忍者ブログ
三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
[67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

何やってんだか自分でもよくわからなくなってきたのであるが、とにかくおとといのつづきである。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成17・2005年第315回(3月)定例会。

   
P.277 ◆ 議員(山村博亮)

これは、中心市街地活性化事業、歴史資料館の実施計画、設計等と、このような中でいわゆるワークショップの中でもいろんなところの整備ということで言われるわけですけれども、この事業を10年間かけてすばらしい効果のある顔づくりをつくっていくというのが、市長のねらい目でもなかろうかなとこのように感じているわけでございますけれども、さしずめできる事業とできない事業とこういうところもございますし、早急にできる事業といえば、当然設計等に書かれておりますように、歴史資料館の問題があるとこのように思います。といいますのは、新町の細川邸の問題も非常に協力的でございますし、まして桝田病院の江戸川乱歩の生誕の地の裏の病室の一角を名張市に寄贈をしていただいたとこういう経緯もあります。そんな中で、うまくそれを整合しながら歴史資料館をハード事業の一つとして推進をしていただけたら非常にありがたいとこのように感じております。その点について、市長の方からの見解もお願いいたします。

P.279 ◎ 市長(亀井利克)

そのような中で、細川邸の活用、あるいはまた桝田病院さんからご寄贈いただいた第2病棟とか、この活用については大きなインパクトを与える部門であるというふうに思っているわけでございます。細川邸につきましては、歴史資料館としての活用のほかにさまざまなイベント等も今も行っていただいているわけでございますので、そういうイベント、市民の交流の施設としての活用も考えていきたいというふうに思ってございますし、また第2病棟につきましては、ご寄贈いただいた桝田さんの方からは乱歩の関連のまちづくりに役立ててほしいと、こういうことのお申し出がございますので、それに沿った整備をしていかなければならないというふうに思ってます。
………………
これは地産地消であったり、農業振興のためにもぜひ必要なものやと思っておりまして、具体的にこれから検討していくことといたしているところでございます。新町橋から鍛冶町橋の空間というのは非常に風情のある、いい空間でございます。ですので、京都の鴨川まではいきませんけども、夏は将棋なんかを並べてあそこで生ビールとか、そういうものをいただくとか、おでんとか、そんなことも計画していったらどうかと、地域の方々とそういう相談も、そしてまた細川邸と一体的に使っていくとか、そういうことも含めて検討していってはどうかというふうに思ってございます。

第318回(12月)定例会。

   
P.158 ◆ 議員(永岡禎)

少し説明させていただきますと、まず歴史拠点整備プロジェクトでは、細川邸や桝田病院第2病棟の整備方針や維持管理、運営方法等の検討が進められております。水辺拠点整備プロジェクトでは、城下川等の環境整備方針等の検討が行われております。また、交流拠点整備プロジェクトでは、名張地区に人が集まり、にぎわいや交流を生むソフトや交流イベントが検討されております。生活拠点整備プロジェクトでは、まちなか研究室の具体化活動を軸に、皇學館大学とともに連携し、取り組みがなされております。そして最後に、歩行者空間整備プロジェクトでは、皆さんもご存じだったと思いますが、10月16日、11月3日の両日、まちなかサイン案内システム社会実験の実施等を行い、アンケート等をもとに研究が進められているわけであります。各整備プロジェクトごとに、まちなか再生に向けた取り組みが、先ほど述べましたが、多くのメンバー参加の中、進められているわけであります。
………………
1点目は、歴史拠点整備プロジェクトにおける細川邸の整備であります。

   
P.163 ◎ 市長(亀井利克)

まちなか再生プラン前期に当たる平成20年度までに取り組む事業として、細川邸の活用や江戸川乱歩生誕地碑周辺整備など、歴史、文化の薫りを生かした交流拠点の整備や城下川周辺整備や名張駅西トイレ改修、公共サインの整備などを重点的に取り組んでいくため、事業費としてはおおむね3億円程度を見込んでおります。
………………
ご質問いただきました細川邸の整備につきまして、本年度は老朽部分の解体と実施計画などを行う予定であり、施設整備につきましては平成18年度を予定しております。基本的な考え方は、まちなか再生プランにありますように、既存の建物を極力生かし、市民の交流の場として利用方法を工夫し、また整備後の管理運営につきましては、そのための検討組織を設置し、公設民営として継続的かつ円滑に進めてまいりたいと考えております。

   
P.167 ◆ 議員(永岡禎)

それと、細川邸の部分についても、この部分でやっていくということですので、どれぐらいの予算を使うという部分をやはり明確に、各プロジェクトの方に説明をしていってやってほしいと思います。

「細川邸」という語が出てくる段落だけを引用しているため、前後の文脈がわからなくて意味不明、というところもあるのだが、それでもどうってことないと思う。
エントリを改めて、さらに平成17・2005年。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成17・2005年第315回(3月)定例会。

   
P.277 ◆ 議員(山村博亮)

これは、中心市街地活性化事業、歴史資料館の実施計画、設計等と、このような中でいわゆるワークショップの中でもいろんなところの整備ということで言われるわけですけれども、この事業を10年間かけてすばらしい効果のある顔づくりをつくっていくというのが、市長のねらい目でもなかろうかなとこのように感じているわけでございますけれども、さしずめできる事業とできない事業とこういうところもございますし、早急にできる事業といえば、当然設計等に書かれておりますように、歴史資料館の問題があるとこのように思います。といいますのは、新町の細川邸の問題も非常に協力的でございますし、まして桝田病院の江戸川乱歩の生誕の地の裏の病室の一角を名張市に寄贈をしていただいたとこういう経緯もあります。そんな中で、うまくそれを整合しながら歴史資料館をハード事業の一つとして推進をしていただけたら非常にありがたいとこのように感じております。その点について、市長の方からの見解もお願いいたします。

   
P.279 ◎ 市長(亀井利克)

そのような中で、細川邸の活用、あるいはまた桝田病院さんからご寄贈いただいた第2病棟とか、この活用については大きなインパクトを与える部門であるというふうに思っているわけでございます。細川邸につきましては、歴史資料館としての活用のほかにさまざまなイベント等も今も行っていただいているわけでございますので、そういうイベント、市民の交流の施設としての活用も考えていきたいというふうに思ってございますし、また第2病棟につきましては、ご寄贈いただいた桝田さんの方からは乱歩の関連のまちづくりに役立ててほしいと、こういうことのお申し出がございますので、それに沿った整備をしていかなければならないというふうに思ってます。
そんな中で、私も乱歩関連の施設につきまして鳥羽の資料館へも見に行ってきたわけでございますけれども、やはりできる限り現状の建物を生かした、そんな整備が風情があっていいのではないかというふうに思ってございまして、この整備手法等にも今までにない、専門家がその図面をかいてということではなくして、今までずっとこれに携わってきていただいてきた方々の意見も聞きながら、その整備手法等も検討をしていきたいなというふうに思ってもございますし、その整備もその方々に専門家の方もいっぱいいらっしゃるわけですので、その方々にやっていただいてもどうかなと、予算を出させていただいてですよ。そういうこともどうかなというふうにも思わせていただいているところでございます。

第318回(12月)定例会。

   
P.69 ◆ 議員(田合豪)

江戸川乱歩を通じながら怪人二十面相ということで名張は一つの売りにしているわけではございますけれども、私は第2の江戸川乱歩をこの名張から輩出するぐらいのつもりで人材の育成に関して力を入れていくべきときではないのかなと、そのように考えております。市長のお考えをお伺いしたいと思います。人材育成に関して力を入れていくべきではないのかという考えに関して質問をさせていただきたいと思います。

   
P.75 ◎ 市長(亀井利克)

そうした生涯学習によるまちづくり、人づくりの観点とあわせて、ただいま議員からは、江戸川乱歩生誕の地として知られる名張市の都市イメージをさらに高め、地域の活性化に役立つような、第2の乱歩を育成してはどうかというご所見もございました。
………………
今、旧町の活性化、まちなか再生の取り組みの中で、その議員ご所見の乱歩に関する、そういうミステリーの本ばかりを集めたそういう文庫というか、図書館の分館というか、そういうものの発想も描いていただいてるところでございまして、私ども大いにそれについては、整備については支援をしていきたいと、こんなふうにも思わせていただいてるところでございます。

   
P.79 ◆ 議員(田合豪)

さっき言ってたように、例えば小説家とか漫画家、そういうものを私も旧町のウナギの寝床と言われてる長屋のところに、例えば共同で住まいさせたらええという案を持ってます。それはどうしてかというと、やっぱり旧町というのが、江戸川乱歩もあって、文化のにおいのする町に私はひとつ魅力のある地域に変わっていってほしいのと、そのときに、そういう創作活動をしている若者が、旧町のウサギの寝床のような建物の中で、木造の建物の中で……。ウナギですね、済いません。ウナギの寝床の中で、そういう創作活動をしている者を、例えば名張市内の小学生とか中学生が見たり、またいろいろ市外から来られた観光客がやはりそういうのを見ていく。それプラスさっき言いましたように、創作でつくられたものを世に出す作業を名張市が手伝うたる。

うーん。寝言か?

