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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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きのうのつづき。

名張市公式サイト:名張市議会会議録

名張市の平成6・1994年第263回(9月)定例会における質疑応答である。市議会議員の質問の要旨は、江戸川乱歩関連資料は市立図書館が収集をつづけてきたところであるが、乱歩のご遺族が保有する資料を提供していただくことも視野に入れ、名張市に独立した乱歩資料館を建設すべきではないのか、といったことであった。

名張市教育委員会の答弁。

   
P.243 ◎ 教育長(梅田馨君)

◎教育長(梅田馨君) 乱歩先生のお子さんであります平井隆太郎さんのお持ちの遺品について、過去にも何とか名張市にひとつご協力いただきたいということを再三お願いした経過がございます。その中で、現在は12点について平井隆太郎さんから遺品をお借りして展示をしているのが現状でございます。なかなか譲っていただくことについては難しいことだと思っておりますし、逆に平井隆太郎さんの方は、最近、より一層やはり親の遺産でありますそういうふうな遺品を集めているというふうなことを承っておりまして、今後名張市が夢を見ております乱歩館等が仮に実現したときはどうなるかということについては、少しまだそんなことで接触もしておりません。まだそういうものが夢の夢でございますので、そう先走った話もできておりませんが、なかなか貴重な遺品でございますので、譲ってもらうについては難しいのでなかろうかなと。むしろそういう機会が今後起きていったら、お借りすることでお願いをしなきゃならんのかなというふうなことも現時点では担当者を含めて論議をした経過が最近ございます。また、慶応大学で乱歩先生の研究会というのがあるそうでございます。その研究会から研究したいろんな資料等について、名張市さんに協力したいんだということをごくごく最近でございますが、情報が入ってきておりまして、そういう観点では、その中にどういうものが入っているか、まだ詳しく関知してないわけでございますが、そういう等が意義のあるものであれば、ぜひご協力もお願いしていきたいなと、かように思っておるところでございます。

名張市教育委員会などというのはむろんいまでもばかなのだが、当時からばかだったのだということである。だいたい乱歩関連資料というのがたんに乱歩の遺品のことであるとしか考えられないところがばかなのであるが、そんなことはまあいい。それに名張市サイドとしては、あわよくば乱歩のご遺族から遺品をせしめて乱歩館たらいうものを建設し、超一流ブランドのオーナーになった気分でおおいに自慢したいとか誇りたいとか誉められたいとか認められたいとか有名になりたいとか、そんなおもわくを胸に秘めるのは無理からぬ話でもあったのであろうなこの俗物ども。

しかしこら俗物、少しはものの道理というものを考えてみろ。そんな皮算用が成立すると思うか。乱歩のご遺族の立場に立って考えてみたことがあるのか。ご遺族としては、どうしてわざわざ名張のような草深い土地に乱歩の遺産を提供しなければならぬのか、ということになるはずである。それでもまだ、田舎者というのは無神経無配慮でひたすら厚かましいものであるから、ご遺族のもとに足しげく通っておねだりすれば終始は一貫しておった。田舎者が乞食根性丸出しでアプローチすればよかったのである。

ところが何もしなかったんだからなあ。どんなアクションも起こそうとせず、ただ「名張市が夢を見ております乱歩館」だの「夢の夢」だのと寝言みたいなをことを並べるだけであったのだから、いやもう無駄飯食いってのはほとほとどうしようもないものである。いやまあ、何もせずに人がものをくれるのをただ待ってるだけだったんだから、それが乞食の王道であったというべきか。

いやいや、そんなこともまだいい。かまわん。この答弁を読んで心底びっくりしたのは、「慶応大学で乱歩先生の研究会というのがあるそうでございます。その研究会から研究したいろんな資料等について、名張市さんに協力したいんだということをごくごく最近でございますが、情報が入ってきておりまして」というところである。なんなんだこのでたらめは。嘘八百は。名張市教育委員会などというのはむろんいまでもばかなのだが、当時からばかだったのだということである。というか、名張市教育委員会はいったいどこまでばかであったら気が済むのか。ばかの頂上をめざしておるのか。

慶應義塾大学に乱歩の研究会なんてものはないのである。ないはずの研究会から研究の資料を提供してもらえるわけなどないのである。存在しない組織から存在しない資料をもらえると本気で考えていたのだから、乞食というのはつくづくあさましいものである。こらばか。このぼんくら委員会。どうせなら正直に、名張市乞食委員会とでも看板をかけ替えておいたらどうだ。

