三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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『名張の民俗』(昭和43・1968年)の「第2章 祭」から引用。きのうのつづき。
補足説明、その一。
宇流冨志祢神社は、旧名張町を氏子区域としている。昭和29・1954年、周辺三村と合併して名張市になった、あの名張町である。
この名張町のエリアには、江戸時代から明治初年にかけて、次の四村があった。
簗瀬村は一般に名張と呼ばれ、名張という名のほうがよく知られていた。明治13・1880年、商取引上、名張村と名乗るほうが有利だという理由で、簗瀬村は名張村と改称した。
明治22・1889年、町村制が実施され、名張村は名張町となった。かつての平尾村は平尾、北出村は北出、南出村は南出という名前の大字になった。
昭和29・1954年の名張市発足にともない、北出は朝日町、南出は南町になった。
補足説明、その二。
頭屋とは、神社の祭礼や講の行事で、その準備、執行、後始末などを担当する者、または、その家のことをいう。宇流冨志祢神社秋祭りの頭屋は、一生に一度だけまわってくる大役とされる。
□□宇流冨志禰神社の祭(10月28日・名張の町) 承前
□祭の行事 □講員 名張の町では“氏子”ということばの使いかたが、ほかとは少しちがう。旧町部の地域に住んでいる者は、ここで生まれたのと他から転入してきたのとを問わず、全員が氏子である。これは氏子の本来の意味とはだいぶん離れている。本来の氏子に該当するものは、ここでは“講員”とよばれる。講員の家は昔から一定していて新規加入は認めない。町部(旧簗瀬村)五十名、平尾(旧平尾村)・朝日町(旧北出村)・南町(旧南出村)各三、四十名の程度である。これらの家はいずれも地域の原住者で、江戸時代における宮座の伝承だろう。ただし町部だけは戦後一般に開放せられ、希望すればだれでも加入できる。 □頭屋 頭屋を営むのはむろん講員に限る。頭屋は四地区から一名ずつ、つまり毎年四戸の頭屋があるわけだ。いわゆる長男祭で、年当子が主体となる。しかし、厳格な出生順にはよらず、家庭の事情により協議により年々の頭屋をきめている。 □お旅 祭日の一週間前(10月22日)御神輿は新町の“お旅所”に遷座する。お旅所はもと石の鳥居にあり、大正11年伊賀鉄道が開通して石の鳥居・西名張駅間の道路が開かれるにさいし木屋町、現高北農機の地に移り、さらに昭和26年現在の新町・愛宕神社の隣に移った。 □御神輿に奉仕するのは宮元平尾の青年で神輿を先頭に神職(昔は馬、今は人力車)・舞姫・頭屋親子・奉斎会役員らが供奉する。お旅の順路は神社・上本町・中町・木屋町・豊後町・元町・新町・お旅所。(かけ声は「ワッショワッショ」でなく「チョーサ、チョーサ」)神輿がお旅所に着くと、鎮座祭・稚児舞・直会(のうらい)の順で遷座式が行われる。神酒は一の頭屋の配膳(ハイゾウのこと。ここではこの字を充てる)二人が給仕する。庭前では御湯神楽(みゆかぐら)が奏せられる。こうして遷御した神霊は28日の祭礼当日までここに鎮まる。 □榊入(さかきいれ)10月22日の行事。この日、四戸の頭屋ではそれぞれ御仮殿(おかりや)といって、木造の神殿を庭前にしつらえる。(町では場所がないので屋内)。御仮殿前には一対の笹竹を立て、シメ縄を張る。供物は適宜海の幸・山の幸で、他で見られるような伝承的な規格がない。 □御仮殿は依代(よりしろ)である。夕刻、神職が来て、榊入という神うつしの式を行う。こうして28日まで神霊は頭屋の家に鎮座することになる。榊入式には年当子・家族・宮世話人・配膳らが参列する。御仮殿の組立て、シメ縄ごしらえ、その他準備一切は世話人と配膳があたる。 |
補足説明、その一。
宇流冨志祢神社は、旧名張町を氏子区域としている。昭和29・1954年、周辺三村と合併して名張市になった、あの名張町である。
この名張町のエリアには、江戸時代から明治初年にかけて、次の四村があった。
- 簗瀬村
- 平尾村
- 北出村
- 南出村
簗瀬村は一般に名張と呼ばれ、名張という名のほうがよく知られていた。明治13・1880年、商取引上、名張村と名乗るほうが有利だという理由で、簗瀬村は名張村と改称した。
明治22・1889年、町村制が実施され、名張村は名張町となった。かつての平尾村は平尾、北出村は北出、南出村は南出という名前の大字になった。
昭和29・1954年の名張市発足にともない、北出は朝日町、南出は南町になった。
補足説明、その二。
頭屋とは、神社の祭礼や講の行事で、その準備、執行、後始末などを担当する者、または、その家のことをいう。宇流冨志祢神社秋祭りの頭屋は、一生に一度だけまわってくる大役とされる。
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