三重県名張市のかつての中心地、旧名張町界隈とその周辺をめぐる雑多なアーカイブ。
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コピー&ペーストに気をつけろの巻
9月20日付で通知された「名張市長に対する措置請求の監査結果について」を吟味する。
きのう掲載した本文を再掲。
請求の主眼は、名張市と市が発足させた委員会や協議会、さらにはNPOとの関係性である。監査委員に提出した参考資料「僕の住民監査請求」には、そうした問題をより端的に、こんな言葉で表現しておいた。
実際には、名張市は、残念ながら、各種委員会などの主体性や自立性を認めようとしていないようである。それはすでに、ひとつの事実として示されている。だから「僕の住民監査請求」には、こんなふうに書いておいた。
この指摘は、具体的には、今年の6月定例会において、名張市が乱歩文学館の断念を表明したことをさしている。乱歩文学館の整備を検討していたのは、名張市からそれをゆだねられた名張まちなか再生委員会なのである。その委員会が結論にいたっていない状態であったにもかかわらず、名張市はいきなり断念を宣言してしまった。
つまり名張市は、再生委員会に対して、乱歩文学館の検討をゆだねたふりをしていただけだとみるしかない。委員会は、よくいわれる行政の隠れみのであり、あるいはアリバイ工作の場であったということを、名張市による乱歩文学館断念の表明は、問わず語りに語っているといえるだろう。
それが、名張市と各種委員会との関係性の実態であり、名張市は委員会の主体性や自立性を、結局のところ認めようとはしない。そのように結論するしかないのである。このブログでの吟味においてもまた、そうした結論が再確認されることになるはずである。
都市環境部まちなか再生担当監、都市環境政策室長、市街地整備推進室長。
この三人のなかに、平成16・2004年6月、つまり第1回名張地区既成市街地再生計画策定委員会が開かれた時点から、現在のポストにあった職員がいるのかどうか。たぶんいないのではないか。
もしもいないのであれば、事情聴取の場で、必要に応じて過去の担当職員から話を聴くということが、おこなわれたのかどうか。この通知書にはひとことも記されていないが、これは重要なポイントのひとつである。あえて疑義を呈しておく。
この二段落は、名張まちなか再生プランの「はじめに」から、ほぼそのまま引き写されている。「はじめに」の当該段落を引用する。
こうした説明は不要である。住民監査請求をおこなうにあたって、当然了知していることである。請求者にむけた通知書に、たんなるプランの引き写しなど必要ない。必要ないという以上に、これは危険性をはらんだ行為である。
危険性のひとつは、すでにある文章の引き写しで何かを説明しようとする安直さにみることができる。そうした安直さは、監査結果そのものの安直さに結びつきはしないか。
また、プランに記されたところを無批判にコピー&ペーストすることによって、監査委員が監査対象との距離を見失うことも懸念される。監査対象と同一化し、監査対象の代弁者に堕してしまう危険性さえ、皆無とはいいきれないのではないか。
危険性の三点目は、たぶんまたあした、あらためて記すことになるだろう。
ちなみに、監査委員のおひとり、福田博行氏は、名張市議会議員でいらっしゃる。平成17・2005年2月18日、市議会重要施策調査特別委員会が開かれ、議案「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」が審議された。
この日の委員会を傍聴し、翌々日の2月20日、その記録をサイトに発表した。以下に引用しておく。
福田議員の発言は妥当なもので、歴史資料館構想の愚劣さを正しく指摘していたと判断される。「多様な主体の協働」によって策定されたとプランには書かれているが、福田議員はそれを否定し、歴史資料館構想における「行政的発想」を批判していたのである。
福田議員のそうした批判が、いまも持続されているのかどうか、それはわからない。だが、いったんは、議会の場で、プランへの批判を展開した市議会議員が、こんどは監査委員として、プランに書かれているきれいごとを、そのまま引き写して監査結果をまとめているという事実には、いささかの疑問を禁じえない。
