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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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連休が明けた。いくらなんでも今週中には、名張市長から回答を頂戴できるであろうと思う。下記の要請に対する回答である。

   
ご回答ありがとうございました。せっかくの仰せですから、おことばに甘えて、「貴重なご意見・ご提案」を具申したいと思います。つきましては、そのための面談の場を設けていただきたく、ご手配をお願いいたします。面談の場には、貴職のほか、教育長と前教育次長にもご臨席たまわりますよう、勝手ながら願いあげます。面談の日時と場所のご連絡をお待ちしております。ご多用中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

2008/10/10

当方、きわめて協力的な人間である。したがって、たとえメールで寄せられたものではあっても、名張市長からじきじきに、「貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします」との要請を頂戴したのであるから、市民のひとりとして、知らん顔などできない。できるものではない。誠心誠意、意見提案を具申して、力のかぎり協力にこれ努める所存である。市長、教育長、前教育次長、このお三方から拝眉の機を頂戴するのは、いったいいつのことになるのかな。

当方、なにしろ協力的なのである。もちろん、てんで筋の通らない話であるとか、ジャスティスやフェアネスのかけらもない話であるとか、そういうたぐいには協力できない。あたりまえのことである。しかし、そうでなければ、協力を惜しむものではけっしてない。早い話、今般、名張市が主催するミステリ講演会に協力する運びとなった。ばんばん協力してやる。

講演会は、11月22日の午後1時から名張市総合福祉センターふれあいで開かれる。講師は芦辺拓さん。午前中には、名張まちなかの乱歩ゆかりの地を訪ねるミニツアーも開催される。

名張市公式サイト:第18回なぞがたりなばり開催

当方のウェブサイトで9月28日、さっそく宣伝に努めたのだが、ミニツアーの案内人が「未定」となっているので、ちょっとおちょくっておいた。

   
ここで名張市が日本推理作家協会の協力を得て毎年開催しているミステリ講演会「なぞがたりなばり」のお知らせです。11月22日土曜日、名張市総合福祉センターふれあいで第十八回が催されます。講師は芦辺拓さん。テーマは「〈乱歩〉を生きた男──戦略的な、あまりに戦略的な」。タイトルから察しますに、最初から最後までずっと乱歩のことが語られる本格的な作家論になるのではないでしょうか。詳細は名張市オフィシャルサイトの「第18回なぞがたりなばり開催」でどうぞ。入場券はきょう発売開始です。

11月22日の午前中には名張のまちで乱歩ゆかりの地をめぐる「まちなかミニツアー」も企画されておりますので、こちらにもお気軽にご参加ください。ツアーの案内役は未定とのことですが、名張市には私に案内役を依頼するような勇気はとてもないということでしょうか、全然お声がかかりません。はっはっは。案内役としてこれほど適任な人間もおらんのだが、そうかそうか、恐ろしくてとても依頼などできんのか。はっはっは。

ここまでおちょくってやったのだから、ふつうなら、当方に案内役がまわってくるはずはない。ところが、まわってきた。10月8日に電話がかかってきて、翌9日木曜日、なぞがたりなばりの担当セクションである名張市生活環境部まちづくり推進室に足を運んだところ、まちなかミニツアーの案内人をやってくれと頼まれた。むろん、上に引いた9月28日付の文章も織り込み済みの話であった。当方なにしろ協力的な人間だから、快く承諾した。

しかし、大丈夫か、と思わぬでもない。当方が名張のまちなかを案内しながらいろいろ口走るとしたら、口走る内容の半分がたは市政批判になってしまうのではないか。いやいや、むろん当方とて、市政批判のために案内をするわけではない。そんなつもりはさらさらないのだが、過去の実績というやつがある。

近い例としては、無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館を知の殿堂に生まれ変わらせるやなせ宿連続講座やなせ塾があげられよう。あの二回の講座では、市政批判もかなり口走ったような記憶がある。その市政批判がまた、ものすごく受けた、という記憶もある。

