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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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早いもので、無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館、毎度おなじみのやなせ宿が、昨年6月7日にオープンしてから無事つつがなく、いやまあ、無事でもなければつつがないこともなかったのだが、とにかく一周年を迎えた。

2008年06月07日:やなせ宿オープンを祝福す

めでたいな、ああめでたいな、めでたいなってんで、きのうときょうの二日間、一周年記念イベントが催されている。で、きのう行ってきた。もっともきのうは、行政の無策無能を絵に描いたような街区整備が進む希央台に、利権がらみの黒いうわさにまみれて官民複合施設Navarie、これは、なばりえ、と読ませるとのことなのだが、それがオープンする日でもあったので、まずそっちに顔を出し、そのあと、やなせ宿まで歩いた。ふだんから、名張のまちをできるだけ歩かなければな、と考えてはいるのだが、じつはあまり機会がない。きのうはいい機会だと思われたので、希央台から新町まで、ぶらぶら歩いてみることにした。

Navarieがここ。


やなせ宿がここ。


近鉄名張駅の東口から西口にまわり、魚民名張西口駅前店の前を通過して、上本町のほうに歩いてゆく。みごとに人がいない。人の姿に行き会うことがない。閑散としている、などといったなまやさしいものではない。死んだみたいにひっそりしている。終わっとるなあ、もうすっかり終わっとるなあ、と思いながらやなせ宿にたどりつくと、ここにはさすがに人がいて、中庭には模擬店が開かれていた。こんなあんばい。

20090614a.jpg

午前11時に始まった橘今滋歌碑の除幕式がそろそろ終わろうかというころおいで、歌碑の横で名張金石文研究会の石原弘子さんが閉式の辞を述べていらっしゃるところであった。写真がこれ。

20090614b.jpg

で、橘今滋ってだれよ、と思う。ふつうは思う。橘曙覧の長男である、と説明されても、橘曙覧ってだれよ、と思ってしまう。それが一般的な日本人である。で、辞書を引いてみる。

コトバンク:橘曙覧

デジタル版日本人名大辞典+Plusから引用。

   
橘曙覧 たちばな‐あけみ
 
1812‐1868
江戸時代後期の国学者、歌人。
文化9年5月生まれ。越前(えちぜん)(福井県)の人。本居門の田中大秀(おおひで)にまなぶ。家業の紙商を弟にゆずって福井郊外で国学をおしえる。藩主松平慶永(よしなが)に出仕をすすめられたが辞退。国粋思想をとなえ、万葉調の歌をよんだ。慶応4年8月28日死去。57歳。本姓は正玄(しょうげん)。初名は茂時、のち尚事(なおこと)。号は志濃夫廼舎(しのぶのや)など。家集に「志濃夫廼舎歌集」など。
【格言など】たのしみはとぼしきままに人集め酒飲め物を食へといふ時(「橘曙覧歌集」)

この曙覧が長男の今滋とともに文久元・1861年、伊勢参宮を終えて越前へ帰る途中で名張に一泊し、朝早く出立して名張川を渡るとき、今滋が、

──名張河瀬々まだくらき岩浪にゆられてうつる有明の月

と詠んだ歌の碑が、名張金石文研究会の手でやなせ宿中蔵の西に建立された、という寸法である。なんかもう、名張とはごくわずかな接点しかない、というか、単なる通りすがりの人物の歌碑ができるというのは、あまり例のないことではあるが、まずはめでたい話である。ちなみに建立の費用は、会員十五人の浄財であるという。除幕式のあと、ひさしぶりにお会いした会長の松鹿昭二さんと少し立ち話をしたのだが、歌碑建立の裏の話などなにもお聞きしておらんから、関係各位は心配ご無用。ついで、福井からおいでになったみなさん、たとえば橘曙覧全国子孫会事務局のかたや、福井市橘曙覧記念文学館の学芸員のかたとも立ち話をして、乱歩がどうのこうのという話題も出たのだが、いやもうなにしろ名張市は最悪でございまして、みたいなことはひとこともしゃべっておらんから、関係各位は心配ご無用。

福井市橘曙覧記念文学館:トップページ

やなせ宿の中蔵では、6月2日から30日まで、名張金石文研究会主催の歴史資料展示会「橘今滋と初瀬街道 ─歌人橘曙覧と今滋から学ぶ家族の絆─」が開催されている。興味のあるかたはぜひどうぞ。橘今滋の歌碑については、いずれやなせ宿公式サイトにも、くわしい紹介が掲載されるはずである。「名張市旧細川邸やなせ宿の設置及び管理に関する条例」には、やなせ宿が「名張地区既成市街地の歴史、文化、自然、季節等地域資源の積極的な情報発信に関すること」を進めると定められているのだから、やなせ宿の敷地内にある歌碑のことを公式サイトで紹介しないわけにはゆくまい。紹介しなかったら、ひょっとして条例違反になるんじゃね? などといやみもまた楽し。

記念イベント二日目のきょうは、午前11時から特別出演の愛宕樽太鼓が熱演を披露し、11時30分からはやなせ宿一周年記念イメージソング「やなせに吹く風」の発表がおこなわれる。興味のあるかたはぜひどうぞ。

名張市旧細川邸やなせ宿:やなせ宿イベント通信

それにしても、記念すべきオープン一周年記念イベントくらい、公式サイトのブログを利用して、リアルタイムで紹介してもいいんじゃね? などといやみもまた楽し。
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