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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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名張市議会の会議録からうかがえたのは、乱歩の名前がハコモノ崇拝主義とイベント尊重思想の文脈でしか語られていなかったという一事である。無理からぬことである。知れていたことである。名張市における乱歩なるものの劣化衰微頽落は、もはや覆いようもないほどに明らかな事実であるのだが、市議会でくりひろげられた不毛で愚劣な応酬もまた、それを残りなく証明してくれたというわけである。

だからもういいか、という気がする。きのうの時点では、あした以降ももう少しいたぶってやることにするか、と考えていたのだが、何をいってもしかたあるまい。市議会の会議録を手がかりとして名張市に批判を加えることはいくらだって可能だが、名張市がその批判を今後のしるべとすることは絶対にないのである。やる気もなければ能力もなく、ろくに乱歩作品を読んだこともなければ乱歩のことを知ろうともしないような連中に、何をいったところで意味はないのである。

それで結局のところ、名張市における乱歩なるものはどうなるのか。どうにもならぬであろう。 乱歩といえば文学館だの記念館だのと口走るしか能のない自治体である。その可能性が消えてしまったのだから、名張市は口走る寝言さえ失ってしまったというしかない。ハコモノ崇拝主義が地に塗れてしまった以上、あとにはイベント尊重思想しか残されていない道理なのではあろうけれども、これとてろくなものではない。そんなものに税金つかってる場合かよ、という話である。

ただし、名張市にだってやるべきことはある。いうまでもなく、市立図書館が市民の税金で収集してきた乱歩関連資料の活用である。名張市における乱歩関連事業のいちばんの基本である。ところが、できない。できていなかった。だから市立図書館嘱託として活用の道を示した次第であったのだが、それでもできない。やろうとしない。それならいいやばーか。もう知らねーぞ。この3月いっぱいできれいさっぱり、市立図書館とはいっさい無縁な身になることにしたのだが、それでも心残りなのはやはりそのことである。いったんは陽の目をみた資料がまた死蔵されることになる。それでいいのかということである。

先日、3月13日のことであるが、アメリカからメールが届いた。もちろんアメリカの人からのメールである。ただし日本語で書かれていたので、すらすら読めた。あたりまえである。以前、京都市にある国際日本文化研究センターで乱歩の研究をしていらっしゃったかたからのもので、そのかたの英訳による乱歩の「二銭銅貨」を収録したアンソロジーが、かの地アメリカで刊行されたとのお知らせであった。日文研時代、京都から名張市立図書館まで乱歩関連資料を閲覧に来てくださって、あまり時間もなかったのだが、清風亭で昼食を取り、ちょっとだけ名張のまちも歩いていただいて、中町の山本松寿堂に立ち寄ったところ、さすが「二銭銅貨」の翻訳を手がけるほどのかただけに、二銭銅貨煎餅がいたくお気に入りのようすであった。

私信の公開はよろしくない行為だが、一部こっそり引用することにして、メールには「中さんに二度会いまして、すっかりお世話になりました。『江戸川乱歩著書目録』と『江戸川乱歩執筆年譜』を中さんから頂いてから、何度も、何度も参考に致しました。本当に不可欠の参考文献で、心から感謝しております」とある。この「感謝」は、そのまま名張市に捧げられたものである。名張市民に捧げられたものである。市民の血税で収集した資料にもとづき、市民の血税で刊行した目録が、万里の波濤を越えてアメリカ大陸で活用されているのである。お役に立っているのである。そのアメリカから、名張市に対してリスペクトが捧げられているのである。

こういうことでいいと思う。これまで手がけてきたこと、つまり資料収集という行為の延長上に、身のたけや身のほどに応じて、やるべきことをまじめにこつこつやってゆけば、名張市はそれでいいと思う。地味でまったく目立たないことではあるけれど、収集した資料を活用したサービスを展開することで、山に降った雨が地面にしみこんでやがて平地をうるおすように、乱歩を愛するすべての人の心に、名張市へのリスペクトが芽生えてくるのではないかと思う。リスペクトとはいわないまでも、乱歩の生まれ故郷である名張という土地に、親しみのようなものをおぼえてもらえるのではないかと思う。それが結局のところ、情報発信や全国発信ということでもあると思う。むろん名張市が乱歩にかんして何をやってもいいのだけれど、いちばんの基本はまずそういうことであるべきだと思う。

だが、もうおしまいである。名張市にはできない。やろうとしない。しかし、それでいいのか。そんなことでいいのかよ、ということなのである。やるべきことはそこにあるのに、それに手をつけようとしないというのは、なんとも惜しいことである。もったいないことである。だからNPOをつくり、つまりお役所のヒエラルキーのなかで何を提案しても握りつぶされるだけなのだから、NPOをつくってお役所と対等の立場になり、そのうえで市立図書館と連携するしかないのではないかと考えてみたのだが、どうもうまくゆかない。というか、どうしてそんなことまでしなければならんのか、という疑問が先に立つ。どうにも腰が重くなる。むろん気も重い。あれこれ堂々めぐりしたあげく、名張市さえしっかりしていれば、と舌打ちしたいような気持ちにたどりつくのがつねである。

きのう、先進諸国におけるNPMの見直しについて記した。三年前に記したことをくり返しただけなのであるが、三年が経過して、日本でもNPMの見直しがひとつの主張として定着しつつあるらしい。2月に出た新藤宗幸さんの『新版 行政ってなんだろう』(岩波ジュニア新書)を読んでいたら、こんなことが書かれていた。

   
サッチャー政権やレーガン政権は去ったものの新自由主義による「反福祉国家」=「小さい政府」への流れは、弱まるどころか一般化したといってもよいでしょう。一九九〇年代以降、行政の世界ではNPM(New Public Management=新しい行政管理)という考え方が、急速に広まっていきました。かんたんにいってしまえば、政府事業の民営化や市場化、政府規制の緩和を徹底して進めることで、政府の規模縮小と財の効率化をはかり、経済に活力をもたらすべきだというものです。一九九〇年代にはNPMにもとづいて徹底した行政改革をはたしたとして、ニュージーランドがいちやく脚光をあびました。
日本でも、とくに二一世紀に入ると小泉純一郎政権のもとでNPMにもとづく「改革」が中央・自治体ともに急速に進んでいます。日本道路公団をはじめとした道路関係の四公団や郵政事業の民営化がおこなわれました。高齢者介護、障害者福祉にも市場原理の導入が顕著となっています。
医療保険制度の分野では、医療財政の悪化を防ぐとして医療費の抑制が、患者負担の増加、診療報酬の引き下げ、保険料の引き上げといったかたちで進みました。二〇〇八年度からは七五歳以上のすべての後期高齢者を対象とした後期高齢者医療保険制度がスタートします。これまで保険料負担のなかった後期高齢者からも、所得に応じて保険料が徴収されます。
労働市場の規制緩和も急です。派遣労働の対象範囲がつぎつぎと広げられ、非正規就業者の割合がとくに若年層で増加しています。企業にとっては、従業員を経営状況にあわせて弾力的に雇用できますから、非正規就業者は都合のよい存在です。けれども、非正規就業者は不安定かつ「劣悪」な労働条件で働くことを強いられます。雇用における格差が社会的問題となっているのも、こうした「改革」の結果だといえます。
いまや、市場原理主義ともいうべき考え方に立った「小さい政府」への転換が当然視され、それに異を唱えることが「反進歩」であるかのような状況さえ、生みだされています。この意味では、人間の生存権や社会権思想の発展と結びついた「福祉国家」の時代に、ピリオドが打たれようとしています。政府の規模拡大が、後に述べるような問題を抱えていることも事実です。それにしても「先祖返り」のような「小さい政府」でよいのでしょうか。これはエピローグでもう一度考えてみることにします。

要するに、これでよいのでしょうか、ということなのである。話が横にそれてしまったようだが、つまりはそういうことなのであって、これでよいのでしょうかという疑問を重くひきずりつつ、あすは「市議会の細川邸」を総括する。
名張市議会で乱歩がどのように語られてきたのか、途中から細川邸をも対象にして眺めてきた次第であるが、ひとことでいえば茶番である。じつにおまぬけな空騒ぎである。市議会なんて必要ないのではないかと思われるほどのすっとこどっこいである。

たとえば去年、平成19・2007年の6月定例会では、細川邸改めやなせ宿の「公設民営」はいかがなものか、そんなこと無理なんじゃね? みたいな質問が議員側から提出されているのであるが、もちろん無理に決まっておる。しかし、そういうご託はもっと早く並べていなければならない。いまからいえばちょうど三年前、平成17・2005年の春先に市議会がプランにかんする協議検討をおこなったとき、この公設民営方式ってどうよ? との疑問が示されていてしかるべきだったのである。