ここで、「市民、事業者、行政など多様な主体の協働」による名張地区既成市街地再生計画策定委員会の構成を確認しておく。名張まちなか再生プランに記載された名簿を転載する。平成17・2005年1月20日現在のものである。
こういった顔ぶれを集め、これを「多様な主体の協働」と称するのは、行政による欺瞞以外のなにものでもない。こうした人選は、適当な寄せ集め、とでも呼ぶしかないものである。行政にかかわりの深い団体や機関をリストアップし、そこからひとりずつ委員を寄せ集めただけの組織であり、その意味では、多様どころか、きわめて偏頗な印象を与えるものだろう。
「第3 事実関係」の途中だが、以下はまたあした、綴ることにする。
9月20日付で通知された「名張市長に対する措置請求の監査結果について」を吟味する。
きのう掲載した本文を再掲。
■平成19年7月30日付けをもって地方自治法第242条第1項の規定により提出されました標記の件について、同条第4項の規定により監査した結果を次のとおり通知します。
第1 本件請求の要旨 ■措置請求書に記載されている事項を勘案し、請求の要旨を次のように捉えた。 ■名張市は、「名張まちなか再生委員会」に対し、細川邸整備の検討を委ねたが、その後「NPOなばり実行委員会」に付託された。この案件に関し、当該委員会から「NPOなばり実行委員会」へ付託することの不当性及び「NPOなばり実行委員会」による決定の自立性などによる公金の不当支出が明白であることから、次の措置を請求するものである。 ■〈1〉委託研究「歴史的建造物改修に係る基本設計業務ならびに当該建造物を活用した管理運営モデルの開発、運営効果の測定に関する研究及び実践」(以下「研究及び実践」という。)の契約については、名張市の意向が反映されていない「NPOなばり実行委員会」が独自の判断で「国立大学法人三重大学」(以下「三重大学」という。)浦山研究室へ研究委託を行ったようである。よって、名張市にその対価の支払い義務が生じることはなく、当該契約における名張市の責任者である名張市長亀井利克に損害賠償を求めるものである。 ■〈2〉当該契約における報告書に基づいて行われた細川邸整備の実施設計は無効であると判断されるため、細川邸整備における当該実施設計を無効化するための措置を求めるものである。 ■以上が、請求の要旨である。 |
請求の主眼は、名張市と市が発足させた委員会や協議会、さらにはNPOとの関係性である。監査委員に提出した参考資料「僕の住民監査請求」には、そうした問題をより端的に、こんな言葉で表現しておいた。
「ですからそこらのNPOの勝手な判断にもとづいて委託された研究に市民の税金を投じていいものかどうか」
「どないするゆうんですか」 「名張市の監査委員の先生おふたかたにはっきり白黒つけてもらいますねん」 |
実際には、名張市は、残念ながら、各種委員会などの主体性や自立性を認めようとしていないようである。それはすでに、ひとつの事実として示されている。だから「僕の住民監査請求」には、こんなふうに書いておいた。
「名張市はいろいろ委員会とかつくってますけど組織の主体性や自立性というものが全然わかってないみたいですね」
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この指摘は、具体的には、今年の6月定例会において、名張市が乱歩文学館の断念を表明したことをさしている。乱歩文学館の整備を検討していたのは、名張市からそれをゆだねられた名張まちなか再生委員会なのである。その委員会が結論にいたっていない状態であったにもかかわらず、名張市はいきなり断念を宣言してしまった。
つまり名張市は、再生委員会に対して、乱歩文学館の検討をゆだねたふりをしていただけだとみるしかない。委員会は、よくいわれる行政の隠れみのであり、あるいはアリバイ工作の場であったということを、名張市による乱歩文学館断念の表明は、問わず語りに語っているといえるだろう。
