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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 きのうのつづき。盆でもつづける。まちなか再生事業の検証をつづける。しかしまあ、ここまでですでに結論は出てるわけで、諸悪の根源は名張まちなか再生プランであり、そこらのうすらばか寄せ集めてあんなプランつくらせたのが間違いだったのである。以前からいってるとおり、第一歩から間違ってたのである。というより、そもそも、細川邸を適当に改修して特定の地域住民に提供するというのが事業の大前提だったわけだから、第一歩を踏み出す以前から間違ってたっていったほうが正確か。まあとにかく、名張市なんてわけのわかんないことばっかやってるわけなのである。
 
 平成17・2005年8月
 
 ここで訂正。おれはきのうのエントリで、名張まちなか再生委員会の事務局から、歴史拠点整備プロジェクトのためのレクチャーにかんして、
 
 「現段階では乱歩にかんして外部の人間の話を聞く考えはない」
 
 との電話があったのは7月29日のことだと記した。しかし、これはおれの間違いで、じつは8月2日のことであった。7月29日は歴史拠点整備プロジェクトの第二回会合が開かれた日で、この会合においておれの申し入れ、つまりレクチャーのことが話し合われ、
 
 「現段階では乱歩にかんして外部の人間の話を聞く考えはない」
 
 という結論が出された。それが8月2日に伝えられた、という寸法だったのである。しかし、それにしても、ほんと、おれは腰を抜かしそうになったぞ。なにしろ、
 
 「現段階では乱歩にかんして外部の人間の話を聞く考えはない」
 
 なんてこといってくんだからなあ。よほどのばかでも、ここまでばかなことはいえないと思う。名張まちなか再生委員会がここまでばかだとは、さすがのおれも察することができなかった。なーにが「現段階では」だばーか。歴史資料館をどうすっぺや、という検討がはじまった段階だからこそ、そのために必要なことを教えてやろうっつってんじゃねーか。なーにが「外部の人間」だばーか。委員会の内部の人間がうすらばかばかりだから、必要な知識や情報を外部から注入してやろうっつってんじゃねーか。なーにが「話を聞く考えはない」だばーか。ばかが上から目線で偉ッそうなことほざいてんじゃねーぞばーか。しかしまあ「考えはない」というのはまさしくそのとおりで、なんの考えもないままに事態はするする推移して、歴史資料館あらためやなせ宿も、桝田医院第二病棟あらため乱歩生誕地碑広場も、なんかもうとんでもないことになってしまったじゃねーか。「考えはない」なんてこといってないで、少しは考えろよばーか。
 
 少しは考えろよばーか、とかいまごろいってやっても手遅れなのであるが、やなせ宿ならびに乱歩生誕地碑広場の惨状をみるにつけ、おれのパブリックコメントが実現されていたら、展開はまったくちがったものになっていたわけなんだよな、とため息まじりに思わざるをえない。もしも実現されていたら、桝田医院第二病棟の地には乱歩の生家が復元されていたのである。こんな簡単なことが、どうして名張市にはできなかったのか。名張に乱歩の生家が復元されました、なんてことを全国発信できたとしたら、それを受信した人間には、たとえかなりのばかであっても、あ、生家があるというのだから、名張は乱歩の生誕地なんだな、という程度のことは理解できるのである。そのことだけで、名張市のPRにはおおいに役立っていたはずなのである。むろん、乱歩の生家という眼にみえるものが生まれたら、いわゆる観光スポットにだってなっていたのである。
 
 しかも、その乱歩の生家から歩いてすぐのところに、名張市立図書館ミステリ分室ができていたのである。いまの市立図書館は平尾山のてっぺんにあるから、名張のまちの人が歩いていける施設ではない。とくに高齢者と呼ばれる人にとっては、距離があるうえに急な坂道をのぼりおりしなければならないこともあって、身近な施設では全然ない。名張地区に存在しているのに、名張地区住民からは遠い図書館、みたいなことになってしまっている。だから、細川邸を市立図書館の分室にするというだけで、そこには少なからぬ意義が生じてくるわけだし、しかもこれが日本にただひとつしかないミステリ専門の公立図書館、それも古い民家をリフォームした図書館で、それがなんとわが国における探偵小説の父と呼ぶべき江戸川乱歩が生まれた町にあるというのだから、こんな面白い話はないではないか。だいたい名張市ってのは、注目されたいとか、誉められたいとか、そういう傾向の強い自治体なんだから、だったらおれのパブリックコメントを採用することで、おおいに注目されたり誉められたりすることになっていたはずなのだが、残念だったなインチキ自治体。
 