さてこの年、きのうも写真を掲げたが、こんなことがあった。名張市における乱歩なるものの劣化を象徴するようなシーンである。

20080313a.jpg

名張市観光協会の要請を受けた名張市議会議員二十人のみなさんが、最高気温34.5度とあの夏もっとも暑かった7月15日の大阪は道頓堀にくり出し、怪人二十面相に扮して名張市の観光PRに文字どおり汗を流してくださったのであった。

メディアの報道でそれを知り、あちゃー、と思って、名張市役所の議会事務局にメールを出した。

   
どうもお世話さまです。市立図書館乱歩資料担当嘱託の中と申します。

さて、名張市議会議員のみなさんが先般、大阪の道頓堀で怪人二十面相に扮して名張市の観光PRにご尽力いただきました由、メディアを通じて知りました。議員としての献身的なご活動に、頭の下がる思いがいたします。まずひとこと、議員各位にお礼を申しあげる次第です。

さて、議員のみなさんそれぞれにご多用のところ、まことに恐縮ではございますが、折り入ってお聞き届けいただきたい儀がありますので、その旨をまとめた添付ファイルをお送りいたします。簡単に申しあげれば、「名張市議会議員のための乱歩講座」を開催していただけないかというお願いです。

このお願いは、議会事務局の一存で諾否を決定できるものではなく、また議長の専権事項でもないと判断される次第ですので、できれば議員全員のみなさんに添付ファイルをお読みいただき、よろしくご英断をたまわりますよう願いあげます。

指図めいたことを申しあげますが、「名張市議会議員のための乱歩講座」を開いていただけるのかどうか、名張市議会としてのご判断をメールでお知らせいただきますよう、勝手ながらお願いいたします。

なお、このメールの内容は当方のホームページで公開いたします。ご回答も同様に公開させていただきたく、あらかじめご了解をお願いする次第ですが、もしも公開に差し支えがある場合は、その旨お知らせいただければ非公開といたします。

2005/07/20

添付ファイルの内容がこれ。

   
乱歩講座開催について
            
わたしは、名張市立図書館の乱歩資料担当嘱託の、中という者です。ちょっとお願いしたいことがありますので、この書面でお伝えすることにしました。
            
先日、インターネットの新聞などで、名張市観光協会の観光キャンペーンに、名張市議会議員の先生がたが協力され、怪人二十面相のかっこうで、大阪の道頓堀で、七月十五日に、名張のことをPRされたことを、わたしは知りました。そのときには、
            
(市議会議員のヒトもたいへんだ。こんなことは、むかしは、チンドン屋がやったものだが……)
            
と思いましたが、そのうち(あ、市議会議員の先生がたによけいなことをさせてしまって……)と反省する気持ちになってきました。(暑いし……)七月十五日はとても暑い日でしたので、そんな日に怪人二十面相の黒づくめのかっこうで、ヒートアイランドである都会の繁華街を行進するのは、並大抵の覚悟ではできないことです。
            
そう思ってインターネットの新聞の写真を見ると、先生がたの黒いマントの下は黒の半そでシャツだったので、(こ、これはクールビズだ)さすがだなという思いと、(よし、これならいいぞ、クールビズなら少しは涼しかっただろう)ホッとする思いが心に生まれました。
            
そう思うと同時に、わたしは、自分を責める気持ちが強まってきました。これはボクが役立たずだからではないか。誰かに「おまえは役立たずだから、もう図書館の嘱託なんかやめてしまえ」と云われているような気がして、(よし、それじゃいいや、それじゃァ)と自分に対して腹が立ってきました。
            
わたしは、名張市民の税金から、月々、乱歩のことで手当をもらっているので、もしも怪人二十面相のかっこうで大阪へPRに行くのなら、それはボクの役目だろうというのは子供でもわかることだろうに、乱歩には関係ない市議会議員の先生に、こんなことをさせてしまって、わたしは申しわけない気分でいっぱいです。
            
そこでわたしは考えたのですが、(なんとかして、先生がたの、お役に立ちたい。それには、それには……)やはり図書館嘱託としてまっとうな道を歩むのがいいだろう。(そうだ)もしかしたら先生がたは、乱歩と名張の関係をよく知らないかもしれないではないか。
            
もしも大阪まで行って、大阪市民に乱歩のことを質問されたら、先生がたはどう答えるのだろう。
            
大阪市民「乱歩て誰やねん」
名張市議「探偵小説書いた人ですわな」
大阪市民「名張に何の関係があるねん」
名張市議「名張は乱歩の生誕地ですわな」
大阪市民「いつ生まれてん」
名張市議「そこそこ昔ですやろな」
大阪市民「いつごろまで名張に住んどってん」
名張市議「たいしたことはおまへんわな」
大阪市民「せやからいつまでやねん」
名張市議「やっぱりそこそこやったんちゃいまんのか」
大阪市民「ちゃいまんのかて俺に聞かれたかて知らんがな」
名張市議「まあそこそこゆうことで間違いはないやろなと」
大阪市民「おまえはそこそこゆう言葉しか知らんのか」
名張市議「……」
大阪市民「どやねん」
名張市議「ばんざーい」
大阪市民「なんやねん」
名張市議「阪神タイガースばんざーい」
大阪市民「なんでこんなとこでばんざいやねん」
名張市議「ほんまによろしおましたな井川がオールスターの監督推薦に選ばれんで」
大阪市民「そらまあその点に関しては岡田もラッキーやった思てよるやろ」
名張市議「下柳は死ぬほどタフですしな」
大阪市民「はっきりゆうてあいつ見殺しにしたら阪神ファンは黙ってないからね実際の話」
名張市議「阪神タイガースぱんざーい。岡田監督ばんざーい」
大阪市民「こいつだけはほんまもんやな」
            
こんなことでゴマカシができるとは、わたしにはとても考えられません。ですから、名張市議会議員の先生がたには、怪人二十面相のかっこうでチンドン屋の役目を果たしていただくのならば、よその人から質問されたときのためにも、それから、自分たちがどうして二十面相のかっこうをしているのか、そのもともとの理由を確認しておくためにも、やはり乱歩と名張の関係を、最低限のところだけでも知っておいてもらいたいと思います。
            
もちろん、先生がたに乱歩作品を読まれてしまっては、わたしはちょっと困るかもしれません。先生がたは公序良俗の世界で生きている人びとであり、市民の負託を受けたえらい人たちなのだから、乱歩の小説を読んだらもしかしたら怒り出すかもしれない。そのうえ、わたしのことを責めるかもしれない。
            
「あいつは、こんな小説を書く作家のことで、よくもぬけぬけと手当をもらっていやがるのか」
            
そんなことを云われても、わたしは自分から進んで図書館の嘱託になったわけではなく、向こうから頼まれたから、犠牲にできるすべてのことを犠牲にして、嘱託として努めてきたというのに、そんなことを云われるのはとても心外だ。こんなことなら、(最初から嘱託なんか……)嘱託なんかにならなければよかったのに、と思います。ですから乱歩の小説は、先生がたに読んでもらう必要はないのですが、乱歩のことくらいは知っておいてもらいたいと考えるものです。
            
ここで、名張市民の考えを、想定の範囲内で集約してみると、どんな考え方があるでしょうか。
            
考え方その一「名張市議会議員だからといって、乱歩と名張の関係を知っている必要はない。何も知らないまま、怪人二十面相のかっこうをして名張をPRすればいいのだ」
            
考え方その二「怪人二十面相のかっこうをしてよその土地へ名張をPRしにゆくのだから、乱歩と名張に関する最低限の知識は必要だ。そんなこともわからんのか」
            
考え方その三「そんなことどうでもよくね? ていうかうちも名張市民だけど名張とか乱歩とか議会とかあんまり興味ないしー」
            
考え方その四「はしもとー、生き返ってくれよー」
            
こんな感じになるでしょうか。わたしは、二番目の考えをもつ市民がいちばん多いだろうと予想しています。三番目と四番目の市民の考え方は、ちょっと(バカなのかな……)いただけません。
            
そこでわたしは、市議会の先生がたのご賛同をいただいて、「名張市議会議員のための乱歩講座」を開いていただき、そこでわたしが講師を務め、市立図書館嘱託として乱歩と名張のことを先生がたにお知らせして、今後の議員活動に役立てていただければ、わたしは(あ、市議会議員の先生がたによけいなことをさせてしまって……)という自分の罪の意識から逃れられるのではないでしょうか。
            
ところが、議員の先生がたのなかには、「乱歩のことは議員個々が、それぞれに勉強すればいいではないか。何も図書館の嘱託風情が出しゃばる必要はない。この嘱託は思いあがっているな」と云う先生も出てくるかもしれないから、わたしはかなり心配なのですが、一時間か二時間、先生がたに乱歩と名張について話をする機会を設けてもらえれば、わたしは一世一代の名講義をするのだがなあ。
            
