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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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おととい夜の酒が完全に抜けたのは、きのう午後4時ごろのことであった。まだぽーっとしていた午後1時ごろ、隠街道市二日目をむかえた中町の通りで撮影。

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いつもは閑散としていて、はっきりいって死んだようになってる名張のまちに、これほどの人出があるのは、このまちに生まれ育った人間にとって、やはり嬉しいことである。ちょうど一週間前、10月28日の日曜には、宇流冨志祢神社秋祭りが営まれ、おなじようなにぎわいをみたのだが、道ゆく人の色合いは微妙にちがっている。端的にいってしまえば、秋祭りでそこそこ眼についたヤンキーっぽい若い衆はほとんどみあたらず、夫婦でまちなかの散策を楽しんでます、といったおもむきの熟年の参加者が多かった。

まちを行く人は秋の陽を浴び、みんな柔和な顔をしている。3日の講演会においでいただいたご夫婦が、この日もまち歩きを楽しんでいらっしゃった。学生さん何人かとごいっしょの、皇學館大学の先生にもお目にかかった。名張まちなか再生委員会の委員長にもお会いしたので、なにしろ「打倒! 名張まちなか再生委員会」である。「細川邸乗っ取り!」である。近いうちに時間をつくってくれとお願いして、快諾を得た。

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宇流冨志祢神社秋祭りで頭屋の会場となっていた榊町集議所では、伊賀手打ちそばの会、という団体がそばの店をオープンしていた。中町に開設されていた飲食コーナーでうどんを食べた直後だったので、そばはスルー。レコードの鑑賞会が開かれる集議所の二階にのぼってゆくと、さっきお会いしたご夫婦のうち、ご主人だけがおいでだった。

ご主人というのは、「座頭市」や「悪名」などのドル箱シリーズで知られる映画監督の田中徳三さん。新作が近く公開されるという。場所は、大阪のそごう心斎橋本店にあるそごう劇場。11月2日から7日まで開かれている「大阪アジアン映画祭2007」の最終日、「YOSHIMOTO DIRECTOR'S 100 田中徳三監督・少年河内音頭取り物語」が上映されるとのことなのだが、チケットは完売らしい。小さな劇場であるうえ、映画に出演している元キャンディーズ、田中好子さんのファンがチケットをごっそり買い占めてしまったためだという。

そごう公式サイト:そごう劇場

隠街道市二日目の人出は、午後3時過ぎから引きはじめ、午後4時にはいつもどおりの、ほとんど人の通らない日常が戻ってきたらしい。きのうの夜、用事があって名張のまちに足を運んだところ、地元の人がそう話していた。

一年のうち二日間だけ、コミュニティイベントでにぎわいが生まれたからといって、名張まちなかの再生が図られたということではまったくない。隠街道市にあしたはあるのか。
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名張古町を考える会の講演会は、名張市総合福祉センターふれあいで午後2時からおこなわれた。最初の十五分、名張のまちの古い写真を集めた映像資料のビデオが上映された。そのあとが講演。テーマは「タイムスリップ初瀬街道 東海道から参宮表街道へ」。

司会のお嬢さんによる講師紹介はこんな感じであった。

   
本日の講師をお願いしました中相作先生は、昭和28年、名張市豊後町でお生まれになり、現在は蔵持町原出にお住まいです。伊賀地域を代表する知性として隠れもない存在でいらっしゃいますが、地元周辺では、ただの酔っぱらいとして広く知られているようです。今年もあと二か月たらずとなりましたが、中先生の今年の目標は「打倒! 名張まちなか再生委員会」、来年の目標は「細川邸乗っ取り!」とのことだそうです。大丈夫なんでしょうか。それでは、お願いいたします。

講演では、地名などのキーワードを大書したスケッチブックを使用した。A4サイズの紙に大きな文字でキーワードをプリントアウトし、それを貼りつけたスケッチブックをかかげて、話を進めたのである。

スケッチブックは二十枚つづりだったので、両面使用して四十のキーワードを選んでおいた。一枚目はこんな感じ。

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本日のテーマは道である、というわけである。ひとくちに道といってもいろいろな道がある。たとえば、と二枚目。