それが、名張市と各種委員会との関係性の実態であり、名張市は委員会の主体性や自立性を、結局のところ認めようとはしない。そのように結論するしかないのである。このブログでの吟味においてもまた、そうした結論が再確認されることになるはずである。
第2 本件請求に係る経過
■1.請求の受理 ■本請求は平成19年7月30日に提出され、措置請求について所要の法定要件を具備しているものと認め、同日付これを受理した。 ■2.監査の実施 ■(1)請求人に対する証拠の提出及び陳述の機会の付与 ■請求人に対し、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成19年8月9日を指定し、証拠の提出及び陳述の機会を与えたが、平成19年8月7日、請求人より新たな証拠書類の提出及び陳述する意思がない旨通知があった。 ■(2)監査対象部局 ■名張市都市環境部 市街地整備推進室 ■地方自治法第242条第7項の規定に基づき、平成19年8月9日、都市環境部まちなか再生担当監、都市環境政策室長、市街地整備推進室長の出席を求め事情聴取を行った。 |
都市環境部まちなか再生担当監、都市環境政策室長、市街地整備推進室長。
この三人のなかに、平成16・2004年6月、つまり第1回名張地区既成市街地再生計画策定委員会が開かれた時点から、現在のポストにあった職員がいるのかどうか。たぶんいないのではないか。
もしもいないのであれば、事情聴取の場で、必要に応じて過去の担当職員から話を聴くということが、おこなわれたのかどうか。この通知書にはひとことも記されていないが、これは重要なポイントのひとつである。あえて疑義を呈しておく。
第3 事実関係
■1.事情聴取の結果、以下の事実が認められる。 ■細川邸整備にかかる研究委託等の経緯 ■都市を取り巻く社会経済情勢の変化を背景に、地方都市における既成市街地の求心性や活力低下が大きな問題となっており、こうしたなか名張市では新しい総合計画においても名張地区に残された歴史・文化・自然などの地域資源を活用し、市民、事業者、行政などの多様な主体の協働により、文化の薫りをいかした集客交流、商業振興や福祉の充実など、誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組む方針を「まちの顔づくりプラン」として位置付けている。 ■この「まちの顔づくりプラン」の実現に向けて、つまり名張地区においてその既成市街地の再生を図るべく、平成16年6月に市民、事業者、行政など多様な主体の協働による「名張地区既成市街地再生計画策定委員会」を発足させ、同月23日に第1回の委員会が開催され、その後アンケート調査やワークショップなどを開催した。 |
この二段落は、名張まちなか再生プランの「はじめに」から、ほぼそのまま引き写されている。「はじめに」の当該段落を引用する。
■都市を取り巻く社会経済情勢の変化を背景に、地方都市における既成市街地の求心性や活力低下が大きな問題となっており、本市においても例外ではありません。
■こうしたなか、「名張らしさ」を輝かせた名張地区既成市街地(以下、「名張地区」という。)の個性あるまちづくりが期待されています。新しい総合計画においても、名張地区に残された歴史・文化・自然などの地域資源を活用し、市民、事業者、行政など多様な主体の協働により、文化の薫りをいかした集客交流、商業振興や福祉の充実など、誰もが暮らしやすいまちづくりに取り組む方針を「まちの顔づくりプラン」として位置付けています。 ■この「まちの顔づくりプラン」の実現に向け、平成16年6月に「名張地区既成市街地再生計画策定委員会」(以下、「策定委員会」という。)を設置し、この「名張まちなか再生プラン」の策定を進めてまいりました。策定にあたりましては、広く市民の皆さまを対象としたアンケート調査や、多くの皆さまがたの参加によって幾度に渡り熱心な議論が展開されたワークショップ、タウンウォッチングなどのフィールドワーク等を経て、平成17年1月24日に策定委員会から取りまとめられたプランの報告を受けました。 |
こうした説明は不要である。住民監査請求をおこなうにあたって、当然了知していることである。請求者にむけた通知書に、たんなるプランの引き写しなど必要ない。必要ないという以上に、これは危険性をはらんだ行為である。
