三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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きのうにつづいて、名張市長から頂戴した回答をテーマに、一寸刻み五分試し、人間豹が咆吼する。回答はこれまでに二通、頂戴している。7月18日付のものを回答A、8月7日付のものを回答Bとして、話を進めたい。
回答Aがこれ。
回答Bがこれ。
一見して明らかなごとく、回答Aには名張まちなか再生プランの否定がふくまれているが、回答Bはプランの肯定に終始している。否定というのは、プランには資料展示や管理体制において実現不能な問題があった、とする認識のことである。プランがろくなものではなかった、という判断のことである。
そのろくでもないプランが、回答Bにおいては全面的に支持されている。
──その中で旧細川邸は、旧家の風情を活かして母屋と蔵を改修し主用途を歴史資料館として整備し、また、来訪者の利便に配慮し駐車場、公衆トイレの整備、物販や飲食なども含む多様な市民のニーズに応えるための施設として整備してまいりました。
ならば、名張まちなか再生プランから、細川邸整備にかんするパートをすべて引き写してみよう。上の引用文に照応する文言は太字とする。
名張まちなか再生プランにある細川邸整備構想のうち、やなせ宿の現況に合致するフレーズだけをとりあげ、それをもって「整備」を正当化しようとするのが回答Bである。しかし、うそがある。再度引用。
──その中で旧細川邸は、旧家の風情を活かして母屋と蔵を改修し主用途を歴史資料館として整備し、また、来訪者の利便に配慮し駐車場、公衆トイレの整備、物販や飲食なども含む多様な市民のニーズに応えるための施設として整備してまいりました。
太字の部分がうそである。細川邸改めやなせ宿が主用途を歴史資料館として整備された、などというのは度しがたい虚偽である。やなせ宿のどこに「歴史」があるというのか。プランにおいて「江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示する」とされていたその「名張城下絵図」は、「江戸川乱歩」は、いったいどこにあるというのか。やなせ宿の主用途は歴史資料館などではまったくない。あんなものは、いまや名張市民のごく一部にはこの名称がじわじわ浸透しつつあるのだが、無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館with小判鮫、と呼ぶしかないしろものなのである。
さらに回答Bは、平気な顔でこううそぶく。
──従いまして、初瀬ものがたり交流館として改修された「やなせ宿」でも名称は「資料館」から、より親しみのあるものへと変わっているものの、プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません。
こんな強弁は通用しない。通用するはずがない。「施設整備の基本的な方向」とは何か。プランから再度、引用する。
「北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します」
「初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします」
「細川邸は円滑な賃貸契約が見込めるほか、平成16年11月の芭蕉生誕360年祭において旧家の風情を活かした魅力的な歴史資料館になりうること、適切な企画によって集客力が期待できることなどが確認できたので、歴史資料館にふさわしい建築物と考えます」
プランの「【2】 歴史資料館の整備事業」は、こういった点から説き起こされている。これすなわち、整備の基本的な方向である。整備構想の根幹である。だから冒頭に記されているのである。しかし、回答Bは根幹には見むきもしない。そのあとに記された枝葉の部分にすがりついているだけである。そして、構想の根幹にかかわる変更をただの名称の問題にすり替えたうえで、「プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません」と強弁する。ひどい話である。というか、恥ずかしい話である。
むろん、くり返し指摘してきたとおり、名張まちなか再生プランに盛りこまれた歴史資料館構想が噴飯ものであったことはいうまでもない。プランによれば、賃貸契約、芭蕉生誕三百六十年祭、集客力、そういったものが歴史資料館整備構想の根拠なのである。歴史資料になんの関係もない要素を根拠とし、とってつけたように「江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料」という文言を加えて、それで歴史資料館をつくりましょうと無責任にぶちあげたのが名張まちなか再生プランなのである。これもまたひどい話であり、恥ずかしい話なのである。
