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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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去年の夏、ノンバーバル映画「鬼 The Oni」の企画書を提出した時点では、そのあとつづけて脚本をしあげ、間をおかず撮影に入ることになっていた。まだ暑いうちに、撮影がおこなわれるはずであった。夏ならば、赤岩尾神社はまだ絵になる。青い空があり、山の緑が映え、陽の光のきらめきが降りそそぐ。しかし、事情や理由はいっさいわからないのだが、ノンバーバル映画の企画そのものが一時的にストップしてしまった。ふたたび動きだしたのは、去年の秋から冬にかけてのことである。撮影は年明けにならざるをえない、ということになった。冬の赤岩尾神社は、死に絶えたような静寂に支配され、無彩色の冷たい大気に封じられる。映画の撮影にはもっとも不向きな季節に、「鬼 The Oni」の撮影を進めなければならなくなった。

昨年12月7日、日曜日、映画のロケハンをおこなった。おだやかな好天に恵まれた。永遠のJガールこと吉本興業の新矢由紀さんとディレクターが自動車で名張入りし、地元スタッフと合流。滝之原の赤岩尾神社に立ち寄り、現場の状況を確認した。そのあと、なぜそういうことになったのかよく思い出せぬのだが、上小波田にある観阿弥顕彰碑公園にも足を伸ばした。毎年11月に催される観阿弥祭の会場である。いい能舞台があるから、ここでも撮影しようということになった。またひとつ、足かせが追加されたわけである。映画に能舞台を登場させる、という足かせである。この時点では、まだ脚本はできあがっていなかった。というか、書きはじめてもいなかった。能舞台という名の足かせが、胃のあたりを重く圧してくるのが感じられた。

12月26日、お役所の仕事納めの日であったが、Jガールのあねさんがまた名張市へいらっしゃった。関係方面から撮影許可をとりつけるなど、いくつかの雑務を片づけるためである。そのひとつに、撮影当日の移動用車両の手配があった。事前にあねさんからメールで連絡を受けていたので、この日の午前、あねさんのパシリとして名張市役所に赴いた。しかるべきセクションを訪ねると、翌日から年末年始の九連休という日ではあり、きょうのお昼はうなぎなんです、と職員諸君もどこかうれしげである。じつはきょうかぎりで、定年を待たずに退職することにいたしまして、とわざわざ挨拶しにきてくれるベテラン職員もあった。

移動用車両の話を切りだすと、撮影当日は名張市の公用車が二台あいているという。その二台の公用車を利用することにした。公用車ゆうたら、車体に広告が入ってるやつか、と尋ねると、はい、そうです、との返事である。そしたら、味ふく、とかゆうて広告が入ってるのか、と重ねて尋ねると、いえ、味ふくの広告は入ってません、とのことである。まあいい。なにがいいのだかよくわからんのだが、とにかく公用車二台、撮影当日に使用することになった。名張市民各位に報告とお礼を申しあげる次第である。

Jガールのあねさんはこの日夕刻、名張市役所に到着し、教育委員会を訪れて、観阿弥顕彰碑公園にある能舞台の使用許可にかんする手続きを済ませた。赤岩尾神社での撮影にかんしては、神社の土地は滝之原区の所有らしいから、滝之原区長に話を通しておくように、と事前に連絡しておいたので、あねさんはこの日、まず滝之原区長に面会し、協力を要請して快諾を得てきたという。そして、もしも必要だったら、地元の獅子舞三体がいくらでも出演してくれるそうです、区長さんがそうおっしゃってくれました、ともいう。たいまつも無料でつかわせてもらえるそうです、とのことでもあった。そうかそうか、地元獅子舞かよ、たいまつかよ、またしても足かせかよ、と思った。その足かせは胃のあたりを重く重く圧してきて、この先いくら待っても、明るいお正月などは永遠に訪れぬであろうと観念された。