さて、長々と記してまいりましたが、「名張市議会議員のための乱歩講座」の開催を重ねてお願い申しあげます。具体的な日程はともかくとして、開催の方向で前向きにご検討いただけるのかどうか、ご協議の結果を事務局を通じてわたしあてにお知らせいただければありがたく思います。
            
暑さのおりから、御身くれぐれも御大切になさいまして、市民のための議員活動に頑張ってくださいますよう、末筆ながらお祈りいたします。
            
平成十七年七月二十日

文中、「はしもとー、生き返ってくれよー」というのは、この年7月11日にプロレスラー橋本真也が急逝したことを受けたものなのであるが、いまとなってはなんのことやらさっぱりわからない。ともあれこの添付ファイル、文体的には深沢七郎風味を意図していたので、メールをうけとった議会事務局スタッフは、あ、きちがいからメールが届いた、と思ったかもしれない。しかし、このきちがいはほっといたら何をするかわからんからな、とも思っていただけたのであろうか。関係各位のご尽力とご高配のおかげをもって、市議会議員の先生がたを対象にした乱歩講座が8月8日に実現した。じつにありがたいことであった。

そういえば、僭越ながら出欠表なんてのもウェブサイト名張人外境で公開したものであった。きゃはは。転載しておく。

名張市議会議員の先生方のための乱歩講座ご出欠一覧
  氏名 期数 会派 党派 出欠
議長 柳生大輔 4期 ききょう会 民主党
副議長 中川敬三 2期 清風クラブ 無所属  
  田合豪 1期 無所属 無所属
吉住美智子 1期 公明党 公明党  
石井政 1期 公明党 公明党
小田俊朗 1期 日本共産党 日本共産党
宮下健 1期 清風クラブ 無所属
永岡禎 2期 ききょう会 無所属
福田博行 2期 清風クラブ 無所属
上村博美 2期 ききょう会 無所属  
藤島幸子 2期 公明党 公明党
松崎勉 2期 ききょう会 無所属  
梶田淑子 2期 ききょう会 無所属  
田郷誠之助 2期 無所属 無所属
樫本勝久 3期 清風クラブ 無所属
橋本隆雄 3期 清風クラブ 無所属
橋本マサ子 4期 日本共産党 日本共産党
和田真由美 4期 日本共産党 日本共産党
山下松一 5期 清風クラブ 無所属
山村博亮 6期 ききょう会 無所属  
敬称は略させていただきましたッ。

きゃはは。
平成17・2005年。

この年のたしか1月、名張まちなか再生プランの素案が発表された。そんなプランの策定が進められていたことはまったく知らなかった。2月18日、名張市議会の重要施策調査特別委員会が開かれたのだが、議案のひとつに「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」というのがあった。桝田医院第二病棟のことはプランにどう盛りこまれているのか、桝田先生のご遺族と名張市との橋渡しを務めた人間として、気にならないわけがない。傍聴に足を運んだ。

特別委員会の会議録は名張市公式サイトでは閲覧できないらしいので、ウェブサイト名張人外境に記したところを引く。いうならば傍聴記である。

    
●2月19日(土)

昨18日、名張市議会の重要施策調査特別委員会が開会されました。名のとおり市の重要施策をテーマとした委員会で、市議会議員全員すなわち二十人で構成されています。午前十時から名張市役所二階の特別委員会室で開かれました。開会前に議員控え室の前を通りかかったところ、田郷誠之助議員(無所属)とばったり。田郷先生は議案書を取り出して眼を通しながら、

「ははあ、これですか。名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」

この日の議案は十件ありましたが、委員報酬について、名張市地域福祉計画(案)について、「くにつふるさと館」の開設について、はたまた、(仮称)名張ふれあいスポーツプラザ事業計画の概要について、新消防庁舎・防災センターの建設位置について、といったものには私はまったく関心がなく、田郷先生お見通しのとおり五番目に掲げられた「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」という議案の審議を傍聴するべく、朝とても早く起きてお仕事を片づけてから名張市役所に駆けつけた次第でした。

午前十時の開会が近づくと、議員が特別委員会室に向かいます。顔見知りの梶田淑子議員(ききょう会)や上村博美議員(ききょう会)に挨拶しながら(この上村議員というのは私の従兄弟で、近く慶事を控えているのですが、私は愛知県に赴く用事があるからとそのセレモニーへの出席を断ってしまい、むろんまさか昭和食堂へ行く用事があるからとはいえぬわけですが、とにかくなんだかなあ)、私も議場に入りました。傍聴席には記者クラブの面々も着席し、やがて委員会が始まります。私は持参した文庫本を読み始めました。

正午前、私は文庫本を読み終えました。いやまいったな。持参したのは堀田善衞『ミシェル 城館の人』全三冊(集英社文庫)の第一部なのですが、つづきの第二分冊までは持参しておりません。議題はまだ三番目、つまりお目当ての「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」が審議されるのは午後ということになり、まだしばらくは本を読んで時間を潰すことが必要になります。やがて柳生大輔議長(ききょう会)が休憩を宣言し、お昼休みとなりました。

私は名張市役所前の笑いめしという店で昼食を食べ(お会計のほうは五百十円でした)、そのあと市役所裏の別所書店新名張店に入って本を物色してみたのですが、こんなときに限ってこれはというものが見つからず、江戸川乱歩全集第25巻『鬼の言葉』(光文社文庫)と有栖川有栖さんの『作家の犯行現場』(新潮文庫)を購入して市役所に戻りました。午後一時、委員会が再開され、私は傍聴席で『鬼の言葉』と『作家の犯行現場』をぱらぱら眺めましたが、審議はいやでも耳に入ってきます。

いやはやなんともそれにしても、名張市議会を傍聴するのはじつに久方ぶりのことであり、しかも特別委員会の傍聴はきのうが初めてであったわけなのですが、顔ぶれは変われど名張市議会の皆さんは相も変わらず程度がおよろしくないようです。こんな連中が議員だ何だと偉そうにしてやがるのか、おまえら一度ものの道理というものを教えてやるから名張市立図書館まで来いこら、と怒鳴りつけてやったらどんなにせいせいするだろうと思いながら、私は「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」の審議に耳を傾けました。

このプランについては2月10日の産業建設委員会で検討が行われたとのことで、まずその結果が同委員会の永岡禎委員長(ききょう会)から報告されました。報告は三点にわたったのですが、たいしたことではありませんから省くこととして、しかしひとつだけお知らせいたしておきますと、名張旧町地区を十年で再生するというこのプランの財政規模は八億円程度、国のまちづくり交付金でその四〇%が措置される見込みだといいます。

さて問題の「名張まちなか再生プラン」(案)ですが、私はこのプランに関して1月21日付伝言で次のように記しました。

  
 この「まちなか再生プラン」(仮称)、まだ正式には公表されておりませんから内容についてあれこれ申しあげることはできないのですが、不本意ながら不備を指摘せざるを得ないプランではないかと思われます。大きな不備はおそらくふたつあり、ひとつ は既成市街地をどのような「まちなか」にしたいのかという総合的な視点が欠落していること、もうひとつは既成市街地の「再生」に生活という発想が存在していないことであろうと思われます。計画の中身も確認しないでこんなことを指摘するのは差し控えるべきではありますけれど、計画を策定したのが「公募した市民や名張商工会議所の関係者ら四十九人」だというのですから、たいしたことはまったく期待できないにちがいありません。

で昨日、委員会における名張市側の説明を聞き、あとでA4サイズ三十三ページにおよぶプリントを入手してぼーっと眺めてみたのですが、自分の懸念が現実のものになってしまったことを私は実感いたしました。細かいツッコミを入れるべきところは無数にあるのですが(もとよりプランというものはそういうものであって、ツッコミの入れどころのないプランなんて存在しないわけですが)、ここではおもに細川邸の活用法に限定して話を進めたいと思います。細川邸は名張市新町、乱歩の生家跡からもほど近い場所に残る旧家で、歴史資料館として活用することが検討されています。

しかし私は歴史資料館という発想にはまったく賛同できず、2月14日付伝言でも「何が歴史資料館だ。だいたいが歴史のことなどまったく知らず、そもそも歴史に関心すらない人間に限ってこんなことをおっしゃいますから片腹痛い」と記した次第なのですが、この日の重要施策調査特別委員会ではそうした片腹痛さを文字どおり痛感させられる仕儀となってしまいました。

ある議員が歴史資料館に関して発言し、名張市内に残る美旗古墳群という遺跡に言及したときのことです。美旗古墳群を観光資源として活用してはどうかとの指摘がなされたのですが、そんなことは昭和53年、美旗古墳群が国史跡に指定されたのを機にひととおり検討されたはずで、しかしこの先生はそうした経緯もご存じなく、美旗古墳群についても一知半解の知識しか持ち合わせていらっしゃらないのだろうなと思いながらさらに耳を傾けておりますとさあ大変、この先生は江戸時代が中世であるとおっしゃるではありませんか。私は耳を疑いましたが、先生が同じことをもう一度きっぱりと断言してくれましたので耳に対する疑いは晴れました。

