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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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けさは江戸川乱歩の話題である。

おとといは毎日新聞に掲載されていたが、きのうは中日新聞。

中日新聞:父・乱歩の故郷にふるさと納税 東京在住の長男平井さん

引用。

   
名張市生まれの作家、江戸川乱歩の長男で東京都豊島区在住の平井隆太郎さんが市のふるさと納税に現金を寄付した。

市によると、平井さんは20日に銀行振り込みした。金額は平井さんの希望で公開されていないが「江戸川乱歩こと父、平井太郎が生を受けた名張市にふるさと納税制度を活用して寄付した。江戸川乱歩生誕の地をはじめとした地域資源を活(い)かしたまちづくりに活用してほしい」とメッセージを寄せた。

このニュースにかんしては、あまり多くを語りたくない。悄然とするばかりである。厚顔無恥といおうか、鉄面皮といおうか、名張市には正直もう降参である。このところの名張市が、乱歩にかんしていったい何をしてきたのか。桝田敏明先生のご遺族から桝田医院第二病棟の寄贈を受けたものの、脊髄反射的に乱歩記念館をつくりますとぶちあげただけで、なにしろ関係者には知識や見識がまったくないゆえ、まともにものを考えることができない。だから何もできなかった。広場として整備するというじつに中途半端な結論にいたって、ならばそれだけでいいものを、広場にモニュメントをつくりますなどとまたばかなことをいいだす始末である。考える能力がないのなら何も考えるな。

モニュメントの話は名張まちなか再生委員会の内部で叩きつぶすことができたからいいようなものの、とにかく乱歩のことなど何も知らぬ人間が、乱歩にかんして必要なことは何もせず、よけいなことばかり重ねてきた。それが名張市である。そんな自治体がよくもまあ、いったいどのつらをさげて、ふるさと納税制度を利用して名張市への寄附をお願いいたします、などと乱歩のご遺族に申し出ることができたというのか。ここまでの厚顔無恥、ここまでの鉄面皮には、もはや降参するしか手がないと思う。

話柄を変えよう。名張ロータリークラブ「少年少女乱歩手帳」の話題である。ライター兼編集者でいらっしゃる南陀楼綾繁さんのブログでご紹介いただいた。

ナンダロウアヤシゲな日々:2008-08-26 『少年少女乱歩手帳』の次に来るもの

お読みいただいたとおり、南陀楼綾繁さんのご高配によって、11月に福岡で催されるブックイベント「ブックオカ」に「少年少女乱歩手帳」を出展していただけることになった。ありがたいことである。

名張ロータリークラブなどというのは奉仕活動という名の自己満足に終始しているだけの団体で、「少年少女乱歩手帳」なんてのをつくってもその意義すらわからず、ましてや発行したあとのフォローなどには考えもおよばない。だから当方から心当たりのあちこちに郵送し、あるいはウェブサイトで告知して未知の人からの入手希望も受け付けて、お役所好みの用語でいえば発信というやつを僭越ながら心がけている次第なのであるが、名張市が乱歩のご遺族にじつに恥知らずなおねだりをかましたと知っては、発信なんてものすらいやになってくる。ちなみにここで記しておくと、ふるさと納税制度にからんで名張市が乱歩のご遺族に寄附をお願いしたというのは、当方の推測にすぎない。無根拠な与太を飛ばしているだけの話だとお思いいただきたい。

南陀楼綾繁さんのブログには「中さんは最近、長年嘱託として関わってきた名張市図書館から離れたそうだ(さぞ無念だったろうと拝察する)が、次にナニをおやりになるか、注目しているヒトは多い」ともお書きいただいてあって、面映ゆくも嬉しく思われる次第であるが、つぎに何をやるのかということになると、とりあえず、予定していた本をまとめるのは中止した。『乱歩と名張』と題した本で、四年ほどまえから構想を温めていた。というか、準備もしていて、桝田医院第二病棟が乱歩に関連してどのように整備されるのか、旧細川邸が乱歩と関連づけられるのかどうか、このふたつの問題が決着をみたら仕上げにかかろうと思っていたのだが、ご存じのとおり笑うべき結末となったので、『乱歩と名張』などという本を出すのはあほらしくなった。もう出さない。

それにだいたい、本がどうのこうのという以前に、名張市長に落とし前をつけていただくのが先決である。それが終わらないと何もはじまらないという気がする。名張市公式サイト「市長への手紙」に寄せた質問に、早くお答えいただきたいものである。ただし、正直さや誠実さのかけらもなく、ただ保身のためのいいのがれを並べ立てるだけの回答では、これまためいっぱいあほらしくなってくるばかりなのであるが。
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