とはいえ、これはいささか酷な注文であるかもしれない。市議会にとって名張まちなか再生プランは、次から次へと押し寄せてくる議案の波のひとつでしかなく、これを仔細にあらためて検討を加えるといった芸当は、現実問題としてかなり無理な話であったかもしれない。ま、名張市議会なんてのはしょせんそんな程度のものであろう。しかも、プランにおける公設民営方式への言及はじつにさりげないもので、あえていうならば詐欺師の手口すら連想させた。

名張まちなか再生プランから細川邸にかんするくだりを引用してみる。

名張市公式サイト:名張まちなか再生プラン

   
【2】 歴史資料館の整備事業 (重要度:◎)

名張のまちにひろがりとまとまりが感じられるように、北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します。
初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします。細川邸は円滑な賃貸契約が見込めるほか、平成16年11月の芭蕉生誕360年祭において旧家の風情を活かした魅力的な歴史資料館になりうること、適切な企画によって集客力が期待できることなどが確認できたので、歴史資料館にふさわしい建築物と考えます。
老朽化した部分を除却し、町屋の風情を大切にして母屋と蔵を改修します。また、来街する市民の便に配慮して、駐車場、公衆トイレと喫茶コーナーを設置します。歴史資料館の主用途は資料の展示ですが、多様な市民ニーズに応えるために物販や飲食などを含む複合的な利用も可能なものとします。なお、歴史資料館の管理運営は民間が担う公設民営方式とします。

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市民に何ども足を運んでもらえる歴史資料館とするために、江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示するほか、市民が関われる利用方法を工夫します。たとえば、芭蕉生誕360年祭のからくりコンテストのようなイベントで展示した作品、市民文化祭や市の美術展の出品作、個人や文化サークルなどが作成した作品(例:能面、絵画)を展示したり、小波田地区の「子供狂言」などを招致したり、名張地区以外の市民も参加できる方法が考えられます。また、庭に面した風格ある和室を冠婚葬祭や茶会など、市民も利用できる方法を検討します。市民が関わることのできる場と機会を提供することによって、主催者としてあるいは参加者としてさまざまな市民の来館が期待できます。
管理運営を担う民間組織には、リピーターが確保できるような企画運営能力をもつことが期待されます。歴史資料館の立ち上がり期には、地元組織やまちづくり協議会が企画展示や施設管理に協力して、円滑な歴史資料館の管理運営に取り組みます。

はっきりいえば、これはペテンにほかならない。「なお、歴史資料館の管理運営は民間が担う公設民営方式とします」などと、何をしれっとほざいておるのか。まず「なお」という文言が気にくわない。これは、これから述べることはさして重要ではないのですが、要するにつけたしなのですが、といったニュアンスを帯びた接続詞である。公設民営という重要な問題が、ことのついでといった感じで記されているのである。明らかにペテン師の手口である。

むろんペテンは、たんなる文辞のレベルにはとどまらない。どんな根拠も示すことなく、ただ「歴史資料館の管理運営は民間が担う公設民営方式とします」という結論だけを記しているのは、まったくもってたちの悪いペテンである。こんなことで何が説明できるというのか。誰を納得させられるというのか。しかし名張市議会の先生がたは、これで説明された気になってうっかり納得してしまったのである。プランにOKを出してしまったのである。大丈夫かよ先生がた。

だがしかし、たとえ市議会議員の先生がた二十人の眼がすべて節穴であったとしても、名張市には市民の眼もまた存在する。市民の眼だっておおむね節穴なのであるけれど、なかにゃペテンにかからない市民もいるのである。公設民営なんてそんなばかな話が通用するものか、と感じる市民もいるのである。だから平成17・2005年2月18日に開かれた市議会重要施策調査特別委員会を傍聴したあと、三日前のエントリ「市議会の乱歩 2005/1」にも引用したけれど、三年前の2月23日にこう記したのである。

    
それから公設民営方式という点に関して申しあげますと、私は2月18日付伝言にこのように記しております。

 
さらにいえば地域住民が運営に直接携わることが要求されてくるかもしれず、たとえば図書室の受付で近所のお婆ちゃんが貸し出し係をやってる図、なんてなかなかのものではないでしょうか。要するに名張というこの古いまちにおいては、古いものがただ古いというだけの理由で排除されてしまうことは決してないのだ、と思いたいのだ私は。

つまり名張市立図書館ミステリ分室の運営には地域住民が大きく関与する必要があるのですが、施設自体はあくまでも市立図書館直属の機関でなければなりません。いまの日本ではNPM、すなわちニュー・パブリック・マネジメントたらいうものが一大潮流となっていて、行政サービスの向上を合言葉に、しかし実際は深刻な財政難のなんだか破れかぶれなみたいな打開策として、民間でも提供可能なサービスはあいついでアウトソーシングしてゆくことが国のレベルでも市町村のレベルでも大流行しているわけなのですが、1990年代にこのNPMが大流行した先進諸国におきましては、その結果政府が断片化してさまざまな社会問題に対処できなくなる事態に立ち至り、行政システムのさらなる改革が現在進行中であるとも伝えられますから、いずれわが国でもNPMの見直しが求められる可能性は少なからずあるでしょう。したがいまして、よその真似をするのが大好きな日本のお役所がこの先どんなにぶれまくろうと、この施設があくまでも名張市立図書館の管轄であるという軸だけはぶれないようにしておくことが賢明であると判断いたします。

先進諸国におけるNPMの見直し、なんてことをもちだしたせいでいささか迂遠な印象になってしまったかといまは思われるのだが、要するに公設民営なんて虫のいい話が通用するはずはなく、整備した細川邸を市の施設として運営しないでどうすっぺや、という話である。

公設民営という点以外にも、名張まちなか再生プランには看過しがたい問題点が存在していた。たとえ名張市議会が見過ごしたとしても、市民の眼はごまかせない。てめーらこんなインチキなプランでペテンにかけようったってそうは問屋が卸さねーぞばーか、とか思って提出したパブリックコメントがきれいにスルーされ、問屋がすいすい卸してしまったのはちょうど三年前のことであったか。なーにやってんだか。

ついでだからパブリットコメント全文を掲載しておく。名張市がこのコメントに少しでも耳を傾けておれば、ここまでひどいことにはなっていなかったはずなのであるが、なーにやってんだか。

   
歴史資料館はどうでしょう

「いったいどないなるんですかね」
「何の話ですねん」
「日本中の注目を集めてるライブドア対フジテレビの仁義なき戦い」
「堀江社長と日枝会長のニッポン放送株争奪戦ですか」
「近来になく景気のええ話でして」
「そらもう何百億ゆう単位でお金が動いてる話ですから」
「テレビのニュースで見てる分にはこっちの腹は全然痛みませんし」
「君の腹なんか痛んでも知れてるがな」
「最近では金額の大きさにもすっかり慣れっこになってしまいましてね」
「そんなこともあるかもしれません」
「三億やそこらのことはどうでもええやないかゆう気になったりもしますし」
「三億やそこらといいますと」
「そんなもん君『生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき』事業の話に決まってますがな」
「君まだそれゆうてますのか」
「あれほどゆうたったのに事業関係者は僕の忠告にまったく耳を傾けることなく三億三千万円の税金をどぶに捨ててしまいやがりましてね」
「どぶに捨ててしもたゆうたら語弊があるでしょうけど」
「けど僕は何も難しいことゆうてるわけではないんです。やってることがあまりにも不透明ですからせめて事業個々の予算額ぐらい明らかにしたらんかと」
「たしかにあの事業にはかなり問題があるゆう話はいろいろと聞きますけど」
「問題なんかあり過ぎるほどあるんですけど僕は予算の透明性という一点にしぼって問題を掘りさげてるわけでして」
「掘りさげてどないしますねん」
「三月二十三日に第五回『生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき』事業推進委員会があるんですけど」
「例の三重県の知事さんが会長を務めてはる委員会ですか」
「決算が報告されるはずなんです」
「最終的に事業の予算がどうつかわれたかゆうことが報告されるわけですな」
「これが君もしもええ加減な報告やったら僕としては黙ってられませんからね」
「どんな手ェ打ちますねん」
「ことと次第によっては県の監査委員に住民監査請求をしたろかしらと」
「そんなことしたら君また一段と嫌われ者ですがな」
「それは想定の範囲内です」
「そんな堀江社長みたいなことゆうとってええんですか」