いやまいった、と私は頭を抱えました。むろん市議会議員が無教養であっても別にかまいはしないのですが、というか無教養な人間が議員になれないのであればこの国には議員と名のつく人間などほとんど存在しないことになってしまうはずなのですが、それにしたって江戸時代は中世であるなどという認識に基づいて歴史資料館を論じていただいては困ってしまいます。いかんいかん。こんなことではいかんではないか。名張市議会いかがなものか。

じゃから最初っからゆうとろーが。そこらのうすらばか何十人と寄せ集めてプランを策定してみたところで、そんなものはろくなもんじゃありせんぞと最初っからゆうとろーが。そうじゃろーが。

    
●2月20日(日)

いやはやほんとにいかがなものかと眩暈に似た感動すら覚えてしまうわれらが名張市議会なのですが、18日に開かれた重要施策調査特別委員会における「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」の審議の模様をひきつづきお伝えいたしましょう。

まず驚いたのは、「名張まちなか再生プラン」(案)に盛り込まれた歴史資料館たらいう愚劣な構想がまったく無批判に受け容れられていたことです。そんなことでいいのか名張市議会。歴史資料館なんてものつくったからといって名張のまちに人が押し寄せてくるはずがなく、そもそもいったい何を展示するのかといったことを私はこのところ連日主張している次第なのですが、名張市議会には歴史資料館というハコモノに対する無根拠な盲信、いっそ歴史資料館信仰とでも呼ぶべきものが存在しているようで、そうした信仰に明確な疑問を投げかけたのはわずかにただ一人、福田博行議員(清風クラブ)が、

「歴史資料館をつくったら人が来てくれるというのはまさに行政的発想。点をつけるとしたら三十点」

と発言したのみというていたらくでした。いいぞいいぞ味ふく、と私は心のなかで喝采を送りました。味ふく、といっても何のことやらおわかりにならない方もいらっしゃるでしょうが、あれはいつでしたか神津恭介ファンクラブご一行が名張においでくださったとき、清風亭大宴会のあとの二次会でなだれ込んだところが味ふくでした。といってもまだおわかりにならないでしょうが、先をつづけます。

ではここで、「まちなか再生プラン」(案)の「3.将来地域像とプロジェクトの考え方」のうち「3−1.歴史拠点の整備」の「(3)プロジェクト概要」から「【2】歴史資料館の整備事業」全文を引いてみましょう。

  
名張のまちにひろがりとまとまりが感じられるように、北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します。

だからその名張藤堂家邸跡に閑古鳥が鳴いているではないかというのだ。その点に関する反省もなしに「もうひとつの歴史拠点を」などと気易く口走るな。閑古鳥の鳴く歴史拠点をふたつつくってどんなシナジーを期待するというのだ。ほんとに上っ面だけだなおまえらは。ただ施設をつくればそれでいいとするのはまさしく行政的発想にほかならず、そうした発想から脱却するために外部の人間がプラン策定に携わったはずなのだが、それでも結局のところお役所的発想から抜け出せていないのはどうしたことか。おまえらもしかしたら二〇〇四伊賀びと委員会か。

いやいや、こんな具合にいちいちツッコミを入れていたら話がちっとも進みません。おとなしく先をつづけましょう。

 
初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします。

だからそんなことはするなというのだ。いやいかんいかん。またしてもツッコミを入れてしまいました。どうも相済みません。最初からおとなしく先をつづけましょう。

  
【2】歴史資料館の整備事業(重要度:◎)

名張のまちにひろがりとまとまりが感じられるように、北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します。

初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします。細川邸は円滑な賃貸契約が見込めるほか、平成16年11月の芭蕉 生誕360年祭において旧家の風情を活かした魅力的な歴史資料館になりうること、適切な企画によって集客力が期待できることなどが確認できたので、歴史資 料館にふさわしい建築物と考えます。

老朽化した部分を除却し、町屋の風情を大切にして母屋と蔵を改修します。また、来街する市民の便に配慮して、駐車場、公衆トイレと喫茶コーナーを設置しま す。歴史資料館の主用途は資料の展示ですが、多様な市民ニーズに応えるために物販や飲食などを含む複合的な利用も可能なものとします。なお、歴史資料館の 管理運営は民間が担う公設民営方式とします。

市民に何ども足を運んでもらえる歴史資料館とするために、江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示するほか、市民が関 われる利用方法を工夫します。たとえば、芭蕉生誕360年祭のからくりコンテストのようなイベントで展示した作品、市民文化祭の市の美術展の出品作、個人 や文化サークルなどが作成した作品(例:能面、絵画)を展示したり、小波田地区の「子供狂言」などを招致したり、名張地区以外の市民も参加できる方法が考 えられます。また、庭に面した風格ある和室を冠婚葬祭や茶会など、市民も利用できる方法を検討します。市民が関わることのできる場と機会を提供することに よって、主催者としてあるいは参加者としてさまざまな市民の来館が期待できます。

管理運営を担う民間組織には、リピーターが確保できるような企画運営能力をもつことが期待されます。歴史資料館の立ち上がり期には、地元組織やまちづくり協議会が企画展示や施設管理に協力して、円滑な歴史資料館の管理運営に取り組みます。

ある意味見事だと感心してしまいます。歴史資料館なんてものには何の根拠も必要性もないのだということを、驚くなかれこのプラン自体が実証してくれているからです。歴史資料館の第一の前提となるべき歴史資料に関して、「江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示する」と述べられているに過ぎないのがその証拠。要するにろくな資料がないってことじゃねえか。

2月14日付伝言にも記しましたとおり、もしも歴史資料館をつくるというのであれば「市内にはこれこれこのように貴重な歴史的資料が存在しており、広く一般に公開する必要が認められるにもかかわらずその場がない、つきましては歴史資料館を」と話が進められるのが本来であると思われるのですが、このプランはまったくそうではありません。このプランにはただ、細川邸を何らかの形で活用しなければならないので歴史資料館をつくります、という短絡的でありきたりで無責任な発想しか存在していないように見受けられます。いかんいかん。こんなことではまったくいかん。

じゃから最初っからゆうとろーが。ろくな歴史資料もありゃせんのに歴史資料館つくるなんちゅう話は、とても呑めたもんじゃありゃせんけえと最初っからゆうとろーが。そうじゃろーが。

    
●2月21日(月)

「名張まちなか再生プラン」(案)に盛り込まれた「歴史資料館の整備事業」のお話をつづけますが、噴飯すべきはやはり乱歩の扱いでしょう。「江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示する」というだけなのはいかにも情けない。私はつねづね乱歩を名張市の自己宣伝に利用するのはおおきに結構ですけれど、それならそれでもう少し乱歩のことを知ろうとされてはいかがなものかと関係各位に申しあげてきたわけですが、このプランを策定された方々も乱歩のことは何もご存じないようで、だからいわないこっちゃない。乱歩に関して何の知識も持ち合わせない人間は、怪人二十面相の恰好でそこいら走り回るくらいのことなら考えつけても、名張のまちの再生に乱歩というせっかくの素材、いやさ最強のカードを有効に利用する手だてを考えるなんて段になるとまったくのお手上げになってしまうという寸法です。

それにしても、いったいどこのどなたがこんなプランを策定してくださったのか。「名張まちなか再生プラン」(案)のプリントを眺めてみますと、平成16年6月に名張地区既成市街地再生計画策定委員会が名張市長から「まちなか再生プラン」策定の依頼を受けたことが記されており、委員名簿も掲げられています。その顔ぶれはと見てみると──

委員長 浦山益郎 三重大学工学部教授
副委員長 勝林定義 名張地区まちづくり推進
協議会会長
委員 井内孝太郎 名張青年会議所理事長
岡田かる子 名張市老人クラブ連合会
副会長
岡村信也 名張文化協会理事
川上聰 川の会・名張顧問
辰巳雄哉 名張商工会議所会頭
西博美 名張市社会福祉協議会会長
西川孝雄 国土交通省近畿地方整備局
木津川上流河川事務所所長
早川正美 三重県伊賀県民局局長
福田みゆき 名張市PTA連合会会長
柳生大輔 名張市議会議員
山崎雅章 名張市区長会会長
山村博亮 名張市議会議員


うーむ。いかがなものかいかがなものか。いかがなものか名張地区既成市街地再生計画策定委員会。といっても、私は委員のみなさんそれぞれにおける資質能力知識見識を問題にしているわけではありません。こうした委員会を組織するにあたって関係機関のトップや関係団体のボスをあちらこちらから寄せ集め、それによって市民各層の意見を集約できる態勢が整ったものとする。そんな旧態依然とした手法を名張市が踏襲していることに疑問を感じている次第なのですが、まあここいらの機関団体の顔を立てておかなければ話が始まらないということもあるのでしょう。

