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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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江戸川乱歩年譜集成

大正14年●1925(上半期) 大正15年・昭和元年●1926

 

大正十四年(一九二五)下半期

 

年齢:三十歳→三十一歳、数え年三十二歳

住居:大阪府北河内郡守口町外島六九四番地

 

七月一日(水)

□雑誌□「新青年」七月号(第六巻第八号)の奥付発行日。「小品二篇」が掲載された。「編輯だより」に記者宛書簡の抜粋が引用された。

□雑誌□「苦楽」七月号(第四巻第一号)の奥付発行日。「夢遊病者彦太郎の死」が掲載された。

 

七月四日(土)

大阪毎日新聞社で開かれた探偵趣味の会の第四回例会に出席。プラトン社の社員が加わり、休暇で乱歩の家に遊びに来ていた水谷準も参加した。[子不語の夢:乱歩書簡 七月七日]

 

七月六日(月)

探偵趣味の会の座談会に出席。[子不語の夢:乱歩書簡 七月七日]

 

七月七日(火)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

七月八日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

七月十日(金)

□新聞□「読売新聞」文芸欄のコラム「ゴシップ」で探偵趣味の会の動向が紹介された。[貼雑年譜]

 

七月十五日(水)

□雑誌□「写真報知」第三巻第二十号の奥付発行日。「百面相役者」第一回が掲載された。

 

七月十六日(木)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

七月十七日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

七月十八日(土)

□書籍□『心理試験』の奥付発行日。春陽堂から「創作探偵小説集」第一巻として刊行された。小酒井不木が序文を寄せた。

 

七月十九日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

七月二十日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語]

 

七月二十三日(木)

□書簡□横溝正史が乱歩に封書。[山前譲:横溝正史と江戸川乱歩、その歴史的な出会い(『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』角川書店)/2002年5月]

 

七月二十四日(金)

川口松太郎とともに名古屋を訪れ、小酒井不木に会う。国枝史郎、本田緒生(松原鉄次郎)も同席した。[子不語の夢:乱歩書簡 七月二十五日][川口松太郎:江戸川乱歩と美少女/昭和54年5月]

*乱歩は『探偵小説四十年』で八月のことと誤認している。

 

七月二十五日(土)

□雑誌□「写真報知」第三巻第二十一号の奥付発行日。「百面相役者」第二回が掲載され、完結。

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

七月二十六日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

七月二十七日(月)

大野木繁太郎の送別会に出席。大野木は大阪毎日新聞社から東京日日新聞社へ転勤した。[子不語の夢:乱歩書簡 七月二十五日]

 

七月三十一日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

八月一日(土)

□雑誌□「新青年」夏季増刊号(第六巻第十号)の奥付発行日。「屋根裏の散歩者」が掲載された。「私の好きな作家と作品」に寄せた「日本の誇り得る探偵小説」も掲載。

 

八月二日(日)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

八月三日(月)

川口松太郎に会い、潰れるかどうかの瀬戸際にあるプラトン社の内情を知らされた。[子不語の夢:乱歩書簡 八月五日]

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

八月五日(水)

□書簡□小酒井不木に手紙。[子不語の夢]

 

八月六日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に手紙。[子不語の夢]

 

八月八日(土)

大阪毎日新聞社で開かれた探偵趣味の会の第五回例会に出席。川口松太郎の世話で探偵映画「Through the Dark」を映写。来会者は七十人。例会のあと、プラトン社の社長だった中山豊三と面談した。[子不語の夢:乱歩書簡 八月九日]

 

八月九日(日)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

八月十日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

八月十七日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

八月二十一日(金)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

八月二十二日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

八月二十五日(火)

兵庫県西宮市の苦楽園ホテルで開かれた探偵趣味の会の会合に出席。機関誌「探偵趣味」を発刊することが決まった。[子不語の夢:乱歩書簡 八月二十六日]

 

八月二十六日(水)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

八月二十七日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

八月三十一日(月)

□新聞□国枝史郎が「読売新聞」に「日本探偵小説界寸評」を発表。

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

八月

「『探偵趣味』発行につき御依頼」を印刷、関係方面に配布した。「探偵趣味」は春日野緑の知人が経営するサンデーニュース社が印刷することになった。[探偵小説四十年 「探偵趣味」の創刊/昭和26年3月]

 

八月

「人間椅子」を脱稿。着想を得たあと、神戸で洋家具の競市があると知り、横溝正史を訪ねた。競市のことはわからなかったが、二人で神戸の街を散歩し、家具屋の店先に大きな肘掛け椅子が展示されていたので、店に入ってこの椅子に人間が隠れられるかと尋ねた。[探偵小説四十年:「屋根裏」と「人間椅子」/昭和26年4月]