「ところが三月二十三日までに片づけとかなあかんことがひとつありまして」
「何を片づけますねん」
「パブリックコメントです」
「といいますと」
「お役所がものを決めるとき原案を公開して市民の意見を広く求めるのがパブリックコメント制度ゆうやつでしてね」
「寄せられた意見を反映させながら最終的にものが決められるわけですか」
「名張市は現在『名張地区既成市街地再生計画 名張まちなか再生プラン(案)』ゆうプランに対するパブリックコメントを募集してるんですけど」
「名張まちなかゆうたら名張のいわゆる旧町地区のことですな」
「その締切が三月二十二日なんです」
「ほなはよせなあきませんがな」
「せやからやってますねがな」
「何をやってますねんな」
「漫才に決まってますがな」
「漫才やって何をしますねん」
「つまり漫才形式で書かれたパブリックコメントを提出するわけです」
「君いったい何を考えてますねん」
「これはおそらく名張市のパブリックコメント史上初の試みでして」
「わざわざそんなこと試みんかてええように思いますけど」
「名張市役所のみなさんにもさぞやお喜びいただけるのではないかいなと」
「むしろみなさんお怒りになるんやないですか」
「でも漫才ゆう形式は普通の文章よりもはるかにわかりやすいわけですから」
「そらまあわかりやすく意見を述べるゆうのは大事なことですけど」
「ですからこれで名張市役所のみなさんが相当なあれでもたぶん大丈夫」
「相当なあれゆうのはなんやねん」
「それでプランの話なんですけどね」
「原案ゆうのは誰が決めたんですか」
「名張地区既成市街地再生計画策定委員会ゆうとこが一月二十日にまとめてくれたことになってます」
「その委員会がまとめてくれた原案になんでまた君がパブリックコメントを提出せなあきませんねん」
「僕は気がついてしまったんです」
「なんのことですねん」
「血税三億三千万円をどぶに捨てた『生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき』事業のことですけど」
「またその話ですか」
「お役所とごく一部の地域住民が結託して独りよがりなあれこれの事業にきわめて不透明な税金のつかい方をしたというのにそれを指摘批判する人間が僕以外にはただの一人もいないんです」
「君ひとりで充分なんとちゃいますか」
「伊賀地域にはものの道理のわかった人間が一人もいないのだろうか。伊賀地域にはあほしか住んでいないのだろうか」
「しまいに張り倒されても知らんで」
「そんなお間抜けな地域社会に対して具体的提言を行うのが伊賀地域を代表する知性である僕の役目なのではないか」
「君そんなことゆうとったら伊賀地域住民全員から嫌われてしまいますがな」
「それも想定の範囲内」
「堀江社長みたいなことゆうなっちゅうねん」

「それで今回のパブリックコメントではプランに盛り込まれた歴史資料館の整備事業にポイントをしぼって意見を寄せることにしたんですけど」
「そんな資料館ができるんですか」
「プランにはつくったらええのとちゃいまっかゆうて書いてあるわけですね」
「それで君の意見といいますのは」
「んなもんつくってどないするゆうんじゃぼけぇッ」
「ぼけゆうたらあきませんがな」
「それではこれからプランにツッコミを入れることにいたしましょう」
「どないしますねん」
「君このプランの『歴史資料館の整備事業』ゆうとこを朗読してください」
「君は何をしますねん」
「君が読むのを聞いていてそれは聞き捨てにならないと感じたら笛を吹いてツッコミを入れます」
「サッカーの審判みたいな感じですか」
「感じたときに笛を吹くゆうたらなんや往年の黒木香嬢を思い出しますけどあの子いまごろ何をしてるんでしょうか」
「知らんがなそんなこと」
「そしたら行ってもらいましょか」
「《名張のまちにひろがりとまとまりが感じられるように、北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します》」
「ピーッ」
「いきなり笛ですかいな」
「ピーですがなそんなもん。名張藤堂家邸跡に閑古鳥が鳴いてるという事実に目を向けなあきません。南に拠点つくったかて閑古鳥の鳴き合わせをやるのが関の山やゆうことがわかりませんか君」
「僕にいわれても困りますけど先をつづけますと《初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします》」
「ピーッ」
「またですか」
「なんでいきなり歴史資料館やねん」
「歴史拠点をつくるのやったら歴史資料館ゆうのはごく順当なとこですがな」
「せやからそれが短絡やゆうんですよ」
「何が短絡ですねん」
「つまりぶっちゃけてゆうたらこれは最初に細川邸ありきゆう話なんです」
「細川邸を活用したらよろしいがな」
「活用の道は歴史資料館しかないのかゆう話なんですね結局。そんなことまったくないんですけどとりあえずはい次」
「《細川邸は円滑な賃貸契約が見込めるほか、平成16年11月の芭蕉生誕360年祭において》」
「ピーッ。ピーッ。ピーッ」
「なんですねん読んでる途中で」
「『芭蕉生誕360年祭』ゆうたら伊賀の蔵びらき事業のことですがな」
「それがどないしましてん」
「僕その名前聞いたら反射的に怒ってしまう癖がついてしもたみたいでして」
「知らんがなそんな癖。《旧家の風情を活かした魅力的な歴史資料館になりうること、適切な企画によって集客力が期待できることなどが確認できたので、歴史資料館にふさわしい建築物と考えます》」
「ピーッ。ピーッ。ピーッ。ピーッ」
「もうこの際やから好きなだけ笛吹いとったらどないですか」

乱歩の生家はどうでしょう

「つまりこの歴史資料館構想には明らかに短絡があり無理があるんです」
「どうゆうことですねん」
「段落をひとつ飛ばしてつづきを読んでもらいましょか」
「《市民に何ども足を運んでもらえる歴史資料館とするために、江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示するほか》」
「ピーッ。ピーッ」
「またピーですか」
「そんなもんピーのピーのピーじゃ。ほかとはなんやねんほかとは」
「『展示するほか』の『ほか』ですか」
「歴史資料館の話をしてるのに肝心の資料に関する言及が城下絵図と乱歩だけで終わりゆうのはどうゆうことやねん」
「でも歴史資料に関してはそれだけしか書いてないんですから」
「つまり話が逆なんですね。広く公開するべき資料がたくさんあるから歴史資料館が必要やゆうのが本来なんですけど」
「最初に細川邸ありきですか」
「細川邸を歴史資料館にするという月並みな発想がまず最初にあって」
「ところが展示すべき歴史資料がほとんどないと来てるわけですか」
「そんな資料館つくったらどんな結果になるかくらい相当あれな名張市役所のみなさんでもお察しのはずですけどね」
「せやから相当あれなゆうのはなんのことですねん」
「次行ってもらいましょか」
「《常設展示するほか、市民が関われる利用方法を工夫します。たとえば、芭蕉生誕360年祭のからくりコンテスト》」
「ピーッ。ピーッ。ピーッ」
「書いてあるもんしゃあないがな」
「いやしくも歴史資料館がからくりコンテストみたいなバッタモンをまともに相手にしとってはいかんがな」
「あれバッタモンやったんですか」
「空き家とか空き店舗をコンテストに活用することは結構なんですけどね」
「ほな何があきませんねん」
「からくりゆうのは名張のまちの歴史にはなんの関係もないもんですから」
「けど乱歩とか観阿弥とか名張ゆかりの人物から発想してからくりコンテストを企画したのと違うんですか」
「ろくに乱歩も観阿弥も知らん連中が無理やりひねり出した思いつきですがな」
「歴史資料館たるものがそんな無根拠な思いつきを相手にするべきではないと」
「まあそうゆうことですね。はい次」
「《からくりコンテストのようなイベントで展示した作品、市民文化祭や市の美術展の出品作、個人や文化サークルなどが作成した作品(例:能面、絵画)を展示したり、小波田地区の「子供狂言」などを招致したり、名張地区以外の市民も参加できる方法が考えられます。また、庭に面した風格ある和室を冠婚葬祭や茶会など、市民も利用できる方法を検討します。市民が関わることのできる場と機会を提供することによって、主催者としてあるいは参加者としてさまざまな市民の来館が期待できます》」
「ピーッ。ピーッ。ピーッ。ピーッ」
「やかましいわッ。君は年取って認知症になった笛吹童子かッ」

