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昭和十八年(一九四三)
年齢:四十八歳→四十九歳、数え年五十歳
住居:東京市豊島区池袋三丁目一六二六
□探偵小説四十年:細目□
愈々協力に励む【昭和十八・九年度】
昭和十八年度の主な出来事
職場慰問激励演説
日本軽金属と足尾銅山
小笠原町会長
翼賛壮年団
町会の仕事
文士町会役員座談会
一人息子の入隊
戦争中唯一の長篇
井上良夫との文通
一月一日(金)
□雑誌□「少年倶楽部」新年号(第三十巻第一号)の奥付発行日。小松龍之介「白と黒」〈科学少年ものがたり 第十三回〉が掲載された。
□雑誌□「新青年」新年号(第二十四巻第一号)の奥付発行日。「島隠れゆく艨艟(海軍兵学校卒業式参観記)」が掲載された。
一月末
一月初めから二月末にかけて名古屋市在住の井上良夫と外国の探偵作家と作品を論じて頻繁に文通した。[探偵小説四十年 井上良夫との文通(←井上良夫君との文通)/昭和31年11月]
一月
《【一月】ジャズ・レコード禁止さる。製鉄工場の国家管理指令》
三月
《【三月】大日本産業報国会の依頼により、二、三の工場へ、生産力増強職場激励講演に行く》
《【三月】日本出版協会発足す。金属回収要綱発表》
四月一日(木)
□雑誌□「少年倶楽部」四月号(第三十巻第四号)の奥付発行日。「風のふしぎ」〈一太郎ものがたり 第十四回〉が掲載され、完結。
四月
《【四月】連合艦隊司令長官、山本五十六大将戦死》
五月十一日(火)
「婦人倶楽部」と「少年倶楽部」の特派員として二十二日まで工場や発電所などを見学。[探偵小説四十年 日本軽金属と足尾銅山/昭和31年8月]
《【五月】十一日より二十二日まで、講談社「婦人倶楽部」及び「少年倶楽部」特派員の名目で、陸軍航空本部の将校に案内され、都下亀有の日立精機工場、静岡県蒲原及び清水市の日立軽金属工場、足尾銅山、新潟県外丸日本発送電発電所などの見学をなす》
五月二十四日(月)
皇国文化協会の会合に出席。
《【五月】二十四日、講談社主催の皇国文化協会第八回の集まりあり、文士二十数名出席、探偵作家は海野、木々、私の三人。大本営陸軍報道部、秋山邦雄中佐の話を聞く》
五月
《【五月】小笠原三九郎氏、私の町の町会長となり、私は三人の副会長の一人として残る》
《【五月】前町会長安達克己少将、司政官としビルマ方面に出発、その壮行会を催す》
《【五月】薪炭配給統制規則公布。米軍アッツ島に上陸し、守備隊玉砕す》
六月一日(火)
□雑誌□「少年倶楽部」六月号(第三十巻第六号)の奥付発行日。平出英夫名義の「両提督の最期──忠魂とこしえに輝く」が掲載された。
六月
《【六月】町会員国債消化の公平を期するため、わたし独特のやり方で、各隣組国債引受高の規準とすべき詳細な数字の表を作る》
七月
《【七月】東京都制実施》
八月一日(日)
□雑誌□「少年倶楽部」八月号(第三十巻第八号)の奥付発行日。小松龍之介名義の「飛行機を生み出すたのもしい力──ちえの一太郎君の工場見学記」が掲載された。
□雑誌□「婦人倶楽部」八月号(第二十四巻第八号)の奥付発行日。「応召の釣鐘を熔かす工場を見る」が掲載された。
八月
《【八月】翼賛壮年団豊島区副団長となる》
《【八月】大政翼賛会豊島区常務委員となる》
《【八月】キスカ島守備隊撤収》
九月十一日(土)
□新聞□「読売報知」に「神に恥じざる投票を──全都の隣組員に呼びかける」が掲載された。
九月
《【九月】息子平井隆太郎(東大文学部心理学科三年生)各校の心理学科学生と共に動員されて、少年航空兵の心理適性検査に従事す》
《【九月】官庁疎開方針決定》
このころ
新潮社の「日の出」編集長の広瀬照太郎と編集員の渡辺光平が来訪し、「偉大なる夢」の執筆が決まった。編集部は「防諜長編小説」とするため防諜指導界の権威者と乱歩との会合を設けた。[探偵小説四十年 戦争中唯一の長篇/昭和31年11月]
十月一日(金)
□雑誌□「日の出」十月号(第十二巻第十号)の奥付発行日。「偉大なる夢」の予告ページに「作者の言葉」が掲載された。
十月六日(水)
午後四時から浜町の醍醐で開かれた東京都主催の町会運営座談会に出席。[探偵小説四十年 文士町会役員座談会(←文士町会役員の座談会)/昭和31年10月]
《【十月】東京都主催、浜町の料亭「醍醐」にて文士町会役員十一名が集まり、町会運営座談会を開く。探偵作家では大下宇陀児君と私とが出席》
十月
《【十月】講談社の皇国文化協会第十回の集まり。陸軍報道部後藤四郎少佐の話を聴く。探偵作家では角田喜久雄君と私と出席》
《【十月】新潮社の大衆雑誌「日の出」十一月号より科学スパイ小説「偉大なる夢」の連載をはじむ》
《【十月】新聞のページ建て削減さる》
十一月一日(月)
□雑誌□「日の出」十一月号(第十二巻第十一号)の奥付発行日。「偉大なる夢」第一回が掲載された。連載は十二月まで。
十一月十三日(土)
□雑誌□「都政週報」の奥付発行日。「町会隣組運営座談会」第一回が掲載された。出席は尾崎喜八、河崎ナツ、高橋掬太郎、辰野九紫、辻荘一、大木惇夫、岡本一平、高良富子、大下宇陀児、岸田国士、江戸川乱歩。
町会内学徒入営入隊者の合同壮行会に出席。隆太郎も海軍に入隊し、舞鶴海兵団から武山海兵団に移ったあと、土浦飛行隊に配属されて海軍中尉に昇進、その直後に終戦を迎えた。[探偵小説四十年 一人息子の入隊/昭和31年10月]
《【十一月】十三日、町会員家庭の学徒入隊者二十三人の壮行会を町内神学院校庭にて行う。町会長小笠原三九郎氏の二男秀郎君及び私のひとり息子隆太郎も入隊者に加わっていた》
十一月二十日(土)
□雑誌□「都政週報」の奥付発行日。「町会隣組運営座談会」第二回が掲載され、完結。
十一月
《【十一月】米軍マキン、タラワ両島に上陸す》
十二月一日(水)
□雑誌□「日の出」十二月号(第十二巻第十二号)の奥付発行日。「偉大なる夢」第二回が掲載された。
十二月
《【十二月】出版事業整備、残存一九三社となる。徴兵適令一年引下げ》
[2013年5月6日]