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三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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まさかこんなことになるとは予想もしていなかったのだが、江戸川乱歩というカテゴリを追加した。そのうえで、お知らせ。

江戸川乱歩の「人間豹」を原作にした新作歌舞伎「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)─明智小五郎と人間豹─」が11月、国立劇場で公演される。出演は松本幸四郎さん、市川染五郎さんら。

日本芸術文化振興会:11月歌舞伎公演「江戸宵闇妖鉤爪(えどのやみあやしのかぎづめ)」
日本芸術文化振興会:「江戸宵闇妖鉤爪」チラシA面
日本芸術文化振興会:「江戸宵闇妖鉤爪」チラシB面

7月15日に開かれた名張まちなか再生委員会乱歩関連事業検討委員会の席上、行政サイドからこの公演の告知があった。たしかその日の昼、国立劇場スタッフが名張市役所を訪れ、どのセクションにおいてであったのかは知らないが、こんな公演がありますので、と挨拶してくださったとのことであった。無駄足であったと思う。名張市役所のみなさんには、打てば響く、ということがまったくない。あ、そうでんのか、右から左、それでおしまい。PRも何もあったものではない。「人間豹」が歌舞伎になります、と国立劇場からじきじきに案内をいただけるということは、名張市が乱歩にかんしてそれだけの潜在的可能性を有しているということなのだが、ま、そんなことはどうだっていいのか。

「人間豹」が歌舞伎になる。なかなか眼のつけどころがいいと思う。乱歩作品の歌舞伎性とでも呼ぶべき側面を最初に発見したのはたぶん三島由紀夫で、「黒蜥蜴」はまさにそうした戯曲であった。劇中には歌舞伎の割台詞の趣向も採用されている。ちなみに6月19日、大阪の梅田芸術劇場で美輪明宏さん演出主演その他の「黒蜥蜴」を観劇したのだが、以前の公演とはかなり演出が変わっているところもあり、この割台詞のシーンなど、能の所作をとりいれたうえに最後はちゃんと見得まで切る演出が面白く、とはいえ、お茶目な美輪さんちょい遊びすぎ、と思われぬでもなかったのだが、いっそ歌舞伎にしてしまえばどんな外連もOKであろう。げんに「江戸宵闇妖鉤爪」のチラシには、

「市川染五郎 大凧にて宙乗り相勤め申し候」

と記されていて、この一文を読むだけで、たぶんラストシーンであろうな、とか思い、いまからわくわくしてくる。みたいなことは、名張市役所あたりで話題にしたってさっぱり通じないことだろうと思う。もっとも、名張市職員有志による「江戸宵闇妖鉤爪」観劇ツアーが催行されるというのであれば、コンサルタントとして同伴するのはやぶさかではない。いつでもいってきなさい。

そんなことはどうでもいいとして、「人間豹」が歌舞伎になるというめでたいニュースが飛びこんできたのだから、こちらもそろそろ人間豹の本性をむきだしにして、名張市および名張市教育委員会に神算鬼謀の最終決戦を挑むこととしたい。ひらたくいえば、というか、あまり穏当でないことばを使用していうならば、乱歩のことできっちり落とし前をつけてもらう。とはいえ、それより先にやなせ宿の問題があったか。名張市公式サイト「市長への手紙」でやなせ宿のことをちょいちょいとかたづけたら、そのまま江戸川乱歩というテーマに移行して、いよいよ人間豹の出番となる。しばし待たれよ。けどまあ、待ってました高麗屋ッ、とかそういうのはいいから。
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なんだかなあと思われる時代の風についてひとこと
 ご投稿ありがとうございます。
 ざっとググってみましたところ、6月11日付の中日スポーツに「人間豹」歌舞伎化の第一報が掲載されたみたいです。ウェブ版の記事はとっくに削除され、キャッシュも残っていないようなのですが、2ちゃんねるのdat落ちしたスレで読むことができました。

【芸能】江戸川乱歩の世界が歌舞伎になる…「人間豹」を松本幸四郎&市川染五郎のコンビで11月上演
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1213142848/-100

 以下引用。

脚本は歌舞伎作家の岩豪友樹子さんが現在執筆中で、幸四郎が明智、
染五郎が恩田と正反対の立場の神谷にあたる人物の2役を演じる。
最後は、染五郎が宙乗りを見せる予定だ。
その染五郎は、「乱歩の世界を歌舞伎化するという約15年間温めてきた夢が
実現することに、とても興奮しています。インテリな匂いとモダンな美しさを
感じていただける歌舞伎になることを目指して勤めたいと思います」とコメント。
第1回コクーン歌舞伎に参加したころ、「将来、何か新しいものをできないだろうか」
とアンテナを張り巡らせていたところ、乱歩の魅力に引き込まれたという。
「色彩的な美しさもあって、歌舞伎の様式美に置き換えられる世界だなと
漠然と思っていました。この作品は劇中劇もあって、いろんな歌舞伎の
手法が浮かんでくる」と今から胸を躍らせている。

 引用おしまい。

 個人的には、人間豹の時代なんて来ないほうが世間が平和でいいのではないかと思うのですが、しかし、時代が人間豹を呼んでいる、といった事情もあるのかもしれません。時代の風に乗った人間豹が大凧で空高く舞いあがる、なんてなんだかなあ。なんとも複雑な気分です。
 今後ともよろしくお願いいたします。
人間豹 URL 2008/07/23(Wed)11:00:11 編集
人間豹の時代到来?
あのおそろしい「人間豹」が歌舞伎で主役を張ることになるとは画期的なニュースでした。先生が仰せのとおり、眼のつけどころが素晴らしいと思います。
ぜひとも観に行きたいですし、どなたが最初に眼をつけられた(発案者)のか経緯も知りたいところです。私の勝手な想像ですが、美輪さんの「黒蜥蜴」を観た発案者が、光文社文庫江戸川乱歩全集第9巻で同作品の原作を読み、たまたま「黒蜥蜴」の次に掲載されている「人間豹」を続けて読んだことが、今回の歌舞伎化のきっかけになったのではなかろうか、とにらんでおります。なぜなら私も同じ読み方しましたから(笑)。
乱歩が描く「人間豹」のおそろしさ執拗さったら凄まじく、しばらく劇場という場所に行くのがこわくなってしまったぐらいです。また「人間豹」の異名を持つ中先生に対しても、迂闊な真似はでけへんなとえらいびびってしまいました。
国立劇場ではやさ男の染五郎丈が演じるということでかなりホッとしておりますけれども、おもいっきり化けるかもしれませんね。とにかく楽しみです。ついに「人間豹」の時代がやってきたのでしょう。
永遠のJガール 2008/07/23(Wed)02:16:44 編集
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