そういえば、11月の15日、東京の日本推理作家協会事務局で開かれる土曜サロンという催しに招かれている。ゲストとして、なにかしゃべらなければならない。テーマは「江戸川乱歩と津藩藤堂家」ということにしているのだが、ここでもたぶん、名張市政に対する批判が飛び出してしまうような気がする。むろん、そんなつもりはさらさらないのだが、飛び出してしまうものはしかたがないという気がする。

だからなあ、11月の22日、ということはたぶん寒々しい一日になるものと予想されるのだが、そんな日に、あの荒廃感たっぷりの桝田医院第二病棟跡地に立ち、幼稚園児が切り貼りしたような江戸川乱歩生誕地碑広場案内板を目にしたら、当方がいくら冷静沈着温厚篤実な人間であっても、堰を切ったように市政批判をわめきたててしまうことになるかもしれんなあ。えらいことになるかもしれんなあ。しかしまあ、そんなことは百も承知の織り込み済みで案内役を依頼してきてくれたんだから、ここはとりあえず、名張市の勇気をほめたたえておかなければならんだろうなあ。あっぱれあっぱれ。

さらに、おちょくりをつづける。それにしても、これはいったいなにごとであるのか。どうして当方に、案内役など要請してくるのか。むろん、ウェブサイトにも記したとおり、当方ほど案内役にふさわしい人間はおらん。それはたしかである。しかし、たかが名張のまちを案内するだけの話ではないか。その程度のことを、名張市という自治体はどうして、自前で片づけようとしないのか。

似たような催しは、以前にもあった。六年前、平成14・2002年のことである。ポスターのデータが残っているので、掲げておく。

20081014a.jpg

案内されている催しのうち、「乱歩ひやわい散歩」というのが、今回のミニツアーとおなじ趣向のものである。どんな内容であったのかは、よく知らない。同行したわけではないからである。たしか、桝田医院前の新町通りに立つ乱歩の写真が『わが夢と真実』という本に収録されているのだが、そのおなじ場所で、おなじ構図で記念写真を撮影する、という企画が盛り込まれていたように思う。ただし、同行したわけではないから断言はできない。

つまり、そんな程度のことでいいのである。六年前の乱歩ひやわい散歩にしろ、ことしのまちなかミニツアーにしろ、当方が同行するまでもないことなのである。名張のまちを歩き、乱歩ゆかりの場所を案内するなどというのは、いとも簡単なことである。そんなことくらい、名張市が自前でできなくてどうする、という話なのである。げんに六年前の乱歩ひやわい散歩では、当方の出番などなかったのである。六年前にできたことが、いまなぜできぬのか。この六年間で、名張市はどうなってしまったというのか。

かりに名張市が、名張のまちを案内するというただそれだけのことさえできない自治体になってしまったのだとしても、名張市名物の官民協働はどうした。たとえば、名張まちなか再生委員会があるではないか。あの委員会には歩行者空間整備プロジェクトというのがあって、江戸川乱歩生誕地碑広場をはじめとして、まちなかの四か所に八百万円ほどかけて案内板を設置してくれたのである。ならば、そのプロジェクトのチーフあたりが、まちなかミニツアーの案内にお立ちになればいいのではないか。というか、立つべきである。そんなこともできなくて、なにが歩行者空間整備プロジェクトか、なにが名張まちなか再生委員会か、なにが協働か。

名張まちなか再生委員会は無理だとしても、名張市公式サイトのなぞがたりなばりのページには、「主催:名張市 共催:乱歩蔵びらきの会 協賛:社団法人日本推理作家協会」と書いてあるのだから、乱歩蔵びらきの会はどうした、という話になる。当然、そんな話になる。名張のまちを乱歩がらみで案内することもできない組織が、ごたいそうに乱歩の看板をかかげて活動しているのか、という話になる。というか、乱歩蔵びらきの会は、すでに活動を停止しているのではなかったのか。ことしはたぶん、総会も開催してないはずである。だから、こんなところに名前が出ているのを見て、ちょっとびっくりしたというのが正直なところである。

ともあれ、まちなかミニツアーがオプションでついている第十八回なぞがたりなばり、お申し込みはお早めにどうぞ。それはそれとして、おちょくりはあすもつづける。
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