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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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なんかもう、名張市は大変である。非常に大変である。先日紹介した「TOPPYのくびったけ@名古屋」というブログでも、やなせ宿にかんして同様のことが指摘されていたのだが、インターネット上において名張市は、ネガティブな話題ばかりが喧伝されている。あるいは、どんな話題もネガティブにしか喧伝されない、といったほうが正確か。とにかく、なにかをしたといっては叩かれ、なにもしなかったといっては叩かれる。名張市が公式サイトをリニューアルすれば、この時期に二千三百万円もかけてやることか、と叩かれる。皇學館大学が撤退を発表すれば、名張市がぼーっとしててなにもしなかったからだ、と叩かれる。あげく、皇學館大学の誘致に賛成したぼんくらはどいつだ、と市議会議員まで叩かれる。さらには、市議会議員はまちがいなくぼんくらだが、県議会議員だって負けず劣らずぼんくらだぞ、と勝ち抜きぼんくら合戦がはじまってしまう。どうしようもない。ほんとにどうしようもない。どうしようもないほど面白い。これはもう、お祭りといっていい状態なのではないか。あるいは、規模は小さいながら、ネット上のええじゃないかと呼んでしかるべき事態ではないのか。

大辞泉:ええじゃないか

そのまま転載。

   
ええじゃ‐ないか〔ええぢや‐〕
慶応3~4年(1867~68)主に江戸以西の各地で起こった大衆的狂乱。農村のおかげ参りの伝統から発生したもので、老若男女が「ええじゃないか」と高唱、乱舞し、地主・富商の家に入り込んで物品や酒食を強要した。幕府の倒壊を目前にした世直し的な風潮を反映した騒動。おかげ踊り。

ええじゃないかは、「幕府の倒壊を目前にした世直し的な風潮を反映した騒動」とされている。だとすれば、名張市のあぼーんを目前にした世直し的な風潮を反映した騒動が、いまネット上でささやかながらもくりひろげられている、とみることが可能なのではないか。世直し的な風潮の背景には、現状への不満がある。現状が持続することへの不安がある。世直しへの期待がある。しかし、世直しそのものに対する不安もある。現状が打破されたとしても、その先になにが待っているのか、それがみえない、わからないという不安がある。なんかもう、ええじゃないかええじゃないかとわめきたて、騒ぎつづけていなければいても立ってもいられない、といった市民の不安が加速度的に高まり、絶望的な経済状況とあいまって、ええじゃないかと同質の大衆的狂乱を、ごくごく小規模ながらもネット上に引き起こしてしまっているのではないか。それほどに、いまの名張市は危機的状況にあるのではないか。実際、名張市はどうなってしまうのか、との問いに対して、ええじゃないか、と答えるしかないというのが、うそも隠しもない名張市の現状ではないのか。

やや余談になるが、幕末、江戸川乱歩の祖父は津藩藤堂家の上級藩士として、津に屋敷を構えていた。伊勢の国でも、慶応3・1867年の9月から12月にかけて、あっちこっちでええじゃないかの乱痴気騒ぎがくりひろげられ、乱歩の祖父の家もまた、そのターゲットにされてしまった。乱歩のエッセイ「彼」から引いておく。

   
〔前略〕それから、御一新の少し前、「お祓いさん」という奇妙な現象が起って、いつという事なく、裕福な家々へ、大神宮のお札が、空からヒラヒラと降って来る。(無論人為的のものであったに違いない。この奇現象については誰かの考証を読んだ記憶があるが、今その詳細を思い出せない)するとその家では無礼講の大盤振舞をしなければならないのだが、祖父の邸にもその「お祓いさん」が降ったことがあって、その時の乱痴気騒ぎがどんなに物凄かったか。群がる野次馬が邸内に乱れ入って、用意の酒を飲み御馳走を平げ、畳もなにも泥だらけにして、「お〇〇に紙貼れ、破れたら又貼れ」と合唱しながら乱舞すると、邸内の男達女達もそれに引き入れられて、気違いのように踊り狂い、その翌日からは襖障子の張り替え、畳替え、調度の掃除に忙殺されたという話、〔後略〕

さて、名張まちなか再生委員会の臨時総会がいよいよあさってに迫った。せいぜい乱痴気騒ぎをくりひろげて、ええじゃないか総会にもちこんでやりたいと思う。合言葉は「お〇〇に紙貼れ、破れたら又貼れ」である。しかし、こんなことほんとに口走ったら、まちがいなくセクハラであろう。即刻退場にならぬよう、心のなかで「お〇〇に紙貼れ、破れたら又貼れ」と大声を出しながら、名張まちなか再生委員会に引導を渡してくることにしたい。名張まちなか再生委員会の委員各位よ、いっしょに仲よく紙を貼ろうではないか。
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