しかし、こんないいかげんな、ひどくて恥ずかしいプランであっても、市議会のチェックと市民のパブリックコメントというハードルをクリアし、名張市長の手で最終的に決定されたことはたしかである。名張まちなか再生委員会の歴史整備拠点整備プロジェクトがその決定をこっそり勝手にくつがえしてしまったのは、はたして正当なことであったのかそうではなかったのか、という質問に、「プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません」という回答しか返ってこないであろうことは、きのうも記したとおりあらかじめ知れていたのである。しかし、そんなことでいいのか。こんなことでは、市民を瞞着することなどとてもできんのではないか。
炎熱のさかりにいよいよ殺気立つ人間豹の蟻地獄絵巻、つづきはあしたのこととなる。
回答Aがこれ。
中 相作 さま
□このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。 □メールサーバの障害により回答が遅くなり、お詫び申し上げます。 □名張まちなか再生プランでは、確かに歴史資料館として整備することについて述べております。 □その後、プランの具体化の為に設けられたまちなか再生委員会内の歴史プロジェクトで議論をするなかで、主用途としていた歴史的な資料の展示には新たに展示館の建設が必要になることや、管理体制等の課題が浮上してきたことなどもあり、歴史資料館と命名するよりも、プランでも述べているように多様な市民ニーズに応えるためにも物販や飲食なども含む、複合的な利用が可能な施設とすることとなり、既存建造物である町屋を活用した「初瀬ものがたり交流館」として、訪れた人への観光案内や、地域の人との交流を通じ、まちなかの情報発信拠点として施設活用を図り、もって既成市街地の魅力の創出に貢献していく施設として位置づけをしたものです。 今後、やなせ宿として多くの人が本施設を訪れ、まちなかの魅力を高める拠点施設になっていくことを目指すものです。 今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。 平成20年7月18日 □名張市長 亀井利克 |
回答Bがこれ。
中 相作 さま
このたびは「市長への手紙」をお寄せいただき、ありがとうございました。 「名張まちなか再生プラン」は平成16年6月から平成17年3月にかけて多くの市民の方々で議論され策定されました。 その中で旧細川邸は、旧家の風情を活かして母屋と蔵を改修し主用途を歴史資料館として整備し、また、来訪者の利便に配慮し駐車場、公衆トイレの整備、物販や飲食なども含む多様な市民のニーズに応えるための施設として整備してまいりました。 従いまして、初瀬ものがたり交流館として改修された「やなせ宿」でも名称は「資料館」から、より親しみのあるものへと変わっているものの、プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません。 今後とも、貴重なご意見・ご提案をお寄せいただきますようお願いします。 平成20年 8月 7日 □名張市長 亀井利克 |
一見して明らかなごとく、回答Aには名張まちなか再生プランの否定がふくまれているが、回答Bはプランの肯定に終始している。否定というのは、プランには資料展示や管理体制において実現不能な問題があった、とする認識のことである。プランがろくなものではなかった、という判断のことである。
そのろくでもないプランが、回答Bにおいては全面的に支持されている。
──その中で旧細川邸は、旧家の風情を活かして母屋と蔵を改修し主用途を歴史資料館として整備し、また、来訪者の利便に配慮し駐車場、公衆トイレの整備、物販や飲食なども含む多様な市民のニーズに応えるための施設として整備してまいりました。
ならば、名張まちなか再生プランから、細川邸整備にかんするパートをすべて引き写してみよう。上の引用文に照応する文言は太字とする。
【2】 歴史資料館の整備事業 (重要度:◎)
□名張のまちにひろがりとまとまりが感じられるように、北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します。 □初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします。細川邸は円滑な賃貸契約が見込めるほか、平成16年11月の芭蕉生誕360年祭において旧家の風情を活かした魅力的な歴史資料館になりうること、適切な企画によって集客力が期待できることなどが確認できたので、歴史資料館にふさわしい建築物と考えます。 □老朽化した部分を除却し、町屋の風情を大切にして母屋と蔵を改修します。また、来街する市民の便に配慮して、駐車場、公衆トイレと喫茶コーナーを設置します。歴史資料館の主用途は資料の展示ですが、多様な市民ニーズに応えるために物販や飲食などを含む複合的な利用も可能なものとします。なお、歴史資料館の管理運営は民間が担う公設民営方式とします。 □市民に何ども足を運んでもらえる歴史資料館とするために、江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示するほか、市民が関われる利用方法を工夫します。