三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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ふるさと納税の話題である。
毎日新聞:ふるさと納税:受け皿に応援基金 6テーマから選び寄付--名張市が実施要項 /三重
この記事によれば、設けられるテーマはつぎのとおり。
▽市民主権のまちづくり
▽水と緑のまちづくり
▽子どもが輝くまちづくり
▽歴史・文化と地域資源を活(い)かしたまちづくり
▽生涯現役のまちづくり
▽ふるさと名張の未来に寄与する事業
まるで選挙の公約である。こんなものではだめであろう。なんともうさんくさくて、信用する気にとてもなれない。こんな抽象的なお題目をいくら掲げてみたところで、さあ寄付しようと思う人間は出てきてくれないのではないか。だいたいどうして、こんなテーマを設定しなければならないのか。テーマなど不要であろう。
三重県のほうがまだましである。
三重県公式サイト:美し国三重ふるさと応援サイト
テーマは設けられていない。ただ「三重県の取組」なるものが、つぎのとおり紹介されているだけである。
▽2009年から6年間にわたる「美(うま)し国おこし・三重」に取り組みます
▽新しい県立博物館の整備に取り組みます
▽「2009年第29回世界新体操選手権」が開催されます
▽ぜひ住みたい、訪れてみたいと感じていただける、観光の魅力づくりを進めています
▽「高度部材イノベーションセンター」が3月にオープンしました
これでいいはずである。テーマを設けて寄付を募るなどというもの欲しげなことをしなくたって、名張市はこんなことをしています、こんなことを目指しています、だから応援してください、と訴えるだけでいいはずである。選挙公約ではないのである。ご町内だけを相手に適当なこと吹きまくっとけばいい、という話ではまったくない。
情報発信だの全国発信だの、何かといえばそんな能書きを並べたてるくせに、実際にはご町内感覚から一歩も抜け出せないのだから困ってしまう。案内板デザイン講座につづいて情報発信講座でも開くべきところなのかもしれないが、とりあえず三重県の公式サイトふうに名張市を紹介するとなればどうなるか。見本をひとつ示しておく。
▽江戸川乱歩が生まれた名張のまちの再生を進めています。
これでいいはずである。乱歩の名前をうまく利用しろ、というのは、たとえばこういうことなのである。市民主権がどうの水と緑がこうのと、そんなうすぼんやりしたことをいってたってしかたあるまい。誰もふりむいてはくれぬであろう。その点、乱歩というビッグネームを使用するだけで、お題目がくっきりとした輪郭を帯び、たちまちキャッチーになることがわかるだろう。多少なりとも、名張市の個性や独自性を訴えることができるだろう。なかにゃついふらふら、寄付のひとつもしてやろうかという人が出てくるかもしれない。
むろん、もう少しくわしい紹介も必要だろう。こんな感じか。
・名張のまちに一億円をかけて観光交流施設やなせ宿をつくりました。
・無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館として大評判です。
・食堂化路線も本格化しました。
・イベントの切り貼りもやってます。
・早く名張市民に認知してもらいたいな。
いかんいかん。こんなことではいかん。むろん事実ではあるのだが、こんなことを正直に公表したら寄付なんて誰もしてくれんぞ。だから名張まちなか再生プランの素案が発表された時点から、もうちょっとちゃんとせんかといいつづけてきたのであるが、いまとなっては手遅れか。
毎日の記事に戻る。名張市の皮算用では、六テーマでふるさと納税、つまりは寄付を募って、「具体的には、小中学校校舎の耐震化や能楽振興などへの活用を想定している」らしいのだが、こんなことを公表する必要はないであろう。これはまさしく取らぬ狸の皮算用というやつであって、狸の姿も見えぬうちから、早手回しにあんなことをしたいこんなことをしたいと、そんなおもわくを発表する必要はないはずである。さもしく、あさましく、いじましい感じがするし、世の中には早とちりな人が結構いるものだから、寄付が集まらなければ小中学校の校舎を耐震化できないのか、と思ってしまう市民も出てくるかもしれない。
それにしても、これはどうよ。小中学校校舎の耐震化、能楽振興。名張市の皮算用に、どうしてこのふたつがあげられているのか。前者はまだわかる。きわめて具体的な話である。いっぽう後者は、とてもあいまいな印象である。能楽振興というお題目のもとにいったいどんな事業が進められるのか、いくら考えてもみえてこない。
といったところでようやく、「観阿弥vs乱歩」なるテーマに逢着することとなる。
観阿弥と乱歩は、名張市の二枚看板のようなものである。ある、というか、あった、というか。こうした二枚看板路線が明確に打ち出されたのは前市長の時代の話で、観阿弥関連では名張薪能、乱歩関連ではミステリ講演会が、具体的な事業として回を重ねてきている。お役所のそれこそ二枚看板であるハコモノ崇拝主義とイベント尊重思想の域を出るものではないけれど、郷土ゆかりのビッグネームを利用して名張市のグレードをアップさせるという戦略が、そこにはたしかにあったのである。
