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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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やなせ宿連続講座やなせ塾第二回の報告である。主眼はいうまでもなく、講座のあとの懇親会であった。会場は、やなせ宿とおなじ新町にある北村酒造の酒蔵空間。名のとおり酒蔵の二階を利用したスペースで、卓球台が二台ならべられるほどの広さがあった。むろん卓球なんかやらない。酒を飲むのである。ひたすら飲むのである。渾身の懇親会である。

会費は三千円。受付で支払おうとしたら、そんなん講師の先生からはいただけませんわ、と受付のお嬢がいってくれたので、なんといいお嬢なんだろう、とか、ラッキー、とか思いながら、そそくさと通過する。講座の配りものとして用意した山本松寿堂謹製二銭銅貨煎餅は二千五百円だったのだが、懇親会の会費三千円がゼロということになったのだから、差し引きすれば五百円の儲けである。まさか、やなせ塾で儲けが出るとは思ってもいなかった。

会費はすべて、懇親会の飲食につかってしまうものと思っていたのだが、そうではなかった。一部はプールして、名張まちなか再生委員会歴史拠点整備プロジェクトの活動資金に充当するらしい。見苦しい話である。地域社会の害虫が延命をはかってどうする。三千円なら三千円、すべてぱーっときれいに飲みつくし、いさぎよくぶっ倒れるのが武士の散りぎわというものではないか。これだから、あきんどとは話が合わぬ。商人の考えることは、もののふにはもうひとつ理解が届かぬ。

しかしまあ、歴史拠点整備プロジェクトのリーダーがそういう方針でことを進めてしまったので、活動資金もいくらかはプールできたものと思われる。ならば、懇親会の収支を報告しておくべきであろう。プロジェクトメンバー以外の、一般市民の参加もあったのである。収入はこうで支出はこう、あまったこれこれは今後の活動に役立てます、みたいな報告はぜひとも必要であろう。このブログで公表しておけば、最低限の責めは果たせたことになると思う。だから、収支の報告を待ってるぜ、とここにこうして書いておけば、かんなくずの親分がなんとかしてくれるはずである。あの親分、2ちゃんねるの名張市政スレしかみていない、ということもないであろうし。

さて、懇親会の前には講座があった。やなせ塾である。第一回にひきつづき、じつに適当なものであった。しかし、基本ははずしていないつもりである。基本とは、いうまでもなく、歴史を学ぶというのは結局どういうことなのか、という一点の認識である。ひとことでいってしまえば、現在というやつをしっかり理解し、未来というやつをきっちり見さだめるために、人は歴史を学ぶのである。それを忘れ、ただ歴史的事実の断片を切り売りするだけ、みたいなうすっぺらな講座にしたつもりはない。なんとか学検定でいい点を取るためのお勉強、といったことではまったくない。

話は、第一回がそこで終わった中世のことからはじめた。黒田荘や悪党の話題である。中世の伊賀ではどんな世界がかたちづくられていたのか。いわゆる一揆の世界である。在地領主、国人、国衆、土豪、地侍、いろいろな呼びかたがあるけれど、土地の有力者というのが当然のことながら存在していて、血縁を軸としたひとつの集団を形成していた。そして、そうした有力者たちは、対等の立場で横につながってもいた。伊賀の地に、地縁にもとづいた連帯が生まれていた。それが一揆である。一揆とは、ひとつのまとまり、連合体のことである。

それはむろん、伊賀にかぎらず、中世日本の各地でみられた現象である。国家による支配に、つまり守護という装置を利用した上からの支配に抗するため、土地の小規模な領主たちはたがいに連絡して一揆を結んだ。そこにあったのは、あくまでも水平的な世界である。しかし、彼らはやがて守護と手を結び、地域は守護大名の手で一元的に支配されるようになる。垂直的な世界がかたちづくられる。そうした地域が増えてゆく。

ところが、この伊賀の地では、そうした垂直的な世界は最後まで実現されなかった。織田信長の伊賀攻めで壊滅的な打撃を受けるまで、伊賀は水平的な世界を維持していた。小領主たちが横に連携し、たがいに監視しあい、牽制しあいながら、水平的なバランスを保持することで、伊賀一国を成立させていた。それは一般に、伊賀の後進性とみられるものであった。みたいなこと、つまり中世の伊賀がどんなんであったか、みたいなことを知ることは、現在ただいまの伊賀を知るうえで、たぶん有効なことなのである。現在というやつが、しっかり理解できるようになるはずなのである。