 

九月一日(火)

□雑誌□「新小説」九月号(第三十年第九号)の奥付発行日。「一人二役」が掲載された。

 

九月四日(金)

大阪に来ていた馬場孤蝶の歓迎会に出席。[子不語の夢:乱歩書簡 九月五日]

 

九月五日(土)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

九月六日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

九月七日(月)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

九月十日(木)

午後八時、繁男が守口町の家で死去。五十八歳。[貼雑年譜]

 

九月十二日(土)

守口町の家で繁男の葬儀を営む。[貼雑年譜]

 

九月十三日(日)

□新聞□「読売新聞」に「探偵小説界寸評を読む」が掲載された。

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

九月十五日(火)

□雑誌□「写真報知」第三巻第二十六号の奥付発行日。「疑惑」第一回が掲載された。

 

九月二十日(日)

□雑誌□「探偵趣味」第一輯の奥付発行日。編輯当番を担当し、探偵小説は芸術たりうるかというアンケートを掲載した。[探偵小説四十年 「探偵趣味」の創刊/昭和26年3月]

 

九月二十一日(月)

大衆作家の団体、二十一日会が発足。[新鷹会:雑誌「大衆文芸」と作家たち

 

九月二十三日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

九月二十四日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

九月二十五日(金)

□雑誌□「写真報知」第三巻第二十七号の奥付発行日。「疑惑」第二回が掲載された。

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

九月二十六日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

このころ

池内祥三から二十一日会の同人になるよう手紙で勧誘され、探偵小説が大衆小説の一分野として扱われることに疑問があったものの、結局は勧めに応じた。[探偵小説四十年 二十一日会と「大衆文芸」/昭和26年5月]

 

十月一日(木)

□雑誌□「苦楽」十月号(第四巻第四号)の奥付発行日。「人間椅子」が掲載された。

 

十月四日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十月十五日(木)

□雑誌□「写真報知」第三巻第二十九号の奥付発行日。「疑惑」第三回が掲載され、完結。

 

十月二十日(火)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十月二十一日(水)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十月二十五日(日)

探偵趣味の会が苦楽園で催した渡瀬淳子演劇研究所による探偵ページェントに参加。探偵劇「幽霊探偵」が上演され、観客は約五百人。大阪朝日新聞社の下村海南専務ら阪神沿線の名士が家族づれで見物した。記念撮影のあとラジウム温泉に入り、晩餐会。春日野緑、横溝正史、平野零児らのほか、名古屋から潮山長三、川口松太郎につれられて東京から額田六福も訪れた。[探偵小説四十年 探偵ページェント/昭和26年3月]

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

このころ

「闇に蠢く」の第一回を脱稿。原稿を渡し、掲載誌が出るまでに川口松太郎と苦楽園の温泉に入ったとき、谷崎潤一郎ばりだと賞められた。[探偵小説四十年 三つの連載長篇/昭和26年7月]

 

十月二十七日(火)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十月三十一日(土)

懸賞小説で得た賞金で上京したいという横溝正史とともに、朝の汽車で名古屋に行き、小酒井不木を訪問。本田緒生、潮山長三も顔を見せた。名古屋ホテルでの夕食には国枝史郎も加わった。夜の汽車で上京。[探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月一日(日)

東京に到着。先に上京していた川口松太郎に誘われ、丸ノ内ホテルに投宿。横溝正史は友人のもとへ行った。本位田準一ら旧友が二、三人来訪。この日か二、三日後、城昌幸が来て初対面を果たした。[探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月二日(月)

春陽堂の今村が来訪、「文章往来」の話をした。横溝正史と三越に出かけ、別れて赤坂見附の清水谷公園にある皆香園で開かれた会合へ。参会は、春日野緑、森下雨村、甲賀三郎、田中早苗、妹尾韶夫、巨勢洵一郎、水谷準、保篠龍緒、松野一夫、馬場孤蝶、平林初之輔、横溝正史。全員の寄せ書きを小酒井小酒井不木に送った。[探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

十一月三日(火)

池内祥三が来訪、「大衆文芸」の話をした。同伴して報知新聞へ行き、野村胡堂と本山荻舟に会う。東京日日新聞に大野木繁太郎を訪ねるが、不在。夜、森下雨村宅へ横溝正史とブリッジを教わりにいった。ほかに田中早苗、甲賀三郎、延原謙、巨勢洵一郎、松野一夫ら。横溝と二人、森下邸に宿泊。[探偵小説四十年「探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月四日(水)

