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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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「中先生のおさなご講座」シリーズは、きのうでおしまいということにした。おさなご相手になーにいってやったって、しょせんむなしいばかりだからである。名張市なんてのはもう、まさしくおさなごさながらに、幼児性や自己中心性という名のむつきにいつまでも包まれておればいいのである。

さて、時代の趨勢というやつには、さからいがたいものがある。公立図書館の運営が民間業者に委託されるのも、まさに時代の趨勢というやつなのである。だから、それはしかたがない。名張市立図書館の業務が図書館流通センターに委託されたのも、まさにさからいがたいことだったのである。名張市公式サイトの「名張市立図書館業務委託事業者の決定について」によれば、民間委託のための事業者選考委員会が二回にわたって審査をおこなったというが、名乗りをあげたのは図書館流通センターただ一社だったのだから、出来試合と呼ぶしかない選考である。選考委員にどうして松阪市にある本居宣長記念館の関係者が加わっているのか、その点も不可解といえば不可解であるが、そんなこともまあいい。選考委員のコメントも、まあいい。というか、どうだっていい。

「図書館流通センターは、研修制度が充実しており安定的な人材の確保ができている。スタッフの定着率が高い点も評価できる。図書館業務のノウハウの蓄積もあり、会社としてスタッフを育てる環境が整備されている。提出された事業計画書やプレゼンテーションからもこれらのことの継続性が期待でき、図書館業務を受託しようとする熱意、意欲が感じられた」

いかにも出来試合にふさわしいコメントであるが、こんなものはどうだっていい。市立図書館の業務を民間に委託した結果、提供されるサービスの質がどうなったのか、みたいなことも、いまは問わない。知ったことではない。きのう、「日本全国津々浦々、公立図書館の質はかなりのスピードで劣化しているものと思われる」と記したのは、公立図書館のいわゆる無料貸本屋としての側面にかんすることではまったくない。全国の公立図書館が、担うべき役割を担えなくなっているのではないか、ということである。役割といったって、むろん無料貸本屋という役割のことではない。

公立図書館が担うべき役割は、おおざっぱにいってふたつある。と書いてウィキペディアをみてみたら、「図書館の機能は大きく分けて六つある」と書いてある。

ウィキペディア:図書館

ま、そういう考えかただってあるであろう。「図書館の最大の業務は資料・情報提供である」というのは、まったくそのとおりである。で、資料や情報を提供するためには、まずそれを収集しなければならない。そうした資料や情報には、おおざっぱにいってふたつある。ひとつは、ごく一般的な書籍や雑誌などである。ことばを換えていえば、日本全国津々浦々、どこの公立図書館にも架蔵されていておかしくないものである。もうひとつは、いわゆる地域資料である。名張市立図書館の場合であれば、名張市という地域に関係のある資料である。身近なものでいえば、たとえば全国紙の伊賀版であり、市民が自費出版した本である。もっといってしまえば、これは井上ひさしさんがつとに主張していらっしゃることなのだが、新聞折り込みのチラシを保存しておけば、将来、地域の歴史を知るための一級資料になるはずなのである。もっとも、それを手がけている公共図書館というのは、いまだに聞いたことがない。

地域資料と呼ばれるもののなかには、むろん地域以外で発行された出版物も含まれる。近い例をあげるならば、梅原猛さんの『うつぼ舟2 観阿弥と正成』といったあたりが思い浮かぶが、こうした資料も収集し、提供するのが、日本全国津々浦々、それぞれの土地の公立図書館の責務なのである。要するに、公立図書館が収集すべき資料には、全国に共通するものと、その地域だけのもの、このふたつがある。資料収集おいて、普遍性と独自性をふたつながら追求するのが、公立図書館の責務というやつなのである。それが、「公立図書館が担うべき役割は、おおざっぱにいってふたつある」と記したところの意味である。で、日本全国津々浦々、各地の公立図書館はそうした役割を担えなくなってきているのではないか、という気がする。

少なくとも名張市立図書館においては、まさしくそうである。中先生が乱歩資料担当嘱託を拝命した十二年ほど前には、市立図書館には郷土資料担当嘱託というスタッフも配置されていて、地域資料の収集をはじめとした業務を手がけていたのだが、いまや郷土資料担当嘱託もいなければ、中先生がばーか、こんな低能自治体とまともにつきあってられるか、とか怒りまくっておさらばしたから、乱歩資料担当嘱託というものも存在しない。公立図書館が担うべきふたつの役割のうちひとつが、すっかり等閑視されてしまっているのである。これはおそらく、名張市立図書館にかぎった話ではないのではないか。日本全国津々浦々、似たようなことがげんに進行しているのだとしたら、公立図書館の質はかなりのスピードで劣化しているものと思われる次第である。

むろん、こんなものは、ごく簡単に手当てのできることである。公立図書館というのがいったいどんなものなのか、名張市という自治体にそれさえ理解できていれば、問題は手もなくクリアできる。しかし、できない。そんなことさえできない。なぜかというと、そこはそれ、なにしろ名張市なのであるからな。おらおらおらおらこの低能がよー、の名張市なのであり、おらおらおらおらこのヘタレがよー、の名張市なのであるからな。
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