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こんなぐあいに倒れている道がある。横倒しである。だからこれは横道である。

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こんな道もある。裏返しになった道である。と説明していたら、客席から「裏道」と声がかかった。正解である。

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こんな道もある。ひとつの字が離ればなれになっている。「わかれ道」と客席から声。へたな大喜利の様相を呈してくる。

講演時間は四十五分。四十のキーワードの半分を消化したところで時間となった。講演としては、そこそこ受けたと思う。

まったくのノーギャラだと思っていたのだが、講演のあと、名張古町を考える会の会長さんが、のし袋をポケットに押し込んでくれた。おばちゃん、これおばちゃんのポケットマネーとちがうの、と会長さんに尋ねると、いや、会のへそくり、あんたはなんにも気にせんとき、とのことであった。おかげで、講演のために購入したスケッチブック、指し棒、スプレー糊の費用くらいは十分まかなえる計算になった。ありがたいことである。

そのあと会長さんから、会長さんが経営している店に立ち寄るように、との指示があった。講演会の会場からぶらぶら歩いて中町の店に行くと、店員さんが、これを持って帰ってくれ、という。これ、というのは缶ビールである。ここまで気をつかってもらう必要もないのだが、お駄賃としてありがたく頂戴することにした。ただし、缶ビールワンケースは結構な重量である。あとで自動車でにとりにくることにして、店から出た。

会長さんの店の前には、こんな立て看があった。

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左側に掲出されているのは、名張市住民の生活を守る会、という団体が伊賀南部環境衛生組合議会議長に提出した「伊賀南部環境衛生組合構成員すべての住民の法の下の平等を求める請願書」の拡大コピーである。請願の趣旨はどうあれ、こうした訴えがおこなわれるのは面白い。こういうのがあってこそのコミュニティイベントである。

ただしまあ、これは講演でも指摘しておいたことだが、隠街道市が来年も開催されるかどうかは、はなはだ疑問である。というか、やめてしまえこんなイベント、と思う。

はるか淵源を尋ねれば平成16・2004年度に三重県が実施した官民合同事業「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」に端を発し、同年と翌年の二年は「からくりのまち」というこじつけもはなはだしいコンセプトで開催されたものの、さすがにからくりなどというインチキなテーマは二年が限界だったようで、昨年からは隠街道市という名称になってことしが二回目。

以前にも記したとおり、昨年の主催団体は名張まちなか再生委員会、ことしは名張地区まちづくり推進協議会である。きのうの講演では、スケッチブックの15ページを示しながら、この漢字を「なばり」と読ませて喜んでるような、身内だけ寄り集まったようなご町内感覚で仕切られてるコミュニティイベントなんてろくなもんじゃねーぞ、と主催団体を厳しくおちょくっておいた。

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日が暮れて、午後6時。中町のかみ六で、仮称「乱歩と名張」という団体の旗揚げの会合。そのまえに、名張古町を考える会の会長さんの店に寄り、お駄賃の缶ビールを受けとった。会長さんのもとには、なかばで終了となったきょうの講演会の後半はいつ開催されるのか、との問い合わせがあったそうである。

そのあと、きのうの夜のできごとを記すのは、たぶんあしたの朝のことになる。
11月3日、隠街道市初日。

名張古町を考える会主催の講演会で講師をつとめるべく、名張市総合福祉センターふれあいに足を運ぶと、こんなチラシが配布されていた。ばかだなあ名張市。

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細川邸あらためやなせ宿が来春オープンするというチラシなのであるが、ごらんいただいたとおり、やなせ宿がなんのための施設かという説明はどこにもない。せいぜい、「交流の場」ということばが印刷されているだけの話である。よくもこんなチラシが配れたものである。

せっかくだから、講演のマクラとしてこのチラシを紹介し、ついでだから10月17日に提出された名張市考査委員会による中心市街地活性化事業の評価も説明して、名張市はばかなのであるという事実をあきらかにしておいた。ばかだなあ名張市。
隠街道市の開幕を告げて、けさの新聞にチラシが折り込まれていた。その一部分。