横溝正史とホテルに帰る。水谷準、本位田準一が来て、四人で鮨を食べ、平林初之輔を訪問する予定だったが、雨のため寄席へ。夜は歌舞伎座前の洋食屋でトンカツを食べた。横溝は丸ノ内ホテルへ宿替え。[探偵小説四十年「探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月五日(木

春陽堂を訪問、作品集のことを相談した。読売新聞を訪れて文芸部長の清水弥太郎と会い、雑文の注文を受けた。夕方から正史と帝国劇場へ。清元延寿太夫、市村羽左衛門、尾上梅幸の「権八小紫」に陶酔し、探偵小説が馬鹿馬鹿しいと感じた。ホテルに帰ると「苦楽」に連載する「闇に蠢く」の校正が届いており、横溝に読んで聞かせた。この夜にか、「踊る一寸法師」の後半を書き、やはり横溝に読んで聞かせたところ、前半は面白いが後半は劣ると評された。[探偵小説四十年「探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月六日(金)

春陽堂の島源四郎が来訪、長田幹彦からの伝言でラジオ出演を依頼され、探偵小説宣伝のために引き受けた。「キング」の森田が来訪、原稿の注文があったが、断った。旧友が来訪、横溝正史と三人で竹葉へ。夕方、池内祥三が誘いに訪れ、花の茶屋で開かれた二十一日会の会合へ。白井喬二、木山荻舟、長谷川伸、平山蘆江、正木不如丘、久保田朝興、矢田挿雲らが出席していた。[探偵小説四十年「探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月七日(土)

午後七時半からラジオ放送。扁桃腺炎で熱を出し、出演を辞退したが、長田幹彦に自動車で迎えられ、厚い毛布にくるまって乗り込んだ。「探偵趣味の話」と題して話し、新しい探偵小説の見本として水谷準の掌篇「好敵手」を朗読。「御菓子料」として二十円か三十円を受け取った。[探偵小説四十年「探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月八日(日)

□書簡□小酒井不木が丸ノ内ホテルの乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十一月十三日(金)

丸ノ内ホテルから本郷赤門前の伊勢栄旅館に移り、病臥。[探偵小説四十年「探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

岩田準一が来訪。ラジオで乱歩の放送を聴き、この日の新聞で伊勢栄旅館に宿泊していることを知ったという。午後二時ごろ訪ねると不在で、夜ふたたび足を運んだところ、乱歩は近所の梅本という寄席にいた。二人で寄席から旅館に帰り、十時過ぎまで歓談した。[岩田鏡之助(岩田貞雄):東京本郷「伊勢栄旅館」の夜/2001年10月]

□書簡□小酒井不木が伊勢栄旅館の乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十一月十八日(水)

□書簡□長野県の山田温泉から小酒井不木に葉書。[子不語の夢]

 

十一月二十一日(土)

山田旅館で静養。二山久が同道した。旅の途中で「覆面の舞踏者」第一回を脱稿し、「婦人の国」に郵送。[探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

このころ

山田温泉以外にも歩き廻り、無一文で大阪に帰る。[探偵小説四十年 大正十四年末の上京/昭和26年6月]

 

十一月二十八日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に手紙。[子不語の夢]

□書簡□横溝正史が乱歩に葉書。[山前譲:横溝正史と江戸川乱歩、その歴史的な出会い(『横溝正史に捧ぐ新世紀からの手紙』角川書店/2002年5月]

 

十二月四日(金)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十二月六日(日)

□書簡□小酒井不木が乱歩に葉書。[子不語の夢]

 

十二月十五日(火)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十二月十六日(水)

□書簡□岩田準一への手紙が着信、翌年早々、東京に転居する旨を伝えた。[岩田鏡之助(岩田貞雄):東京本郷「伊勢栄旅館」の夜/2001年10月]

 

十二月十七日(木)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

十二月十九日(土)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十二月二十八日(月)

探偵趣味の会の例会に出席し、チャップリンの映画「ゴールドラッシュ」を見たあと、牛肉屋で忘年会を開いた。[子不語の夢:乱歩書簡 十二月二十九日]

 

十二月二十九日(火)

□書簡□小酒井不木に封書。[子不語の夢]

 

十二月三十一日(木)

□書簡□小酒井不木が乱歩に封書。[子不語の夢]

 

十二月

きくが大阪から上京。きくの妹が嫁いだ日本画家、岩田豊麿の家で世話になりながら、姉妹で貸家を探し、筑土八幡町の高台の家に決めた。[探偵小説四十年 東京に転宅/昭和26年8月]

 

[2012年7月2日]

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