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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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 つづき。
 
 前エントリからの流れで、きょうも昔を振り返ってみる。
 
 なんでまた、NPOをつくろうか、などと血迷ったようなことを考えたのかというと、サーバーを確保してデータベースを発信する、みたいなことのほかに、だれかに手伝ってもらいたい、というおもわくもあったような気がする。
 
 手伝ってもらいたいことはいろいろあったわけなのだが、名張市立図書館内部の話に限定すると、膨大な量のデータをチェックして記録する、という作業の手伝いが必要であった。
 
 どんなデータか。
 
 ひとつだけ、例をあげておく。
 
 一冊目の目録、つまり『乱歩文献データブック』の予算が獲得できて、調査編纂の作業に入ったとき、名張市役所の記者クラブに依頼して記事を書いてもらった。
 
 名張市立図書館がこんな事業に着手しました、という記事である。
 
 お役所ってのはとかくものごとを隠したがるところで、名張市名物アンダーザテーブル、なんてことばもあるほどだけど、ほんとはまったく逆でなければならんはずである。
 
 市民の税金でなにをするのか、しているのか、みたいなことはあたうかぎりオープンにされるべきなのである、とか考えて、目録づくりがはじまったことを記事にしてもらった。
 
 記事を読んでくれたひとから、こちらの思いもかけないようなリアクションがあるかもしれない、という皮算用もあった。
 
 はたして、もとより伊賀版ないしは三重版の記事ではあったのだが、あとで知ったところでは、記事のコピーが県外の乱歩ファンのあいだでやりとりされて話題になっていたらしい。
 
 そうした反響のひとつが、津市にお住まいの探偵小説ファンのかたから寄せられた。
 
 戦後まもなく創刊された月刊の探偵小説専門誌「宝石」を全冊寄贈しようか、という申し出をいただいたのである。
 
 夢のような話である。
 
 津まで、いただきにあがった。
 
 名張市立図書館はこれまで、乱歩関係の寄贈を少なからず受けていて、きのうのエントリに引用した平成19・2007年6月定例会一般質問の市長答弁にも、
 
 「なお、寄附を受けております推理小説等数千冊、あるいは乱歩の関連資料などの活用につきましても、あわせて検討を進めてまいりたいと思っております」
 
 と述べられていた次第であり、しかし、うそうそ、大うそ、例によって大うそ、実際には活用だの検討だのなんてのはいっさい進められておらんのじゃが、そんなことはともかく、なかでも最大のプレゼントがこの「宝石」であった。
 
 寄贈していただいたかたとは賀状をやりとりする程度のおつきあいをつづけていたのだが、先年、お亡くなりになった。
 
 その「宝石」全冊、『乱歩文献データブック』と『江戸川乱歩執筆年譜』をつくるときにはおおいに役に立ってくれたのだが、その後の作業は手つかずである。
 
 つまり、目録二冊をつくるために必要なデータを拾いあげることまではしたのだが、「宝石」全冊そのもののデータをとることはまったくできていない。
 
 本来であれば、名張市立図書館の公式サイトで全冊のデータを公開する、といった程度のことはできておらねばならんところなのじゃが、公開どころか、「宝石」全冊のデータを拾うことすらできておらんのである。
 
 ご寄贈いただいたかたにたいして、なんとも申しわけないという気がする。
 
 ご寄贈いただいたかたに申しわけがないのは、なにも桝田医院第二病棟にかぎった話ではないのである。
 
 なんか、穴があったら入りたいわよね。
 
 むろん、「宝石」全冊のデータをとる作業はおれが担当しなければならんかったのではあるが、そんなところまで手はまわらない。
 
 なんつったって、おれが嘱託として頂戴していたお手当は月に七万円とか八万円とかだったから、嘱託そのものが片手間のお仕事にならざるをえない。
 
 しかしなあ、ほんと、七万円とか八万円とか、そんな雀の涙であそこまでの仕事をよくやったものだ、とわれながら感心してしまう。
 
 それにまた、あそこまで滅私奉公した人間にたいして、ここまでひどい仕打ちがよくもできたもんだよなあ、などと記すと愚痴っぽくなってしまうから昔を振り返るのはここまでとして、とにかくそんなこんなの状態であったから、手のまわらない作業を手伝ってくれるスタッフも確保できるのではないかしら、とか夢みたいなおもわくもあって、NPOの結成に思いいたったのであった。
 
 要するに、名張市立図書館の内部だけに話をかぎっても、やらなければならない作業は膨大にある、ということである。
 
 ただし、名張市立図書館にはなにをすればいいのかがまったくわかっていないし、かりに「宝石」全冊のデータをとるように、とアドバイスしてみたところで、人がいません、時間がありません、ということで話は終わってしまうはずである。
 
 ──役人はできない理由をすぐにいい
 
 だからまあ、先日も記したとおり、データベース以前の問題として、乱歩関連資料として購入した資料を、きょうお知らせした「宝石」のように寄贈を受けた資料も含めて、すべてリスト化して公開するというごくごく簡単な作業さえ、なんだかとっても無理みたい、というのがアドバイザーの実感なわけなのよね。
 
 ほんと、どうしようもないぞまったく。
 
 ほんと、どうすっぺや。
 
 乱歩というのは名張市にとってまぎれもなく最良の地域資源のひとつであり、名張市立図書館が収集した乱歩関連資料もまた市民の貴重な財産、いやいや、全国の乱歩関係者にとってもかけがえのない共有財産であるというのに、実態はこんなんなんだもんな。
 
 開館以来四十年にわたって乱歩関連資料を収集し、館内には乱歩コーナーを開設し、乱歩にかんする詳細な目録も三冊刊行しておりますが、名張市立図書館は乱歩のことをよく知りません。
 
 ほんと、乱歩にかんして名張市の最前線、いやいや、全国的にみても最前線にいるはずの名張市立図書館が、こんなお恥ずかしいことでどうするよ。
 
 色を変えてやろうか。
 
 開館以来四十年にわたって乱歩関連資料を収集し、館内には乱歩コーナーを開設し、乱歩にかんする詳細な目録も三冊刊行しておりますが、名張市立図書館は乱歩のことをよく知りません。
 
 やよ、はかなげな色じゃなあ。
 
 つづく。
 
 嘆きながらつづく。
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