ところが、ここへ来て、乱歩の名前が消えはじめている。あたかも御神酒徳利のごとく、いや、おみきどっくりという比喩はもはや通用しなくなっているのかもしれないが、とにかくいつもいっしょだった二枚看板、梅に鶯、松に鶴、朝吉ゆうたら清次でんがなとばかりに黄金のタッグを組んでいた観阿弥と乱歩、ワンセットで語られることの多かった能楽振興と乱歩顕彰、このツートップがいつのまにか、エンタツアチャコのごとく、いやいや、エンタツアチャコなどといってももはや通用しないであろうけれども、とにかく不可解なコンビ別れにいたっているらしいのである。ここにはいったい、どんな戦略があるのか。たぶん、戦略なんて何もないのであるが。
あすにつづく。破のあとは急である。
毎日新聞:ふるさと納税:受け皿に応援基金 6テーマから選び寄付--名張市が実施要項 /三重
この記事によれば、設けられるテーマはつぎのとおり。
▽市民主権のまちづくり
▽水と緑のまちづくり
▽子どもが輝くまちづくり
▽歴史・文化と地域資源を活(い)かしたまちづくり
▽生涯現役のまちづくり
▽ふるさと名張の未来に寄与する事業
まるで選挙の公約である。こんなものではだめであろう。なんともうさんくさくて、信用する気にとてもなれない。こんな抽象的なお題目をいくら掲げてみたところで、さあ寄付しようと思う人間は出てきてくれないのではないか。だいたいどうして、こんなテーマを設定しなければならないのか。テーマなど不要であろう。
三重県のほうがまだましである。
三重県公式サイト:美し国三重ふるさと応援サイト
テーマは設けられていない。ただ「三重県の取組」なるものが、つぎのとおり紹介されているだけである。
▽2009年から6年間にわたる「美(うま)し国おこし・三重」に取り組みます
▽新しい県立博物館の整備に取り組みます
▽「2009年第29回世界新体操選手権」が開催されます
▽ぜひ住みたい、訪れてみたいと感じていただける、観光の魅力づくりを進めています
▽「高度部材イノベーションセンター」が3月にオープンしました
これでいいはずである。テーマを設けて寄付を募るなどというもの欲しげなことをしなくたって、名張市はこんなことをしています、こんなことを目指しています、だから応援してください、と訴えるだけでいいはずである。選挙公約ではないのである。ご町内だけを相手に適当なこと吹きまくっとけばいい、という話ではまったくない。
情報発信だの全国発信だの、何かといえばそんな能書きを並べたてるくせに、実際にはご町内感覚から一歩も抜け出せないのだから困ってしまう。案内板デザイン講座につづいて情報発信講座でも開くべきところなのかもしれないが、とりあえず三重県の公式サイトふうに名張市を紹介するとなればどうなるか。見本をひとつ示しておく。
▽江戸川乱歩が生まれた名張のまちの再生を進めています。
これでいいはずである。乱歩の名前をうまく利用しろ、というのは、たとえばこういうことなのである。市民主権がどうの水と緑がこうのと、そんなうすぼんやりしたことをいってたってしかたあるまい。誰もふりむいてはくれぬであろう。その点、乱歩というビッグネームを使用するだけで、お題目がくっきりとした輪郭を帯び、たちまちキャッチーになることがわかるだろう。多少なりとも、名張市の個性や独自性を訴えることができるだろう。なかにゃついふらふら、寄付のひとつもしてやろうかという人が出てくるかもしれない。
むろん、もう少しくわしい紹介も必要だろう。こんな感じか。
・名張のまちに一億円をかけて観光交流施設やなせ宿をつくりました。
・無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館として大評判です。
・食堂化路線も本格化しました。
・イベントの切り貼りもやってます。
・早く名張市民に認知してもらいたいな。
いかんいかん。こんなことではいかん。むろん事実ではあるのだが、こんなことを正直に公表したら寄付なんて誰もしてくれんぞ。だから名張まちなか再生プランの素案が発表された時点から、もうちょっとちゃんとせんかといいつづけてきたのであるが、いまとなっては手遅れか。
毎日の記事に戻る。名張市の皮算用では、六テーマでふるさと納税、つまりは寄付を募って、「具体的には、小中学校校舎の耐震化や能楽振興などへの活用を想定している」らしいのだが、こんなことを公表する必要はないであろう。これはまさしく取らぬ狸の皮算用というやつであって、狸の姿も見えぬうちから、早手回しにあんなことをしたいこんなことをしたいと、そんなおもわくを発表する必要はないはずである。さもしく、あさましく、いじましい感じがするし、世の中には早とちりな人が結構いるものだから、寄付が集まらなければ小中学校の校舎を耐震化できないのか、と思ってしまう市民も出てくるかもしれない。
それにしても、これはどうよ。小中学校校舎の耐震化、能楽振興。名張市の皮算用に、どうしてこのふたつがあげられているのか。前者はまだわかる。きわめて具体的な話である。いっぽう後者は、とてもあいまいな印象である。能楽振興というお題目のもとにいったいどんな事業が進められるのか、いくら考えてもみえてこない。
といったところでようやく、「観阿弥vs乱歩」なるテーマに逢着することとなる。
