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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 つづき。
 
 なんのつづきなんだか、もうひとつよくわかんなくなってる気配もあるけど、とにかくつづきじゃ。
 
 地域資源の最前線、という話題をつづけることにして、前々エントリに引用した平成19・2007年6月定例会一般質問の議事録には、柳生大輔議員のこのようなご発言があった。
 
 「私も、乱歩は全国的にも知れ渡るメジャーの地域資源であると考えます」
 
 勝手に決めつけてしまうようなことを記すけど、名張市議会議員の先生がた二十人、どなたにお訊きしてみても、乱歩は名張市にとって貴重な地域資源である、というお考えをおもちではないかと思われる。
 
 そして、名張市はその地域資源をうまく活用できていない、というご見解もまた、みなさん共通しておもちなのではあるまいか。
 
 しかし、乱歩文学館だの、乱歩記念館だの、そんな施設をつくんないことには地域資源として活用できない、なんてことはまったくない。
 
 施設の問題じゃないわけね。
 
 やる気の問題、知恵の問題、志と情熱の問題、ほかにもいろいろあるけれど、いずれにしたって名張市役所のみなさんにゃ、かけらほども望めないことばっかじゃねーか。
 
 しかしまあ、かけらも望めないという冷厳な事実にはとりあえず眼をつむって先をつづけることにすると、文学館とか記念館とか、ごたいそうなハコモノわざわざおったてなくったって、図書館がちゃんとしたことをやればそれでいいのよね。
 
 ちゃんと考えて、ちゃんと決めて、ちゃんとしたことをふつうにやってけば、それでいいのよね。
 
 文学館だの記念館だの、そんなものつくったら管理運営するだけで結構な予算が必要になるはずだけど、すでにある図書館がその本来の業務の一環として乱歩のことを手がけるだけで、文学館や記念館に勝るとも劣らない活動をつづけることはいくらだって可能であろう。
 
 ていうか、図書館のほうが身軽に動けたり小回りが利いたり、かえって都合がいいかもしれんぞ。
 
 要はやる気であり、知恵であり、志と情熱であり、ありゃりゃ、堂々めぐりになってしもうたがな。
 
 たとえば、先日も紹介した横芝光町立図書館じゃが、ポット出版からおととしの9月に出た雑誌「ず・ぼん」第十五号に、この図書館のスタッフ、坂本成生さんのインタビューが掲載されている。
 
 インタビュアーは沢辺均さん。
 
 ちょっと引用してみる。
 
 文中、「画像」とあるのは、横芝光町立図書館公式サイトのトップページ、掲載情報、新着図書、ブログ、ツイッターといったさまざまなコンテンツのスクリーンショットだとお思いいただきたい。
 
情報はスピードが命だ
 
沢辺 今回、なぜ取材に伺ったかというと、単純なんですけど、毎日書評の情報をアップしてるのがすごいな、と思ったからなんです[画像1、2]。それを知るきっかけになったのはTwitter[画像3]だったんですけど、Twitterも結構早くからやってますよね。「◯◯図書館」と名乗ってTwitterを使っているところは、まだ少ない。
僕も関わっているげんきな図書館というNPOが民間委託を受けている渋谷区立代々木図書館もTwitterをやっているのですが、あれは一応、「図書館ではなく、NPOが発信していますよ」という言い訳がある。細かい話かもしれませんが、たとえばTwitterを始めるにあたって、決済はどうしたんですか?
坂本 Twitterに関しては、決済はやってないんです。なぜかというと、まずホームページを立ち上げる時に、「どういうことをやる」という決済を取ってますよね。その中に、「本に関する情報の提供」が入っているから、ホームページが大元にあって、そこにぶら下がっている形でブログもあるしTwitterもある、という解釈なんです。だから、単独で存在させようとしたら「これを立ち上げます」という決済が必要ですけど、大元のホームページに付帯していると考えれば、それで情報発信をやりますよ、というのは既に公式に宣言してるわけですからね。
沢辺 将来いろんなサービスを始めるというのは、最初にホームページを企画をした段階から自覚していたんですか?
坂本 図書館のホームページに関して、ちょっと更新するのにもいちいち決済が必要だったり、お伺いを立てなきゃいけなかったりする、というのをよく聞いていたんです。でも、それってすごくナンセンスですよね。情報はスピードが命ですから、そんなことをやっている間にタイミングを逃して、情報そのものが死んでしまう。
そういうことがないように、「更新する内容はこういうもので、常識を踏み外さない範囲でやりますよ」というのを最初に織り込みました。だから一回決済を受けてしまえば、そのあと更新する度にいちいち決済する必要はありません。
 
