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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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江戸川乱歩年譜集成

昭和2年●1927 昭和4年●1929

 

昭和三年(一九二八)

 

年齢:三十三歳→三十四歳、数え年三十五歳

住居:東京市外戸塚町下戸塚六二番地

→戸塚町下諏訪町一一五番地→戸塚町源兵衛一七九番地

 

一月一日(日)

□書籍□探偵趣味の会編『創作探偵小説選集 第三輯』の奥付発行日。春陽堂から出版され、「無駄話」が収録された。

□雑誌□「騒人」一月号(第三巻第一号)の奥付発行日。小酒井不木との合作「ラムール」が掲載された。

□雑誌□「探偵趣味」一月号(第四年第一号)の奥付発行日。小酒井不木との合作「屍を」が掲載された。

 

一月二日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

一月

下谷黒門町の高橋耳鼻咽喉科病院に入院し、両扁桃腺の摘出手術を受けた。隆子と岩田準一に介抱されて、一週間後にようやく粥を食べ、声も出るようになった。[探偵小説四十年 昭和三年度の主な出来事/昭和27年11月]

 

一月十九日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

一月二十三日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

二月一日(水)

□雑誌□「新青年」二月号(第九巻第二号)の奥付発行日。耽綺社の合作「飛機睥睨」第一回が掲載された。連載は九月まで。

耽綺社の作品のうち「飛機睥睨」だけは乱歩が執筆した。第三回のみ病気で書けず、岩田準一が担当した。[探偵小説四十年 合作組合「耽綺社」/昭和27年7月、8月]

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

二月十日(金)

高橋耳鼻咽喉科病院を退院。[探偵小説四十年 昭和三年度の主な出来事/昭和27年11月]

 

二月十五日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

二月十九日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

二月二十日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

二月二十三日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

二月二十四日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

三月一日(木)

□雑誌□「新青年」三月号(第九巻第四号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第二回が掲載された。

 

三月

戸塚町下戸塚の筑陽館を売却し、次の下宿屋を見つけるまで戸塚町下諏訪町一一五番地の借家に転居した。[探偵小説四十年 昭和三年度の主な出来事/昭和27年11月][貼雑年譜]

 

三月十一日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

三月三十日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

四月一日(日)

□雑誌□「新青年」四月号(第九巻第五号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第三回が掲載された。

 

四月

戸塚町源兵衛一七九番地にあった福助足袋の寮が売りに出ていたため、福助足袋の本社まで出向いて話を進め、多くの競争者を排して入手、戸塚町下諏訪町から転居した。田舎から親戚の大工を呼んで改造し、別棟として小さな二階屋を新築、一階を客用の玄関、二階を自分の部屋とした。隣家の二階から見られることが心配で、ほとんど窓のない設計にし、昼でも電灯をつけて読み書きした。現代大衆文学全集の印税一万五、六千円は家屋の買い入れと改造で大部分をつかってしまった。家族は、きく、隆子、玉子、隆太郎。ほかに女中が四人、田舎から呼んだ書生がおり、二山久も同居した。昭和八年四月までここに住んだ。[探偵小説四十年 第二の下宿屋開業/昭和27年11月][貼雑年譜]

 

四月十一日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

四月

□書籍□『心理試験』の奥付発行日。神戸盲唖院出版部から点字訳で出版された。

 

五月一日(火)

□雑誌□「新青年」五月号(第九巻第六号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第四回が掲載された。

 

五月

下旬、下宿屋を開業。緑館と名づけた。下宿に関することはすべて隆子に任せ、できるだけ下宿人と顔を合わさないようにして生活した。[探偵小説四十年 第二の下宿屋開業/昭和27年11月]

 

五月五日(土)

□雑誌□「新青年」六月臨時増大号(第九巻第七号)が発売された。ファーガス・ヒューム「二輪馬車の秘密」が横溝正史の訳で掲載された。[横溝正史:「パノラマ島奇譚」と「陰獣」が出来る話/1975年7月]

 

五月六日(日)

□書簡□横溝正史への手紙が着信、「二輪馬車の秘密」の訳文について長文の批評が書かれていた。横溝は乱歩がふたたび書く気になったと思った。[横溝正史:「パノラマ島奇譚」と「陰獣」が出来る話/1975年7月]

 

五月七日(月)

この日か翌八日、横溝正史が乱歩を訪問、「新青年」増刊号に百枚程度の小説を依頼した。当時、乱歩の原稿料は一枚四円だったが、横溝は倍額の八円を提示した。八百円支払うことが可能だと説明すると、乱歩は納得したものの、確たる返事はなかった。[横溝正史:「パノラマ島奇譚」と「陰獣」が出来る話/1975年7月]