本日の小春ちゃん写真館。

20090111a.jpg

昨年8月20日、散歩の途中で、夕焼けの光を浴びながら大きいほうをしているところである。じつに思慮深げなふぜいである。
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輝ける新年にふさわしくとてもおめでたいと思います
 ●名張市民様
 ご投稿ありがとうございます。
 うちの犬の場合、散歩途中の大きいほうはスコップで地面を掘り返し、大自然に帰してやることにしております。きのうの映画撮影では、犬の世話いっさいをもと飼い主に丸投げいたしましたので、おかあさんと小学生の女の子ふたりで、もとの飼い犬の面倒をしっかりみてくれたみたいです。私はもう、ちゃんということを聞くのだろうか、ばかみたいにあっちこっち走りまわって手に負えないのではないだろうか、といったことがとても不安で、いても立ってもいられず、とてもみちゃおれんなと思われましたので、犬を撮影する現場にはまったく立ち会いませんでした。
 名張市長の新春談話とおっしゃるのは、市の公式サイトに掲載されている「新春記者会見」のことでしょうか。

平成21年記者会見
http://www.city.nabari.lg.jp/hp/page000004900/hpg000004863.htm

 ざっとながめてみましたところ、まちなか再生と乱歩にかんしては、つぎのようなことが述べられております。

…………………………………………………………………………

(2)まちなか再生事業の推進
 まちなか再生事業につきましては、平成16年度より『名張の原風景と人情が息づく魅力あるまち』を目指して、市民と行政が一体となって、事業に取り組んでまいりました。
 本年中には、江戸川乱歩の生誕地碑がある乱歩公園や城下川沿道景観の整備が完了し、5年間に亘る前期整備事業の期間を終えることとなります。
 また、本事業の一環として整備をいたしました「やなせ宿」については、名張地区既成市街地において、地区の内外を問わず人々が訪れることのできる観光・交流と情報発信の拠点として活用してまいりたいと考えております。

…………………………………………………………………………

 ただうわっつらをなぞるばかりで、毛筋ほどのリアリティも感じられません。先日調べたところでは、昨年一年間で人口は二百八十九、世帯数は九十八の減をみた、というのが名張地区のリアルな姿です。まちなか再生なんてどこの話か、と思われる次第ですが、やなせ宿といえば、1月12日付中日新聞の三重版に名張商工会議所会頭のインタビューが掲載されていて、こんなQ&Aがありました。

…………………………………………………………………………

 ──名張市の市街地活性化はどうですか
 「風情がある古い町を残した活性化案のオールドタウン構想を提案し、市が明治初期の商家を保存、改築したやなせ宿はこの提案で実現しました。今後も積極的に提案しますし会議所に任せてほしいとも思いますよ」

…………………………………………………………………………

 いくら新年早々とはいえ、市長や会頭がここまでおめでたくていいものかどうか。少しは自分の足で名張のまちをお歩きになり、自分の眼でまちの現実をごらんになり、やなせ宿にもお立ち寄りになって、まちの人の声に耳をお傾けになりさえすれば、これほど脳天気なことは口が裂けたっていえないはずだと思われます。なんかもう、あったま抱えてしまうしかない感じなのですが、1月25日に開かれる名張まちなか再生委員会の臨時総会には、当然、市長も会頭もご出席いただけるものと期待しております。
 名張市長との面談につきましては、昨年12月、いちど催促してみようかなと思ったのですが、映画のことなどでちょっとばたばたしておりましたので、いまだ果たせておりません。そろそろかまそうかと考えております。
 今後ともよろしくお願いいたします。
人間豹 URL 2009/01/13(Tue)12:35:39 編集
無題
小春愛娘犬のデビューおめでとうございます。大きい方の始末は大丈夫でしょうか。ドイツ以外の先進国では、排便は自宅内にて、戸外はあくまで運動のみのようです。ドイツはペット高額税金で免除のよですが。有名女優はスキャンダルにご注意を。
ところで市長の新春談話でまちなか再生と乱歩事業のコメントが性懲りもなくでました。名張で唯一無二の乱歩の第一人者で乱歩先生の遺族の方々や関係者がお認めになる中さんの呼びかけに、市長の何らかの返答はあったのですか。
1月25日に再生委員会の総会が開催されるようですが、新春に記者を集めて、まちなか再生と乱歩について会見発表されたのですから、総会に公務出席され、市長自ら話をされることは当然の義務責務であると思います。どうなんでしょうか、公務予定にいれているのでしょうか。それと総会は傍聴ありなのでしょうか。小春女史ともの活躍を期待します
名張市民 2009/01/12(Mon)12:04:24 編集
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