ならば、未来はどうか。やなせ塾第二回においては、ちょっと飛躍しすぎかな、とも思いながら、中世の伊賀に実現されていた水平的世界と、それを破壊して織田信長がもたらした垂直的世界を対比し、その対立を世界観の問題に敷衍して、21世紀の世界をリードするのは、ヨーロッパを支配している垂直的世界観ではなく、アジアの自然が生みだした水平的世界観ではないのか、みたいなこともしゃべり、ここで南方熊楠の神社合祀反対運動の話題にスライドすれば話がよりわかりやすくなるのだがなあ、とも思いながら、時間の都合でそこまでは踏みこめなかった。とにかく、日本もまだまだ捨てたものではない、といったことは指摘しておいた。こう書くだけでは、なんのことやらさっぱりおわかりにならぬであろうが。

それでまあ、いろいろしゃべってあらためて感じたことのひとつは、こういうことはまず、子供たちに教えてやんなくちゃな、ということである。地域の歴史を知るというのは、子供たちが彼らの現在と未来を考えるうえでとても大切なことである。地域の未来をになう、とかいわれてるわりに地域のことをなんにも教えてもらっていない子供たちのために、そうした機会を設けることができぬものか。誰の役目かといえば、やはり名張市教育委員会の、ということは結局名張市が手がけるべきことであろう。しかし、そもそも、学校の教師が地域の歴史を知らぬのである。なんにも知らんぞ実際。

だからしかたがない。名張市または名張市教育委員会が子供たちに地域の歴史を学ぶ場を提供したいというのであれば、学校の先生にかわって講師くらいいくらだって務めてやる。とりあえず試験的に、名張市内でいちばん荒れている中学校のいちばん荒れているクラスに放りこんでいただく、というのでもかまわない。地域の歴史をみっちりと、そのクラスの中学生に教えてやる。とはいえ、ことと次第によっては、中学生といっしょになって荒れてしまうかもしれんな。いちばん荒れているクラスのいちばん荒れている生徒が、先生、もういいと思います、何もそこまでしなくてもいいと思います、先生、お願いですからもうやめてください、早くまともなおとなになってください、先生ッ、と涙ながらに止めに入ってくるほど荒れてしまうのかもしれんな。

しかし、名張市だの名張市教育委員会だの、そんなものはしょせんあてにはなるまい。だとしたら、出番だよなあ、かんなくずの親分。ちょうど7月である。もうじき夏休みである。無駄に立派な以下略のやなせ宿で、ひとつ子供たちのための塾を開いてやってはくれんか。やなせ宿はおじいちゃんおばあちゃんににこにこしてもらえる場にしたいのだが、子供たちにもにこにこしてもらいたい。両者がいっしょになってにこにこしてくれればいちばんうれしい。だからとりあえず、いかにも寄席にうってつけのやなせ宿は、じつは寺子屋にもうってつけなのであるから、寺子屋ふうな机を並べて、夏休みの子供たちのために塾を開いてやってはくれんか。塾はいいぞ塾は。緒方洪庵の適塾とか、吉田松陰の松下村塾とか、ああいうのは結構いいと思うぞ。松下政経塾はたいしたことないと思うけど。

