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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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きのう、名張市長からメールを頂戴した。名張市公式サイト「市長への手紙」に寄せた質問への回答である。

   
中 相作 さま

このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。

お尋ねのやなせ宿での歴史展示資料ですが、現時点では「名張城下絵図」の複写版や、新町区百年史部会編纂による初瀬街道・新町今昔町屋分布(明治〜大正〜昭和初期)、新町の歴史と文化と伝統の複写版などを展示しています。
また、店の間、中蔵を利用し、生人形師亀本安八を紹介した新聞記事や資料、なつかしの名張と題して昭和初期の古地図や古写真なども展示しています。
今後も施設の活用方法について、創意工夫し、様々な歴史、文化を紹介できる場としていきたいと考えておりますので、ご支援ご協力をお願い致します。

今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。

平成20年 8月19日

名張市長 亀井利克

質問は、こうであった。

   
ご回答ありがとうございました。重ねてお尋ねいたします。次の点にお答えいただければと存じます。

・名張まちなか再生プランにもとづき、「主用途を歴史資料館として整備」したというやなせ宿には、どのような歴史資料が展示されているのか。具体的な名称をあげてお示しいただきたい。

ご多用中恐縮ですが、よろしくご回答たまわりますようお願いいたします。

2008/08/12

で、主用途を歴史資料館として整備したらしいやなせ宿には、こんな歴史資料が展示されているという。

・「名張城下絵図」の複写版
・新町区百年史部会編纂による初瀬街道・新町今昔町屋分布(明治〜大正〜昭和初期)
・新町の歴史と文化と伝統の複写版
・生人形師亀本安八を紹介した新聞記事や資料
・昭和初期の古地図や古写真

もはや正気の沙汰ではあるまい。猫の子一匹放し飼いにしただけで、これが動物園でございます、と強弁しているようなものである。どこに歴史資料があるというのか。バッタモンちょこちょこかき集めただけで、何が歴史資料の展示か。どこが主用途か。ここまで見苦しいいいわけ、いいのがれ、いいつくろいは、ちょっとやそっとでお目にかかれるものではあるまい。歴史を冒涜し、市民を愚弄するものでしかない。愚弄された市民としては、じつになさけなく、恥ずかしい。怒る気にすらならぬほどである。

やなせ宿は主用途を歴史資料館として整備された、などというのはとんでもないうそっぱちである。早い話、やなせ宿の公式サイトを閲覧するだけでそれがわかる。

名張市旧細川邸やなせ宿:やなせ宿とは

「やなせ宿へようこそ。」と題された館長メッセージには、こうある。

   
この度、旧細川邸「やなせ宿」、初代館長に就任いたしました、辻本武久です。
多くの皆様のお力添えがあり、2008年6月7日に名張市新町にオープンしました「やなせ宿」は、名張地区既成市街地の再生を目指して、平成17年に官民協同組織が結成され、5つのプロジェクトチームを編成、そのうちの歴史拠点整備プロジェクトチームが「旧細川邸の利用について」今日まで協議を重ねてまいりました。その結果、第一号施設が観光交流センターとして位置づけされたこの「やなせ宿」です。
この「やなせ宿」の目的は、地区を訪れる観光客の皆様方への観光案内、地域住民の交流のための施設です。観光客の皆様が随時利用でき、観光情報の提供や地場物産等の紹介を行うのはもちろん、名張市の文化や伝統を紹介したり、来館者の皆様がもう一度行きたいと思っていただけるような憩いのスペースを目指してまいりたいと思います。

やなせ宿は、観光交流センターとして位置づけられたと書いてある。観光案内や住民交流のための施設であると書いてある。しかし、やなせ宿の主用途は歴史資料館である、とはどこにも書かれていない。まさか、「名張市の文化や伝統を紹介したり」というのが歴史資料館としての用途である、などとそこまで苦しい弁明がなされることはないであろうが、そもそもやなせ宿に行ったって名張市の文化や伝統なんてまるっきりわかりゃせんのだから、どっちにしたって歴史資料館として機能しているといえるわけがないのである。

名張市旧細川邸やなせ宿:施設案内

施設案内のページを確認しておく。こんな感じである。

・事務室 やなせ宿の予約受付等を行う事務室です。
・土間 食堂として使うことができます。
・店の間 展示等を行うことができます。
・中の間 展示・会議等を行うことができます。
・奥の間 展示等を行うことができます。
・物産棟(厨房・客席) 展示・会議等を行うことができます。
・渡り廊下 食事を行うことができます。
・中蔵(展示室) 展示を行うことができます。
・川蔵(アドバンスコープサテライトスタジオ) アドバンスコープ・FMなばりのサテライトスタジオです。
・駐車場 一般の駐車場として4台、身障者用駐車場が1台用意されています。
・トイレ棟 男性用・女性用・多機能トイレがあります。

どこが歴史資料館か。どこに歴史資料が展示されているというのか。店の間も中の間も奥の間も物産棟も中蔵も、展示スペースとしてご利用ください、という場でしかない。要するに、貸し館である。無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館with小判鮫、というしかない施設なのである。

名張市旧細川邸やなせ宿:イベントカレンダー

主用途を歴史資料館として整備されたらしいやなせ宿で、いったい何が催されているのか。まずは、ご存じワンデイシェフである。どう考えても、歴史資料には無縁である。イベントはどうか。

・8月23日 キッズスクエア 夏休みの寺子屋 in やなせ宿
・8月24日 夏休み親子陶芸教室/名張川の鮎 in やなせ宿

どう考えても歴史資料には無縁である、などと確認するまでもない。やなせ宿を運営するまちなか運営協議会には、主用途が歴史資料館であるという認識などかけらもないことであろう。位置づけはあくまでも観光交流センターであり、実際は無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館with小判鮫であり、実態は小判鮫軍団がいいように仕切って食堂化路線まっしぐら、といったところであろう。

もしもやなせ宿が主用途を歴史資料館として整備されたというのであれば、まちなか運営協議会による運営は整備の趣旨を完全に無視したものである。運営組織としてはまちがいなく失格である。とっととひっこめこら、てなもんなのである。しかし、まちなか運営協議会が地域社会の害虫であることは論をまたないのだが、この件にかぎっていうならば、こそこそ逃げ隠れする必要はないであろう。やなせ宿は観光交流施設として位置づけられている。やなせ宿整備に利用した国土交通省のまちづくり交付金も、たぶんそのような扱いになっているはずである。

そういった次第で、蟻地獄はつづくよ、どこまでも。
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