それに名張市は、より広く市民の意見を集めて政策に反映させるためのパブリックコメント制度を採用しており、つまりこうした旧弊を補完するシステムも一応整えられているわけです。ちなみに「名張まちなか再生プラン(案)」に関しても、2月21日(きょうのことですが)から3月22日までの期間でパブリックコメントが募集されるそうです。むろん私もコメントを寄せるつもりです。寄せなくてどうする。ばんばん寄せてやるともさ。しかし、かりそめにも市立図書館に籍を置く人間がどうしてこんな制度を利用しなければならないのでしょうか。お役所ってのはほんとに奇々怪々なところなんだなと、あらためて実感される次第です。

それからここでお知らせですが、私は先週中に名張市役所の乱歩記念館担当部署を叱り飛ばしてやるつもりでいたのですが、時間がなかったせいでそれを果たせず、ところが金曜日に名張市議会の重要施策調査特別委員会を傍聴した結果、とりあえずその部署というのが判明いたしました。建設部都市計画室というところらしいです。もっとも、「名張まちなか再生プラン(案)」のパブリックコメントが募集されるということもこの委員会で聞き及びましたので、それならば名張市に対してはとりあえず手厳しくも手厳しいコメントを寄せてやり、そのうえで必要が出てくれば建設部都市計画室を叱り飛ばしてやることにいたします。以上、いささかの方針転換をお知らせしておきます。

さて、「名張まちなか再生プラン」(案)における「歴史資料館の整備事業」、資料館の主目的である資料展示はごくわずかに言及されているのみで(つまりろくな展示品がないわけですが)、そのあとには資料展示以外の利用法があれこれと列記されています。引いてみましょう。

  
市民が関われる利用方法を工夫します。たとえば、芭蕉生誕360年祭のからくりコンテストのようなイベントで展示した作品、市民文化祭の市の美術展の出品作、個人や文化サークルなどが作成した作品(例:能面、絵画)を展示したり、小波田地区の「子供狂言」などを招致したり、名張地区以外の市民も参加できる方法が考えられます。また、庭に面した風格ある和室を冠婚葬祭や茶会など、市民も利用できる方法を検討します。

なんかほんとにいかがなものか。ここに挙げられた展示や上演などの催事はすべて、歴史資料には直接関係ないものばかりです。たとえばそこらの公民館でだって充分できるものばかりではありませんか。そんなものをわざわざ歴史資料館でやらなければならぬ道理がどこにある。まったく困ったものです。

細川邸を歴史資料館として活用しなければならない。かといって歴史資料なんてろくなものがないではないか。こんなことでは資料館つくっても誰も来ないぞ。えーいもう市民に好きなようにつかい回させろ。みたいな感じで、歴史資料館という不動の前提のうえに無思慮な短絡を重ねていった経緯が明瞭に読み取れる気がいたします。要するにこのプランは、主目的の資料展示のみならずそれ以外の利用法という面においても、歴史資料館なんて本当は必要ないのだという事実をしっかり実証してしまっているわけです。歴史資料館は不動の前提なんかでは絶対にあり得ません。そんなものに固着していてどうするの。

じゃから最初っからゆうとろーが。歴史資料館つくりますけえゆうてみたところで、とどのつまり公民館みたいなもんしかようつくらんのじゃろと最初っからゆうとろーが。そうじゃろーが。

   
●2月22日(火)

ある方から、昨日付日本経済新聞のコラム「春秋」に乱歩が登場していた、とメールでお知らせをいただきました。少年探偵団のチンピラ別働隊をマクラとして、地域社会における防犯ネットワークの形成について考察する内容です。

  
春秋(2/21)
    
江戸川乱歩は戦後の作品で、少年探偵団の補完組織として「チンピラ別働隊」を登場させた。モク拾いなどで暮らす戦災孤児たちで、身寄りがない分、深夜出没する怪人20面相を心置きなく追える。過酷な時代が生んだ特異なライフスタイルゆえの起用だ。

▼乱歩没後40年、子供の連れ去りや行きずりの殺傷などが頻発する今、地域の安全・安心確保に素人として一役買うのは地域住民からなる防犯ボランティア団体。その数、全国に3000団体というが、ここでも一種の別働隊が注目される。郵便や新聞配達、ピザや乳酸飲料の宅配など、地域の巡回や家庭訪問を日常的に行う業者グループだ。

日本経済新聞 NIKKEI NET 2005/02/21

記事は「地域貢献などと大上段に構える必要はないが、今や職業人も仕事とコミュニティーの両方を向く『二面相』が求められているのだろう」と結ばれていますが、このところ乱歩はほったらかしでコミュニティにばかり向き合っている私としては、コラムの主張とは関わりのないことなれどなんだかどこかしら耳が痛い感じ。もう少し乱歩のほうを向け、と乱歩ファン各位からお叱りを頂戴したような気分です。

むろん私とて、こうなることはわかっておりました。コミュニティの問題にまともに向き合うのは泥濘に進んで足を踏み入れるようなものであって、まず眼の前に現れるのはお役所という封建時代さながらの旧弊なシステムであり、そこではお役人と呼ばれる人たちが思考停止と責任回避の日々を送っている。眼を転じれば四方八方、コミュニティに無関心でそれゆえ無責任なくせに目先の利得に踊らされて権利ばかりを主張する地域住民がわんさと存在している。いやまさかお役人や地域住民のすべてがそうだということはないでしょうけれど、とにかくそうしたコミュニティに身を投じ、そこにある矛盾や不公正といったものを指摘し是正しようとするなどというのは、はっきりいって孤立無援、ほとんど絶望的なまでに孤立無援な行為であるのかもしれません。

ですから私はコミュニティとはできるだけ無縁であろうと努めていたのですが、どうやらそうも行かないみたいだぞと思われてきたのが「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」、あの官と民とがぐるになって血税三億三千万円をいいようにどぶに捨て去る事業が完全に市民不在住民無視の密室のなかで準備され、しかも伊賀地域住民というのはいつだってそうなんですが陰ではいくらでも悪口をいうくせに公然とした事業批判はいっさいしようとしませんから、こーりゃ三重県も伊賀地域七市町村(現在は市町村合併によって二市になっていますが)も十八万伊賀地域住民もみーんなまとめて面倒見てやろうか莫迦、と孤立無援な戦いに乗り出したのがよかったのやらよくなかったのやら。いずれにせよあす23日午後7時から名張市役所で開かれるという「生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業の地域報告会に顔を出し、報告を謹聴してまいりたいと思います。

それはそれとして今度は名張市というコミュニティの問題、とっとと先に進みましょう。18日開会された名張市議会重要施策調査特別委員会の報告です。この日午後1時、休憩が終わって委員会が再開される直前のことですが、私は田郷誠之助委員(無所属)から、

「このプランにはあの病院のことが出てきてませんけど、どうしてなんでしょうなあ」

とのお尋ねをいただきました。あの病院、というのは申すまでもなく乱歩生誕地碑の建つ桝田医院第二病棟のことです。私は、

「寄贈されたのが11月下旬でしたからプランに反映させるのは時間的に無理やったんとちがいますか。もちろんあそこの活用もプランに連動させなあかんわけですけど。先生ちょっとゆうたってください」

とお願いしておきました。やがて議題は「名張まちなか再生プラン」(案)に移り、名張市建設部によるプランの説明が終了、質疑応答が始まりました。最初に発言を求めたのは田郷議員で、質問は二点。一点目は、

「桝田医院から生誕地碑がある病棟の寄贈を受けたが、その活用策がプランから抜けている。今後おおいに活用しなければならない施設であり、プランを緊急に修正するつもりで取り組むことが必要だ」

といったものでした。西出勉建設部長の答弁はおおよそ次のとおり。

「寄贈を受けたのが昨年11月であったことから、活用法を具体的にプランに表すことはできなかったが、土地建物の活用方法は今後、細川邸の利用法の詳細なプランとともに検討し、相互補完的な機能をもたせて、歴史的文化的施設として活用したい」

新町の細川邸と本町の桝田医院第二病棟、このふたつをめぐっては乱歩を軸として新町と本町の暗闘がくりひろげられているのかどうか、そんなこと私は全然知りませんけど、建設部の見解どおり相互補完的な施設とすることが必要でしょうし、ふたつの施設をカバーできる素材となれば乱歩以外には見当たりません。で、ふたつの施設というのは復元した乱歩の生家と名張市立図書館ミステリ分室、これで決まりではないかと私は思います。

じゃから最初っからゆうとろーが。せっかく寄贈してもろうた桝田医院第二病棟の活用策、名張まちなか再生プランに盛りこまいでどないするんじゃとゆうとろーが。そうじゃろーが。

    
●2月23日(水)

「名張まちなか再生プラン」(案)についてさらにつづけますと、細川邸を歴史資料館として活用する構想にはこんなことも記されています。

  
老朽化した部分を除却し、町屋の風情を大切にして母屋と蔵を改修します。また、来街する市民の便に配慮して、駐車場、公衆トイレと喫茶コーナーを設置します。歴史資料館の主用途は資料の展示ですが、多様な市民ニーズに応えるために物販や飲食などを含む複合的な利用も可能なものとします。なお、歴史資料館の管理運営は民間が担う公設民営方式とします。