さてこうなると、地域社会の害虫である名張まちなか再生委員会の歴史拠点整備プロジェクト、いちど会議を開かねばならんようだな。やなせ塾第一回と第二回の反省、第三回と第四回の準備、懇親会の収支報告、夏休みやなせ塾の企画、といったぐあいに、しなければならぬことがいろいろあるではないか。ちかいうちに集まったほうがいいと思うぞ。さあどうする、かんなくずの親分。
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歴史拠点整備プロジェクトの今後にかんしてひとこと
 ●かんなくず代理様
 ご投稿ありがとうございます。
 たびたびのご報告、まことにお世話さまです。晴れて黒字決算となりましたので、プールできた活動費をどんなふうにして有効に活用すればいいのか、名張まちなか再生委員会歴史拠点整備プロジェクトの今後について、かんなくずの親分のお考えをお聞かせいただくべき時期であろうと思っております。名張市長と名張まちなか再生委員会を叩いてりゃそれでいいんだ、今後のことなんかどうだっていいんだ、名張まちなかのことなんて知らねーやばーか、とかそんなことを思っておいでではないでしょうけれど、しかし、そうもいいきれんか。なにしろ、伊賀者だもの。ともあれ、かんなくずの親分はまあどうだっていいのですけれど、会計担当のお嬢にはくれぐれもよしなにお伝えください。
 今後ともよろしくお願いいたします。
中 相作 URL 2008/07/10(Thu)09:51:30 編集
決算報告修正版
先生には何かとご無理ばかりお願いしているにも関わりませず、本日はわざわざ懇親会費までお届けいただくとは、重ね重ね申し訳なく、かんなくずに成り代わりまして御礼やらお詫びやら、なんと申し上げてよいのやら。
とにかく、あらためて懇親会決算報告をさせていただきます。
収入の部
会費3000円×20名(講師含む)
収入合計60,000円
支出の部
飲み物代45,000円北村酒造
食料代 10,000円味街道
おつまみ 4,044円ジャスコ
支出合計59,044円
収支差額  +956円
講師先生の特別のご配慮により黒字に転じさせていただきました。渾身の懇親会にご出席の皆様からお預かりいたしました956円大切に、かつ有意義に使わせていただきますことをお誓い申し上げまして決算報告とさせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。


かんなくず代理 2008/07/09(Wed)17:53:31 編集
懇親会の赤字という衝撃の事実などについてひとこと
 ●永遠のJガール様
 ご投稿ありがとうございます。
 先日は遠路はるばる無駄に立派な以下略のやなせ塾にお運びをいただき、あらためてお礼を申しあげます。遠来のお客さんには理解不能なネタも少なからずあったのですが、と申しますか、名張市限定のローカルネタであるにもかかわらず一般の名張市民には通じない、みたいなネタもあり、ですからそうしたネタが通じる層からはカルト的と称していいほどの絶大な人気を獲得できるのではないかと期待しているのですが、しかしまだまだ渡世修行中の身、三重県伊賀地域を代表するスタンダップコメディアンとして大輪の花を咲かせる日を夢みて、地道な精進をつづけたいと思います。
 夏休みやなせ塾にかんしましては、子供たちが自分の住んでいる地域の歴史を勉強するという、ごくあたりまえですごく必要なことなのにここらの学校が、つまりは名張市教育委員会がばかだものですから全然できていないことを、地域社会の害虫である名張まちなか再生委員会が罪ほろぼしの意味をこめて手がけるのはいいことだと思います。やなせ宿オフィシャルサイトによれば、名張地区まちづくり推進協議会が「キッズスクエア 夏休みの寺子屋inやなせ宿」というのを二回にわたって予定しており、いったい何をするつもりなのか、そこらの子供たちを集めて金の亡者に仕立てあげるつもりか、子供に曲がったこと吹きこんでんじゃねーぞこら、などと妙な胸騒ぎをおぼえる次第でもあり、なにしろ名張地区まちづくり推進協議会といえば名張まちなか再生委員会とならんで、というよりは、じつは一心同体の双頭の蛇のような存在として地域社会にあだをなしている組織ですから、いやいや、いかんいかん、こんなことをいっていてはいけません。名張地区まちづくり推進協議会といえばあなた、「田中徳三監督 少年河内音頭取り物語」名張まちなか上映会の勧進元になっていただかなければならない団体なんですから、めったなことをいってはいけません。話が流れたら天国の田中徳三監督から叱られてしまいます。
 ところで、「田中徳三監督 少年河内音頭取り物語」名張まちなか上映会の件、これまで子供たちのことはまったく考えていなかったのですが、なにしろ少年の成長を描いた映画なのですから、少年期少女期まっただなかの子供たちにみてもらうことをもっと念頭におくべきではないかと思いあたりました。そのあたりもふくめてそろそろ本格的な企画に入りたいと思うのですが、しかし勧進元がなあ……。
 今後ともよろしくお願いいたします。