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えーっと、チラシの左肩にみえる写真は、地域の名門三重県立名張高等学校がことし1月に発行した「名張まちなかナビ」、あの表紙に使用された写真とそっくりなのであるが、まあそんなことはどうだってかまわない。

「名張まちなかナビ2.0」のほうは、きのう伊賀市に赴き、つぎのふたつのポイントで配布をお願いしてきた。
  • 伊賀県民センター
  • 田楽座わかや
ところで、「名張まちなかナビ2.0」は、こんな感じ。三つ折りを開いたところ、おもてがわ。

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うちがわ。

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きょうとあしたの隠街道市では、インフォメーションセンターで配布してもらうほか、名張古町を考える会、という団体の加盟店にも置いてもらう。店舗はつぎのとおり。
  • 福田(茶)本店
  • ぎゃらり〜伊勢丈
  • 北佐味街道
  • 田中余以徳斉薬局
  • 丸福精肉店
  • もりわき・たんと
  • はなびし庵
  • カドキ紙店
  • ヲワリヤ
  • 吉野屋豆腐店
  • かみ六
  • 奥矢静華堂
  • 大和屋
  • 大為
  • 木屋正酒造
  • 清風亭
  • 北村酒造
そのほか、名張藤堂家邸跡、近鉄名張駅、それから、きょうバザーが催される日本キリスト教団名張教会、そんなあたりをこれからまわり、配達してくる予定である。

きょう午後2時から記念講演がおこなわれる名張市総合福祉センターふれあいでも、当然ながら受付で配布する。入場者はせいぜい二十人くらいなものであろう。できることならば、名張まちなかが直面している危機に警鐘を鳴らすため、大河漫才「僕の住民監査請求」のコピーも配りたいと考えたのだが、コピーをとっている余裕がないため断念した。

ところで、きょう11月3日は、江戸川乱歩生誕地碑建立五十二周年の記念日にあたる。このめでたい日を期して、仮称「乱歩と名張」という団体を旗揚げすることにした。結成総会、というほどたいそうなものではないが、本日午後6時から初会合を開く。会場は、中町にあるうどん屋さん、かみ六。興味がおありの方は、ちょっとのぞいてくださいな。

なんか忙しい。くわしいことはまたあした。
あす11月3日、隠街道市の開幕にあわせて、地域の名門名張高校謹製の「名張まちなかナビ2.0」が発行される。

きのう午後、名張市役所に足を運んで、関係セクションに配達してきた。
  • 産業部商工観光室      10部
  • 都市環境部市街地整備推進室 10部
  • 企画財政部総合企画政策室  10部
  • 生活環境部まちづくり推進室 20部
このほか、市役所を訪れた市民に持ち帰ってもらうため、案内窓口に100部。

まちづくり推進室は、なぞがたりなばり講演会の担当セクションである。今年は11月24日に開かれ、講師は北森鴻さん、テーマは「旅とミステリー」。その会場でも、「名張まちなかナビ2.0」を配布してもらえることになった。

名張市公式サイト:第17回なぞがたりなばり 北森鴻の旅とミステリー 〜乱歩と香菜里屋の不思議な邂逅〜

市街地整備推進室は、名張まちなか再生プランの担当セクションである。事務局スタッフからプランの話を聞いてきたのだが、もう笑うしかなかった。いつのまにか、まちなか再生委員会の専門部会として、まちなか運営協議会というのができているらしい。何を協議するのかというと、もちろん細川邸の運営についてである。細川邸の運営は、NPOなばりとやらによって検討されることになっていたはずなのであるが、NPOなばりはどうやら機能不全におちいっているような印象である。で、結局のところ、来年4月にやなせ宿としてオープンする細川邸の運営にかんしては、何も決まっていないとのことである。笑うしかない。大笑いした。

ミステリー文庫のことも訊いていた。2005年12月7日、朝日新聞大阪本社版のコラム「青鉛筆」に、こんなふうにとりあげられていたあれである。

   
▽推理小説の生みの親、江戸川乱歩の生誕地である三重県名張市は5日、古今東西の推理小説を一堂に集めた「ミステリー文庫」を設置する方針を明らかにした。
▽同市は、乱歩に関する街おこし事業が盛ん。08年までに完成させる予定で、市立図書館の乱歩関係の蔵書約千冊を移し、寄贈も受け付けるという。
▽「全国の推理小説ファンの集まる場に」と同市。しかし、具体的な運営方法や設置場所は未定だ。行政側の思惑通りにいくか、それもまた「ミステリー」。