「わざわざ歴史資料館つくってなんでそんなことせなあきませんねん。そんなもんそこらの公民館でなんぼでもできることばっかりですがな」
「肝心の歴史資料がありませんからせめて市民に好きなようにつかい回してもらうしかないのとちゃいますか」
「つまり歴史資料館の必要性なんかまったくないんです。それをこのプランみずからが雄弁に物語ってるわけなんです」
「ほなどないしたらええんですか」
「発想を変えてもらわなあきません」
「といいますと」
「名張のまちそのものが歴史資料であってそれを展覧するという発想ですね」
「まち全体を展示するわけですか」
「もちろんたいした町並みではないんですけど歴史資料館でちまちました展示するよりはまち全体を見て回ってもらうことを考えたほうが百倍ましなんです」
「何を見てもらいますねん」
「ポイントはそれですね。名張のまちを展覧するに際しての核が必要なんです」
「何を核にしますねん」
「江戸川乱歩の生家です」
「生家なんかありませんがな」
「復元したらええんです」
「そんなことできるんですか」
「乱歩が描いた生家の間取り図が残ってますからそれに基づいて復元することはいくらでも可能です」
「明治時代の住宅ですか」
「げんに昨年十一月に市内で開催された『乱歩が生きた時代展』ではつつじが丘にお住まいの元奈良芸術短期大学教授井上昭先生の手で製作された生家の十五分の一モデルが展示されましたし」
「そんなんあったんですか」
「井上先生は生家跡一帯の建物を調査したうえでほぼ間違いないゆうとこまで建築の細部を考証してくださいまして」
「それでいったいどこに建てますねん」
「桝田医院の第二病棟です。あの土地建物は去年の十一月に故桝田敏明先生のご遺族から名張市が寄贈を受けまして」
「新聞にも出てましたねその話」
「第二病棟のたたずまいを生かしつつ一角に乱歩の生家を復元するわけです」
「なんや面白そうですね」
「名張のまちに歴史資料館ができたゆうたかて誰も驚きませんけど乱歩の生家が復元されたゆうたら話は別ですから」
「乱歩の生家は生誕地にしかつくれませんから名張独自のものになりますし」
「とにかく乱歩と名張の最大の接点は生家跡なんです」
「乱歩は名張で生まれたゆうだけでほかにはとくにゆかりもないわけですから」
「ところが行政ゆうのはじつにええ加減なもんでして」
「なんでですねん」
「最大の接点である生家跡に建てられた生誕地碑がほったらかしでしたからね」
「個人の所有やったわけですから」
「いつまでも個人に負担かけとらんと行政がちゃんとしたれゆうねん」
「それはたしかにそうですけど」
「乱歩の名前を名張の自己宣伝にええだけ利用しておきながら肝心のことがほったらかしやったんです。これは行政の怠慢以外の何者でもありません。ピーッ」
「行政にもピーですか」

「要するに乱歩の生家を復元して名張のまちの顔にしたらええんですよ」
「ええアイディアやと思いますね実際」
「ただあそこに生家を復元してしまうと新町が黙ってないんです」
「なんで新町が出てきますねん」
「乱歩の生誕地碑は昭和三十年に新町に建てられたんですけどね」
「新町は乱歩が生まれたとこですから」
「昭和三十五年に桝田医院が増築されたとき碑が現在地に移されたんです」
「第二病棟の庭にですか」
「ところが第二病棟は本町に位置しておりまして」
「そしたら生誕地碑は新町から本町に移動したわけですか」
「つまりあそこに乱歩の生家を復元すると本町の人は喜んでくれるんですけど新町の人はあまり面白くないわけです」
「そんなことありませんやろ」
「新町の人としてはやっぱり町内の細川邸に乱歩関連資料を展示した施設の整備を望んでるわけなんです」
「君そんなことようわかりますな」
「想像で喋ってるだけなんですけど」
「そんなええ加減な」
「けど住民感情ゆうのはそんなもんですしろくに乱歩作品を読みもせずに乱歩乱歩ゆうてるような住民の感情であってもやはり大事にされるべきなんです」
「それやったら第二病棟に乱歩の生家を復元することはできませんがな」
「遠慮せんと復元したらよろしねん」
「新町の人はどないなりますねん」
「細川邸をちゃんと活用したら新町の人にも喜んでいただけるはずです」
「どうゆうふうに活用するんですか」
「名張市立図書館の乱歩コーナーにある関連資料を細川邸に移動します」
「乱歩の遺品とか本とかですか」
「だいたいあの図書館評判悪いんです」
「なんでですねん」
「平尾山のてっぺんにありますから」
「年配の人が歩いて坂を登るのはしんどいゆう話は聞きますね」
「ときどき県外から大型バス借り切って名張へ文学散歩に来てくれる人があるんですけどそらもう評判が悪い悪い」
「文学散歩ゆうたら高齢者の参加が多い感じですからね」
「それに動線から考えても平尾山のてっぺんでは具合が悪いんです」
「動線といいますと」
「名張駅の西口から丸之内を経て本町や新町に至る歩行者の動線です」
「名張のまちを散策する動線ですか」
「旧初瀬街道を主軸にした動線から平尾山は思いきりはずれてるんです」
「名張駅の東口側ですからね」
「ですから新町がええんですけどここへ来て問題がひとつ出てきまして」
「なんですねん」
「この漫才もう六ページ目の三段目まで来てますねん」
「なんのことですねん」
「この漫才はパブリックコメントであると同時に地域雑誌『四季どんぶらこ』の連載としても書かれてるわけなんですけど連載の割り当ては毎回六ページなんです。つまりもうおしまいなんです。いやどうもこればっかりは想定の範囲外」
「知らんがなそんなこと」

ミステリ分室はどうでしょう

「やっぱりつづけることにしましょか」
「好きにしたらよろしがな」
「中途半端な真似しとったら伊賀地域を代表する知性の名が泣きますから」
「そんなことどうでもええねん」
「そもそも乱歩が生まれたのは新町なんですから乱歩の遺品や著作が新町に展示されるのは当たり前のことなんです」
「そしたら細川邸は乱歩関連資料の展示施設になるわけですか」
「それが全然違いますねん」
「どうゆうことですねん」
「資料の展示とかそんな眠たいことゆうてたかて人は相手にしてくれません」
「けど乱歩の資料を展示するのと違うんですか」
「一部には乱歩関連資料も展示しますけどほかにもいろいろ運び込みます」
「何を運び込みますねん」
「本ですね」
「乱歩の本ですか」
「探偵小説です。いまふうにゆうたらミステリ小説」
「本を運び込んでどないしますねん」
「ミステリ専門の図書室にします」
「なんですねんそれ」
「つまり細川邸を名張市立図書館ミステリ分室として運営するわけです」
「図書館の出張所みたいなもんですか」
「乱歩の地元ゆうことで名張市立図書館はあっちこっちからミステリ小説の寄贈を受けてるんですけどね」
「それは初耳ですね」
「慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんをはじめ奇特なミステリファンがたくさんいらっしゃいまして」
「ありがたいことですがな」
「ただし開架が限られてますから寄贈図書は地下書庫に押し込んだままでして」
「ちゃんと活用できてないのは寄贈してくれた人に申し訳のないことですがな」
「ですから寄贈されたミステリをすべて細川邸で閲覧可能にするわけです」
「そんなこと簡単にできるんですか」
「名張市立図書館は業務の民間委託を検討してる最中ですからついでに検討したら充分可能やと思います」
「けど寄贈された本だけで図書室なんかつくれるんですか」
「とりあえず現在あるだけの本でスタートしたらええんです」
「新刊も購入せなあきませんがな」
「それは当面考えておりません」
「お金がないからですか」
「それもありますけど旧町の再生を考えるわけですからすでにあるものをいかに再生するかゆうことが大切でして」
「細川邸も桝田医院第二病棟も古い施設を再利用するわけですしね」
「寄贈していただいた古い本をちゃんと再利用するゆうのは再生というテーマにいかにもふさわしいことなんです」
「新しいものだけに価値があるのではないゆうことですか」
「そのとおり。名張のまちは古いものをただ古いというだけの理由で排除することは絶対にない。それを確認することが再生の第一のポイントなんです」
「きょうは君えらい気合いですね」
「ピーッ。ピーッ。ピーッ」
「なんでここで笛を吹くねん」