危険性のひとつは、すでにある文章の引き写しで何かを説明しようとする安直さにみることができる。そうした安直さは、監査結果そのものの安直さに結びつきはしないか。
また、プランに記されたところを無批判にコピー&ペーストすることによって、監査委員が監査対象との距離を見失うことも懸念される。監査対象と同一化し、監査対象の代弁者に堕してしまう危険性さえ、皆無とはいいきれないのではないか。
危険性の三点目は、たぶんまたあした、あらためて記すことになるだろう。
ちなみに、監査委員のおひとり、福田博行氏は、名張市議会議員でいらっしゃる。平成17・2005年2月18日、市議会重要施策調査特別委員会が開かれ、議案「名張地区既成市街地再生計画『名張まちなか再生プラン』(案)について」が審議された。
この日の委員会を傍聴し、翌々日の2月20日、その記録をサイトに発表した。以下に引用しておく。
■まず驚いたのは、「名張まちなか再生プラン」(案)に盛り込まれた歴史資料館たらいう愚劣な構想がまったく無批判に受け容れられていたことです。そんなことでいいのか名張市議会。歴史資料館なんてものつくったからといって名張のまちに人が押し寄せてくるはずがなく、そもそもいったい何を展示するのかといったことを私はこのところ連日主張している次第なのですが、名張市議会には歴史資料館というハコモノに対する無根拠な盲信、いっそ歴史資料館信仰とでも呼ぶべきものが存在しているようで、そうした信仰に明確な疑問を投げかけたのはわずかにただ一人、福田博行議員(清風クラブ)が、
■「歴史資料館をつくったら人が来てくれるというのはまさに行政的発想。点をつけるとしたら三十点」 ■と発言したのみというていたらくでした。 |
福田議員の発言は妥当なもので、歴史資料館構想の愚劣さを正しく指摘していたと判断される。「多様な主体の協働」によって策定されたとプランには書かれているが、福田議員はそれを否定し、歴史資料館構想における「行政的発想」を批判していたのである。
福田議員のそうした批判が、いまも持続されているのかどうか、それはわからない。だが、いったんは、議会の場で、プランへの批判を展開した市議会議員が、こんどは監査委員として、プランに書かれているきれいごとを、そのまま引き写して監査結果をまとめているという事実には、いささかの疑問を禁じえない。
ここで、「市民、事業者、行政など多様な主体の協働」による名張地区既成市街地再生計画策定委員会の構成を確認しておく。名張まちなか再生プランに記載された名簿を転載する。平成17・2005年1月20日現在のものである。
委員長□□浦山益郎 三重大学工学部教授
副委員長□勝林定義 名張地区まちづくり推進協議会会長 委員□□□井内孝太郎 名張青年会議所理事長 委員□□□岡田かる子 名張市老人クラブ連合会副会長 委員□□□岡村信也 名張文化協会理事 委員□□□川上聰 川の会・名張顧問 委員□□□辰巳雄哉 名張商工会議所会頭 委員□□□西博美 名張市社会福祉協議会会長 委員□□□西川孝雄 国土交通省近畿地方整備局木津川上流河川事務所所長 委員□□□早川正美 三重県伊賀県民局局長 委員□□□福田みゆき 名張市PTA連合会会長 委員□□□柳生大輔 名張市議会議員 委員□□□山崎雅章 名張市区長会会長 委員□□□山村博亮 名張市議会議員 事務局□□名張市建設部都市計画室 事務局□□□西出勉 事務局□□□朝野陽助 事務局□□□永岡良仁 事務局□□□深井克治 |
こういった顔ぶれを集め、これを「多様な主体の協働」と称するのは、行政による欺瞞以外のなにものでもない。こうした人選は、適当な寄せ集め、とでも呼ぶしかないものである。行政にかかわりの深い団体や機関をリストアップし、そこからひとりずつ委員を寄せ集めただけの組織であり、その意味では、多様どころか、きわめて偏頗な印象を与えるものだろう。
「第3 事実関係」の途中だが、以下はまたあした、綴ることにする。
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