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昭和六年(一九三一)
年齢:三十六歳→三十七歳、数え年三十八歳
住居:東京市外戸塚町源兵衛一七九番地
□探偵小説四十年:細目□
最初の江戸川乱歩全集【昭和六年度】
昭和六年度の主な出来事
身辺多事の年
江戸川乱歩全集
宣伝お祭り騒ぎ
全集の内容
内容見本と附録雑誌
代作ざんげ
川田功
「魔術師」露字新聞に連載
小太夫一座の「黒手組」劇
甲賀、大下論争
下宿争議
森下雨村の博文館退社
一月一日(木)
□雑誌□「朝日」新年号(第三巻第一号)の奥付発行日。「盲獣」第一回が掲載された。連載は翌年三月まで。
□雑誌□「キング」新年号(第七巻第一号)の奥付発行日。「黄金仮面」第五回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」新年特大号(第二十一巻第一号)の奥付発行日。「魔術師」第七回が掲載された。
□雑誌□「新青年」新春特大号(第十二巻第一号)の奥付発行日。「打てば響く 一九三一年問答録」にアンケート回答が掲載された。
アンケート回答は《これは本当の気持であった》[探偵小説四十年 身辺多事の年/昭和28年8月]
一月十五日(木)
□書籍□『猟奇の果』の奥付発行日。博文館から出版された。
一月
□新聞□「報知新聞」夕刊に「吸血鬼」を連載。
一月
《【一月】小説資料集めの助手として、私の宅に同居していた旧友二山久君と口論あり同君去る》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
このころ
一月か二月ごろ、平凡社から全集出版の話を受けた。乗り気ではなかったが、下中彌三郎社長の人格を信頼し、承諾した。平凡社にしばしば足を運んで下中と相談し、全集の内容や宣伝の方法など、自分の考えをかなり通すことができた。[探偵小説四十年 江戸川乱歩全集/昭和28年8月]
二月一日(日)
□雑誌□「朝日」二月号(第三巻第二号)の奥付発行日。「盲獣」を休載した。
□雑誌□「キング」二月号(第七巻第二号)の奥付発行日。「黄金仮面」を休載した。
□雑誌□「講談倶楽部」二月号(第二十一巻第二号)の奥付発行日。「魔術師」を休載した。
二月十四日(土)
□書簡□森園豊吉に書簡、「世界犯罪叢書」第一巻の松谷与二郎『思想犯罪篇』を徹夜で読んだと伝えた。[江戸川乱歩推理文庫64]
森園豊吉(明治22年-昭和32年)は昭和四年に天人社を設立、「世界犯罪叢書」などを出版した。
二月二十日(金)
□雑誌□「新青年」春季増刊号(第十二巻第三号)の奥付発行日。「旧探偵小説時代は過去った」が掲載された。
二月
□新聞□「報知新聞」夕刊に「吸血鬼」を連載。
三月一日(日)
□雑誌□「朝日」三月号(第三巻第三号)の奥付発行日。「盲獣」第二回が掲載された。
□雑誌□「キング」三月号(第七巻第三号)の奥付発行日。「黄金仮面」第六回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」三月号(第二十一巻第三号)の奥付発行日。「魔術師」第八回が掲載された。
三月十二日(木)
□新聞□「報知新聞」夕刊に「吸血鬼」第百三十八回が掲載され、完結。
三月二十八日(土)
□書籍□『吸血鬼』の奥付発行日。博文館から出版された。
四月一日(水)
□雑誌□「朝日」四月号(第三巻第四号)の奥付発行日。「盲獣」第三回が掲載された。
□雑誌□「キング」四月号(第七巻第四号)の奥付発行日。「黄金仮面」第七回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」四月号(第二十一巻第四号)の奥付発行日。「魔術師」第九回が掲載された。
□雑誌□「富士」四月号(第四巻第四号)の奥付発行日。「白髪鬼」第一回が掲載された。連載は翌年四月まで。
四月五日(日)
□雑誌□「週刊朝日」春季特別号(第十九巻第十六号)の奥付発行日。「中将姫」が掲載された。
□雑誌□「文芸倶楽部」探偵小説と滑稽小説号(第三十七巻第五号)の奥付発行日。「目羅博士の不思議な犯罪」が掲載された。
四月八日(水)
□雑誌□「報知新聞」附録「日米親善北太平洋横断飛行」に「人類史的一飛び」が掲載された。
四月二十五日(土)
□新聞□「読売新聞」に「獏の言葉」が掲載された。