正確なところを記しておく。それは慶應義塾大学推理小説同好会OB会のことである。乱歩を研究する組織なんかではまったくない。会名が示すとおり、内外の推理小説が好きな人たちの集まりである。そのOB会のみなさんから、この定例会が開かれた平成6・1994年ころ、自分たちが私蔵しているミステリー関連書を乱歩の生まれ故郷にある名張市立図書館に寄贈してやろうという申し出をいただいた、というだけの話である。それがどうして乱歩の研究会がどうのこうのという話になってしまったのか。じつに飛躍の多い伝言ゲームであったというしかないが、名張市教育委員会が市議会の定例会で無茶苦茶な答弁をしておったというのはまぎれもない事実である。あの委員会にはおそらく、情報を正確に理解し伝達する能力がないのであろう。

いやはや、ばかをおちょくってると長くなって困るのだが、もう少し説明を加えておく。名張まちなか再生プランがらみでいうと、例のミステリー文庫の具体的なアイテムというのが、この慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんからの寄贈図書なのである。長く市立図書館の地下書庫に死蔵されたままである。だから細川邸を整備するというのなら、乱歩が生まれた新町にある細川邸をまちなか再生のために整備するというのなら、乱歩という素材を利用しない手はないし、さらに現実に即していうならば死蔵された寄贈図書をそれこそ再生しない手はないのである。名張まちなか再生プランに対して提出したパブリックコメントにはっきりそう明記しておいてやったというのに、それをいっさい無視したあげく、いまごろになって細川邸の川蔵にミステリー文庫をつくります、いややっぱりつくりませんなどとわけのわからんことほざいてるうすらばかども、やっぱりおまえらをおちょくってると長くなって困る。

長くなってほんとに困るのではあるけれど、さらにいささかを付記しておくならば、名張市は慶應義塾大学推理小説同好会OB会のみなさんから長くご高誼をたまわり、数えてみれば十三年、毎年秋になると首都圏や関西圏などにお住まいのメンバー有志が「名張ツアー」と称して名張まで足を運んでくださっていたのだが、そうした縁も去年で切れてしまった。名張市が愛想を尽かされたということであろう。それはもうしみじみと実感されることである。市民のあずかり知らぬことではあれど、乱歩にかんして、あるいはミステリーにかんして、名張市はこれまでお世話になっていたあちらこちらのみなさんからすっかり愛想を尽かされているのである。

名張ツアー二年目から昨年まで、OB会のみなさんからひとかたならずお引き立てをいただいて、昨年11月には伊賀市の金谷で伊賀牛のすき焼きをご馳走になったりしていた身としては、はっきりいってメンバーのみなさんにあわせる顔がないのである。あわせる顔がないといえば、桝田医院第二病棟をご寄贈くださった桝田敏明先生のご遺族に対してもそうであるし、あるいはなんかもう乱歩のご遺族にも、さらにいえばこれまでさまざまなご協力をかたじけなくしてきた全国の乱歩ファンのみなさんにも、はっきりいってあわせる顔なんてどこにもありゃせんのだぞ実際。

つぎ、市議会議員の再々質問。

   
P.245 ◆ 議員(竹内秀夫君)

◆議員(竹内秀夫君) 江戸川乱歩先生の資料については、巷間に散逸しているものをそれぞれピックアップして集めていくという、大変なご苦労があると思いますが、これからも鋭意ご努力をお願いしておきたいと思います。先ほど申し上げたご遺族ご所有の重要な資料といいましょうか、大事なものについては、特に、これからも名張が乱歩資料館というものを考えるというか、それを充実していく上において、やはり重要なポイントの一つでもあろうと思いますので、十分情報収集をしていただいて、そういうきっかけがありましたら、その機会をとらまえて十分対処できるような体制を常におとりいただけたらと思うわけであります。せっかく鋭意ご努力願ってた資料も、たった重要なものがないために、画竜点睛を欠くような資料館になるということもあり得るわけでございますので、特にこの点は教育委員会の方へお願いをしておきたいと思うわけであります。

だからいくらお願いをしておいたところで、名張市教育委員会なんてまったく頼りにならぬのであるし、「ご遺族ご所有の重要な資料」なんてのを名張みたいな辺鄙な山のなかに提供していただける道理もないのである。名張市としては、みずからの身のたけや身のほど、あるいは分際というものをよくわきまえて、乱歩にかんして分相応に、できることをしっかり地道にきっちり着実にやってゆけばいいのである。ただそれだけの話なのであるが、ろくに乱歩作品を読んだこともなく、乱歩のことを知ろうともせず、もとより乱歩へのリスペクトなどかけらもないくせにやたら乱歩を売名に利用しようとする無教養きわまりない俗物どもには、そんなあたりまえのことすらわからぬのであろうな。