たとえば、芭蕉生誕360年祭のからくりコンテストのようなイベントで展示した作品、市民文化祭や市の美術展の出品作、個人や文化サークルなどが作成した作品(例:能面、絵画)を展示したり、小波田地区の「子供狂言」などを招致したり、名張地区以外の市民も参加できる方法が考えられます。また、庭に面した風格ある和室を冠婚葬祭や茶会など、市民も利用できる方法を検討します。市民が関わることのできる場と機会を提供することによって、主催者としてあるいは参加者としてさまざまな市民の来館が期待できます。 □管理運営を担う民間組織には、リピーターが確保できるような企画運営能力をもつことが期待されます。歴史資料館の立ち上がり期には、地元組織やまちづくり協議会が企画展示や施設管理に協力して、円滑な歴史資料館の管理運営に取り組みます。 |
名張まちなか再生プランにある細川邸整備構想のうち、やなせ宿の現況に合致するフレーズだけをとりあげ、それをもって「整備」を正当化しようとするのが回答Bである。しかし、うそがある。再度引用。
──その中で旧細川邸は、旧家の風情を活かして母屋と蔵を改修し主用途を歴史資料館として整備し、また、来訪者の利便に配慮し駐車場、公衆トイレの整備、物販や飲食なども含む多様な市民のニーズに応えるための施設として整備してまいりました。
太字の部分がうそである。細川邸改めやなせ宿が主用途を歴史資料館として整備された、などというのは度しがたい虚偽である。やなせ宿のどこに「歴史」があるというのか。プランにおいて「江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料を常設展示する」とされていたその「名張城下絵図」は、「江戸川乱歩」は、いったいどこにあるというのか。やなせ宿の主用途は歴史資料館などではまったくない。あんなものは、いまや名張市民のごく一部にはこの名称がじわじわ浸透しつつあるのだが、無駄に立派な公衆便所つきの名張地区第二公民館with小判鮫、と呼ぶしかないしろものなのである。
さらに回答Bは、平気な顔でこううそぶく。
──従いまして、初瀬ものがたり交流館として改修された「やなせ宿」でも名称は「資料館」から、より親しみのあるものへと変わっているものの、プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません。
こんな強弁は通用しない。通用するはずがない。「施設整備の基本的な方向」とは何か。プランから再度、引用する。
「北の名張藤堂家邸に対して南にもうひとつの歴史拠点を整備します」
「初瀬街道沿いの最もまとまりのある町並みの中にある細川邸を改修して歴史資料館とします」
「細川邸は円滑な賃貸契約が見込めるほか、平成16年11月の芭蕉生誕360年祭において旧家の風情を活かした魅力的な歴史資料館になりうること、適切な企画によって集客力が期待できることなどが確認できたので、歴史資料館にふさわしい建築物と考えます」
プランの「【2】 歴史資料館の整備事業」は、こういった点から説き起こされている。これすなわち、整備の基本的な方向である。整備構想の根幹である。だから冒頭に記されているのである。しかし、回答Bは根幹には見むきもしない。そのあとに記された枝葉の部分にすがりついているだけである。そして、構想の根幹にかかわる変更をただの名称の問題にすり替えたうえで、「プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません」と強弁する。ひどい話である。というか、恥ずかしい話である。
むろん、くり返し指摘してきたとおり、名張まちなか再生プランに盛りこまれた歴史資料館構想が噴飯ものであったことはいうまでもない。プランによれば、賃貸契約、芭蕉生誕三百六十年祭、集客力、そういったものが歴史資料館整備構想の根拠なのである。歴史資料になんの関係もない要素を根拠とし、とってつけたように「江戸時代の名張城下絵図や江戸川乱歩など名張地区に関係の深い資料」という文言を加えて、それで歴史資料館をつくりましょうと無責任にぶちあげたのが名張まちなか再生プランなのである。これもまたひどい話であり、恥ずかしい話なのである。
しかし、こんないいかげんな、ひどくて恥ずかしいプランであっても、市議会のチェックと市民のパブリックコメントというハードルをクリアし、名張市長の手で最終的に決定されたことはたしかである。名張まちなか再生委員会の歴史整備拠点整備プロジェクトがその決定をこっそり勝手にくつがえしてしまったのは、はたして正当なことであったのかそうではなかったのか、という質問に、「プランに盛り込まれた施設整備の基本的な方向について、変更したものではありません」という回答しか返ってこないであろうことは、きのうも記したとおりあらかじめ知れていたのである。しかし、そんなことでいいのか。こんなことでは、市民を瞞着することなどとてもできんのではないか。
炎熱のさかりにいよいよ殺気立つ人間豹の蟻地獄絵巻、つづきはあしたのこととなる。
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