四月二十八日(火)
「全集の編輯について」を脱稿。[初出末尾]
五月一日(金)
□雑誌□「朝日」五月号(第三巻第五号)の奥付発行日。「盲獣」第四回が掲載された。
□雑誌□「キング」五月号(第七巻第五号)の奥付発行日。「黄金仮面」第八回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」五月号(第二十一巻第五号)の奥付発行日。「魔術師」第十回が掲載された。
□雑誌□「富士」五月号(第四巻第五号)の奥付発行日。「白髪鬼」第二回が掲載された。
五月三日(日)
愛知県立熱田中学校(旧第五中学校)の創立二十五周年記念事業に無理に引っ張り出され、名古屋市公会堂で講演を行った。[貼雑年譜]
五月五日(火)
□書籍□平凡社から江戸川乱歩全集の第一回配本があった。発行部数は三万三千部。全十二巻の予定が全十三巻になり、完結は翌年五月。発行部数は十三巻で二十五万三千部だった。[探偵小説四十年 宣伝お祭り騒ぎ/昭和28年9月]
《【五月】平凡社「江戸川乱歩全集」十三巻を発表、大いに宣伝す。旧友井上勝喜君を全集附録「探偵趣味」の編集者に推薦し、平凡社より月給を受く》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
五月八日(金)
江戸川乱歩全集の最初の新聞広告が掲載された。広告の図案も考えた。東京、大阪の大新聞と地方の主要な新聞に、紙面の三分の一の大きさで掲載した。以後、予約の締切だった五月三十一日まで、新聞広告を集中的に掲載した。[探偵小説四十年 宣伝お祭り騒ぎ/昭和28年9月]
五月十日(日)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第八巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第一号の奥付発行日。「地獄風景」第一回が掲載された。連載は翌年三月まで。
五月十二日(火)
□書籍□『江川蘭子』の奥付発行日。博文館から横溝正史、甲賀三郎、大下宇陀児、夢野久作、森下雨村、平林初之輔、国枝史郎、小酒井不木による共著として出版された。
五月二十八日(木)
《【五月】二十八日、海軍少佐の探偵作家、川田功氏死去》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
五月二十九日(金)
ハルビンで発行されている新聞「ХАРБИНСКОЕ ВРЕМЯ(ハルビンスコエ・ヴレーミア)に「魔術師」のロシア語訳「АРОДЪИ」第一回が掲載された。連載は五十回。春、日本の銀行のハルビン支店に勤務する人から手紙が届き、翻訳連載の承諾を求められた。原作料の要求もせず、承諾を与えた。[探偵小説四十年 「魔術師」露字新聞に連載/昭和28年10月]
《【五月】より七月にかけて「魔術師」ハルビン市露字新聞に訳載さる》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
五月
《【五月】妹、玉子肋膜炎を病み、母とともに別宅に療養す》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
《【五月】大阪在住の私の弟、脊髄カリエスに罹り、昭和八年全快まで療養生活をなす》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
《【五月】井上勝喜君結婚式。披露宴に探偵文壇の人々を招く》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
六月一日(月)
□雑誌□「朝日」六月号(第三巻第六号)の奥付発行日。「盲獣」第五回が掲載された。
□雑誌□「キング」六月号(第七巻第六号)の奥付発行日。「黄金仮面」第九回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」六月号(第二十一巻第六号)の奥付発行日。「魔術師」第十一回が掲載され、完結。「恐怖王」第一回も掲載された。連載は翌年五月まで。
□雑誌□「富士」六月号(第四巻第六号)の奥付発行日。「白髪鬼」第三回が掲載された。