 ま、こんな図書館もあるということじゃが、名張市立図書館には、こんな真似はとてもできない。
 
 インターネットを利用して、それもブログやツイッターまで駆使して、乱歩にかんする情報を発信する、なんてのは、まさしく乱歩という地域資源を活用することにほかならないのじゃが、無理無理、名張市立図書館にはとても無理。
 
 小さな自治体の図書館といえば、このブログにもときどきコメントをお寄せいただいている小西昌幸さんは、この図書館の館長さんである。
 
北島町立図書館 創世ホール:トップページ
 
 ここもいろいろすごい図書館であるが、館長さん手づくりのミニコミを月刊で発行していることでも知られている。
 
北島町立図書館 創世ホール:文化ジャーナル
 
 ごらんのとおり図書館の公式サイトにも掲載されているが、むろん紙に印刷したものも発行されていて、おれも毎号お送りいただいている。
 
 名張市立図書館が『江戸川乱歩著書目録』を発行したときには、おおいにPRしていただいたものであった。
 
北島町立図書館 創世ホール:文化ジャーナル > 2003年12月号
 
 要するにまあ、図書館という場で本分を尽くしさえすれば、文学館や記念館なんて施設がなくたって全然OK、というわけなんだけど、残念なことに名張市立図書館には、それができない。
 
 あるいは、名張市には、というべきか、それができない。
 
 乱歩がらみの会議とやらを思いつきで発足させて、あとはなにもしない。
 
 乱歩がらみのご町内イベントをぶちかましながら、市民から見向きもされない。
 
 そんなばかなことしかできない。
 
 だから、名張市がいいだけばかなのはしかたないとしても、せめて名張市立図書館だけにはしっかりしてもらいたいわけなのよね。
 
 乱歩を地域資源として活用するのであれば、その最前線は乱歩にかんしてオンリーワンの名張市立図書館なんだからね。
 
 しかし、実際には、とても無理なのである。
 
 乱歩関連資料の収集方針を、ちゃんと考え、ちゃんと決めて、それを文章にまとめる、というごくあたりまえのことさえ、とてもできそうにないのじゃ。
 
 どうすっぺや。
 
 アドバイザーとしては頭を抱えてしまうっぺ。
 
 なーにアドバイスしても無駄じゃね? という気がする。
 
 むろん、とりあえず、(いち)から(ご)までのアドバイスを進めていこうかな、というぼんやりした予定はたててあるのだが、以前にも記したとおり、最初のアドバイスでつまずいて、それでおしまい、みたいなことになるしかないのではないか、というのが現時点におけるアドバイザーの実感なわけ。
 
 (いち)乱歩関連資料を収集する、っつーのなら、乱歩関連資料、っつーのはいったいどんなものなのか、どんな資料を集めればいいのか、そのあたり、ちゃんと考えて、ちゃんと決めようね。
 
 (に)収集した資料をどう活用するのか、それを念頭において考えてみると、乱歩関連資料としてなにを集めればいいのかが、よくわかってくるかもしれないね。
 
 (さん)どうして乱歩関連資料を収集しているのか、それをよーく考えてみようね。
 
 (よん)収集資料にもとづいて乱歩作品個々のデータをまとめていく、みたいなことを考えてみてはどうだろう。
 
 (ご)インターネットを活用して、データベースを発信するのはどうだろう。
 
 しかし、ほんとは、ここからはじめなければならないわけよ。
 
 (ぜろ)とりあえず乱歩のことをちっとは知ろうとしてみよっかあ。
 
 で、この(ぜろ)が、まず実現できない。
 
 乱歩作品を読む、ということ、乱歩について知る、ということ、それができない。
 
 のみならず、やる気もなければ、知恵もなければ、志と情熱もなければ、ありゃりゃ、まーた堂々めぐりじゃ。
 
 つづく。
 
 めまいしそうになりながらつづく。
 
 ほんと、これだもんよ。
 
 開館以来四十年にわたって乱歩関連資料を収集し、館内には乱歩コーナーを開設し、乱歩にかんする詳細な目録も三冊刊行しておりますが、名張市立図書館は乱歩のことをよく知りません。
 
 つづく。
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