細川邸には蔵があるのですが、蔵といえばやはり乱歩でしょう。細川邸の蔵は旧乱歩邸土蔵に対峙するもうひとつの土蔵として活用するのが望ましかろうと考えます。物販や飲食もむろんOKです。というか私の構想では、名張市立図書館ミステリ分室の近くに空き店舗を利用してミステリ専門古書店「三人書房」を開設するというアイディアまで含まれているくらいです。それから公設民営方式という点に関して申しあげますと、私は2月18日付伝言にこのように記しております。

  
さらにいえば地域住民が運営に直接携わることが要求されてくるかもしれず、たとえば図書室の受付で近所のお婆ちゃんが貸し出し係をやってる図、なんてなかなかのものではないでしょうか。要するに名張というこの古いまちにおいては、古いものがただ古いというだけの理由で排除されてしまうことは決してないのだ、と思いたいのだ私は。

つまり名張市立図書館ミステリ分室の運営には地域住民が大きく関与する必要があるのですが、施設自体はあくまでも市立図書館直属の機関でなければなりません。いまの日本ではNPM、すなわちニュー・パブリック・マネジメントたらいうものが一大潮流となっていて、行政サービスの向上を合言葉に、しかし実際は深刻な財政難のなんだか破れかぶれなみたいな打開策として、民間でも提供可能なサービスはあいついでアウトソーシングしてゆくことが国のレベルでも市町村のレベルでも大流行しているわけなのですが、1990年代にこのNPMが大流行した先進諸国におきましては、その結果政府が断片化してさまざまな社会問題に対処できなくなる事態に立ち至り、行政システムのさらなる改革が現在進行中であるとも伝えられますから、いずれわが国でもNPMの見直しが求められる可能性は少なからずあるでしょう。したがいまして、よその真似をするのが大好きな日本のお役所がこの先どんなにぶれまくろうと、この施設があくまでも名張市立図書館の管轄であるという軸だけはぶれないようにしておくことが賢明であると判断いたします。

そんなこんなで名張地区既成市街地再生計画「名張まちなか再生プラン」(案)に関する協議が進められた18日の名張市議会重要施策調査特別委員会、結局のところ乱歩の名前が登場したのはきのうご紹介した田郷誠之助議員(無所属)の発言だけで、いや正確に報告すればほかにもうおひとり、ある先生が乱歩の名前をお出しになったのですが、それはもうごくごく軽い扱いで、

「名張市は何もかも中途半端、○○のことも中途半端、乱歩のことも中途半端、中途半端なことしかやっていない」

といった感じの言及でした。私は上記の○○の部分を聞き逃していたのですが、乱歩の名前が出てきたので思わず顔をあげ、そんないい加減なこといってんのはいったいどこの先生かと室内を見回してみたところ、なんだまたあなたでしたか江戸時代中世説の人、さっきは江戸時代が中世であるという妄説を意気揚々と披露なさったと思ったら、今度は名張市が乱歩に関して中途半端だとおっしゃいますか。たまにゃしっかりしましょうね。傍聴者には発言権が認められておりませんから黙っておりましたが、発言が許されれば私は名張市立図書館の人間として、購入したばかりの二冊の文庫本を示しながら、

「ちょっとあなた。江戸時代中世説のあなた。ずいぶんいい加減なことおっしゃってますけど、この『鬼の言葉』という本を見てください。新保博久さんの巻末解説では主要参考文献として名張市立図書館の『江戸川乱歩執筆年譜』をあげていただいております。名張市が中途半端なことやってたらこんなところに名張市の名前は出てこんぞ。それからこの『作家の犯行現場』では有栖川有栖さんが『名張市立図書館が乱歩研究に力を注いでいる』と書いてくださっております。名張市立図書館の『江戸川乱歩著書目録』も写真入りで紹介していただいております。名張市が中途半端なことやってたらこんなところに名張市の名前は出てこんぞ。ろくに調べもせずに何が中途半端だ。いやたしかに名張市には乱歩に関しておおいに中途半端なところがあってじつに困ったものなのだが、だらといっておのれごとき無教養きわまりないぼんくら議員に中途半端呼ばわりされなければならぬ筋合いはどこにもないのだ。ものの道理というやつをたっぷりおしえてやるから名張市立図書館の移動図書館やまなみ号ガレージまで来るかこら」

とでも申しあげていたところです。

じゃから最初っからゆうとろーが。公設民営みたいな虫のええ話がすんなり通るわけはありゃせんのじゃけ、ごじゃごじゃいわんと市の施設にしたらんかとゆうとろーが。そうじゃろーが。ちゅうよりも、このままじゃともっとひどいことになるゆうこともわからんのかいのう。みてみい。名張市では行政の断片化がますます進行しちょるけど、いずれその見直しをせにゃならんときが必ずくるんじゃけ。いまからゆうといてやるけえのお。何ゆうてやっても、誰も理解できんかもしれんがのう。

しかしそれにしても実際もう、じゃから最初っからゆうとろーが、とでもいうしかないのである。名張まちなか再生プランがどれほどいいかげんなものであったか、そんなことは一読すればすぐに知れることだったのである。あんなでたらめでインチキで内容空疎なプラン、まともにとりあうほうがどうかしている。しかし誰もそれに気がつかない。決定的な欠陥のあるプランが先へ先へと送られてゆく。

だからこちらはパブリックコメントを提出し、プランの不備を指摘して代替案まで示してやったというのにえーいこのあんぽんたん。何から何までいっさい無視しやがったあげくがこのざまではないか。欠陥品のプランが先へ先へと送られたあげくがこのざまではないか。細川邸は無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館となり、桝田医院第二病棟はただの広場になってしまう。なーにやってんだ低能ども。
名張市
産経新聞:“ストリート系”楽しもう 名張市役所前で15日フェスタ
産経新聞:松明木、山道越え奈良へ…市民ら30キロ運ぶ 名張・極楽寺
毎日新聞:お水取り:松明寄進、名張-東大寺二月堂 山岡さん、全35キロ歩き抜く /三重
読売新聞:松明のヒノキ 名張の信者奉納(奈良)
中日新聞:東大寺へ松明寄進 名張、ヒノキ切りそろえ150キロ
伊勢新聞:東大寺までたいまつ運ぶ 重さ30キロ、肩に担ぎ

伊賀市
産経新聞:詐欺の伊賀市前総務部長に2年4月の実刑判決
毎日新聞:講習会:料理から文化に触れる ペルー出身者が伊賀で /三重
毎日新聞:青山高原つつじクォーターマラソン:参加者に贈るTシャツのイラスト原画募集 /三重
毎日新聞:寄贈:「肥育部会」が保育園に伊賀牛3キロ 給食で早速味わう--伊賀 /三重
毎日新聞:伊賀市元総務部長詐欺:元部長に懲役2年4月の実刑--津地裁判決 /三重
伊勢新聞:伊賀市前総務部長に実刑 懲役2年4月の判決
伊勢新聞:
繰り返された犯行、断罪 借金の原因で未解明も

伊賀広域
毎日新聞:談合情報:国道入札の談合事実確認出来ず、落札業者と契約へ--伊賀広域 /三重

三重県
毎日新聞:
県文化財保護審:「俳聖殿」など6件を答申 /三重
平成16・2004年のつづき。きょうも茶番に眼を通す。

この年、桝田医院第二病棟の土地と建物が名張市に寄贈された。中庭に江戸川乱歩生誕地碑が建つ病棟である。結局、病棟は取り壊してしまい、一帯を広場として整備することが決まった。そんなことを誰が決めたのか。名張市役所のあほのみなさんである。整備は平成20・2008年度におこなわれるのだが、広場のなかに設置される案内板の工事はこの3月末までにとっとと終了してしまう。あほのみなさんのやることはようわからん。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成16・2004年第313回(12月)定例会。

   
P.70 ◆ 議員(福田博行)

ちょっと話今ずれるんですけども、本町の話出たとこで、昨日の議会の昼休みに市長は桝田病院さんの第2病棟の敷地を400平米市に寄附していただくと。これ桝田病院さん、入り口は新町なんですけど、裏は本町ですよね。寄附していただけるという報告を市長から議会に休憩の間にしていただいたわけですが、桝田病院さんには一議員としても心からお礼を申したいと思うんですけども、きょうの新聞には乱歩関係のPRに使うてくださいというふうに寄附していただいた方のご要望があるというふうに聞かせてもろてます。
………………
それからもう一つ、忘れてました。今もまち歩き観光でバスが来てるという話がありました。降りられた方はふれあいのトイレを利用してくれてると聞かせてもらいました。考えたらトイレ何もないんです。先ほど酒酌み交わしながら話ししてた旅行会社の友人も、観光で一番問題となるのは何やと言うたら、トイレと言いました。トイレ。今後まち歩き観光が発展して、いろんな乱歩のとか細川邸とかいろいろあるんですけども、そういうのがふえていってお客さんがふえてくると、当然トイレは足らんようになってくると思います。