「なんちゅうたかて名張は乱歩が生まれたまちなんですから」
「それは紛れもない事実ですね」
「乱歩が生涯をかけて愛した探偵小説を大事にするまちであっても少しもおかしいことはないんです」
「そんなまちは日本中探してもほかにないでしょうし」
「乱歩の生家もミステリ分室も名張だけのユニークな施設になります」
「名張という古いまちでは古いものをここまで大切にして活用してますということをわかりやすく示すと同時に名張のまちを象徴する施設にもなりますね」
「ですから分室のスタッフも男女を問わず仕事や子育ての第一線からリタイアした地域住民のみなさんに役に立っていただけるようにするべきですし」
「地域住民が施設を支えるわけですね」
「名張という古いまちでは古い人にしっかり仕事していただいておりますと」
「古い人ゆうたら怒られますがな」
「土地の古い人から小学生が話を聞くような催しをやってもええわけです」
「市民の側からミステリ分室をいろいろつかい回すゆうわけですね」
「このプランに書いてある細川邸の『市民が関われる利用方法』はそのままミステリ分室にも通用しますからね」
「市民にとっても歴史資料館は敷居が高い印象ですけどミステリ分室やったら全然親しみやすい感じになりますし」
「歴史資料館みたいな堅苦しい施設やないんですからバッタモンのからくりコンテスト展示作品でもOKです」
「けどミステリ分室を運営するのは結構難しいことと違うんですか」
「ミステリに詳しい人間がたぶん一人もいませんからね」
「それではあきませんがな」
「いやご心配なく。日本全国のミステリファンから指導協力を仰ぎながら運営をスタートさせたらええんです」
「そんなことできるんですか」
「つまり名張市立図書館はここ十年ほどのあいだに乱歩を媒介としたミステリファンのネットワークをささやかながら形成しておりますので」
「そのネットワークがミステリ分室に生かされるわけですか」
「ミステリ分室の蔵書はインターネット上ですべて公開しましてね」
「どんな本があるのかが全国のどこにいても即座にわかると」
「さてこの分室をどないして運営したらええのかゆうことで全国のミステリファンから知恵を拝借したらええんです」
「やっぱりファンならではのアイディアゆうのもあるでしょうからね」
「市民がつかい回すいっぽうでミステリファンにもつかい回してもらうことでユニークな図書室になるであろうなと」
「実現したら面白そうですけど」
「無理したり背伸びしたりする必要はないんです。名張のまちの身の丈や身の程に応じたことをしといたらええんです。あほがおのれの分際もわきまえんとええだけ恰好つけたらどないなことになるかゆうのは『生誕三六〇年芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき』事業で実証されてますからね。ピーッ。ピーッ」
「もう笛はよろしがな」

「まあそんなような次第でして」
「これが君のパブリックコメントゆうわけですか」
「やっぱり江戸川乱歩という作家は名張市にとって最強のカードなんですね」
「いまだに大の人気作家ですから」
「ところが行政も住民もええだけ不勉強ですから乱歩を利用するゆうても怪人二十面相の恰好でそこらのひやわいはっしゃり回るぐらいしかようしません」
「はっしゃり回るゆう表現は久しぶりで耳にしましたけど」
「そこでそのカードをいかに利用すればいいのかを伊賀地域を代表する知性であり名張市立図書館のカリスマでもある僕が考えてみたわけなんですけど」
「結論としては本町の生誕地碑の場所に乱歩の生家を復元すると」
「生家を訪れた人は百年以上前の生活というものに思いを馳せるでしょうね」
「どんな生活でした」
「電気もガスも水道もありません。ご飯はかまどで炊いて洗濯は川でする」
「えらい不便な生活ですな」
「ただしその不便さは生活の利便性や快適性のみを追求してこんにちに至ったわれわれに反省を迫るものなんです」
「利便性や快適性のほかにも何か大事なものがあるのではないかと」
「そうゆうことを乱歩の生家あるいは名張のまちそのものが訪れた人たち一人ひとりに問いかけるわけです」
「人間の生活とは何なのかみたいなことですか」
「そのあと今度は新町の細川邸に回ってもらいますとそこでも古い町家の生活というものを実感してもらえます」
「その生活の場が名張市立図書館ミステリ分室として再生されてるわけですね」
「乱歩作品やミステリ小説に親しんだり市民がさまざまな場として利用したり」
「市民が自由につかい回してます」
「細川邸には土蔵がありますから池袋の旧乱歩邸土蔵と響き合うような利用法を考えることも必要でしょうね」
「いろいろ考えるのは楽しそうですね」
「このあとの問題はいかにスピーディに事業を具体化できるかゆうことです」
「急を要する話なんですか」
「名張旧町地区の再生ゆうのは喫緊の課題ゆうか焦眉の問題ゆうか」
「それはそうですね」
「ですから今年十一月三日の乱歩生誕地碑建立五十周年の日に乱歩生家のテープカットをやるのがベストでしょうね」
「今年は大事な節目の年ですから」
「名張市立図書館ミステリ分室のオープンは来年四月でどうでしょう」
「なかなか快調なテンポやないですか」
「ものごとには時機ゆうものがありますからこの好機を逸したらあきません」
「再生の核になる施設はできるだけ早い時期に形にする必要があるでしょうし」
「そのとおりです。ですから賢明有能なる名張市職員のみなさんにおかれましてはよろしくご検討のうえ迅速なる事業化をお願いしたいところなんですけど」
「けどなんですねん」
「なにしろやっぱり相当あれな人たちですから」
「ピーッ。ピーッ。ピーッ」

(名張市立図書館カリスマ嘱託)

ま、いつまでこんなこといってたって意味はないのであるが、関係各位の反省をうながすため、あした以降ももう少しいたぶってやることにするか。しかしなあ、関係各位のあほのみなさんには反省能力ってものがないみたいだからなあ。ばかってのはほんと、どうしようもないからなあ。
いよいよ最後の年である。名張市議会の昨年の会議録から、「細川邸」という語のみえる段落を引用する。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成19・2007年第324回(3月)定例会。

   
P.4 ◎ 市長(亀井利克)

名張まちなか再生事業につきましては、市民、行政、大学の3者が連携を行い、細川邸を改修し、まちなかの交流拠点として活用を図るとともに、江戸川乱歩生誕地碑のある桝田医院元第2病棟跡地利用に向けた取り組みや名張地区の名所を紹介する案内板設置の取り組みを進めます。

第325回(6月)定例会。

   
P.25 ◎ 市長(亀井利克)

ご質問がございましたこれまでの取り組み、また今後のスケジュールにつきましてでございますけれども、前期の取り組み状況といたしましては、平成17年度には公共下水道の一部供用開始に合わせまして、名張駅西口公衆トイレの整備、また細川邸の老朽部分の解体を行い、平成18年度には細川邸の実施設計を行い、細川邸を含めたまちなか再生事業を早期に実施することを目的としたNPO名張実行委員会などの組織づくり、また地域、大学、行政が連携した皇學館大学まちなか研究室の開設など、地域の皆様との協働によるまちづくりを進めてまいりました。
次に、今後のスケジュールでございますが、本年度においては細川邸の改修工事、枡田医院第2病棟の解体除去工事、公共サインの整備工事などを行い、平成20年度には枡田医院第2病棟の跡地整備工事、城下川周辺環境整備工事や御殿外周道整備工事などに重点的に取り組み、前期分の事業費としては5カ年でおおむね2億5,000万円を見込んでおります。

   
P.32 ◆ 議員(柳生大輔)

さて、先ほどのご答弁のように、名張の原風景とも言える当時の面影を今もなお色濃く残す初瀬街道沿いの町並みを構成する一つである細川邸の整備につきましては、名張らしさを継承、創造する町屋改修の規範として、また単に保存する視点ではなく、町屋の持つ空間を活用しつつ、積極的な情報発信が可能な交流施設として、本年度の完成を予定してると聞いておるところでございます。完成後の管理運営をどのように考えてるのか、ご説明いただきたいと存じます。

   
P.34 ◎ 市長(亀井利克)

それから、続いて細川邸の管理、あるいはまた城下川の整備についてのお尋ねがございましたが、これは担当部長の方からご答弁を申し上げたいと存じます。

   
P.36 ◎ 都市環境部長(堀永猛)

細川邸の改修工事につきましては、本年度の完成を目指しまして進めてまいりたいと考えております。
この細川邸の施設名称につきましては、当該地区はアユ漁など名張川とのかかわりの中で、古くは簗瀬と称され、また江戸時代には参宮街道の宿場として栄えました。この地の風土に由来した旧称を生かすとともに、宿場のにぎわいを再生し、人々が集う場となることを目指しまして、整備後の名称はやなせ宿と、本年6月2日に開催されました名張まちなか再生委員会の総会で決まりました。

   
P.37 ◆ 議員(柳生大輔)

細川邸につきましては、完成後やなせ宿と命名されると聞いておりますが、その由来を考えても、それにふさわしいよい名前だと思っております。このことにかかわって市長にお聞きしたいと思いますが、完成後の管理運営につきましては、ご承知のように民間でやっていくということで、すなわち公設民営ということになりますが、委員会としてもその方針で進められております。既に管理運営にかかわるNPOの立ち上げも着々と準備されつつありますが、現実の問題として、果たして継続的に経営が成り立つかということが私の一番心配をするところであります。確かに公設公営であれば、指定管理者制度の導入になると考えますし、経営面ということでもそう心配はないと考えますが、長期的に考えますと、この種のものは民間で経営するということについては、なかなか難しいのではないかと考えるところでございます。案ずるより産むがやすしという言葉もございますように、今ごろから心配することもないかもわかりませんが、実際問題実施段階に入って、継続的に経営不振に陥ったときには、やっぱり市として何か解決策を講じていただかなければならないなと思っております。今から市長にお願いをしておきたいと思いますが、このことについて市長のお考えをお伺いさせていただきたいと存じます。

   
P.42 ◆ 議員(森脇和徳)