ここまで大風呂敷をひろげたのだから、細川邸のどこかにミステリー文庫を開設することになるのであろう、とのことであったが、あと五か月たらずでオープンというこの時期にいたってなお、具体的なことは何も決まっていないという。ただまあ、容易に推測されるのは、乱歩作品やミステリーはおろか、ろくに本を読む習慣もないような連中が、ミステリー文庫の管理運営を担当することになるのであろうなということである。そんなばかな話はない。そんな程度の悪い連中に、名張市立図書館が全国のミステリーファンからご寄贈いただいた貴重な蔵書をゆだねることはできない。できるわけがない。あたりまえではないか。事務局スタッフにはそのように伝えてきた。そんなことしたら名張市の見識が疑われてしまうではないか。しかし、疑われる疑われない以前に、名張市には見識なんてないのだからなあ。

ついでだから、名張市考査委員会の担当セクションにも行ってきた。あれは何室ということになるのか、市政一新がどうのこうのという看板のかかった部屋に入って尋ねると、そこが担当セクションであった。10月30日付エントリ「隠街道市無政府状態」へのコメントで、市街地整備関連事業の評価について教えてくださった方があるのだが、その確認というか、裏を取るというか、今月17日に考査委員会から提出された「名張市事務事業評価報告書」の関連箇所を見せてもらってきた。内容はコメントでお知らせいただいたところとおなじであるが、報告書から引用しておく。

   
シートNO.
4022

事務事業名
中心市街地活性化事業

総合評価
継続(事務改善)

主な意見
・「まちなか再生委員会」の位置づけが不明確であり、責任主体の明確化が必要である。
・指定管理者の導入は公募を前提とすべきであり、NPO法人への特命は望ましくない。
・計画が楽観論過ぎるので、組織、権利関係を明確にするため、条例の担保が必要である。
・ワークショップとしての位置づけを明確にし、事業決定権は市長にあることを明らかにする必要がある。

この報告書の内容は、11月中旬、名張市公式サイトで公開されるそうである。
「広報なばり」10月4週号の3ページ。名張地区まちづくり推進協議会が主催する隠街道市の予告記事が掲載されている。「記念公演」とあるのはもちろん「記念講演」の誤変換が校正の眼をまぬがれたものだが、そんな些細なことはどうだってかまわない。
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名張市公式サイト:広報なばり10月4週号3ページ(pdf)

ごらんいただいたとおり、記念講演で信じられないことが起きている。4日におこなわれる藤田達生さんの講演のことではない。3日の講演のことである。隠街道市で記念講演が催されるとした場合、その講師にもっともふさわしくない人間が講師をつとめるのである。

主催団体である名張地区まちづくり推進協議会にとって、あるいは昨年度の主催団体でありことしも協力団体に名をつらねている名張まちなか再生委員会にとって、身を挺してでもその登壇を阻止しなければならぬはずの人間が、堂々と記念講演の壇上に立つのである。

なーにが隠街道市だ、ちゃらいコミュニティイベントかましたくらいで名張まちなかの再生でございますとか適当なことほざいてんじゃねーぞこのうすらばか、と公言してはばからぬ人間が記念講演をおこなうのである。わっはっは。いったい何がどうなっているのか。

要するに、多様な主体の協働がどうのこうのと利いたふうなお題目をかかげやがってあんぽんたん、実際には理念を共有することもなければ、統一的な視点もなく横の連絡もなく、てんでんばらばらな思いつきでご町内の親睦行事を寄せ集めてくるばかり、しかも誰ひとり責任というものをもとうとしないから、結果として信じられないようなことが起きてしまうのである。

とかなんとか書いてる暇があるのなら、3日の講演の仕込みをしなければならぬ。中町のカドキ紙店で購入してきたスケッチブックを小道具にするのだが、まだどのページもきれいに白紙のままである。3日といえば、あさってではないか。

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