つづいて、平成6・1994年第264回(12月)定例会。

名張市の答弁。質問はふるさと振興基金にかんするもので、乱歩関連事業にも基金をちょこっとつかいましたという報告である。

   
P.254 ◎ 市長公室長(奥西正利君)

ご承知のように、ふるさとのこの振興基金といいますのは、昭和63年度から地方交付税等に算入されているものでありまして、平成元年3月におきまして、これの振興基金の設置、管理及び処分に関する条例というものを制定していただきまして、そして、その条例に従って運用益を活用しているところでございます。まず、今まででございますが、平成3年度からこの運用益を活用しておりまして、平成3年度では1,300 万円、名張ミステリーフェスティバルとか、あるいはCATVの出資とか、あるいは名張駅東口広場広域サインとか、あるいは生涯スポーツの国際交流事業と、こういったことに助成なり事業費を支出しているところでございます。平成4年度につきましては、合計で1,518万円余でアメリカ・ジャパンウィーク、オレゴン州との国際交流ですが、それとか、あるいは乱歩ふるさとの発見事業とか、名張薪能とか、夏休み少年洋上教室とか、こういったところに助成なり事業費として活用しているところです。平成5年度におきましては850万円でございまして、これも乱歩の関係の事業とか、あるいは名張薪能等の助成なり事業費として活用しているところです。本年度は、一応予算的には2,530万、その半分に当たります 1,500万円程度につきましては、市制40周年記念事業の財源として充当さしていただいて、あとふるさと振興事業に役立つ夏休みの少年洋上教室とか、あるいは文化、あるいはスポーツ等の国際交流とか、そういったところに助成等を予定しているところでございます。

明けて、平成7・1995年第269回(12月)定例会。乱歩にかんしてどうということもない言及がみられるのみなのであるが、まあひろっておく。

市議会議員の質問。

   
P.146 ◆ 議員(坪井祥君)

第3点のまちづくりのことでありますけれども、市長からご答弁をいただきました。実際問題として、私の友人も何回か泊まりがけで尋ねてきておりますけれども、名張ってこんなとこやとは知らなんだということをいろいろおっしゃってくれるわけなんですね。私たちも住ませてもらってやっぱりいい町やったなあと思うんですが、それに対するこの名張市側からの発信というんですか、そういうものがもう一つ足らんのやないかなあということを少し考えておるわけなんです。これは、ほかの資料で申し訳ないんですけども、環境文化研究所の調査、その中で例えて申しますと、観光地としてのイメージアップ戦略という項目がございまして、その方の一つの見方なんですけれども、名張を象徴するものは余り明確ではなかった。例えば、忍者、藤堂家、観阿弥、江戸川乱歩、赤目四十八滝、香落溪、青蓮寺ブドウなどがあるが、これまでも強調しようという動きは少なかったというふうな、これは外部の方の一つの指摘なんですが、一つの聞くべき意見かなあということを私は考えているわけであります。この一つの分析の結果、新しいシンボルを発見して、そのシンボルに基づいた観光キャンペーンというふうなものを打ち出していって、一つの名張のイメージアップをしてはどうだろうとか。あるいは、市の方で観光振興計画をまとめて発表するとか、あるいはふるさと白書の作成をしてみてはどうかとか、ふるさと情報館、こういったものを旧市街地あたりにつくっていって、新旧住民もちろんのこと、外からもたくさんの人々を迎えて町興しをしていったらどうだろう、こういう一つのユニークな提言というふうに私は読ませていただいたんですけども、こういうもので何とか今後の町興しというんですか、十分興ってるやないかということかもわかりませんけど、私は一つのイメージとしてもうちょっと打ち出していくものがあってよいんではないかなあと思うわけなんです。その点お考えをお述べいただくとありがたいと思います。

名張市の答弁。

   
P.149 ◎ 市長(富永英輔君)