大変な難産ではありましたが、市長初め関係各位の格別のご理解、ご尽力によってようやく細川邸が新たにやなせ宿として生まれ変わることが、先日まちなか再生委員会総会において発表をされました。旧市街地出身議員としてうれしい限りであると考えております。しかし、その総会の中で、乱歩館の整備に関して紛糾いたしましたことは周知の事実でありますし、大きく報道もされたわけであります。当然市長のマニフェストにも、乱歩館の整備はしていくと書かれておりますし、桝田医院跡もそのために寄贈を受けたのでしょうし、まして昨年の総会で整備を推進していくことが申し合わされたわけで、それというのも市長みずから生家の復元やミステリー文庫などをつくりたいという構想から発展した話であったとも記憶をしております。委員や役員からも、市長が最終的にどのように考えているのかお尋ねすべきだという意見に決着をいたしましたが、市長は乱歩館の整備に関しましてはどのようにお考えなのかをお伺いいたします。このことについては、先ほどの柳生議員のご質問に対しましてもご答弁いただきましたが、不十分なところがあろうかと思います。どうぞご答弁を下さい。

   
P.126 ◆ 議員(梶田淑子)

このことについては、名張地区の選出の柳生議員、森脇議員から非常に細部にわたって手厳しい質問をなさっていただきました。それで、そのことを踏まえて、テレビ等をごらんいただいている市民の人から、特にまちなか再生で頑張っておられる人の中から、細川邸というのは、本当に8,500万円もの公費を使ってきちっと改築をしていいものをするということで、それが来年できてやなせ宿となると。じゃあ、このやなせ宿を民に丸投げしていいものだろうか。幾ら民間でやりなさいって言われても、それ非常に重荷ですね。どうなっていくかもわからない。これから一から進めていく、旧市街地を発端にして全市的にこのことを起爆剤にして名張市を活性化さそうという大きな事業ですね。その細川邸のじゃあ維持管理費、それすらも民の力で何とかというふうになれば、到底これは本当にどうしたらいいかという不安が募って当たり前です。
………………
だから、市長のお答えの中で、あの場所は建物を建てるのにふさわしくないって言われました。しかし、その文庫とかゆかりのあるものはきちっと展示をして世に出していかんならんって、それを聞いてて、私、公園にしてしまって、どこに展示するんでしょうかねって、単純な疑問持ったんです。だから、そのことをおっしゃるならば、将来的にはどういうふうにしていくと、これ、今はこうして公園という形の中にしておくけれども、じゃあここの公園がそれにふさわしくないなら、その理由を述べて、違った方向で細川邸を利用するのか、何をするのか、何かそういう違った方向づけのこともきちっと言っていただかないと、本当に事業を進めていくプロジェクトの方にすれば、何ということかなというふうに、非常に残念がっておられました。残念と怒りとを持っておられました。これについてお答えください。

   
P.140 ◎ 都市環境部長(堀永猛)

細川邸の管理運営につきましては、先般ご回答させていただきましたとおり、NPO名張実行委員会とまちなか運営協議会が協力、連携して利活用等の協議検討を行い、指定管理者制度の導入も視野に入れながら、民の組織体に管理運営をやっていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上である。やってらんねーなーまったく。
いよいよ最後の年である。名張市議会の昨年の会議録から、「乱歩」という語のみえる段落を引用する。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成19・2007年第324回(3月)定例会。

   
P.4 ◎ 市長(亀井利克)

名張まちなか再生事業につきましては、市民、行政、大学の3者が連携を行い、細川邸を改修し、まちなかの交流拠点として活用を図るとともに、江戸川乱歩生誕地碑のある桝田医院元第2病棟跡地利用に向けた取り組みや名張地区の名所を紹介する案内板設置の取り組みを進めます。

   
P.127 ◎ 市長(亀井利克)

その中で、ランポーレFCのことにお触れになったわけでございますが、江戸川乱歩の生誕の地にちなんでランポーレと、こう命名されておりまして、名張の文化、歴史、そして元気をゲームを通じて発信をしていただいておるわけでございます。多くのサポーターで支えていくという、そういう仕組みがなっていったらなというふうにも思っているところでございますが、教育委員会の方からご答弁を申し上げたいと存じます。

第325回(6月)定例会。

   
P.20 ◆ 議員(柳生大輔)

それから、去る6月2日に名張まちなか再生委員会総会が開催されました。市長も来賓で出席なされておりましたが、退席してからのことでございますが、市の方にご寄贈いただきました枡田医院第2病棟の今後の整備計画について活発な議論がなされました。明くる日の新聞にも掲載されておりますように、現在のところ当局としては、(仮称)江戸川乱歩文学館の建設を断念するような説明がありましたが、説明自体の歯切れが悪く、大変わかりにくかったのであります。反面、担当部局としては精いっぱいの説明であったのかなと、そう感じていたわけでありますが、市長も後日、総会の報告も聞いておられることと思いますが、新聞に掲載されていたようなことでございます。
いずれにいたしましても、乱歩関連施設整備事業検討委員長の発言にもありましたように、乱歩はまちなか再生の目玉と称されております。私も、乱歩は全国的にも知れ渡るメジャーの地域資源であると考えます。せっかくご寄贈いただいたのでございますので、これを生かさない手はないと考えます。総会の中でも、市長の考え方を聞くべきだというような強い声もあったところでございます。

   
P.25 ◎ 市長(亀井利克)

次に、乱歩生誕地碑でございますが、枡田医院第2病棟の跡地整備につきましては、平成18年度名張まちなか再生委員会総会におきまして、生家の復元をイメージした乱歩関連施設の整備に向け、施設計画及び維持管理運営方針などを検討していくことといたしました。その後、住環境面への配慮や維持管理運営のあり方など、市として施設整備計画を見直し、広場として乱歩生誕地碑と生誕のあかしがわかるモニュメント的な整備にとどめ、乱歩顕彰の場として整備する方向で、本年度まちなか再生委員会の役員会や検討委員会と引き続き協議を進めていきたいと考えております。
なお、寄附を受けております推理小説等数千冊、あるいは乱歩の関連資料などの活用につきましても、あわせて検討を進めてまいりたいと思っております。

   
P.42 ◆ 議員(森脇和徳)

大変な難産ではありましたが、市長初め関係各位の格別のご理解、ご尽力によってようやく細川邸が新たにやなせ宿として生まれ変わることが、先日まちなか再生委員会総会において発表をされました。旧市街地出身議員としてうれしい限りであると考えております。しかし、その総会の中で、乱歩館の整備に関して紛糾いたしましたことは周知の事実でありますし、大きく報道もされたわけであります。当然市長のマニフェストにも、乱歩館の整備はしていくと書かれておりますし、桝田医院跡もそのために寄贈を受けたのでしょうし、まして昨年の総会で整備を推進していくことが申し合わされたわけで、それというのも市長みずから生家の復元やミステリー文庫などをつくりたいという構想から発展した話であったとも記憶をしております。委員や役員からも、市長が最終的にどのように考えているのかお尋ねすべきだという意見に決着をいたしましたが、市長は乱歩館の整備に関しましてはどのようにお考えなのかをお伺いいたします。このことについては、先ほどの柳生議員のご質問に対しましてもご答弁いただきましたが、不十分なところがあろうかと思います。どうぞご答弁を下さい。
そして、以前の私の一般質問の中で市長は、9億円から3億円にまちなか再生予算が減額されたと私が指摘した際に、意味がわかりませんとの発言をされました。そして、住民自治の熟度を見ながら、1期と2期に分けて分配していく。そして、私なりの考えがあり、榊町であったり、東町であったりといった整備計画も視野に入れてとのご答弁でありました。すなわち市長のおっしゃる住民自治の高まりとは、地域住民のコンセンサスが十分に調い、計画が練り上がった時点のことを指されるのであろうと思います。であるならば、乱歩館は総会でも承認されて、乱歩関係施設の整備は要望もあるわけです。しかし、予算は大幅に減額されて、整備予算もままならないとの先日の説明でありました。これでは計画は進行しませんし、当然無視されたも同様でございます。やはり私の指摘どおり、まちなか再生予算は減額した形になりつつあるのではないですか。それとも、2期目に当初の約束どおり6億円用意して、おくれても乱歩館は整備していけるのでしょうか。

   
P.46 ◎ 市長(亀井利克)

それから、2点目のまちなか再生でございますけれども、これは先刻柳生議員にお答え申し上げたとおりでございまして、乱歩につきましては、ミステリー文庫も含めまして、この整備をしていかなければならないということにいたしております。それを5年で切ってるわけでございますけれども、さてそれをどの時点でということにつきましてはまだ定かではございませんけれども、いただいてあるミステリー本をやっぱり世に出していかないと、こちらも申しわけないという思いであるわけでございますので、これは世に出していきたい。また、乱歩のゆかりのものにつきましても、同時にそういう展示する場所が必要であるというふうにも思わせていただいてるところでございます。