 そういえば、おれのパブリックコメントでは、名張市立図書館ミステリ分室は基本的に新刊を購入せず、全国のミステリファンから蔵書の寄贈を受け付けて書架の充実を図る、みたいなことになっている。おれがパブリックコメントを提出した年の翌年にあたる平成18・2006年、改革自治体として知られる福島県の矢祭町が、というか、現在ただいまは住民基本台帳ネットワークへの参加を拒否しつづけていることで話題になっている矢祭町が、全国から図書の寄贈を募って町立図書館を開設するという試みに着手し、それこそ全国的な注目を集めたものであった。だから、もしも名張市がそれに先がけてミステリ分室構想を進めていたら、改革自治体としてもぐーんと株があがっていたはずだったのだが、残念だったなインチキ自治体。
 
 とにかく、細川邸にかんしては、とりあえず市立図書館のミステリ分室ということにしてしまって、あとはもう好きなようにつかいまわせばよかったのである。おれなんて、パブリックコメントには書かなかったけれど、ミステリ分室の一画で酒を飲ませてもいいな、とかも考えていた。ショットバーRAMPO、なんちゃってさ、立ち飲みしかできないカウンターを設けて、出るのはウイスキーとビールだけ、つまみも落花生だけにして、とかいいだすと公立図書館でアルコールを提供するのはいかがなものか、みたいなこといいだすばかが出てくるのであるが、こんなばかのいうこと聞いてたらなんにもできんぞ実際。先日ご閲覧に供した徳島県の小西昌幸さんから頂戴したメールに、いったいなんと書かれてあったか。
 
   
私の本音は、
誰か(たとえば自治体関係者)の強力なリーダーシップと、
誰か個人のよほど奇抜なアイデアが、
奇跡のように有機的に結びついたとき
はじめて、面白いこと(地域活性化)ができる【かもしれない】、
という考えです。
 
 人が聞いたら耳を疑ってしまうような奇抜なアイデアこそが、地域を活性化する可能性を秘めているのである。四角四面で杓子定規で、手あかのついたことしか考えられないうすらばかを何十人何百人と集めてみたって、なにもはじまりはしないのである。せいぜいが、歴史資料館をつくりましょう、みたいな月並みなことしか考えられなくて、おかげでこのざまじゃねーか。おれが提供した奇抜なアイデアを真剣に検討して、それなりのリーダーシップを発揮できる人間がいさえすればなあ、と悔やまれる次第なのであるが、いやいや、べつに人のせいにするわけではなくて、おれだってその気になればかなりのリーダーシップを発揮することが可能なのであるが、いかんせん権限がない。まるでない。ならば、権限をもっている人間はどうなのかな、とみてみると、リーダーシップなんてどこにもないのである。丸投げシップでこりかたまってやがる。だから結局、どうにもならなかったのである。ほんと、いろいろな意味で残念だったなインチキ自治体。ていうか、百年に一度のチャンスをむざむざピンチに変えてんじゃねーよすっとこどっこい。
 
 いやはや、いくら記しても愚痴でしかない。すべては終わってしまったのである。夢のように過ぎてしまったのである。四年前の3月、おれが提出したパブリックコメントを名張市があっさり蹴ってしまい、おなじ年の8月、おれの申し入れを名張まちなか再生委員会が、
 
 「現段階では乱歩にかんして外部の人間の話を聞く考えはない」
 
 とあっさり蹴ってしまった時点で、すべてはおしまいになっていたのであるが、ここでつらつら考えてみるに、あの四年前の夏には、もしかしたら名張市全体がおかしくなっていたのかもしれないな。軽く発狂していたのかもしれないな。なにしろ、名張市議会議員の先生がた二十人が、暑さのさかりの大阪は道頓堀でこんな狂態を演じてくれたのである。
 
20080313a.jpg
 
 しかしこれは、発狂と呼ぶべきほどのものでもないか。なんつったって名張市議会の先生がたなのだから、単にあほなのである、と考えたほうが自然かもしれない。その点、こっちは発狂といっても支障あるまいと思われるのが、やはり四年前の夏、細川邸の裏に現出されたこんな光景である。
 
20071122a.jpg
 
 なんかもう、いいだけきちがいじみてるよな。この一件にかんしては笑える話が山のようにあるのだが、きょうのところは武士のなさけでスルーしてやることにして、とにかくもう、あの夏、あの四年前の夏、あの夏ですべてがおしまいになってしまったのである。おれとしてはあの時点で、名張市にたいしても、名張まちなか再生委員会にたいしても、ばーか、死ぬまでばかやってろばーか、みたいな感じになってたわけなのである。そうすると、名張まちなか再生委員会がまた、唖然とするほどばかなことをしでかしてくれたものだから、おれはどうにも黙ってらんなくなったのである。
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