで送ってくれんかね、というものである。で、名張市役所の中の人は、イエスかノーか、結論を出さなければならない。断をくださなければならない。つまり、煎餅を買って東京まで送ることが、税金の使途として適切かどうか、税金の無駄づかいにならないかどうか、それを考えなければならない。これは難しい。なぜかというと、名張市役所の中の人は、ものごとを判断するにあたって、これは税金の使途として適切なのかな、それとも無駄づかいなのかな、などということをまったく考えないからである。名張市役所の中の人のおつむには、残念ながら、そんな判断基準は存在していない。考えたこともないことを考える。これは難しいことである。それにそもそも、世間には口のわるいのがいっぱいいて、名張市役所の中の人のことを、歩く税金の無駄づかい、などと呼んでいる連中もあるほどだから、存在そのものが税金の無駄づかいであると揶揄されている人たちには、税金の無駄づかいというのが実際にどういうことなんだか、それすら理解できんのではないか、とも思う。
 
 おれのおねだりにたいしては、名張市民の多くから、煎餅くらいてめーで買ってけよばーか、とのお叱りが寄せられるはずである。しかし、おれは、シティセールスという問題をもちだしている。おれが買った煎餅をトーク&ディスカッションの受講者に配っても、それはあくまでもおれという個人と受講者との関係性の問題にとどまってしまう。ところが、その煎餅が名張市民の血税で購入されたものであり、市長メッセージまで付されており、おまけとして名張市の観光パンフレットなんかも添えられている、なんてことになると、受講者と名張市のあいだに関係性の糸が生じる。はっきりいって、乱歩が名張で生まれた、という事実を知らない乱歩ファンやミステリーファンなんてごろごろしているし、乱歩が名張で生まれた、という事実を知っていて、なおかつ名張市に注目していてくれた乱歩ファンのあいだには、ここ数年のあいだに、え? 名張市ってあれだったの? という評価が急速に定着してしまった。ま、あれなんだからしかたはないが、乱歩が名張で生まれたということを知ってもらい、名張市に親しみをおぼえてもらうということは、乱歩という作家が名張市にとって得がたい地域資源であるという事実に鑑みるならば、必要なことであるとおれは思う。そういう機会のひとつが、いま訪れているのである。
 
 たとえば、こんなふうに考えてみてはいかがか。すなわち、名張市内のアスリートが国体などに出場する場合、市長を表敬訪問するのが通例である。これにかんしては、2ちゃんねる名張市政スレでたまに話題になることもあって、「新聞などでも目にするのはスポーツ表敬訪問のものばかり。/社会生活の根幹を支える文化や教育についても少しは考えて欲しいものです」みたいな意見も寄せられておった。だからまあ、しいていえば、おれは「スポーツ」ではなく「文化や教育」で晴れの舞台に立つのだと考えられないわけでもなく、したがって、表敬訪問して金一封を頂戴するかわりに煎餅を購入していただいてもいいのではないか、みたいに考えることも不可能ではないと思う。それとも不可能かな。ではなくて可能かな。ま、たまにゃ頭をつかってみてくれんかね。
 
 イエスかノーか、いずれの断をくだすにせよ、しっかり頭をつかってよく考えてくれよな。脊髄反射みたいなことばっかやってちゃ、だーめ。イエスと答えたらどんなことになるか、ノーと答えたらどんなことになるか、そういうこともしっかり考えて断をくだそうな。で、それをこちらに伝えてくれるにあたっては、判断の理由とか根拠とか、そういうこともしっかり教えてくれなくちゃ、だーめ。ちゃんと説明ができなきゃ、だーめ。わけのわかんないこといってちゃ、だーめ。なにしろ、たかが煎餅の問題ではあるが、この煎餅は名張市の行政運営能力を問う試金石である、といっても過言ではないのである。ちゃんと考えて、ちゃんと決める。それができるかどうかが問われているのである。
 
 もうひとつ、お教えしておこう。判断するにあたって、どうしても念頭においていただかねばならぬことがある。それは、おれがものすごく怒っている、ということなわけね。どうして怒っているのか、そんなことはいまさら説明する必要もないであろうな名張市役所の中のみなさんや。おれはもうとにかく激怒していて、太宰治生誕百年にちなんでいうならば、
 
 ──メロスは激怒した。
 
 というわけなのである。
 
 ──かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。
 
 というわけなのである。
 
 ──メロスには政治がわからぬ。メロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
 
 というわけなのであって、メロスはテロリズムにめざめてしまったのであるが、おれは全然、そんなことはないんだぞ。だから安心して返答してくれ。ただしまあ、これ以上ぶち切れたらどうなるのか、そのあたりのことは、本人のおれにもよくわからんなあ。結局は、返答次第、ということか。とにかくまあ、心して返答してくれよ。
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