   
P.50 ◆ 議員(森脇和徳)

市長の答弁どおり、先ほどのご答弁の中で乱歩館の整備は難しいんだというふうなお話もあったわけなんですけども、これはやっぱり関連の関係の方々も説明を聞いてなかったわけでありますし、これは訂正をしていただかなければならないんじゃないかなというふうに思っております。私は、まちなかの整備に関しましては、市長は市長なりの考えがあってと申されて、そしてまた東町であったり、榊町であったりといったことを整備していくというふうなことも申されたわけですけども、私は現実にはほど遠いなというふうに思っております。まちなかの整備の皆さん方、まちなか再生委員会の方々というのは、本当にご苦労して、難産をしてやったわけなんですから、そしてまたそのこと自体をまとめ上げていくというのは大変な困難であるというふうに思っております。私は今まちなか再生委員会の参与という立場ではありますけども、みずから率先して、我々は同志もたくさんいるわけですから、本当に真の名張の顔づくりというものを私は努めてまいりたいなというふうに旧町出身議員として、あるいはまた旧市街地に住む住人の一人として思っているわけであります。これからもまた、情のある十分な予算措置を市長にはお願いしておきたいなというふうに思っております。
そしてまた、広場に乱歩のモニュメントもつくってというふうなことでございますけども、これはそのように乱歩館というものはもう建てないんだと、建設は難しいんだと。コスト等も考えたときに大変難しいんだというふうなことでありましたけども、やはり去年の総会で通った段階であるのに、その関連の関係者の方々は理解をしていない、説明を受けていない。まさに、きょうの午前中の市長の答弁は寝耳に水というふうな形になっていたんじゃないんですか。市長みずからがご説明なさった、あるいは無理なんだというふうなことを都市環境部長はその方々に言ったんでしょうか。恐らく言ってないんじゃないかなというふうに思っております。また、市長がどのように指示をされておったのかというふうなこともお聞きしておきたいなというふうに思います。

   
P.54 ◎ 市長(亀井利克)

それから、乱歩館の問題につきましては、担当部長の方から詳しくお話を申し上げますけれども、あの場所に建物というか、そのものを建てていくのは余りふさわしいことではないかなというふうに判断をいたしているわけでございます。ただ、整備はしていかなければならないということも、柳生議員のご質問の中でも申し上げたところでございまして、この乱歩のゆかりの品であったり、あるいはまた、たくさんいただいてる本であったり、そんなものをきちっと展示をさせていただかなければならないと、こんなふうに思っております。

   
P.58 ◎ 都市環境部長(堀永猛)

◎都市環境部長(堀永猛) それでは、乱歩整備に関する先ほどの質問についてお答えを申し上げます。
議員お話しいただきましたように、平成18年度の名張まちなか再生委員会総会におきまして、生家復元をイメージしました乱歩関連施設の整備に向け、施設計画なり維持管理、運営方針などを検討する旨が承認されたわけでございます。そして、この中で乱歩関連施設整備事業検討委員会を設置するということで決めていただいたわけでございまして、その後、まず庁内でこの委員会に提出すべき整備方針、内容等について関係する部署が寄りまして、数回この内容について検討させていただきました。この内容につきまして、乱歩関連施設整備検討委員会にこういった市の考え方について説明をさせていただき、ご議論いただいたわけでございますが、結果として結論までは至ってないということでございます。
そういった中で、現在のところ市の考え方としましては、先ほどからも市長の方からも申し上げておりますように、住環境への配慮とか維持管理、運営のあり方、そういったことを含めて施設整備計画を見直しまして、広場として乱歩生誕地域と生誕のあかしがわかるモニュメント的な整備にとどめ、乱歩の顕彰の場として整備する方向でこれからまちなか再生委員会の役員会なり検討委員会と引き続いて協議をさせていただくように考えております。
また、あわせまして寄附を受けておりますミステリー図書や乱歩関連資料などの活用についても、こういったところでも協議をしていただくようにお願いをさせていただきながら進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

   
P.58 ◆ 議員(森脇和徳)

それと、私は聞いてるんですよ、市長に。だから、広場に乱歩館の建設が困難でどうしてもできないんだ、今の名張市の状況考えてください。そうやって関係者の方々に、最初にお話しなさった方々に市長からご説明をなさったんですか。多分なさってないと思うんです。何も知らないうちにまた総会で承認されて、恐らく予算をつけてくれるであろうな、そのように思っていたのにつかなかった。恐らくそのことがやっぱり関係者にとってはショックじゃなかろうかな、というふうに私は思うわけであります。ですから、その辺のところ、やっぱり結果そういうふうになってしまったと言うならば、やはりその辺のところはしっかりと説明をしてあげて納得のいく形にしてあげていただかなきゃならんな、また納得がいかないというんであれば納得いくまで十分にお話し合いをさせていただかなきゃならんなって、このままの行政のあり方ではその方たちにとっては今本当に不誠実になってしまうし、行政不信にもつながってしまうんじゃないかなというふうに私は思ってしまうわけでございます。
………………
まちなか再生については、先ほど担当部長、都市環境部長、また本当に乱歩館のことに関しては十分な説明責任というのをしっかりと行政で果たしていかないと、やっぱりその関係者の方々というのは納得いかないというふうに思いますんで、どうぞ懇切丁寧な説明をしてあげてください。

   
P.91 ◆ 議員(吉住美智子)

しかし、まちづくりといえば財源と人材の不足が上がってきます。名張市においても、江戸川乱歩の生誕地である本町の旧桝田医院第2病棟の活用について、財政難を理由に、当初検討していました乱歩文学館構想を断念して記念公園に変更するということを先日新聞で拝見しました。

   
P.126 ◆ 議員(梶田淑子)

それから、乱歩事業につきまして、これは桝田病院第2病棟跡、あそこは乱歩の生誕地ということで、市に寄贈していただきました。もちろん市長もそれをいただいた当初から、そこで乱歩の生誕地であるから乱歩の生家をつくるとか、またそれにかかわるミステリー文庫、いただいた文庫を世に出さなければならない、だからそういったものを展示する場所が欲しい。歴史館というか記念館というか、そういうのをつくりたいというような意向をいろんなところで市長、言ってこられたわけです。それを受けてまちなか再生のプロジェクトの長をしておられる方は、一生懸命にいろんなことを考えてきたのですが、しかしこれすら、先日からの質問に対しても、またその以前から、あのとこは公園にしてしまうんやと、モニュメント建てて、そういう公園というものにしていくというふうな言い方をされたがために、一体それは何を考えてるんかなあと、任された人が怒って当たり前ですよね。その方は、実はこの乱歩の事業を進めるについては、やはり図書館に今、乱歩のいろんなことを展示してございます、大事な資料を。その教育委員会として、この乱歩のことを継承していく大事な事業とも含めて、このプロジェクトの中に教育委員会が入っていないのがおかしいということで、まずその方を教育長と次長にお会いしていただき、るるお話し合いもしていただきました。その後、またまちなか再生の担当である部長と室長にも会っていただいて、これから前向きに教育委員会も取り組んでやっていきましょうという話になっていたのですが、何か聞いてますと、それこそ公園だけにしてしまうって、これはおかしいのと違いますか。例えば、予算的にそれがなかっても、その肝心、何をしようとしてたかという目的まで変えてしまうということはおかしいと思います。私はその方ともいろいろお話ししてた中で、今は予算がなかっても、将来こういったことをしようというひとつの市の本旨、まず市長みずからがそのミステリー文庫にしようというような文庫ももらってきたり、桝田病院第2病棟跡、それを受けたんでしょ、もらって。その人が、その市長が何をしようということを明快に出していただいてこそ、市長から言わせれば、市民の方が盛り上がってきたら、私の方はそれについてお金も出していくと、それが協働型やっておっしゃいますけれども、そうじゃないでしょ。それは事と次第によると思うんです。すべてそんなことでは、大きな物事は達成できないんじゃないかなというふうに考えます。

   
P.133 ◎ 市長(亀井利克)

それから、まちなかの中で乱歩の関係のお尋ねがあったわけでございます。当方のこれについての考え方は今議会で申し上げたとおりでございまして、桝田病院第2病棟の部分というのは、地域の方々にとりましては生活の場でもあるわけでございます。そんな中で、さまざまなご意見もいただいてまいりました。よって、この場所は生誕の地であることを表現できる公園の整備をいたしていくのがいいのではないかというふうに思っております。
ただでございますけれども、ミステリー文庫であったり、あるいはまた乱歩ゆかりの品も一緒に、その近くといいましょうか、街道沿いといいましょうか、そういう部分に展示する場所が必要であるということは、これもさきに申し上げたとおりでございますので、このことにつきましてこれから関係者とお出会いをさせていただくと、その日程も決めていただいてるところでございます。