この質問は平成16・2004年の12月8日におこなわれた。「昨日の議会の昼休みに市長は第2病棟の敷地を400平米市に寄附していただくと」とあるから、寄贈にかんする発表は12月7日、定例会の昼休みに明らかにされたということである。このあたりがすでにおかしい。桝田敏明先生のご遺族から寄贈の話をいただいたのはこの年9月のことであった。寄贈の手続きを終えたのは11月のことである。それがどうしてこそこそと、12月に入って市議会の昼休みなんかに報告がなされるのか。じつに不可解なことである。

むろん当時も、不可解なことだとは思った。なにしろこちらは、桝田先生のご遺族から寄贈にかんする電話を頂戴した当事者である。その旨をそのまま市長に伝え、あとは庁舎の内部で話が進んで、11月には正式な手続きが終了したのだが、こちらはその手続きの場に立ち会った当事者でもある。ふつうなら、手続きが完了する時点あたりでなんらかの場を設け、記者クラブに取材を要請して、新聞の紙面を通じて寄贈のことを広く市民に報告するのが筋であろう。それがどうしてこそこそと、市民ではなく市議会議員相手に最初の報告がおこなわれたのか。じつに不可解なことであった。

しかし本当に不可解なのは、このあとの展開だったのである。のちに知ったところでは、この時期には名張地区既成市街地再生計画策定委員会の手で名張まちなか再生プランの策定が進められていた。ならば、桝田医院第二病棟の活用策もその委員会で検討されるべきだったはずである。いまから考えればどうしたってそういうことになるのだが、そこらの駅弁大学の御用学者だの区長会やまちづくり推進協議会あたりのうすらばかだのが集まってそんなプランをでっちあげている最中であったなどと、こちらとしてはつゆ知らなんだことなのである。

この年12月8日付毎日新聞伊賀版の記事、ウェブニュースから引用。

   
「江戸川乱歩のために使って」 名張の桝田寿子さん、病棟と土地を市に寄贈 /伊賀

◇記念館として、整備検討
名張市生誕の推理作家、江戸川乱歩の生誕碑がある名張市本町の桝田医院第2病棟所有者、桝田寿子さん(81)が「乱歩に関することで活用してほしい」と病棟と土地を名張市に寄贈していたことが7日、分かった。病棟は空き部屋となっており、名張市は「江戸川乱歩記念館」として整備しようと検討を始めている。【熊谷豪】
………………
中さんは「乱歩の生資料の収集は難しいが、生家を復元したら面白い。生誕碑が出来て50周年となる来年11月3日のオープンを目指してほしい」と話している。

名張まちなか再生プランのことはつゆ知らなんだのであるけれど、桝田医院第二病棟の活用策は真剣に検討しなければならない。だから名張市に対しては、寄贈があったことを早く発表して、広く意見を募るべきであると提言した。もとより対象を名張市民に限定する必要はない。乱歩を愛する人は全国に存在しているのである。桝田医院第二病棟の跡地をどのように活用すればいいのか、全国から意見を募ればいいのである。そのためには見学会も必要であろう、とも提言した。桝田医院第二病棟がいったいどんなところなのか、それを確認してもらったうえで活用策に頭をひねってもらえばいいのである。この見学会もまた、対象を名張市民に限定する必要はまったくない。全国から見学に来てもらえばいいのである。名張に一泊してもらい、乱歩が生まれた名張という土地がどんなところであるのかを知ってもらったそのうえで、桝田医院第二病棟の活用策を考えてもらえばいいのである。

ただし、主体性を放棄して丸投げを決めこむのはよろしくない。名張市サイドもちゃんとした腹案をもっているべきである。全国からアイデアを募集するといったって、実際には応募があるかどうか知れたものではないのである。むろん、応募数の多寡は別にして、名張市が乱歩の生誕地としていわゆる情報発信をつづけてゆくことは必要なのだから、活用策の募集はぜひともおこなうべきなのではあるけれど、ふたを開けてみたらろくなプランが寄せられなかった、みたいなことになる可能性だってないではない。だからそのときのために、名張市サイドにはたとえば乱歩の生家を復元するという腹案が必要なのである。うえの記事にある当方の話はそういうことである。

しかし、実際にはどうであったか。うえの記事にあるとおり、いきなり「江戸川乱歩記念館」の話に短絡してしまっているのである。乱歩記念館だの乱歩文学館だの、とどのつまりはそういったことしか口走れないのである。ろくに乱歩作品を読んだこともなく、乱歩のことを知ろうともせず、もとより乱歩へのリスペクトなどかけらもない連中にかぎって、何かというと乱歩記念館だの乱歩文学館だのと口走ってしまう愚についてはたびたび記した。その愚がここでもくり返されたのである。

しかもやはり不可解なことに、名張まちなか再生プランのことは看過されているのである。プランはまさしく策定中であり、桝田医院第二病棟はまちなか再生の切り札となりうる素材であったはずなのである。にもかかわらず、そのプランとはまったく無縁に、「名張市は『江戸川乱歩記念館』として整備しようと検討を始めている」なんてことになっていたのである。こらこら名張市役所のあほのみなさんや、てめーら自分たちのやってることすらよく理解できておらなんだのであろう。ばーか。なんのために名張まちなか再生プランを策定してたんだよ。名張まちなか再生プランってのはいったいなんだったっていうんだよ。ばーか。

   
P.76 ◆ 議員(田郷誠之助)

もちろん亀井市長はそんな繰り言は一切言わないで、また芭蕉さんというシンボルは、句碑は長慶寺にあったりもしますが、芭蕉さんはどちらかといえば上野伊賀のシンボルであって、名張はやっぱり江戸川乱歩でありますと、乱歩を前に出しての最後の締めくくりの演出は本当に最高の演出であったと評価するものであります。
………………
話を再び江戸川乱歩へ戻します。フィナーレの式典に亀井市長が怪人二十面相の扮装であらわれたのがよかった。市長が江戸川乱歩の世界のシンボルになりきっているのを見て、参加した市民も改めて江戸川乱歩を再認識できたと思います。あのフィナーレは大成功でした。
問題はこの後であります。乱歩にかかわるこれからの顕彰事業。先ほども触れられております。なかんずく関連資料の陳列、展示、公開のできる施設を早く選定することです。ふれあいで展示された乱歩が生きた時代展は、東京早稲田からの協力も得て、大変充実した展示でありましたが、あの中での乱歩の書斎や書棚の実物大の模型などは、傷まない間にしかるべき落ち着き場所をつくって、この機会に速やかに乱歩記念館をつくるべきであるということを改めて提言をいたします。
けさの新聞で報道され、さきの質問でも触れられました乱歩記念碑のある旧住居跡の碑のある桝田医院から土地が名張市に寄贈されたと。このご厚意にこたえて、今この盛り上がった乱歩熱の熱いうちに速やかにその活用策を検討し、ぜひ乱歩記念館実現へと向かうことを願って切なるものがあります。
また、ひやわいその他乱歩の世界を演出できるまちづくりにもこの機会を逃さず関係者が協力して面整備をするなど、乱歩のまち名張づくりのプロジェクトチームをつくることも提言しておきたいのであります。
市長、夏にははるばる今治からの客を迎えて、市長はみずからのお茶のお手前で接待役を務められ、今治のお客さんを魅了されました。今度は怪人二十面相として乱歩のまちづくりの主役を演じていただきたいのであります。

   
P.81 ◎ 市長(亀井利克)

3月には日本の推理小説の創始者で、名張で生まれ豊島区で生涯を終えた江戸川乱歩を通し、深いえにしに結ばれている東京都豊島区と友好親善を深めることを目的に、名張市にとって最初となる文化交流都市協定の締結、1998年からスポーツを通じ交流を継続してきた中華人民共和国蘇州市と文化教育体育分野での広範な交流と相互協力により両国民の友好関係をさらなる発展させるため、友好交流都市協定の締結をいたしました。
………………
この間、江戸川乱歩生誕110周年を記念して乱歩が生きた時代展の開催、乱歩作品演劇の講演、乱歩と観阿弥の世界を融合した乱歩狂言の上演を通し、全国へ乱歩に関する新しい発見や話題を提供するとともに、旧名張町の初瀬街道沿いを中心に企画された名張からくりのまちコンテストでは、応募作品の展示だけではなく、名張の町並みや路地のたたずまいをアピールする機会となりました。
………………
また、江戸川乱歩、観阿弥は名張の大きな地域資源の一つでありますことから、これらを今後の観光振興に大いに生かしてまいりたいと考えているところでございます。具体的な取り組みにつきましては、今後関係者と協議を進めてまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
………………
また、乱歩展での陳列物につきましての今後の生かし方ということにつきまして、この活用方法を含めましてこれからも検討いたしてまいりたいと、こんなふうに思っているところでございます。

   
P.83 ◆ 議員(田郷誠之助)

乱歩館につきましては、これは先ほどもご答弁あったとおりでございまして、これは非常にすばらしい拠点ができたということでございますから、本格的に前向きに動き出す拠点として。