六月十日(水)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第一巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第二号の奥付発行日。「地獄風景」第二回が掲載された。
六月十五日(月)
《【六月】十五日、平林初之輔氏、パリに客死す。遺友と相謀り、平凡社より「平林初之輔遺稿集」を出版す》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
七月一日(水)
□書籍□文芸家協会編『大衆文学集 第四集』の奥付発行日。新潮社から出版され、「目羅博士の不思議な犯罪」が収録された。
□雑誌□「朝日」七月号(第三巻第七号)の奥付発行日。「盲獣」第六回が掲載された。
□雑誌□「キング」七月号(第七巻第七号)の奥付発行日。「黄金仮面」第十回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」七月号(第二十一巻第七号)の奥付発行日。「恐怖王」第二回が掲載された。
□雑誌□「富士」七月号(第四巻第七号)の奥付発行日。「白髪鬼」第四回が掲載された。
七月二日(木)
「『黄金仮面』エスペラント訳出版に際して」を脱稿。[初出末尾]
七月十日(金)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第五巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第三号の奥付発行日。「地獄風景」第三回が掲載された。
七月二十六日(日)
市川小太夫の新興座が帝国劇場で第一回公演を行い、上演四作品のひとつに「黒手組」をとりあげた。公演は二十八日まで。これ以降、大阪、京都、神戸、名古屋、博多などでも上演された。[貼雑年譜]
《【七月】市川小太夫一座、私の短篇「黒手組」を脚色し帝劇に上演す》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
七月二十九日(水)
「探偵趣味」に掲載する「黒手組」の写真を撮るため、芝の紅葉館に市川小太夫、下中彌三郎、井上勝喜らと集まり、昼食のあと写真と十六ミリフィルムを撮影した。[探偵小説四十年 小太夫一座の「黒手組」劇/昭和28年10月、11月]
七月
《【七月】「東京日日新聞」学芸欄に甲賀三郎、大下宇陀児両君の探偵小説論発表され、やや論争の形となったので、私も寄稿を求められ意見を述べた。これは甲賀、木々論争の前駆をなす本格非本格論争であった》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
八月一日(土)
□雑誌□「朝日」八月号(第三巻第八号)の奥付発行日。「盲獣」を休載した。
□雑誌□「キング」八月号(第七巻第八号)の奥付発行日。「黄金仮面」を休載した。
□雑誌□「講談倶楽部」八月号(第二十一巻第八号)の奥付発行日。「恐怖王」を休載した。
□雑誌□「富士」「富士」八月号(第四巻第八号)の奥付発行日。「白髪鬼」を休載した。
八月十日(月)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第四巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第四号の奥付発行日。「地獄風景」を休載した。
八月十五日(土)
□書籍□『Ora Masko Volumo 1』の奥付発行日。日本エスペラント会から「黄金仮面」のエスペラント語訳としとて出版された。
□書籍□『江戸川乱歩・小酒井不木・甲賀三郎・大下宇陀児』の奥付発行日。春陽堂から「明治大正昭和文学全集」第五十六巻として出版された。
八月三十一日(月)
□新聞□「東京日日新聞」に「探偵作家の立場」第一回が掲載された。二回分載で、九月一日に完結。七月に掲載された甲賀三郎「探偵小説はこれからだ」と大下宇陀児「探偵小説の型を破れ」を受け、新聞社の求めに応じて執筆した。[探偵小説四十年 甲賀、大下論争/昭和28年11月、12月]
八月
《【八月】九月号より博文館の「探偵小説」創刊、翌七年八月号にて終刊》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
九月一日(火)
□雑誌□「朝日」九月号(第三巻第九号)の奥付発行日。「盲獣」第七回が掲載された。