   
P.145 ◆ 議員(梶田淑子)

それから、このまちなかの再生のことにつきましては、いろんな問題点を残しておりますので、都市環境部長、しっかりとそこに携わる人たちと乱歩事業についても、ぐっと煮詰めていただきたいと思います。

   
P.227 ◆ 議員(森脇和徳)

市長もですね、ある一定の方たちの住民の声を聞いて、乱歩館の建設を考え直されたのではなかったでしょうか。その部分においては、私の考え方と同じではなかったのかなというふうに思っております。まさに公約に触れる部分を修正されたわけであります。

以上である。たまんねーなーまったく。
しつこくつづけるが、ただ淡々と引用するのみ。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成18・2006年第320回(6月)定例会。

   
P.148 ◎ 建設部長(西出勉)

それから、工事請負費でございますが、旧細川邸改修工事及び桝田医院第2病棟の解体除去工事に7,200万円、その他事務的経費を合わせまして8,435万円となっております。

   
P.149 ◆ 議員(柳生大輔)

また、桝田医院第2病棟跡の近くにある細川邸とは性格が違いますが、同じ新町地区にあり、隣接しておりますことから、一体的に整備を進めることが望ましいと考えておりますが、そのあたりのご所見をお聞かせをいただきたいと思います。

   
P.149 ◎ 建設部長(西出勉)

◎建設部長(西出勉) それでは、細川邸と乱歩関連施設との両方の施設につきましては、相互に機能を補完しながら整備をしていきたいなと思っております。利用していただくにつきましても、一体的に歴史文化的な空間をつくっていきたいということで、名張の藤堂家邸でありますとか簗瀬水路、それから趣のありますひやわい等の空間を、こういったところを回遊していただくということを、歩いて楽しんでいただけるような整備、活用方法を検討していきたいなと思っておりますので、双方の施設につきましては、お互いに近くでもございますので、先ほど言わせていただいたように、相互の機能を補完するようなものにしていきたいなと、このように考えておるところでございます。

第322回(9月)定例会。

   
P.122 ◆ 議員(森脇和徳)

細川邸や桝田医院などのハード面での市の財産的な部分もしっかりとできてくるわけですから、行政側が思い描くベクトルをしっかりと示して、市民と向き合う姿勢をお見せ願いたいのです。

   
P.125 ◎ 市長(亀井利克)

前期事業につきましては、緊急度、事業の熟度、公共下水道や地域福祉など関連事業との整合、財政計画等の観点から検討した結果、おおむね3億円といたしました。前期の取り組み状況といたしましては、本年4月に名張駅西口公衆トイレを公共下水道の供用開始にあわせ、本市の玄関口にふさわしい公衆トイレとして整備をいたしました。本年6月にはまちなか再生事業を早期に実施することを目的としたNPO名張実行委員会が設立され、8月には地域、大学、市と連携した皇學館大学社会福祉学部の研究活動の拠点として、まちなか研究室事務室が開設する運びとなりました。さらに、細川邸や江戸川乱歩生誕地碑周辺など、歴史、文化の薫りを生かした交流拠点の整備や城下川周辺の整備、公共サインの整備などについて、地域の皆様との協働により進めております。そのほか、当該地区における集客交流の核店舗であるリバーナの開業10周年の節目に合わせ、現在改装をいただいております。また、リバーナへのアクセス道路である松崎町新町線及び本町朝日町線の整備を平成19年度の完成を目指し、事業を進めています。完成の暁にはナッキー号の運行も予定しており、まちなかへのアクセス強化を図ってまいりたいと考えております。

細川邸をめぐる世迷い言、ただ淡々と引用してみた。
しつこくつづけるが、ただ淡々と引用するのみ。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

平成18・2006年第320回(6月)定例会。

   
P.147 ◆ 議員(柳生大輔)

名張地区におきましては、名張藤堂家邸や江戸川乱歩生誕地などの歴史文化資源や名張川や簗瀬水路などの自然環境資源に加えて、かけがえのない人的資源とも言える地域の皆さんがたくさんおられます。名張まちなか再生プランの基本目標であります名張の原風景と人情が息づく魅力あるまちを実現するためには、先ほど紹介しましたまちなか再生委員会の皆さんはもとより、そうした地域づくりに積極的に取り組んでおられる皆さん方の活動を支援し、また新たなまちづくりの担い手を育成するなどのソフト事業の充実が不可欠であると考えておりますが、まちなか再生に係る今回の補正予算の概要と中心市街地活性化事業の委託料、工事請負費の事業内容についてもあわせてお聞かせをいただきたいと思います。

   
P.148 ◎ 建設部長(西出勉)

まず、委託料でございますが、乱歩関係の施設整備といたしまして、平成16年11月にご寄附を受けました桝田医院第2病棟跡地を生かしました江戸川乱歩関連施設の整備に係ります基本計画、またサイン計画の実施設計並びにまちづくり活動推進に当たります支援などの執行管理費を合わせまして1,200万円でございます。

   
P.148 ◆ 議員(柳生大輔)

◆議員(柳生大輔) この6月6日の当委員会で議論されましたように、江戸川乱歩関連施設整備に係る基本計画などを行うということでありますが、庁内の乱歩関係の担当窓口もはっきりしていないような状況にございまして、市は江戸川乱歩関連施設整備の方針をどのように考えておられるのか。また、当名張まちなか再生委員会歴史拠点プロジェクトでも検討されておりますが、どのように連携し、計画をまとめ上げていくのか、そのあたりについてお尋ねをしておきたいと思います。

   
P.148 ◎ 建設部長(西出勉)

◎建設部長(西出勉) それでは、江戸川乱歩の施設整備等を踏まえましてお答えをさせていただきたいと存じます。
乱歩の関連施設につきましては、江戸川乱歩の生誕地としてまちづくりに活用していただきたいということで寄贈者の意向を踏まえまして、乱歩の生家を復元、もしくは長屋のイメージを踏まえましたデザインとして、乱歩の業績をたたえまして、郷土の偉人としての顕彰をするとともに、乱歩文化のみならず、広くミステリー文化、文学に親しみ、学ぶことのできる拠点を整備していきたいと、こういうことで検討が進められておるところでございます。

   
P.149 ◆ 議員(柳生大輔)

◆議員(柳生大輔) 先ほども申しましたように、名張まちなか再生プランの基本目標は、名張の原風景と人情が息づく魅力あるまちをテーマとしておりますが、江戸川乱歩の生まれたまちとして、この貴重な歴史資源をまちなか再生に生かすべくは当然のことと考えております。

   
P.149 ◎ 建設部長(西出勉)

◎建設部長(西出勉) それでは、細川邸と乱歩関連施設との両方の施設につきましては、相互に機能を補完しながら整備をしていきたいなと思っております。利用していただくにつきましても、一体的に歴史文化的な空間をつくっていきたいということで、名張の藤堂家邸でありますとか簗瀬水路、それから趣のありますひやわい等の空間を、こういったところを回遊していただくということを、歩いて楽しんでいただけるような整備、活用方法を検討していきたいなと思っておりますので、双方の施設につきましては、お互いに近くでもございますので、先ほど言わせていただいたように、相互の機能を補完するようなものにしていきたいなと、このように考えておるところでございます。

第322回(9月)定例会。

   
P.125 ◎ 市長(亀井利克)

前期事業につきましては、緊急度、事業の熟度、公共下水道や地域福祉など関連事業との整合、財政計画等の観点から検討した結果、おおむね3億円といたしました。前期の取り組み状況といたしましては、本年4月に名張駅西口公衆トイレを公共下水道の供用開始にあわせ、本市の玄関口にふさわしい公衆トイレとして整備をいたしました。本年6月にはまちなか再生事業を早期に実施することを目的としたNPO名張実行委員会が設立され、8月には地域、大学、市と連携した皇學館大学社会福祉学部の研究活動の拠点として、まちなか研究室事務室が開設する運びとなりました。さらに、細川邸や江戸川乱歩生誕地碑周辺など、歴史、文化の薫りを生かした交流拠点の整備や城下川周辺の整備、公共サインの整備などについて、地域の皆様との協働により進めております。そのほか、当該地区における集客交流の核店舗であるリバーナの開業10周年の節目に合わせ、現在改装をいただいております。また、リバーナへのアクセス道路である松崎町新町線及び本町朝日町線の整備を平成19年度の完成を目指し、事業を進めています。完成の暁にはナッキー号の運行も予定しており、まちなかへのアクセス強化を図ってまいりたいと考えております。

乱歩をめぐる絵空事、ただ淡々と引用してみた。

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