 ●かんなくず代理様
 ご投稿ありがとうございます。
 さっそくのご報告、痛み入ります。それにしても、赤字でしたか。まったくまあ、ばかみたいに酒ばっかくらってたのはどこのどいつか、つぎの懇親会では出入り差し止めだ、会派除名じゃ、などといろいろなことを考えてしまいますが、しかし、酔っぱらいに罪はありません。あってたまるか。悪いのはいうまでもなく、へたな皮算用しかできなかったかんなくずの親分です。てめーこらかんなくず、赤字の穴埋めとしてダイハツミゼット一台分のかんなくず、新町温泉へでもどこへでも売りさばいてこいこら、といってやりたいところなのですが、そんなこといったら親分が泣きだしてしまうかもしれません。あの誰から選ばれたわけでもない親分をメンバー全員で盛り立て、みんなでもう一段高いステップを目指すのが名張まちなか再生委員会歴史拠点整備プロジェクトのあるべき姿ではないでしょうか。そこで、受付のお嬢からご高配をたまわって講師は無料としていただいた懇親会の会費、遅ればせながら支払うことで黒字にもちこみ、堂々の粉飾決算で手を打ちたいと思います。2044円の赤字に会費3000円をプラスすれば、差し引き956円の黒字となります。956円が今後の活動資金としてプールされたことになります。しかし、956円で何ができるというのか、やなせ宿名物ワンデイシェフで昼食をとることも無理なのではないか、アイスコーヒーだけ飲んで帰るか、などといろいろなことを考えてしまいますが、ともあれ、かんなくずの親分にくれぐれもよろしくお伝えください。そのおりに、早くプロジェクト会議を開けよな、とあわせてご伝声いただければ幸甚です。
 今後ともよろしくお願いいたします。

 ●三重県よろずや様
 ご投稿ありがとうございます。
 もしかしたら、ほんとうにもしかしたら、やなせ塾の第二回にはおいでいただけるのではないかとかすかな期待を抱いていたのですが、残念な結果となってしまいました。講座のあとの懇親会ではお名前がちらっと話題にもなっていて、なんと申しますか、三重県よろずや待望論、みたいなものが名張市内で徐々に盛りあがっている感じです。いまのところ、会合の予定はいっさいないのですが、もしも何かある場合にはこのブログで予告することになりますので、お気軽にご乱入いただければと思います。ただし、参加無料の会合もあれば、会費をいただかねばならぬ会合もありますので、あらかじめご承知おきください。実質赤字のスタートとなりましたので、今後の会費徴収には債鬼のごとく厳しいものがあると予想しております。
 今後ともよろしくお願いいたします。
中 相作 URL 2008/07/09(Wed)08:42:44 編集
無題
せんせー

どこをどう探しても
第3回「無駄に立派な以下略」の告知がありませーん
http://www.yanase-shuku.com/event.html#7event

もし
反省会の二次会とかに乱入してもよろしいようでしたら
日時をコソーり教えてくださーい
三重県よろずや 2008/07/08(Tue)22:45:45 編集
決算報告
やなせ塾では大変お世話になりましてありがとうございました。運営上数々の不備があったにも関わりませず無事2回のやなせ塾を好評のうち終えることができましたのもひとえに先生のおかげと感謝しております。
さてご指摘の決算の件、ご報告させていただきます。
収入の部
会費3000円×19名(講師除く)
収入合計57,000円
支出の部
飲み物代45,000円北村酒造
食料代 10,000円味街道
おつまみ 4,044円ジャスコ
支出合計59,044円
収支差額△2,044円
申し訳ありません、赤字が出ました。
何でかっていうと、
あんたら飲み過ぎなんや!
今後ともよろしくお願いいたします。
かんなくず代理 2008/07/08(Tue)12:17:49 編集
小学生は歴史が好き
大河ドラマのコアな視聴者は実は小学生、とプロデューサーから教えてもらったことがあります。主役の子ども時代をひっぱって描くのも、小学生に感情移入してもらうためなのだそうです。
そういえば自分自身をかえりみても、歴史に興味を持って、知識を一番吸収していたのが小学生時代だった気がします。
子ども時代の柔らか頭に地域の歴史を教えてあげれば、おとなになってもずっと憶えているものだと思います。
永遠のJガール 2008/07/08(Tue)12:17:25 編集
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