□雑誌□「キング」九月号(第七巻第九号)の奥付発行日。「黄金仮面」第十一回が掲載された。
□雑誌□「講談倶楽部」九月号(第二十一巻第九号)の奥付発行日。「恐怖王」第三回が掲載された。
□雑誌□「探偵小説」九月号(第一巻第一号)の奥付発行日。「探偵小説のトリック」が発行された。
□雑誌□「富士」九月号(第四巻第九号)の奥付発行日。「白髪鬼」第五回が掲載された。
九月十日(木)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第四巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第五号の奥付発行日。「地獄風景」第四回が掲載された。
九月十七日(木)
平林初之輔の告別式が小石川の伝通院で営まれた。[新青年:戸崎町風土記/昭和6年11月]
告別式のあと、伝通院前のレストランで、吉江喬松、森下雨村、宮島新三郎、木村毅らと平林の遺稿出版について相談した。乱歩全集が出版されていた関係で、下中彌三郎社長に話をし、平凡社から出版することに決まった。[探偵小説四十年 平林初之輔/昭和27年1月]
九月十八日(金)
関東軍が中国の柳条湖で満鉄線路を爆破し、満州事変が勃発した。
《【九月】(満州事変勃発)》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
十月一日(木)
□雑誌□「朝日」十月号(第三巻第十号)の奥付発行日。「盲獣」第八回が掲載された。
□雑誌□「キング」十月号(第七巻第十号)の奥付発行日。「黄金仮面」第十二回が掲載され、完結。
□雑誌□「講談倶楽部」十月号(第二十一巻第十号)の奥付発行日。「恐怖王」第四回が掲載された。
□雑誌□「富士」十月号(第四巻第十号)の奥付発行日。「白髪鬼」第六回が掲載された。
十月十日(土)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第二巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第六号の奥付発行日。「地獄風景」第五回が掲載された。
十一月一日(日)
□雑誌□「朝日」十一月号(第三巻第十一号)の奥付発行日。「盲獣」を休載した。
□雑誌□「キング」十一月号(第七巻第十一号)の奥付発行日。「鬼」第一回が掲載された。連載は翌年二月まで。
□雑誌□「講談倶楽部」十一月号(第二十一巻第十一号)の奥付発行日。「恐怖王」を休載した。
□雑誌□「富士」十一月号(第四巻第十一号)の奥付発行日。「白髪鬼」を休載した。
十一月八日(日)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第六巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第七号の奥付発行日。「地獄風景」第六回が掲載された。
十一月二十九日(日)
三重県津市で繁男の七回忌法要を営み、親戚や繁男の知人を聴潮館でもてなした。[貼雑年譜]
十一月
《【十一月】家内の経営する下宿屋「緑館」に下宿学生の争議起り、面倒なので下宿屋廃業と決す》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
十二月一日(日)
□雑誌□「朝日」十二月号(第三巻第十二号)の奥付発行日。「盲獣」を休載した。
□雑誌□「キング」十二月号(第七巻第十二号)の奥付発行日。「鬼」第を休載した。
□雑誌□「講談倶楽部」十二月号(第二十一巻第十二号)の奥付発行日。「恐怖王」を休載した。
□雑誌□「富士」十二月号(第四巻第十二号)の奥付発行日。「白髪鬼」を休載した。
十二月八日(火)
□書籍□『江戸川乱歩全集 第七巻』の奥付発行日。
□雑誌□「探偵趣味」第八号の奥付発行日。「地獄風景」第七回が掲載された。
十二月十三日(日)
「トリックを超越して」を脱稿。[初出末尾]
十二月
《【十二月】森下雨村氏博文館を退社す》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
この年
《この年、元禄期の小説類にて稀本いろいろ入手す》[探偵小説四十年 昭和六年度の主な出来事/昭和28年8月]
[2012年8月1日]