はっきりいって読むに堪えない。神聖なはずの議場で何がおこなわれていたのか。よりにもよってコスプレの相談である。てめーらいったいどこのオタクだ。

この年12月9日付毎日新聞伊賀版の記事、ウェブニュースから引用。

   
「怪人二十面相議会にしては」−−亀井・名張市長が“発案” /伊賀

名張市内で先月、開かれた「蔵びらき事業」のフィナーレで、黒マントにマスク、タキシードの怪人二十面相に扮(ふん)した亀井利克市長は8日、12月定例市議会で「怪人二十面相(に扮装(ふんそう)した)議会をしてはどうか?」と議員らに“発案”した。田郷誠之助議員(無所属)の一般質問に答えた。推理作家、江戸川乱歩の生誕地の市議会で近いうちに「怪人二十面相議会」が招集される!?
一般質問で、田郷議員は「(怪人二十面相姿で)京都や名古屋などにも出没して、名張をPRしてほしい」と要望。亀井市長は「これからも機会があれば」と答弁。さらに、旧上野市議会では議員が忍者の格好をして出席して開かれたことに触れ、「(名張市のPRのため)怪人二十面相の議会をしてはどうか?」とアイデアを出した。亀井市長と議員がお互いに名張市のPRに怪人二十面相の活用を要望し合った。【熊谷豪】

うっかり全文を転載してしまった。引用の範囲を逸脱してしまった。しかしかまわん。そんなことはもうどうだってかまわん。問題は「怪人二十面相議会」とかいう狂気の沙汰のことなのである。神聖なはずの議場でなーにばかな相談をしておるのか。しかしまあ、結局はこんな愚劣なことが実現にいたることもなく、市民のひとりとしてひとたびは胸をなでおろした次第であったのだが、この平成16・2004年という悪夢の年が終わってその翌年の夏、悪夢はこんなかたちで訪れたのであった。

20080313a.jpg

いやもうほんっと、大丈夫か。いまさらいっても手遅れなのだが、ほんとに大丈夫なのかあほのみなさん。
名張市
毎日新聞:卒業式:明るく元気に巣立って 名張・赤目中176人、感謝の言葉胸に /三重
毎日新聞: NABARIストリートフェスタ:音楽やダンス披露 15日、市役所市民広場 /三重
毎日新聞: 名張市:副市長に前田氏 市が議会に内示--任期は来月から /三重

伊賀市
朝日新聞:粘土の花 咲いたよ 伊賀
朝日新聞:三重県伊賀市の前総務部長に実刑判決、税金徴収装う(社会)
産経新聞:「整備局の説明はつじつま合わせ」諮問機関が淀川水系の4ダム建設見直しで意見書(生活)
産経新聞:伊賀市の元総務部長に実刑判決 納税代行詐欺(事件)
毎日新聞:おおやまだ農業小学校:野菜や米、家族で作ろう 20組を募集 /三重
毎日新聞:伊賀鉄道:上野市-伊賀上野駅間、夕方の上下各1本増発--17日ダイヤ改正 /三重
毎日新聞:絵本:比国の子どもたちに11冊 伊賀・長田小5年生11人、塚本さんに託す /三重
毎日新聞:伊賀市:大規模地震に備え、住宅耐震化率90%に 「市改修促進計画案」作成 /三重
中日新聞:三重・伊賀市元総務部長に実刑 納税詐欺で津地裁、懲役2年4月判決(社会)
毎日新聞:詐欺:伊賀市元部長に実刑 津地裁判決(事件・事故・裁判)
日経ネット関西版:4ダム建設認めず──淀川水系流域委意見案「治水効果小さい」

三重県
朝日新聞:県文化財 新たに6件
読売新聞:県文化財指定 新たに6件答申
中日新聞:県文化財に「地蔵十王図」など6件 保護審が答申、19日決定へ
伊勢新聞:俳聖殿など新たに6件 県文化財保護審が答申
犬といえば、小春である。3月8日土曜日の午後にやってきたウェルシュ・コーギー・ペンブロークの女の子は、すでに四夜を過ごした。四日目のきのうは、こんな感じで春の陽射しを浴びていた。

20080312a.jpg

いいなあ。やっぱり犬はいいなあ。人間なんかより全然いいなあ。
名張市議会の会議録で「乱歩」を検索していたら細川邸のことが出てきたので、今度は「細川」で検索を試みた。細川内閣、などという見当ちがいなものは省略して、「細川家」または「細川邸」への言及を引く。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成16・2004年第310回(3月)定例会。

   
P.153 ◆ 議員(梶田淑子)

もう一点、基本計画に、名張地区既成市街地のまちづくりに、豊かな地域資源を持つ都市空間、初瀬街道、名張藤堂家邸、江戸川乱歩生誕地など、ネットワーク化を進め、文化の薫りを生かした集客・交流を目指しますと書かれていますが、疎水がめぐり、日やわいのあるまち、今も昔が残る江戸川乱歩生誕の地、新町の住民の皆さんが今よみがえらせ、後世に残したいと強く望まれていることと関連して、旧商家細川家が名張市に提供されると聞きましたが、このことについては、市長のお考えをお聞かせください。

   
P.157 ◎ 市長(亀井利克)

数点のお尋ねであったわけでございますが、私に対しては直接は、名張地区の既成市街地に市民活動の拠点をという中での細川邸の活用も含めてのお尋ねでございます。
新町の細川邸の活用につきまして、名張地区既成市街地は、名張の歴史、文化、資源が集積する地域であり、本市の個性や魅力を高め、オンリーワンのまちづくりを進めるためには、大変重要な地区であると言えます。しかしながら、近年人口減少や商業の衰退など、中心市街地の活力は著しく低下している状況はご承知のとおりでございます。こうしたことから、総合計画ではリーディングプランの一つとして、まちの顔づくりプランを位置づけ、初瀬街道のまち並みや簗瀬水路などの歴史、文化、資源を活用してまちづくりに取り組む方針を掲げております。
一方、こうした状況を踏まえて、昨年11月には名張地区まちづくり推進協議会と名張商工会議所から共同してオールドタウン構想として、名張地区のまちづくりについてご提案をいただいたところでございます。この構想の中で、乱歩生誕の地である新町の細川邸を活用して、歴史記念館等を整備することが提案されてございます。総合計画に掲げるリーディングプランを推進するため、平成16年度には幅広い住民の皆さんの参加をいただきながら、名張地区のまちづくりを進めるための計画策定を進めることにしております。これから計画づくりに着手する段階であり、確定的なことは申し上げられませんが、オールドタウン構想を踏まえ、細川邸の活用策も含めまして、できる限りこの計画に反映したいと考えております。

   
P.163 ◆ 議員(梶田淑子)

もう時間もないので。それでまず、旧市街地の活性の中で、市長は細川邸のことっていうか、そういうことも総合計画と絡めてやっていくということを非常に前向きにお答えをいただきました。私は、この商工会議所等から出されたオールドタウン構想、これは非常に大きな夢を語った構想なんですね。でも、これ全部網羅した形でお願いしても、なかなか先の遠い話になるので、まず一つ一つ取り組んでいただくということで、そういう江戸川乱歩、この事業を新町の人は一つの拠点にして町の活性につなげたいと。

結構なことである。市議会の場で夢や希望を語っていただくのはおおいに結構なことである。ただしまあ、そうした夢や希望がただの大言壮語や大ぼらや、へたすりゃ大うそってことになってしまうと、市民は市議会なんてまったく信用しなくなるであろう。というよりはもう、名張市そのものを信用しなくなるであろう。げんに細川邸の整備にかんしては、事前に議場でどのような夢や希望が語られていたにせよ、実際にはあのていたらくではないか。なんのための施設だかも不明なままに整備が進んで、名張市の無策無能ぶりを露呈しただけの話ではないか。名張市なんて、これっぽっちも信用できねーんじゃね?

つづいて、第313回(12月)定例会。

   
P.70 ◆ 議員(福田博行)

それからもう一つ、忘れてました。今もまち歩き観光でバスが来てるという話がありました。降りられた方はふれあいのトイレを利用してくれてると聞かせてもらいました。考えたらトイレ何もないんです。先ほど酒酌み交わしながら話ししてた旅行会社の友人も、観光で一番問題となるのは何やと言うたら、トイレと言いました。トイレ。今後まち歩き観光が発展して、いろんな乱歩のとか細川邸とかいろいろあるんですけども、そういうのがふえていってお客さんがふえてくると、当然トイレは足らんようになってくると思います。
今言うた細川邸も改修を考えていると私は聞かせてもろてるんですけども、その折には観光客なりが利用しやすいちょっと大き目のええトイレつくってもらいたいと思ってます。

いや知らなんだ。これは知らなんだ。まったく知らなんだ。細川邸は結局のところ無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館として整備されたのであるけれど、平成16・2004年の12月定例会において、「観光客なりが利用しやすいちょっと大き目のええトイレ」をつくれとの要請が出されていたとは知らなんだ。無駄に立派な公衆便所というのは、市議会サイドから突きつけられた至上命令だったのである。どうせなら、ポチ用の便所もリクエストしとけばよかったんじゃね? ははは。

Copyright NAKA Shosaku 2007-2012