観阿弥と乱歩は、名張市の二枚看板のようなものである。ある、というか、あった、というか。こうした二枚看板路線が明確に打ち出されたのは前市長の時代の話で、観阿弥関連では名張薪能、乱歩関連ではミステリ講演会が、具体的な事業として回を重ねてきている。お役所のそれこそ二枚看板であるハコモノ崇拝主義とイベント尊重思想の域を出るものではないけれど、郷土ゆかりのビッグネームを利用して名張市のグレードをアップさせるという戦略が、そこにはたしかにあったのである。
ところが、ここへ来て、乱歩の名前が消えはじめている。あたかも御神酒徳利のごとく、いや、おみきどっくりという比喩はもはや通用しなくなっているのかもしれないが、とにかくいつもいっしょだった二枚看板、梅に鶯、松に鶴、朝吉ゆうたら清次でんがなとばかりに黄金のタッグを組んでいた観阿弥と乱歩、ワンセットで語られることの多かった能楽振興と乱歩顕彰、このツートップがいつのまにか、エンタツアチャコのごとく、いやいや、エンタツアチャコなどといってももはや通用しないであろうけれども、とにかく不可解なコンビ別れにいたっているらしいのである。ここにはいったい、どんな戦略があるのか。たぶん、戦略なんて何もないのであるが。
あすにつづく。破のあとは急である。
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そんなことはとても信じられないわけなのですが
●関係者A様
ご投稿ありがとうございます。
それにしても、ご投稿を疑うつもりはまったくないのですが、それはほんとうのことでしょうか。名張市長がほんとうに、やなせ宿を名張旧町の第二公民館として活用してください、とおっしゃったのでしょうか。むろん、以前から指摘しておりますとおり、やなせ宿は無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館と呼ぶしかない施設です。なんの考えもないままに整備が進められ、結局はただの貸し館として運営されるしかない施設が誕生してしまった。それはまぎれもない事実です。
しかし、だからといって、つまり、これが最初から名張地区第二公民館をつくりますという話であったのならなんの問題もないわけですが、ただの名張地区第二公民館であってはならないはずの施設を整備しておきながら、できあがったとたんにさあ名張地区第二公民館として活用してくださいなどとしれっと利用を呼びかけるなんてのは、当方にはとても信じられないことだというしかありません。
ただまあ、やなせ宿にかんしましては、先日も申しましたとおり、いまや何が起きてもまったくふしぎではありません。やなせ宿の事務局がなぜか名張公民館に置かれてしまう、みたいなことがあっても驚くにはあたらないと思います。一般市民にはきわめて不合理で理不尽で不可解で意味不明なことが、やなせ宿関係者のあいだではごくふつうのこと、あたりまえのこととしてまかり通ってしまうわけで、かりに名張まちなか再生委員会の総会で「悪行」をただしたとしても、関係者はそれが「悪行」だとは夢にも思っていないのではないかとさえ懸念される次第なのですが、しかしまあ、どういうお立場で総会に出席されるのかはわかりませんが、いいだけばんばんかましてやっていただければと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
ご投稿ありがとうございます。
それにしても、ご投稿を疑うつもりはまったくないのですが、それはほんとうのことでしょうか。名張市長がほんとうに、やなせ宿を名張旧町の第二公民館として活用してください、とおっしゃったのでしょうか。むろん、以前から指摘しておりますとおり、やなせ宿は無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館と呼ぶしかない施設です。なんの考えもないままに整備が進められ、結局はただの貸し館として運営されるしかない施設が誕生してしまった。それはまぎれもない事実です。
しかし、だからといって、つまり、これが最初から名張地区第二公民館をつくりますという話であったのならなんの問題もないわけですが、ただの名張地区第二公民館であってはならないはずの施設を整備しておきながら、できあがったとたんにさあ名張地区第二公民館として活用してくださいなどとしれっと利用を呼びかけるなんてのは、当方にはとても信じられないことだというしかありません。
ただまあ、やなせ宿にかんしましては、先日も申しましたとおり、いまや何が起きてもまったくふしぎではありません。やなせ宿の事務局がなぜか名張公民館に置かれてしまう、みたいなことがあっても驚くにはあたらないと思います。一般市民にはきわめて不合理で理不尽で不可解で意味不明なことが、やなせ宿関係者のあいだではごくふつうのこと、あたりまえのこととしてまかり通ってしまうわけで、かりに名張まちなか再生委員会の総会で「悪行」をただしたとしても、関係者はそれが「悪行」だとは夢にも思っていないのではないかとさえ懸念される次第なのですが、しかしまあ、どういうお立場で総会に出席されるのかはわかりませんが、いいだけばんばんかましてやっていただければと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。