それから、2点目のまちづくりのコンセプトの問題でございますし、名張の町をどうイメージにしていくかと、こういうあたりの取り組みの問題でございます。ですから、例えばこの県内におきましても、それぞれの地域がそれなりの以前からずっと持ち合わせている町のイメージそのものをまちづくりの中に生かし切っているところもあるでしょうし、またそうでないところもある。せっかくの資産がありながらそれを生かし切ってないところもあるだろう、こんなふうに思うわけです。しかし、私は市長になりましたときに一番最初そのことを大事にしようと、これは名張にしかないものをとにかく大事にしていこう、このことをコーポレート・アイデンティティーという形で各企業がおやりになっておりますが、その恣意を私がシティー・アイデンティティーだと、こういうぐあいに申し上げて、名張市の持っている個性、魅力、名張市にしかないもの、これを大事にしながら、これは新旧市民が共有できる大事な大事な財産であります。しかしながら、全世界に発信し得るほどのインパクトを持ったような決定打、実はないことはもう市民の皆さん方十分ご承知のような名張でございますけれども、しかし、しかないものがこれほどたくさん豊富にそろっている町も実はないわけです。赤目四十八滝に象徴されるような、例えば香落溪に象徴されるようなあの柱状節理なんかを、香落溪の柱状節理一つとりましても、あれだけの一つの渓流、いわゆる渓谷の中にあれだけの数の滝が存在をしているという町も実はないわけです。そして、全国650ほどの、660近い都市がございますけれども、市長室からダムの堰堤が見えるなんてな都市もまず全国じゃあ名張だけだろうと、こんなふうにも思うわけですね。ですから、豊かな自然というのはかけがえのない財産だと。そしてまた、この観阿弥が座を興した町、江戸川乱歩が生まれた町、壬申の乱ゆかりの、いわゆる歴史街道の拠点としての初瀬街道、そしてその中の夏見廃寺、美旗古墳群とこう考えてまいりますと、全国に発信し得る自慢すべきものというのはいっぱいあるわけです。

おなじく平成7・1995年第269回(12月)定例会。この質問にも乱歩への言及がある。やはりどうということのない言及である。

   
P.75 ◆ 議員(川合滋君)

そしてまた、遊の部分ですけれども、名張市には赤目四十八滝、そしてまた香落溪、青蓮寺の観光ブドウ園等、そしてまたそれ以外に観阿弥の創座の地であり、また江戸川乱歩の出生の地であり、夏見廃寺があり、観光資源は幾らでもあるわけですけれども、この観光開発をどのようにしていくのか、またどのようにアピールしているのか。このあたりもお聞かせいただきたいなあと。

平成8・1996年もみておくことにして、まず第270回(3月)定例会。教育委員会が新年度教育行政の方針と施策について述べたくだりである。

   
P.10 ◎ 教育委員長(辻敬治君)

図書館につきましては、すべてのものをすべての人にという公共図書館の理念に基づいて、市民の多様な要望にこたえられるよう資料を収集、整備し、新鮮で話題性に富んだ魅力のある蔵書づくりとサービスの資質向上に努めてまいります。さらには、乱歩関係資料の充実整備を図るほか、学校教育や社会教育施設との連携、協力によって、地域に密着した親しまれる図書館づくりを進めたいと考えております。

おなじく平成8・1996年の第271回(6月)定例会。名張市の答弁である。

   
P.88 ◎ 市長(富永英輔君)

それから、3点目に、新しい観光資源の発掘なり、あるいは道路整備の問題でございますけれども、これはもうご所見いただいたとおりでございますので、私どもといたしましても、今日単に、この名張の持っている、そういった自然景観を中心とした観光資源だけではなしに、歴史的な文化遺産も当然のことながら観光資源として活用していこうと、あるいは観阿弥創座の地として能楽を一つの観光資源に、あるいは江戸川乱歩の生誕地としてのミステリーの町としても、あるいはそのほかに、さまざまな地域によりましては祭りだとか、あるいは松明調進行事のような一つの民俗行事もございまして、そういったさまざまなそれこそ非物的な部分も含めて観光資源としてこれから十分活用していけるようにしてまいりたいと、このように考えております。したがって、そういうことを、観光地を、またあるいはそういうものを有機的に結んでいくための観光マップを作成をいたしましたり、そういったこととあわせて、ご所見をいただきましたように、道路整備についてもこれから精いっぱい関係方面へ要望、陳情を重ねまして、早期にそういった道路整備も完成できるように努めてまいりたいと、こう考えております。

これまたどうということもない言及であるが、こうしたどうということもない言及合戦からうかがえるのは、いわゆる観光資源としてであれいわゆる全国発信の素材としてであれ、名張市は江戸川乱歩をうまく活用すべきあるということはだいたいわかっているのだけれど、どんなふうに利用すればいいんだか誰にもまったくわかっていない、という一事であろう。あたりまえである。虫のいいことを考えるばかりで、ろくに乱歩作品を読んだこともなく、乱歩のことを知ろうともせず、もとより乱歩へのリスペクトなどかけらも、以下略。

あすにつづく。
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