「陰獣」は「改造」の佐藤績から依頼されて執筆したが、百枚以内という意向に沿えなかったため、「新青年」へ回すことにして、横溝正史にその旨を伝えた。[探偵小説四十年 「陰獣」回顧」/昭和27年12月、28年1月]

「陰獣」の原稿料は一枚七円にするよう申し出て、横溝正史に呑んでもらった。[探偵小説四十年 初めての講談社もの/昭和28年6月]

横溝正史によれば、「陰獣」はいったんほかの雑誌社に渡してあったが、原稿を取り返して手を入れていたところで、横溝の原稿依頼に応じて乱歩が「新青年」に回した。最初は「恐ろしき復讐」というタイトルだった。[横溝正史:陰獣縁起/昭和3年11月]

 

五月十六日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

五月二十三日(水)

□書籍□文芸家協会編『大衆文学集 第一集』の奥付発行日。新潮社から出版され、「人間椅子」が収録された。

 

六月一日(金)

□雑誌□「新青年」六月臨時増大号(第九巻第七号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第五回が掲載された。

□雑誌□「探偵趣味」六月号(第四年第六号)の奥付発行日。「私のやり方」が掲載された。

 

六月十六日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

六月二十日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

六月二十一日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

六月二十五日(月)

「陰獣」を脱稿。[初出末尾]

 

七月一日(日)

□雑誌□「新青年」七月号(第九巻第八号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第六回が掲載された。

 

七月三日(火)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

七月十一日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

七月十四日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

七月二十一日(土) 

□雑誌□「新青年」夏期増刊号(第九巻第十号)が発売された。二十四日には売り切れとなった。[新青年:編輯局より/昭和3年9月]

 

八月一日(水) 

□雑誌□「新青年」八月号(第九巻第九号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第七回が掲載された。「陰獣」の予告が掲載され、横溝正史が「懐しの乱歩!」に始まる宣伝文を寄せた。

 

八月二日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

八月五日(日) 

□雑誌□「新青年」夏期増刊号(第九巻第十号)の奥付発行日。「陰獣」第一回が掲載された。連載は十月まで。「少年ルヴェル」も掲載。

 

八月二十二日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

九月一日(土) 

□雑誌□「新青年」九月号(第九巻第十一号)の奥付発行日。「飛機睥睨」第八回が掲載され、完結。「陰獣」第二回が掲載された。

横溝正史と渡辺温による編集はこの号まで。十月号からは延原謙と水谷準が編集を担当した。[新青年:編輯局より/昭和3年9月号]

 

九月三日(月)

□雑誌□「新青年」十月増大号(第九巻第十二号)が発売された。たちまち売り切れとなり、増刷された。

*乱歩は『探偵小説四十年』で八月増刊号が増刷されたと誤認している。

 

九月八日(土)

□雑誌□「新青年」十月増大号(第九巻第十二号)の再版が発売された。[貼雑年譜]

 

十月一日(月)

□雑誌□「黄表紙」十月号(第二巻第五号)の奥付発行日。「パノラマと八幡の藪不知」が掲載された。

□雑誌□「新青年」十月増大号(第九巻第十二号)の奥付発行日。「陰獣」第三回が掲載され、完結。

 

十月二日(火)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書、森下雨村から乱歩の長篇執筆が決定したとの通知があったことを伝え、激励。[子不語の夢]

 

このころ

「孤島の鬼」の連載第一回を書くため、三重県南部の温暖な漁村へ旅行し、鳥羽の岩田準一に来てもらって、散歩したり話をしたりして日を過ごした。岩田が持参した鴎外全集の一冊を読み、中国の片輪者製造の話を面白く感じたので、東京に戻ってから『虞初新誌』や西洋の不具者に関する書物を求めた。[探偵小説四十年 「孤島の鬼」/昭和28年4月、5月]

漁村滞在中、森下雨村から借りていった『The Canary Murder Case』と『The Greene Murder Case』を読み、ヴァン・ダインを知った。二冊に感想をつけて返送し、『The Benson Murder Case』を送ってもらった。[探偵小説四十年 ヴァン・ダインの出現/昭和28年5月]

 

十一月一日(木)

□雑誌□「新青年」十一月号(第九巻第十三号)の奥付発行日。「最近の感想」が掲載された。

 

十一月四日(日)

□書籍□『陰獣』の奥付発行日。博文館から出版された。

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十一月七日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十一月九日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十一月十七日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十一月二十日(火)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十一月三十日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十二月六日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十二月二十八日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

[2012年7月12日]

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